トップページへ  議会質問目次へ  質問全文リストへ

 

建設住宅委員会95年11月30日

 住環境破壊のマリーナ計画、青梅総合公園疑惑を追及

 

◯曽根委員 建設局の事業にかかわって、三点ほど質問したいと思います。

  最初に、江戸川区新川に建設予定の河川マリーナについて質問いたします。

  東京都は、河川の不法係留船対策等、夢の島のマリーナが満杯ということで、新川の護岸の整備の一環として、新川の東西両側の入り口付近にレジャーボート用のマリーナを建設するということで、西側はもう準備の工事が始まっているようです。

新川の護岸を親水型にするというのは、地元の方々の大変長い間の要望だったようですけれども、このマリーナの計画というのは、一体どこで、どのように検討されて、この新川の整備の場所に決められたんでしょうか、それをまずお聞きしたいと思います。

 

◯沼尻河川部長 新川マリーナの計画でございますけれども、平成四年度に、区長、学識経験者などに参加いただきまして、新川環境整備検討委員会で基本構想をまとめたものでございます。

 

◯曽根委員 江戸川から区長さんが入っているようですけれども、地元の住民の方が参加をしていないし、また、どうも住民の方に相談もなく決められたということらしいんですね。

東京都として河川マリーナというのは新しいタイプの施設ですから、こういうものをつくるときに地元の方にちゃんと相談していないというところに、そもそも問題があるんじゃないかというふうに私は思うのです。

  西側のマリーナの方は百三十隻分ですか──何でも最初の予定地は、新川の北の川岸につくる計画が、そちらは民家が多くて、説明段階でクレームがつき、結局南側に変更してやっと着工したというふうに聞いているんですが、こういうふうに、地元の方にもともとの計画を示さないで、決定をしてから説明会を始めるというやり方に問題があると私は思うのです。

  東側は九十隻分というふうに計画されていますが、東側の入り口のマリーナ計画、こちらについては、直近の江戸川五丁目新和町会の方々を初め関係町会のほとんどのところから、計画の中止を求めて陳情が出されているということは、東京都もご存じだと思いますが、いかがですか。

 

◯沼尻河川部長 陳情につきましては、陳情者、代表者ともお会いしまして、その趣旨を伺っております。

 

◯曽根委員 地元の声をちゃんと聞いているというふうに私は聞いていないんですよ。

  私も、現地を見なくちゃいけないと思って、先日、東と西、両側見てまいりました。

また、陳情された町会の皆さんからもお話を伺いましたが、聞いてみて、皆さんの心配は非常にもっともだと思いました。新川の東の入り口というのは、古くからの船着き場で、漁師さんやいろいろな荷物を運ぶ船の人たちが利用した食堂とか船宿の名残が残っております。また、民家もかなり密集した地域です。

  マリーナの計画で、地元の方が一番心配しているのは、これだけ民家が立て込んでいる中、川幅三十メートル程度しかない運河で、ここに、小型が中心とはいっても、レジャーボートを九十隻並べるわけですから、そのボートを利用する方々の車の出入り、駐車などが予想される川岸の道路、これが大体四メートルぐらいしかないんですね。

それで双方通行。しかも、マリーナ予定地のすぐ前が、希望の家という江戸川区の障害者の福祉作業所と生活実習所の複合施設で、毎日百名以上の障害者の方が通ってきているという状況ですから、とてもゆったりとレジャーボートを浮かべておけるところじゃないというのが皆さんの声ですし、私も実感でした。

  以前、近くのマリーナで起こったボートの火災がかなり大きな火災だったようで、こういう規模の火災がもしここで起きれば、目の前の住宅などに飛び火しかねないという場所だと。

係留しておくボートは、何でも燃料が揺らされないようにタンクの中を満タンにしておかなきゃならないということなんで、一隻にドラム缶一本ぐらいの燃料が入っているということですから、そういう意味でも、人家からはできるだけ離しておくことが必要ではないか、これは最小限の条件じゃないかと思うのですね。

