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各会計決算特別委員会94年4月18日
世界都市博覧会の浪費を追及

◯曽根委員 私からは、世界都市博覧会にかかわる都財政の負担についてただします。
 既に何度か議論されておりますように、世界都市博覧会には莫大な都費が投入されるわけです。 既に都の負担金と、博覧会の中で都の主催するさまざまな会議やシンポジウムの事業費などで六百三十億円が見込まれているわけですが、実際にはこれにとどまらないだろうということは周知の事実であります。
 そこで、この世界都市博覧会と、その関連で都が負担するさまざまな費用を累積すると、どのくらいになるか。
 これは、まだ今までの審議の中でも十分に明らかにされているとは思えないわけで、幾つかこの関連でお聞きをしていきたいと思います。
 さきの予算特別委員会で、今行われている臨海部開発の共同溝の工事などで、この博覧会に間に合わせるために、共同溝本体と同時に、上部の埋め戻し工事の促進が昼夜の工事で行われている。そのために、かなり工事費が大幅に膨らんでいるという話がありまして、このときの質疑では、そのために五十億円程度費用が増額になっているという答弁が港湾局長からされていますが、これはご存じですか。

◯中山事業推進部長 第一回定例会におきます港湾局長の答弁は、工期短縮を目的として昼夜間で工事を行うことは発注段階から織り込んでいるが、仮にその費用を推計すると約五十億円になるということであったと承知しておりますが、工期の短縮を目的とした昼夜間工事は、始動期開発を予定どおり完了させるための措置であるというふうに私ども認識しております。

◯曽根委員 これは物の見方として、世界都市博覧会は始動期が完了したところで行われると。私は、これは事実上、とにかく博覧会を開くためには工事を終わらせなければならない、そのための、急がせるための費用だというふうに考えるのですが、お答えでは、これは始動期開発を予定どおり進めるためのものだと。それで、実際に最後にひっかかってくるのは、共同溝本体よりも、その埋め戻しで地上を更地にしなければイベントはできないと思うわけなんですね。
 そこが、最後の期間、非常に急がなければならない工事の中心部分になってくるわけで、これは共同溝によるさまざまなライフラインの供給よりは、むしろイベントが予定どおり行われるためというふうになるのではないか。
 仮に、この世界都市博覧会、八年三月に開催する時点で、まだ埋め戻しが終わっていない、会場内、工事を一部でもやっているというような状況になったとしたら、これ、イベントは開けないのじゃないですか。いかがでしょう。

◯今沢臨海開発調整部長 共同溝の本体ができまして、配管をいたしまして、その後埋め戻しをする、で、更地にする、それはそのとおりでございますが、平成八年の四月から新しいまちがスタートするわけでございますが、その際に、私どもといたしましては、当然のこととして共同溝の埋め戻しも完了いたしまして、まちとしての姿を整えてまいりたい、そのように考えてございます。
 したがいまして、確かにイベントは平成八年の三月末からでございますが、そのためというよりも、先ほど事業推進部長がご説明いたしましたとおり、始動期開発をスムーズに進めるためというふうに理解しているわけでございます。

◯曽根委員 通常のオフィス街でしたら、工事をやっていてもオフィス街は成り立つんです。しかし、一般のお客さんがやってくるときにですよ、私たちもこの間視察で見ましたが、地面にまだ穴があいているような状態のときに、これは博覧会は実質できないわけですよ。
 だれが考えたって、それはやっぱりきちんと、だれが入っても安全に中が歩けるようにするという会場づくりのために、どうしても工事は終わらせなきゃならないわけですよ。ですから、この五十億円というのは、私はフロンティアのためにかかっている費用だというふうにいわざるを得ないと思うんです。
 それからもう一つ大きいところで、国際展示場を今回、世界都市博覧会のために無償で借りるわけですよね。国際展示場がもうでき上がって一般に貸し出すとした場合に、全期間貸し出していたというふうに想定すると、約九十八億円収入が見込めるというふうにお聞きしていますが、これは会場を借りる関係で、本部の方でもそれなりの計算をしていると思いますが、この九十八億円というのは間違いありませんか。

