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住宅港湾委員会95年2月28日

 臨海で飛島建設の裏ジョイント、元受の4分の1で4次下請け問題追及

 

◯曽根委員 私からは,臨海副都心の基盤整備の工事の実態について,幾つか具体的にお聞きしていきたいと思います。

  臨海副都心の台場地区で今行われている汚水,雨水管工事(その四)の地区というのは,これはたしか,お台場海浜公園に面してレインボーブリッジにつながっている細長い地域だと思いますが,この場所の汚水,雨水管工事については,いつ入札され,どこの業者が落札して,その工期はいつからいつまででしょうか。

 

◯緒方臨海部整備担当部長 台場地区の汚水管雨水管建設工事(その四)の入札年月日につきましては,平成六年四月四日,入札金額は五億三千百四十八万円となってございます。

落札業者は,佐藤組・長谷工・日東・伊藤建設共同企業体でございます。工期は,平成六年四月六日から平成七年五月三十一日となってございます。

 

◯曽根委員 ことしの五月末日までの工期となっているわけですが,この工事の安全管理組織について,これは定めがあると思いますが,ジョイントベンチャーの側から発注者である臨海副都心建設株式会社に報告がされていると思います。その中で,統括安全衛生責任者に長沢さんという方,それから元方の安全衛生管理者に佐藤さんという方が報告されていると思いますが,間違いないでしょうか。

 

◯緒方臨海部整備担当部長 東京臨海副都心建設株式会社には,そのような届け出がなされているというふうに聞いてございます。

 

◯曽根委員 我が党の調査では,統括責任者である長沢さんという方は,確かにこのジョイントベンチャーの頭になっている佐藤組の社員だということはわかったのですが,実際には長沢さんが統括責任者であって,統括責任者が実際に現場の管理の責任を担う安全衛生管理者を選任するということになっている。

しかも,この佐藤さんという方は,この組織表を見ると,安全衛生統括責任者の代理も務めるということで,実際上現場ではこの佐藤さんという方が中心になるらしいということはわかるのですが,この佐藤さんという方は,我が党の調査では,このJVに参加していない飛島建設の社員であるという事実がわかったのですが,東京都はこのことを知っていますか。

 

◯緒方臨海部整備担当部長 統括安全衛生責任者,元方安全衛生管理者等は,受注者でございます建設共同企業体が責任を持って選任するものでございまして,適切に行われているというふうに聞いてございます。

 

◯曽根委員 適切に行われていれば,私は,通常そのジョイント以外の会社の社員がここに入ってくることはあり得ないのではないかと思うんですが,これはもちろん,事実を確認してもらえればすぐわかることですけれども,このように建設共同企業体に入っていない会社の社員が,実際,現場では安全管理の責任を担う中心人物になっていると。これが事実とすれば,どういう事情が考えられるのでしょうか。

 

◯緒方臨海部整備担当部長 基本的には,安全衛生管理者等の選任は,どこの会社に属するかではなく,労働安全衛生法上のどのような資格を持っているかが問題になるというふうに聞いてございます。

 

◯曽根委員 今のお答えだと,場合によっては,そのジョイント以外の会社の社員が入ることもなくはないというふうなニュアンスに聞こえるのですが,私たちが調査したところでは,この責任者の方が単に一人だけこの工事の現場の責任者になっているのではないと。

飛島建設は表向きのジョイントを組んでいる四者と別の形で裏のジョイントの協定を結んで,しかも,飛島が頭で入っているということが事実としてつかめられております。

表向きのジョイントは,佐藤組・長谷工・日東・伊藤,この四者と,それから飛島を加えたこの五者で裏の協定をつくって,その会社間で取り交した工事協定の写しも手に入れております。

そこには,工事の安全管理の飛島側の責任者として佐藤氏の名前が明記されておりますので,臨海副都心建設株式会社に報告された文書とその点で一致しているという点で,この私たちが入手した資料は非常に確実性が高いというふうに考えております。

  大事なのは,この裏ジョイントの中では,飛島が仕事の六割を担当することになっている。実際にはジョイントに公式に入っていない飛島が,六割の仕事を担当することになっているということです。

つまり,工事の実態というのは,ジョイントに入っていない会社が現場では大半の仕事をやると,当然その利益も一番得られる仕組みになっているということです。ここに私は重大な問題があると思います。

  この工事の入札時期が平成六年四月初旬ですが,飛島建設はたしか指名停止になっているはずだと思いますが,飛島の指名停止の期間はいつからいつでしょうか。

 

◯緒方臨海部整備担当部長 飛島建設株式会社は,平成五年十二月七日から平成六年九月六日まで指名停止処分を受けておりました。

 