  そういう大変心配な材料がいっぱいある中で、一つお聞きしておきたいんです。東水門のマリーナの設計の問題ですが、ボートの出入り口が──東水門の内側には、現在車の通行が結構多い橋がかかっていますし、川をまたぐ格好で児童遊園が置かれている。

さらに、この水門の内側に、外からの水を狭い口から落とし込んでいる樋門がありますね。ここからどうやってボートを出入りさせるのか、ちょっと見当がつかないような現状でしたが、これらの施設はどういうふうに変更するんでしょうか。それから、実際にボートを出し入れする方法はどうやるんでしょうか。

 

◯沼尻河川部長 新川の河川環境整備計画でございますけれども、特に地盤の低い中で、水位低下河川として事業を進めたわけでございます。そのような特徴を生かしまして、水辺環境の整備、また秩序ある水面利用を促進するということで、マリーナを整備していこうという構想が検討されたわけでございます。

  この新川の計画に対しましては、触れ合いとにぎわいのある水辺空間を形成しようということで大きく構想を立てまして、西東にそれぞれ水辺のマリーナゾーン、それから、触れ合いのマリーナゾーンというふうに位置づけまして、東側は、公園機能を備えた河川マリーナを中心に触れ合いのある水辺空間を整備していこう、こんなふうに考えております。

  先生ご指摘の、樋門、橋、公園、こういうものにつきまして、当然マリーナを実施するときには改修が必要になります。また、児童公園につきましては、水と緑豊かな親水公園に計画をしてまいりたい、こんなふうに思っております。

  船の出入りにつきましては、先ほども申し上げましたように、新川は水位低下をしている河川でございますので、どのような形態にするかは今後検討したいと思っております。

 

◯曽根委員 公園の方は、いろいろお話がありましたが、親水公園ということですから、川岸に移すということでしょうね。水路をそこはあける。それは可能かもしれませんが、そうすると橋については、ボートは下をくぐるということになりますね。

しかし、樋門はくぐれませんから、何でも最初は、クレーンでつり上げて樋門の内外の出し入れをするという案が地元にイメージプランで出されて、しかし、これではいかにも手間がかかるし、海からの風も強い場所だということで、計画は、今お話しの検討中と。

場合によっては樋門を取り払うことも検討しなければならないかもしれないというふうに、地元の方からお聞きしました。

それで検討中ということになるんだと思いますが、樋門を外すということになりますと、これは新川の水門全体の構造を変えなきゃなりません、水位が低いんですから。

水位調整は樋門があるからできているんで、これができなくなってしまう、難しくなってしまうわけですから、これは新川の機能そのものの基本にかかわることになると思うのです。

それが検討中ということで、そのままでマリーナの計画だけは認めてくださいといっても、これは地元は、はい、わかりましたというふうにならない話だと私は思うのです。マリーナ先にありきということになってしまうのですね。

  もう一つ、マリーナの利用者の立場で考えてみても、クレーンでつり上げて、一々出入りするために出し入れしなきゃならないとすれば、これは非常に利用のしやすさが違ってしまうわけです。

はっきりいえば、つり上げ方式では、もう使いにくくてしようがないマリーナになってしまうと思うのですね。どちらに転ぶにしても、私はこの問題には大きなネックがあると思うのです。

  そういう点で、確かに都内の河川、お聞きしたら、河川だけで千五百か千六百隻ぐらいの不法係留があるということですから、取り締まりを行うにしても、船の行き場が現在ありませんので、都が今検討しているように、ちゃんとした設備を持ったマリーナを整備していくこととか、それが間に合わない部分については、暫定係留施設も必要だと思います。この対策ももちろん急がなくちゃならないと思うのですが、