◯中山事業推進部長 国際展示場の具体的な料金は決定されていないために、仮に晴海の見本市会場や国内類似施設の使用料に基づいて計算をしますと約九十八億円となりますが、計算の前提とした料金は、見本市会場としての通常の利用を想定して設定されたものでございまして、長期間の利用の場合に単純に当てはめると過大なものとなるので、そのまま収入として見込むことは適切でないというふうに聞いております。

◯曽根委員 これは労経局の試算なんで、本部の方に細々したことをお聞きするのは難しいんですが、こういうときの計算になると、利用が必ずしもその期間目いっぱい使われるとは想定できない、目いっぱい使われると想定すると過大になるという話になるのですが、臨海部開発などで、例えば第三セクターのモデルビルが、我々が考えている以上にきちんと入るということを想定して収支計算をやるんですよね。こういうときになると、いや、それを全部使ったとすると過大であるという試算が出るというのは、私はおかしいと思うんです。
 考え方としては、国際展示場というのは最も新しい展示施設ですから、ということはつまり、国際的にも国内的にも最高のレベル、グレードを持った展示施設だという点でいえば、今やっている晴海の見本市会場程度の収入を想定すること自体が、私はある意味では安いのじゃないかと思うんですよね。しかも、グレードがいい施設をそういう料金で貸し出せば、当然どんどん借り手が出てくるというふうに想定して当たり前だという点で考えたって、これは九十八億円、全部が全部とはいわないまでも、これに近い金額が、本来、貸し出せば収入として入ってくることを想定するのは、私は不自然ではないと思う。
 これで、これが約百億円近いですから、さっきの工事費と合わせて百四十億円、この金額というのは、私は当然、自然に考えたときに、先ほどの六百三十億に加えて、東京都がこの博覧会によって負担しなければならない部分、もしくは収入減になるということで見込まなければならない部分だと思うんですね。
 そのほかにも、今金額がある程度出ているものとして、フロンティア期間中に臨海部の隣接会場で行われる全国植樹祭、これもやはり世界都市博覧会とタイアップ効果をねらって、隣接する同じ臨海部の会場内で行なわれるわけですから、そういう点も当然織り込んで計画をされていると思いますし、それから情報連絡室が期間内に会場で行う双方向CATVの実験、これが報道によると全体で三十億円程度はかかるだろうと。
 そのうち三分の二を都などが負担することになっておりますので、二十億円程度を多い場合には見込まなければならない。先ほどの全国植樹祭も、費用として、数千名の宿泊費用なども含めて十八から二十億円程度かかるというふうにいわれているのですが、これらもやはり博覧会に関連した行事ないしイベントとして考えていくべきだと思いますが、いかがですか。

◯中山事業推進部長 全国植樹祭につきましては、これは国民の森林や緑に対する理解を深めるために行われる国土緑化運動の中心的行事でございまして、平成八年春に東京都で開催されるとのことでございますけれども、植樹祭開催に伴う経費につきましては、現在、労働経済局で検討中でございます。今後、内容の具体化を待って明らかにしていくのではないかと思っております。
 また、情報連絡室が行う双方向の情報通信システムの実験等につきましては、これは私どもの博覧会とタイアップをしながら行っていくものでございますが、これにつきましても、現在の地域情報システムの構築という既定事業の中で必要な経費でもあると考えております。

