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住宅港湾委員会95年6月30日

 マンション改良助成、建替え支援も視野にと要求

 

◯曽根委員 私からも、マンション改良工事助成の今回補正で追加された分について関連して質問したいと思いますが、このマンション改良工事助成というのは、現在、住宅金融公庫が行っている集合住宅の共有部分の改良工事、修繕工事などに対して行って、リフォームローンという貸付制度に利子補給をするわけですが、最初に、住宅金融公庫のリフォームローンそのものの借り入れの条件、借り主の資格などはどういうふうになっているのか、お聞きしたいと思います。

 

◯遠藤開発調整部長 マンション組合は、財団法人マンション管理センターの債務保証を受けることと、管理組合に修繕積立金のあることが条件とされております。融資限度額は工事費の八〇%以内で、戸当たり百万円が限度となり、また、立体駐車場の併設をあわせて行う工事の場合は、戸当たり百五十万円が限度となります。融資期間は最長十年、融資金利は年三・六五%になります。

 

◯曽根委員 これに対して、現在、東京都は利子補給で一%を補給しているわけですね。そうすると、三・六五%が実質本人負担が二・六五%になるという制度として今運用されているわけですが、昨年度の住宅金融公庫の利用実績、件数、戸数、それから一戸当たりの借入額の平均はどの程度になっているのか、これをまずお聞きします。

 

◯遠藤開発調整部長 住宅金融公庫東京支店に問い合わせいたしましたところ、平成六年度の融資予約状況は百七十六件、一万一千七百二十戸、戸当たり借入予定額は三十五万六千円とのことでございます。

  なお、この数字は、東京支店が管轄しております東京都と神奈川県の数値であります。

 

◯曽根委員 私、今回は、二千戸分の助成予算を組んだものに一千戸を加える、合計三千戸分の利子補給の枠を用意するということで、戸数をふやすわけなんですが、果たして戸数をふやすだけでこの制度が十分活用できるのだろうかということが疑問でありまして、ちょっと質問していきたいと思うのです。

 今、東京と神奈川の合計で百七十六件、戸数で一万一千七百二十戸とありましたが、このうち東京都の分というのはどの程度なのか、神奈川を除いて何件、何戸ぐらいなのかというのがわかれば教えていただきたいのと、それから、そのうちリフォームローンを借りている件数のうち、東京都の改良助成の利用はどれぐらいなのか、その実績も同じように、件数、戸数、戸当たりの平均額を教えてください。

 

◯遠藤開発調整部長 先ほど申しました百七十六件は、先生おっしゃるように東京都と神奈川県の合算の数字でございまして、東京都だけの数値はまだ集計されてないというふうに聞いております。そこで、平成五年度の両県の割合について、これをもちまして推計いたしますと、東京都分は百十八件というふうに推計されます。

  なお、東京都における平成六年度の改良助成の実績は二十七件、二千五百七十七戸、戸当たり借入予定額は三十六万五千円であります。

 

◯曽根委員 昨年実績で見ますと、これはまだ推計なので正確なところはわかりませんが、東京都内の集合住宅、マンションなどでリフォームローンを借りたのが大体百十八件ぐらいだろうと。そのうち、東京都の改良助成を利用しているのが二十七件で、大体四分の一程度なんですね。資格としては、リフォームローンを借り入れる資格があるところは基本的には東京都の改良助成も受けられるはずなのに、何で四分の一しか受けてないのかというのが私、ちょっと疑問なんですね。

 そこで、この改良助成制度を利用したときに、どれぐらい実質的な費用で東京都から助成されるのかということを、これは計算すればわかりますが、去年の平均ですと一戸当たりの借入額は三十六万五千円ということですから、この金額を借りた場合に、東京都からの利子補給で、総額で幾らぐらいの補給が一戸当たりされるのか、また、一件当たり建物全体についてどれぐらいされるのか、これをちょっと教えていただきたい。

 

◯遠藤開発調整部長 東京都が利子補給する総額は、一戸当たり約一万九百円でございます。また、一件当たり平均九十五戸で約百三万八千五百円であります。

 

◯曽根委員 私、このあたりに、利用が四分の一にとどまっている原因があるのじゃないかと思うのですね。管理組合で借りにいくときは、まず住宅金融公庫の手続が終わって、これがオーケーになって、しかも工事に着手する前に東京都に申し込まなきゃならないという、非常に手続も大変なんですよ。

しかも、一戸当たり大体三十六万円ぐらい借りるときに、東京都の利子補給で実質補助されるのは一万円ちょっとなんですね。この大体三%ですから、この金額の程度だと、手続の手間を考えて、規模の小さい工事では、ちょっと手続の方が面倒ということに私はなりかねないなと思うのです。実際、数字も四分の一しか利用してないというところにそれがあらわれているのじゃないかと思うので、件数をふやすのも非常に結構なんですが、やはり補助率ですね、一%補助を二%程度まで拡充するということが必要じゃないかというふうに思うのですよ。