そのためにも、利用者に喜ばれ、近隣住民の方々も納得して受け入れられるような適地を真剣に探すべきじゃないかと思います。

  近くに、江戸川区がつくった左近川のマリーナもあって、そこを見てまいりましたが、ここは、周りの状況が、この新川とは全く違っていました。

その点で、施設面での苦情は、新川に比べればこちらはないかなというふうに思ったのですが、どうして新川になってしまったのか、ほかに適地はなかったのか、ちゃんと探したのか、この点はいかがでしょうか。

 

◯沼尻河川部長 河川マリーナの適地といたしましては、やはり洪水の影響がないことが一つでございます。また、河川の幅員や水深が船舶の利用に適している、こういうことが条件になりますので、この一定条件が満たされる場所は非常に限定されてしまいます。

そういう中で、千六百からの不法係留船がある中で、条件を備えた河川は都内で非常に少なくなります。新川は、これらの条件を備えている数少ない河川の一つでございますので、よろしくお願いしたいと思います。

 

◯曽根委員 どうも今の部長さんのお答えを聞いていますと、河川にある不法係留船の受け入れ先は、河川のどこにするかということだけを考えているように聞こえるんですが、何しろ千六百隻あるんですから、幾ら頑張っても、可能な場所を幾ら探しても、都内の河川だけで、今河川に係留されている千六百隻の不法係留船をいわば受け入れるということは、事実上難しいのじゃないかと思うのですが、その点はいかがお感じですか。

 

◯沼尻河川部長 河川区域内で処理することを原則としておりますけれども、河川の中だけで解決しようとすると、非常に厳しいのも事実でございます。そういう中で、都といたしましては、不法係留船対策につきまして、東京都河川における係留船適正化対策連絡会を設置いたしまして、対策に取り組んでおります。今後とも、東京都全体の問題としてとらえ、関係機関と連携を図ってまいりたいと考えております。

 

◯曽根委員 河川の係留船適正化対策連絡会というのがあるそうですが、ここは例えば港湾局なども入っているんでしょうか。

 

◯沼尻河川部長 港湾局も入っております。

 

◯曽根委員 港湾局も入っているということは、東京港の港湾区域についても、今、河川に置かれているボートを受け入れるマリーナ建設の対象地区として、建設局の方でも考えているというか、検討しているというふうに考えてよろしいんですか。

 

◯沼尻河川部長 先ほどもお答えしましたように、東京都河川における係留船適正化対策連絡会でございますので、河川区域のみを対象にしてございます。

 

◯曽根委員 私は、せっかく連絡会をつくって、局の枠を超えて河川の不法係留船の対策を打つというふうに、港湾局とも連携してやろうといっているんですから、当然港湾区域も、マリーナもしくは暫定係留などの対象地区に加えて、協力して場所を探すべきじゃないか、そういうふうに考えるのが常識じゃないかというふうに思うのですよ。

でも実際には、港湾区域については検討の対象になっていないと。

そうしたら、港湾区域にはまだ夢の島のマリーナしかないんですから、つくれる場所は相当たくさんあるだろうというふうに私は思うのですね。どちらかというと、不法係留船は河川の方にいっぱいある。

港湾の方には、大型船などを中心にし、数は全然違うという話ですから、やはりこれは協力して、港湾区域も含めて適地を探していくべきだろうというふうに思うのです。

  そういう点で、確かに不法係留は台風などでも危険ですから、対策は急がれますし、あわせてマリーナ整備も本格的に具体化しなければならないというふうに私も思います。

だからこそ、今回の新川のようなやり方ではなくて、利用者にも喜ばれ、地元の住民も納得できる事前の相談や設計も含めた住民の参加が必要だと思うのです。新川の東側のマリーナについても、住民の意向を尊重して根本から考え直すべきだ、この点は意見として申し上げて、この点の質問は終わりたいと思います。

 

●白鬚西地区の開発で旧家を残す運動

次に、再開発事業にかかわることなんですが、白鬚西地区再開発事業で、今取り壊されようとしております、江戸末期の木造住宅である旧高田家の保存について質問をさせていただきます。