◯曽根委員 CATVについては、博覧会の中でのタイアップ事業であると。私は、隣接して行われる植樹祭もほぼ同じ効果を持って考えられるだろうし、これから期間が近づけば、当然位置づけとしてはそういうふうにならざるを得ないだろう。また、そうしなければ集客効果という点でも、かえって相乗効果がつくっていけないということになると思うんです。これはまだ確定した金額にはなっていないわけですが、それでも、これで合計すると数十億円都の負担ということで、既定事業とはいうものの、博覧会に関連してかかるわけです。
 そのほかに、これはフロンティア本部としても各局に、博覧会の中でいろいろな会議、シンポジウム、イベントをやってほしいということで要請をされていて、私たちの聞いているところでは、都として、例えば養育院の所管で東京ゼロントロジー、それから住宅局の所管で都市居住国際シンポジウム、福祉局の所管で国際子供会議などが計画をされていると聞いていますが、これらはどういうところで負担がされるのか。
 それから、そのほかにも、いろいろ各局での会議やシンポジウムが、全体で五回程度計画をされているというふうに聞いていますが、どういう内容で、都の費用負担についてはどういうふうに予想されているのか、お聞きします。

◯中山事業推進部長 お尋ねのゼロントロジー、子供会議等の会議につきましては、博覧会開催中、国際会議として実施を予定して、現在、各局で検討しているものですけれども、従前においても何らかの形で開催されていたものであるというふうにも聞いておりまして、このような観点から、これを既定事業というふうに位置づけるかどうかについては、関係局とも今後十分協議をしてまいりたいというふうに考えております。
 また、この世界都市博覧会におきまして、世界都市フロンティア会議の各局関連の会議といたしまして、現在、メトロポリス '96総会、それから第十二回世界テレポート連合総会などの五件の国際会議を予定しております。これらの国際会議は、定期的に開催されておりまして、平成八年は東京で開催されることになったものでございます。都の費用負担につきましては、各局が既定事業として実施するために、それぞれの局において必要な経費を負担することとしております。

◯曽根委員 これらについては、まだ費用負担の程度もどの程度かわかりません。 また、今のお答えで、各局の既定事業に入っていくだろうというお話だったのですが、都民から見て、東京都がやる博覧会の中で行われる会議や催し、シンポジウム、これは東京都の負担でやるについては同じなんです。そこに、一般的にいって決定的な違いはないという意味では、それが定期的に開催されている会議であろうがシンポジウムであろうが、私は博覧会の一環として位置づけられていいだろうと。
 したがって、今までの、金額がある程度はっきりしているものだけでも八百億円、それにさらに、これらの会議のそれぞれの局の負担が明らかになってくれば、かなり大幅にこれにプラスされる負担が東京都にかかってくるだろうというふうに推定されるわけですが、これだけで負担がとまるかというと、私はそうはいかないのじゃないかと思っている。
 そこで、この博覧会が目標としている有料入場者数二千万人、これでチケット代として、入場料として、幾ら収入を見込んでいるのか。それがもし一割減、二割減、入場者が目標を下回った場合、減額は幾らと想定されるのか、それをお聞きします。

◯中山事業推進部長 この博覧会の入場料収入といたしましては、三百七十億円を見込んでおります。また、博覧会実施に当たりましては、事業内容を充実しまして、効果的なPRを実施するなどして、二千万人の来場者を確保するように努力する所存でございますので、当初見込みの入場料収入が得られるように努めてまいる考えでございます。

◯曽根委員 博覧会といえども一つの事業であり、慈善事業じゃないのですから、これはやっぱり冷静に見ておかなければなりません。しかも、バブルが崩壊して不況になって以降、全国各地で行われている博覧会と称するものの中で、目標の人数を集めたものはほとんどない。 あったとしても、ごく小さな規模のものである。一定の規模以上、例えばこの世界都市博覧会に匹敵するような事業としては、ほとんどが目標を大幅に下回っている。そういう事態を冷静に見れば、当然その程度のことは、一割減、二割減ぐらいは想定して考えておかなければ、後々、結局かぶってくるのは東京都になるのじゃないですかね。
 それで、仮に赤字が出た場合──考えたくないんでしょうけどね、赤字がかなり大きく出た場合、それをだれが負担することになるのか、その点についてどういうふうに想定をされているのか、ちょっとお伺いします。