◯曽根委員 このように飛島建設は,単にジョイントに入っていないだけではなくて,入れない,入る資格を失っていたということがわかるわけですが,同時に,では,なぜ裏でジョイントを組んだのか。

  この汚水管と雨水管の下には共同溝が入っているわけですね。この共同溝は,その仮設なども含めてだれが担当したのか。共同溝の本体工事についてはどこのジョイントが担当し,工事期間はいつからいつまででしょうか。

 

◯緒方臨海部整備担当部長 台場地区の共同溝建設工事(その五),これが共同溝本体工事でございますけれども,入札年月日は平成四年十一月九日,入札金額は二十八億三千七百六十五万円でございます。落札業者は,飛島・佐藤組・長谷工・日東・伊藤建設共同企業体でございまして,工期は,平成四年十一月十一日から平成六年四月二十八日までとなってございます。

 

◯曽根委員 この汚水管,雨水管の下に入っている共同溝の工事は,先ほどのこの工事の公式のジョイントを組んだ四者に,飛島が頭でくっついたジョイントが組まれて下の共同溝をやられていると。

しかも,工事期間が平成六年の四月二十八日までですから,これはその上につくられている汚水管,雨水管の工事の着工とダブっているわけですね,一カ月近く。

ですから,明らかにこれは連続して工事が行われていく形になっているのです。しかし,飛島はその時期に指名停止を食って,これは身から出たさびですけれども,入札に参加できない。

しかし,施工会社から見れば,同じジョイントもしくは頭の会社が同じ方が作業上極めて都合がいいと,おのずと共同溝を含むこの場所ですべての工事を飛島を中心に回していきたいというふうに考える,そこにまた,さまざまな隠し利益も得られるというふうにいわれていますが,この話は後でまたしますけれども。

  このような状況の中で,どうして裏ジョイントが組まれたのかというのは私も容易に想像がつくのですが,しかし,公式にはこれは許されないことです。

私,現場に行ってみましたけれども,このような看板が至るところにあるのですが,ここには飛島JV台場共同溝作業所というふうに書いてあります。飛島という名前だけなのですね。

つまり,飛島が中心になったジョイントベンチャーの共同溝だよと,もう最初から最後まで飛島がやるのだということが公然と掲示板で,いっぱいそこらじゅうに張ってあるんですよ,現場へ行くと。こういう状況ですから,もう現場では公然の秘密なのですね,飛島が中心になってやっているということは。

しかし,これを東京都は許しておいていいのかという問題だと思うんです。

  それで,一般論としてお聞きしますが,こういうジョイントに入っていない会社が安全管理責任者で入るというようなことが通常行われ得るのでしょうか。

 

◯緒方臨海部整備担当部長 この安全衛生管理者の所管は,労働省の所轄,労働基準監督署でございますけれども,通常は,受注した建設共同企業体を構成している会社の社員が安全衛生管理組織をつくることになるであろうというふうに聞いておりますが,安全衛生管理者の選任は,どの会社に属するかではなく,労働安全衛生法上どのような資格を持っているかが問題になるというふうに聞いてございます。

 

◯曽根委員 通常は考えられないことなんですよね。そういうことが実際に現場では公然と起こっているんですよ。ここはレインボーブリッジしか,お台場海浜公園のところですから入れないので,一般の方はなかなか見えにくいところなので,そういうこともあったのかもしれませんが,まあ余り隠していないという感じでしたね。

  それで,しかも責任者だけではなくて,仕事も六割を持っていっていると。指名停止を受けている会社がこんなことをしているとすれば,これは入札制度とは何なのかということになると思うんです。

東京都は,もしこういうことが事実だとすれば,これをとめることはできないのでしょうか。

 

◯緒方臨海部整備担当部長 平成六年度台場地区汚水管雨水管建設工事(その四)は,正当な手続を経て東京臨海副都心建設株式会社と佐藤組・長谷工・日東・伊藤建設共同企業体との間で契約を締結しておるわけでございます。

これ以外の業者との関係については,東京臨海副都心建設株式会社では了知していないというふうに聞いております。

 

◯曽根委員 そうすると,臨海副都心建設株式会社はその四者とだけ契約を結んだと,それ以外の契約は知らないよと。まあ,知っているよといったら大変なことになるから,わかりますが。

そうすると,東京都としては,この臨海の株式会社に対して,こういう企業が,しかも指名停止を食っていると,公共工事には入札に参加してはならないと,東京都はもう突っぱねているそういう企業が実際に現場に入ってくるということに対して,これを防御するような,防止するような何らかの指導というのはしていないのですか,どうなのでしょうか。

 

◯緒方臨海部整備担当部長 都といたしましては,指名停止を受けている企業は指名競争入札に参加させないよう,東京臨海副都心建設株式会社を指導しているところでございます。また基本的には,下請企業の選択は,工事を受注した建設共同企業体が行うものと考えております。