  この再開発地域では、いよいよ新しい再開発住宅などの建設が本格的になって、従来の木造住宅の町並みがかなり一変しつつあります。

その中に、この地域では極めて珍しい百年以上前の木造住宅が残っていて、今その保存を求める声が再開発地域の住民の方々から上がっております。この旧高田家の住宅そのものは、既に取り壊しの時期を過ぎているということですが、東京都は荒川区の要請で取り壊しを保留していると聞きました。

そこで、この間、荒川区との間で、この旧高田家の住宅の問題についてどんなやりとりがあって、現在保留されているのか、そこをまずお聞きしたいと思います。

 

◯宮崎再開発部長 高田家の建物は、都が平成六年七月に、地権者でございます高田氏より取得したものでございます。この建物につきましては、平成七年三月、荒川区教育委員会から、高田邸の保存について区として一定の見解を出すまで、当分の間、現状のままにしてほしいとの文書依頼がございました。

  これを受けまして、都は、当分の間、当該建物の解体を延期する旨回答し、あわせて、荒川区教育委員会に対しまして、保存について早急に結論を出すよう要請したところでございます。

  現状でございますが、その後も引き続き荒川区に対しまして、保存について方針を取りまとめるよう要請いたしておりますが、いまだ回答をいただいておりません。

 

◯曽根委員 この高田家というのは、もともと戦国時代の上杉の家臣で、戦に敗れて、荒川を越えてこの地域に落ち延びてきたというふうな伝承があるそうで、旧高田家の住宅のつくりも、昔の越後、今の新潟地方の武士の住まいのつくり方の名残があって、この荒川地域の旧来の農家とは少し違っているというふうな話を、文化財の保護の審議会の方にお聞きしました。伝承は、あながち間違いでもなさそうだという話であります。

また、すぐそばに胡録神社という神社がありますが、これも高田家の先祖が建てたらしいという話であります。  家の中を見せてもらったんですが、荒川が毎年のように水害を起こす時期をしのぐためといいますか、中二階がつくってあって、水が出たら、そこに家財道具を上げるようになっておりました。

また、軒裏に船をつった跡等、今も船の櫓がはりの上に渡してありました。それから、関東大震災で倒壊を免れながらも、その後、補修した跡が残っていて、筋交いを打った部分なども見受けられました。

  したがって、この住宅は百年以上の激動期、関東大震災や空襲なども生き抜いて、生活の知恵の跡が随所に見られる。生活の歴史をたどるのに最もふさわしい文化遺産ではないかというふうに私は思いました。

  この点では、地元の町会のお年寄りの方々が、周りの再開発で町の様子が余りに変わってしまいつつある中で、せめて一軒ぐらい昔の名残をとどめたい、それが子供たちに残してやれる生きた記録じゃないかというふうにいっておられました。

そこで、お聞きしたいんですが、もしこの再開発の地域の中で、この木造住宅を受け入れるようなことを考える場合、再開発地域内でこれを移築できるところはあるんでしょうか。

 

◯宮崎再開発部長 再開発事業区域内は、全域が防火地域に指定されておりまして、防災拠点として整備を進めている当地区におきましては、木造建築物を移築できる場所はないというふうに考えております。

 

◯曽根委員 防火防災のための不燃化ということで、再開発でコンクリートの建物ばかりになってしまうわけです。その趣旨からいって木造はいかぬということなんですが、しかし、そういう建物の中に一軒だけ、それも人が住んでいない、つまり、火元のない木造の建物を置くこともできないというのは、いかにもしゃくし定規ではないかというふうに私は思うのです。

  しかし、現実には、今の制度では、再開発の地域の中に木造を置くのは難しいということなんですが、たまたま、幸い、すぐそばの胡録神社の敷地が、恐らく神社の木造の建物を残すためだというふうに思いますけれども、再開発の対象から外してありました。胡録神社の敷地は開発後どうなる予定なのか、それから、現在の場所からの移動があるのか、敷地面積はどういうふうに変わるのか、胡録神社の用地についてお聞かせいただきたいと思います。