◯中山事業推進部長 これまでの博覧会におきまして、入場者数が、同規模のものは予定をおおむね下回っているというふうなお話でございましたけれども、私どもが知る限りでは、今回、五番目の資料にも出させていただきましたが、ここにお示ししてございますように、当初見込みの入場者数を確保しているというのが実情ではないかというふうに考えております。
 また私どもも、この博覧会の主催団体でございます協会財政につきましては、収入を確保するということ、それから事業執行に当たっての一層の創意工夫を凝らしまして、赤字が発生しないように経営の健全化に努めてまいります。

◯曽根委員 先ほどの資料を私も見ましたけれども、一九七〇年の万博から始まって、ほとんどもうバブルの前です。バブル中かバブルの前がほとんどですよね。そういう点でも私は、そういうこともあえて想定してやっぱり進めていくというのでなければ、事業を進める本部としては、冷静さに欠けるというふうにいわざるを得ないと思うんです。
 ただ、財政的にはこの仕組みは明らかになっているわけで、東京都は既にこれに三億円の出捐金を出していますよね。ほかの企業が軒並み百万円程度のものであるのに対して、三億円というのは、破格の金額を既に出捐している。
 それから、フロンティア協会は、収入というのはすべて東京都からの無利子貸付に頼っているというふうに聞いていますが、そうしますと財政的に、収入の道を、今の時点で考えて、フロンティア協会がほかに何か求めていく、民間の金融機関とかそういうのに求めていく方法は何か考えているか。想定されるんですか。

◯中山事業推進部長 協会財政につきましては、お尋ねのように東京都からの貸付金で行い、これから、ことしの九月から前売り入場券等を販売してまいるわけですけれども、最終的には、そういった入場料収入、その他の収入で賄うというものでございまして、民間からの貸し付けを受けるというふうなことは予定をしておりません。

◯曽根委員 わかりました。ですから、財政の仕組みを見れば、最後赤字が出れば東京都がかぶるしかないというのは、だれにもはっきりしていることなんです。
 しかも、これからまだ具体的に詰めなきゃならないゴンドラ計画というのが出ておりまして、これも収支でどの程度採算性があるのか。もしこれが具体化されるとなれば、さらに赤字が膨らまないとはいえないという点で見ますと、最小限でも八百億円程度は金額的にもはっきりしている。会議やシンポジウムによって恐らく百億円かそれを上回る金額がこれに、東京全体での負担が加わるだろう。
 さらに、目標を少しでも下回れば、一割で約四十億、二割で八十億近い収入減が起きてくる。その負担は、財政の仕組みから見て、東京都にすべてかぶってくるという事態になっていくわけで、これは事情によっては、一千億円をはるかに超える都の負担、つまりは都民の負担。これは私は、この時期に行う、コンセプトもはっきりしない世界都市博覧会の負担として、都民の納得は到底得られないというふうにいわざるを得ません。
 そこで、計画は次々具体化をされているわけですから、各国からの都市の参加、各企業のパビリオン計画、これは随時つくられていってしまうんだと思うんです。準備の費用をどんどんつけていくと、東京都は引くに引けなくなる。その前に中止を決断すべきだと思いますが、本部長、いかがですか。

◯瀬田東京フロンティア推進本部長 世界都市博覧会は、広く英知と技術を結集しまして、内外の都市づくりやよりよい市民生活を目指していく国際的なイベントでございまして、二十一世紀に向けた世界都市東京の発展のために極めて意義のあるものであると考えております。 したがいまして、これを成功させるために全力を尽くしていく考えでございますので、中止する考えは持っておりません。

◯曽根委員 私はきょう、内容的な理念的な問題、コンセプトの問題は抜きに、お金の問題だけで申し上げました。
 最終的な本部長のお答えは、やはりこの博覧会の意義、理念をおっしゃった。で、財政的なことは一言も触れられなかったのを見ますと、そこは触れられないのかなという印象を持ちながら、私たちは、こうした都民に最終的には莫大な費用負担をかける博覧会は中止をすべきだということを再度申し上げて、質問を終わります。

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