 

◯曽根委員 今の答えだと,指名競争入札には参加させないと。しかし,その先ですよ,受注したジョイントベンチャーがその先,下請としてどこを入れようとそれは勝手だよということになっちゃうんですよ。

そうすると,事実上,入札をして落札をした企業ではなくて,陰で協定が結ばれて,入ってはならない業者が入ってきても,東京都はとめられないということになっちゃうんですよ。

これは,いってみれば,企業間の公正な競争を保障するために入札制度というのがあるわけで,それがほとんど意味がなくなってしまう。ただの儀式と変わらなくなってしまうのではないかと思うんですね。

仕事の分担は,業界内部の力関係で,裏の実力のある会社が取り仕切るということがやられたら,大変なことですよね,公共工事で。

  しかし,こういうやりたいほうだいというのは,私は,東京都の公共工事のすべてで行われているのじゃないと思うんですね。特にこういうものが目につくのは,その臨海開発。それはなぜかといえば,非常に大規模で大きな予算が出ている,それから都民の日常からかけ離れたところでやられている。

しかも,地下に潜っていて,建物としてつくった構造物が見えにくい,軟弱地盤だから安全対策だということで莫大な費用がかかる。

そして第三セクターに仕事が,開発業者がなっていますから,そこからの仕事だということで東京都が直接責任を問われないと,まあ大体これぐらいの条件がそろっているのが臨海開発なのですね。

そういうところに,いわばゼネコンがちょっと小細工をすれば,ぼろもうけの花が咲いていくという温床になっていると思うんですよ。

こういう,やりたいほうだいを許していると,その先がまたやりたいほうだいになっている,でたらめがまかり通っているという実態について,次にもう一つお聞きしたいんです。

  これは別の場所ですが,平成四年度の青海地区共同溝の建設工事(その四),ここの入札年月日,落札業者,工期はどうなっているか。それから,そこの同じ場所に,その共同溝内部の受けばり,これは配管を置く台のようなものだというふうに聞いていますが,受けばりの落札業者,価格,工期はどうなっているのでしょうか。

 

◯緒方臨海部整備担当部長 まず,共同溝本体工事の入札年月日,落札業者等についてでございますけれども,入札年月日は平成四年九月十四日,入札金額は四十七億七千四百五万円でございます。落札業者は,フジタ・株木・大木・奈良建設共同企業体,工期は平成四年九月十七日から平成六年八月二十九日までとなってございます。  次に,受けばりの工事でございますけれども,入札年月日は平成五年十月二十五日,入札金額は七千八百二十八万円でございます。落札業者は,フジタ・株木・大木・奈良建設共同企業体でございまして,工期は平成五年十月二十七日から平成六年九月二十一日となってございます。

 

◯曽根委員 この共同溝の青海の(その四)というのは,本体もフジタを頭とするジョイントが落札をして,その中身の受けばりも同じジョイントで仕事をとっているということですね。

  ここにフジタなどのジョイントから下請で協和・エクシオという会社が,この受けばりの製品の製造と納入で,第一次,元請からいえば第二次なのですか,下請が入っている。

さらにその下に,元請から数えて第五次まで下請が入って,実際に製品を製作,納入したのは第五次の下請業者であるというふうに聞いているのですが,そういう実態について東京都は知っていますか。

 

◯緒方臨海部整備担当部長 東京臨海副都心建設株式会社と工事契約を締結しているのは,フジタ・株木・大木・奈良建設共同企業体でございます。

そこからさらにどこへ下請に出しているかは,建設共同企業体との関係でございまして,東京臨海副都心建設株式会社では了知していないというふうに聞いてございます。

 

◯曽根委員 先のことはわからないというお話なのですが,この第五次の下請に入った会社から私たちは陳情を受けたわけです。もともと協和・エクシオが受けた仕事が五千万円程度であったというふうに聞いている。

これは,はっきりした事実等はその文書がないのでわからないのですが,第五次の下請に来たときに,この業者さんには二千二百五十万円で仕事が来ているのですね。

もともと七千万円以上の仕事ですよね。途中に何らかの費用があったとしても,二千二百五十万円まで落ちているわけです。それで受けて,実際に昨年の四月に納入をしている。

ところが,六月に請求書を出したのだが,全然支払われない。そして,最終的にはまだ五百万円しか支払われていない。

  お聞きすると,実費としては,製作材料費だけで一千万円以上かかっていると。それから,製品の塗装ですね,それで二百四十万円,そのほかに人件費もちろんかかるということで,大体二千二百五十万円はほとんど実費だと,もうけはほとんどないという状況だというふうに訴えておりました。しかし,払われたのは五百万円だけだと。どこでどうお金が消えたのかということで,今その方は,元請であるフジタと交渉中だということであります。