 

◯宮崎再開発部長 胡録神社の現況の敷地面積は約五千百平方メートルでございまして、そのうち約二千二百平方メートルを道路等の事業用地として買収をする予定でございます。その後の神社敷地は約二千九百平方メートルとなりますけれども、隣接地を代替地として胡録神社に処分することといたしております。

 

◯曽根委員 そうすると、東京都が道路用地に買って二千九百に減るんですが、これでは胡録神社が入れないわけで、当然代替地を、東京都が払った道路用地の代金で買い戻すんだと思うのですが、この代替地として提供できる用地というのはどれぐらいあるんでしょうか。

 

◯宮崎再開発部長 隣接する代替地の面積は約三千二百平方メートルでございます。

 

◯曽根委員 そうしますと、現在の胡録神社は五千百平方メートル。それが二千九百に減るが、代替地三千二百がある。単純に計算しますと、六千百平方メートルの用地があって、これも再開発の区域に入っていないということなので、胡録神社のもとの用地を全部買い戻したとしても、千平方メートルぐらいの残地ができるのじゃないかというふうに思うのですが、いかがですか。

 

◯宮崎再開発部長 現在、胡録神社の移転について折衝を進めているところでございまして、現段階におきましては、代替地に残地が出るか否かについては不明でございます。

 

◯曽根委員 それからもう一つお聞きしたいんですが、胡録神社を借りていた荒川区立保育園があると思いますが、これは再開発後、どこに移るんでしょうか。

 

◯宮崎再開発部長 胡録神社敷地内にございます区立の汐入保育園は、今後、白鬚西地区内に建設いたします都営住宅に併設して設置することといたしておりまして、現在、その詳細につきまして、荒川区等関係機関と協議中でございます。

 

◯曽根委員 ここは、再開発の地域内だけ考えると、木造住宅の置き場所はないんですけれども、幸いといいますか、神社があったおかげで、そこに白抜きというか、再開発から外された地域ができる。

そこには、胡録神社がどれぐらいの土地を最終的に入手する意思があるかという問題もありますけれども、余裕ができる可能性がある。それから、今、敷地の一部を保育園が借りていて、これが東京都の再開発地域内に移るわけですので、その分の余裕が神社の側もできるだろうと。そういう点を考慮し、いろいろ工夫をすれば、私は、東京都が、旧高田家を今の場所の近くに残すために、用地の提供などで協力することが可能ではないかというふうに思うのですが、東京都の意向はどうでしょうか。

 

◯宮崎再開発部長 高田家の保存につきましては、荒川区に対して、保存についての考え方を早急に取りまとめるようお願いしているところでございます。東京都といたしましては、区の回答をまってその対応を検討することになります。

  いずれにいたしましても、区の方針が不明確な現段階では、具体的な検討を進める状況にはないというふうに考えております。

 

○曽根委員 東京都や国の文化財保護指定の基準からいいますと、高田家のように、つくられてからいろいろ手が入っている住宅というのは、例え古くても価値が低いんだそうです。

しかし、幸い荒川区の文化財保護規定では、むしろいろいろ生活の知恵の跡が残っている住宅の方が、そういう意味では、庶民の歴史の跡をとどめているといいますか、そういう意味での価値があるという考え方があるそうなので、これは非常によいことだと思いますけれども、そういう意味で、この住宅が荒川区の文化財保護の指定になる可能性は十分あると私は思います。

  ただ、問題は、この住宅が現在、再開発で取り壊される場所に建っており、東京都の持ち物で、取り壊される方針が決定されている状態だというために、身動きがとれない。壊されることが決まっている建物を文化財保護指定はできないというのが、区の段階での限界といいますか、そういう状態なんだそうです。したがって、この問題では、荒川区と東京都が同時に動き出さなければならないというふうに私は思うのです。

  そこで、荒川区が旧高田家を区の文化財に指定するなど、区が主体的に地元の住民の皆さんと協力して今後の維持管理をやっていくという考え方がはっきりするならば、東京都の方も、それに開発事業者として協力するというふうに考えるべきだと私は思うのですが、この点での見解を最後にお聞きしたいと思います。

 

◯宮崎再開発部長 区が高田邸を文化財として指定いたしました場合には、建物の保存も含め、維持管理は区が主体的に責任を持って行うべきものというふうに考えております。事業者といたしましては、その過程でどのような協力ができるか、検討してまいりたいというふうに考えております。

 

◯曽根委員 検討していただけるということですから──地元の方にお聞きしましたら、保存さえ決めてくれれば、何も荒川区が全面的に管理をしなくても、自治会などが協力をして自主管理することも考えているというお話でした。地元の方々はかなり具体的に構想を練っておられるようなんです。

東京都に対しても、何らかの働きかけも、地元からあろうかと思いますので、ぜひ積極的に地元の方の願いにこたえてほしい、お願いしておきたいと思います。

  それでは、三つ目なんですが、今度、「とうきょうプラン'95」が出まして、建設局はいろいろな分野にかかわっていますが、この快適な住まいと生活空間のところに、水と緑ということで、青梅総合公園が、緑豊かな霊園の整備ということで、目玉ということなんでしょうか、主要事業の一つに掲げられておりますが、青梅総合公園というのは基本的にどういう計画の中身なのか、今までの経過はどういうふうになっていたのか、教えていただきたいと思います。

 

◯桜井公園緑地部長 仮称青梅総合公園のことでございますが、全体の構想としましては、約四百ヘクタールの用地に、緑豊かで都民の憩いの場となる公園と新霊園とをあわせてつくって、構想地の自然をできるだけ保存しながら利用するというものでございます。都市計画上は、都市計画公園と都市計画霊園として整備するという予定でございます。

本計画地は、大部分が植林地でございまして、特にすぐれた風景地というふうなことでもございません。したがって、都市公園というふうな施設でこれを管理していこう、それとあわせて都営の霊園もつくっていこうというふうな考えを持っております。

 

◯曽根委員 四百ヘクタールという大変広い面積の公園ということですが、これはもう都市計画公園ということですね。それで、事業決定はまだのようなんですが、この公園予定地の先行買収はもう行っているんでしょうか。

 

◯石綿用地部長 先行買収の件についてのお問い合わせでございますが、今回、先行買収といたしまして、青梅市長淵八丁目地内に、十八筆で面積一万九千六百七平米を買収してございます。

曽根委員 先行買収した土地についてなんですが、私たちが聞くところでは、これは売り込みがあったというふうに聞いているんですね。三井農林という企業から売り込みがあったということですが、買収の、売り込みしてきたところの地番や地目、面積、価格などについて明らかにしてください。

 

◯石綿用地部長 先行買収した土地につきましては、先ほどご説明申し上げましたとおり、青梅市長淵八丁目の十八筆でございまして、実測面積が一万九千六百七平米でございます。価格、相手方につきましては、個人の財産に関することということでございますので、公表については差し控えさせていただきたいというふうに思っております。

 

◯曽根委員 個人といいますが、相手は企業で、これは、金額や面積によっては議会でも審議しなきゃならない内容になりますね。都民の税金を使うんですから、私は、堂々と明らかにすべきだと思うのですね、別に明らかにしちゃいけないという規定があるわけじゃないので。

 

その点いかがですか、なぜ明らかにできないんですか。

 

◯石綿用地部長 土地の取得に当たりまして議会に付議する要件の件かと思いますが、議会付議に関しましては、地方自治法によりまして、議会の議決に付さなければならない財産の取得について条例で定めがございまして、土地の取得の場合は、予定価格が二億円以上かつ一件二万平米以上のものが付議というふうになっております。