  その中で,私は非常に問題だと思ったのは,六月に請求書を出した後,お金を払ってくれるのではなくて,逆に白紙の納品書を三冊送れというのが,下請である協和・エクシオから要求されているわけです。

これは三枚じゃないですよ,三冊です,納品書,会社の判こが入ったやつを。それは何でも使えるわけですよ,白紙ですからね。

それは,そこの会社の社長の奥さんが,これは怪しいと思って,宅急便に頼むときに伝票をとっておいたので,それが残っているのですけれども,昨年の九月に送っているわけですね。

それでお金が来るかと思ったら,やっぱり来なかったわけですが,こういうものを送らせているということは,この納品書はもう使いたいほうだいなんですね。

しかも,お金は満額払われていない。そのお金とこの納品書は,どういうところに,どういう形で流れたのかということに,私は非常に疑惑を持つわけなのです。

  こういう実態が,たまたま私のところにこの方は相談に来られたので,また,もう名前も出して結構とまでおっしゃったので私も取り上げましたが,名前を出したら,もう二度と仕事がもらえないということで泣き寝入りする方が恐らく,たくさんいると思うんですよ。

こういう実態は,全然,東京都の方には伝わってきていませんか。

 

◯緒方臨海部整備担当部長 先ほどもお答えいたしましたように,下請との関係は,東京臨海副都心建設株式会社の発注工事を受けた建設共同企業体と下請業者との契約の関係でございまして,東京臨海副都心建設株式会社においては了知していないというふうに聞いております。

 

◯曽根委員 東京都はもとより,臨海副都心も知らぬ存ぜぬだと。これでは本当に下請側も泣かされっ放しになっちゃうと思うんですね。

私は,せめて東京都として,臨海副都心建設株式会社を通じてその実態を調査して,今私が指摘した場所のこの事実はきちんと調査をして,その事実があれば,ちゃんと支払うべきものは支払うように指導ぐらいはできるのじゃないかと思うんですが,いかがでしょうか。

 

◯緒方臨海部整備担当部長 先ほども申し上げましたように,基本的には受注した建設企業体と下請会社との関係であると認識しておりますが,お話しのような事実があるかどうか,発注元である東京臨海副都心建設株式会社に聞くことはできるというふうに考えてございます。

  また,その際,仮にそのような事実があるとすれば,東京臨海副都心建設株式会社を通じて,下請に対して適切に対応するよう助言できるのではないかというふうに考えております。

 

◯曽根委員 東京都は,それぐらいのことは最小限はやるべきだし,やれると思うんですね。それぐらいの誠意は示してもいいと思うんですよ。

  同時に,この下請の業者の方と私も直接話をしましたが,この方はもう第五次の下請ですから,上の方で,どういう仕組みで,どういう仕事で自分のところに来ているかということは余りよく知らないわけですよね。

だから,この仕事は東京都が出しているものだと思っているわけです。私,これは一般都民の受けとめだと思うんですよ。

東京都はそういう点については,確かに臨海副都心建設株式会社がやっているのだと,民民の関係だから東京都は直接責任を負えませんということでは済まないということなんですよ。これは気持ちの問題として,都民はそういうふうに見ているわけですから。

  その方もいっていましたが,今もう大変な騒ぎになっている,三百億円も信用組合に出しておいて,こっちは何だと,本当に怒っているんですよ。

そういう点では,どこに行ってもその話が出ますけれども,やはり本当に泣かされている零細業者の方から見れば,東京都がやっていることはもうわけがわからないというのは,私は,本当に当然だと思うんですよ。

  そういう点で,こういうような,ゼネコンがやりたいほうだい,またそれから,本来のジョイントベンチャーの利益だけではなくて,裏のジョイントの利益もあると,それからさらに下請を泣かす,そこからも利益を得ているという疑惑さえあるというようなことを生み出しているこの臨海開発の仕組み,第三セクターに任せて何でもやれる,こういう仕組みというのは,もう早くやめるしかないのではないかと思うんですが,この点について改めて見解を聞きたいと思います。

 

◯緒方臨海部整備担当部長 臨海副都心建設は,二十一世紀を目指した長期的なプロジェクトでございますので,着実に推進していきたいというふうに考えております。

 

○曽根委員 今のご答弁が,やっぱり東京都の実態をあらわしているなというふうに私も思いますが,しかし,これはもう政治的には私たちは許されないと,皆さんのところでやるしかないといっても,都民はこれを許さないというところまで事態は進んでいるということを申し上げて,私の質問は終わりたいと思います。

 

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