 

◯曽根委員 議会にかけなくてもいいものだから、かけないんだ、明らかにしないんだ、私は、その理屈は飛躍があると思うのですよ。

こういう土地の買収というのは、お金絡みですから、東京都として金額その他慎重に決定しなきゃならないものですから、私たち議会としても、当然こういうことについての審議をしていかなきゃならないというのが基本だと思うのです。東京都は何しろ開かれた都政といっているんですから、積極的に明らかにしてもらいたい。

  今回、先行買収が実測で一万九千六百七平方メートル、議会にかけるぎりぎりの限度は二万平方メートルだと。これは実測面積でいくわけですね。そうすると、あと三百九十三平方メートル多ければ議会にかかったわけですね。私は、どうもこれは随分きれいに下回ってクリアしていくなというふうに思うのですよ。

ここはたしか、先ほど都市計画公園だというようなお話でしたね。自然公園にしないで、どうして都市計画公園ということにしたんでしょうか。都市計画公園にすると、自然公園と違う点があると思うのですが、その点はどういうふうに違うのですか。

 

◯桜井公園緑地部長 なぜ自然公園にしないで都市公園にするのかというお尋ねでございますが、公園は、大きく分けまして二つの種類がございます。営造物公園というのと地域制の公園というのがございます。営造物公園というのは、私どもが扱っております都市公園に該当します。それから地域制の公園は、自然公園に該当いたします。  その違いは、営造物公園というのは、土地に関する権限、具体的には所有権等でございますが、それを持っていて、いろんな施設、例えば休憩所とかそういうふうなものをつくって積極的に利用する公園を、都市公園というふうにご理解いただきたいと思います。

  一方、地域制の公園、すなわち自然公園は、そこにある地形とか植生とか、そういうふうなものをそのままで眺めたり、あるいは散策したりというふうな、どちらかといいますと静的な利用を目的にした公園でございます。

  この地域は、先ほどご説明申し上げましたように、風景地としてはそれほどすぐれてはいないところでございます。非常に急峻な地形でございまして、植生も人工林でございます。

そういうことで、この土地は都市公園にして利用するのが適当であろうというふうに考えました。都市公園にする手段としまして、都市計画公園に決定して、それを事業認可して、用地買収をし、いろんな公園の施設をつくるというふうなことでございます。そのような理由で、自然公園にしないで都市公園にしたということでございます。

 

◯曽根委員 私も素人なんで、単純に考えれば、都市公園というのは、一種の開発をやっていける形にしたいということですね。そのためには買収も必要だと。自然公園は、地域制ということで自然を残していくということですね。ここは非常に自然の豊かなところで、植林地ではある、そして景観がどうのこうのといいますが、自然を保存するという形だって十分考えられる場所だと思うのです。結局、買収をしていくということですね。

  あと、ちょっとお聞きしておきたいんですが、さっきちょっと聞き漏らしたんですが、売り込みの事実があったかどうか、これは局長さんにお聞きしたいんです。

 

◯木内東京都技監 計画の発表をしてから、土地所有者から、たしか昨年の夏ですけれども、利用を考えて土地を取得したんだけれども、都の計画によって利用できなくなったんで買ってほしいという要望は、確かに受けた記憶があります。

 

◯曽根委員 そのときに、局長さんは、ああそうですかということじゃなくて、アドバイスか何かされたんじゃないんですか。

 

◯木内東京都技監 ご承知のように、公園事業として用地買収をするには、都市計画決定して事業認可という手続が必要でございます。この地はまだ計画段階でございますので、残念ながら公園事業としては買収はできませんよというふうに答えたと記憶しております。

 

◯曽根委員 三井農林は、今回東京都が買収した十八筆のうち十六筆を占めているわけですね。これは登記簿でわかりました。合計で一万四千平方メートルぐらいなんですが、こういうことについては、売り込みがあったわけですから──東京都は、都市計画公園をつくる上で買収しなきゃならない。当然、この予定地の権利関係については調査をしていると思いますけれども、していますね。 ◯桜井公園緑地部長 この予定地につきましては、従来から地元の関係者等と打ち合わせをしておりまして、現在のところ、まだ都市計画決定には至っておりませんが、いずれ都市計画公園と都市計画の墓園として整備をしたいというふうに考えておりましたので、その約四百ヘクタールの土地につきまして、権利者等の調査はおおむね進めております。

 

◯曽根委員 でしたら、今回東京都が買収した三井農林が、ほかにもこの予定地内に土地を持っていて、合計で六万平方メートルぐらいあるということは当然ご存じですね。

 

◯石綿用地部長 計画地内にあります土地の所有者と土地の筆数でございますが、約四百名の方がおいでになりまして、その面積も承知してございます。

  それから、先ほど先生から、十四筆、一万四千平米の買収というふうにお話がありましたが、先ほど申しましたように一万九千六百七平米、十八筆を買収してございます。

 

◯曽根委員 先ほど私は十六筆というふうに申し上げたんですよ。十八筆のうち大半を三井農林の会社が持っていたものだという話をしたんです。

 

  四百名の地権者の権利関係を大体知っていて、私がいったのは間違いない事実だと思います。六万平方メートルぐらい持っているんですね。今回はそのうち十六筆売りに出た。それを買った。先行買収とはいいますが、同じ企業がほかにも持っているのを、なぜまとめ買いをしないのか。まとめ買いをすれば、議会にかかってしまうからじゃないんですか。いかがですか。

 

◯石綿用地部長 本件の申し込みでございますが、本件につきましては、都市整備用地の先行取得に基づく売却申し込みというものが都市計画局にございまして、売却申込書に記載された土地につきまして、先行取得用地選定委員会が買収候補地を選定したものでございます。この選定の結果、都市計画局から依頼を受けまして、建設局で土地を取得したものでございます。

 

曽根委員 そういう手続上のことをおっしゃっても、だれも納得しませんよ。だって、前に売り込みに来ているんですから。東京都は、その企業がほかにも土地を持っているのをご存じなんですから。百も承知で、しかも、公募に対して部分売りに出たものを、そのまますんなりと買ってしまう。

、ほかに土地があって、場合によっては次々と切り売りに出てくるかもしれない。それで、表に出ない、議会にかからない形で処理されていくということで、これは都民が納得できますか。

  十八筆のうち十六筆持っていた三井農林の売り込みのやり方は、非常に不透明だし、また聞くところによると、三井農林がかつてバブルの時代に買った土地を、東京都が三倍ぐらい、坪二、三万円の値段で買っているという話も聞こえているんですね。

私は、金額的にも不明朗な点があると思うのですよ。

  そういう点で、こういうやり方は、開かれた都政、また都民の税金をむだ遣いしない都政と全く逆行することだと思います。こういうやり方について許せないというふうに私は思うのですが、局長さん、どうですか。

 

◯木内東京都技監 先ほども申し上げたんですけれども、公園事業として入っていれば、当然ながら、その範囲の土地を全筆買うのは当たり前の話でございます。

 

ただ、まだそこまでいっていませんで、先行取得の段階でございますので、そうなれば、先行のどれだけを買ってもらうかというのは、先方の意思もありますし、先行取得というのは限られた予算でございますから、その予算の枠の中でのやりとりもあるだろうと思います。そういう意味で、必要な手続を経て、必要な制度の中で処理しておりますので、何ら問題はないと思っております。

 

◯曽根委員 今のお話では、だれも納得できないと思うのです。私たちは今後も、この公園用地についてどうなっていくのか注目をしていきたいと思いますし、必要な機会を見つけて質問をしていきたいと思っています。  以上で終わります。

 

トップページへ  議会質問目次へ  質問全文リストへ