  先ほどお話があった、法人格を持っていない管理組合が、普通は借金するには担保が要りますから、担保がないというときに、保証のためにマンション管理センターに保証金を払わなければならないのですよ。これ調べてみましたら、例えば、戸当たり三十六万五千円を借りて十年返済にしたときには、この保証金の金額が一万円を軽く超えるのですね。それはもう戻ってこない保険金みたいなものですから、そうすると、東京都の利子補給の戸当たり一万円ちょっとというのは、この保証金で大体消えちゃうのですね。

ですから、マンション管理センターに払っている保険金の分を出してもらっているという、実質的にはそういう関係になっていると。  したがって、実際に三・六五%ですか、金利自体もそう高くはありませんが、やはりもう少し実質的に、これはメリットがあるという魅力のある制度としては、利子補給を二%程度ぐらいまで引き上げることは、さしあたって私は考えていいときではないかと思うのですが、この点についてはいかがでしょうか。

 

◯遠藤開発調整部長 この制度につきましては、これまでの予算戸数の拡大を図ってきたところでございますが、今までの実績から見まして、量的な確保というのが大変重要な課題であろうというふうに認識しております。これまでもそういう意味で、戸数の引き上げに努力をしてきたわけでございます。利子補給率の引き上げにつきましては、財政的な制約もございます現状では困難であります。

  今後、各種のいろいろな施策の検討を行う中で、必要性等を勘案して、その対応については検討してまいりたいというふうに考えております。

 

◯曽根委員 この程度のことも今後の課題になってしまうのかなと−−先ほどもどなたかのお話がありましたけれども、そんな悠長な状況じゃないのじゃないかというふうに思うし、また、それは私もさきの本会議で取り上げましたが、国の方で住宅宅地審議会の答申が六月十六日付で出ていますね。これはもちろん住宅局の方でも入手されてお読みになっていらっしゃると思いますが、ここでもかなりマンションの問題については踏み込んだ答申が出されているわけですよ。

  例えば、基本的な施策の方向のところでは、建てかえについて、阪神・淡路大震災により被災したマンションの復興に関して、区分所有者の合意形成を円滑に進めるため、種々の措置が講じられたところであり、これらの措置を参考にしつつ、長期的に建てかえ問題をどう対応していくか検討していくことが大きな課題となっているということで、今回の震災を機に、集合住宅、共同所有のマンションが建てかえ問題で非常に隘路に陥っているということから、これをどうするかは、単に震災対策だけじゃなくて、今後の長期的な建てかえが間違いなく迫ってくるこのマンションの問題で、制度的な検討が必要だということを繰り返し、私が探した中でも七カ所ぐらい出てくるわけです。それをやる主体としても、地方の住宅供給公社などの役割が、そういう建てかえを担っていくところとして考えなければならないというようなこともいっているわけですね。

  したがって、東京都も、私はそう遠からず、この課題は正面から取り組まなければならない、体制も含めて検討すべきところに来ていると思うのですね。この点については、今回の方針で提起された問題についてどのように受けとめているのか、その点をお聞きしておきたい。

 

◯村上住宅政策担当部長 この十六日に建設大臣に答申されました住宅宅地審議会の答申におきまして、ご指摘のとおり、マンションの管理問題への対応が重要というようなことが指摘されておりまして、また長期的には、建てかえ問題などが特に重要になってくるというような問題意識を示しております。そうした中で、ストックの改良、保全に向けての検討を行っていくべきであるというようなことで、当面の対応もさることながら、二十一世紀に向けた大きな課題である、こういうような指摘がなされているところでございます。

 東京都におきましては、昨年六月、知事から、東京都住宅政策審議会に対しまして、居住の場としても魅力的な東京を実現するための住宅施策の推進についてご諮問申し上げ、現在、ご審議をいただいているところでございます。その審議過程の中で、昨年十二月には中間取りまとめがなされておりまして、審議会としての課題意識等がまとめられておりますが、その中で、マンションの維持管理などについても検討課題というふうにされているところでございます。  したがいまして、今後、この審議経過あるいは審議結果、そうしたようなものも踏まえまして、都としても、マンションに係る問題について適切に取り組んでまいりたいと考えております。

 

◯曽根委員 最後に指摘だけしておきたいと思いますが、東京都が現在行っているようなマンション改良助成は、助成といっても、利子補給で、融資制度への上乗せなんですね。しかし、国の宅地審議会の答申の中でも、これまでの融資だけではなくて、優良な建築物の再建の観点から、助成も視野に入れて適切な時期に実施されるよう誘導を図るべきだと。ここでいっているのは、融資と区別している助成というのは、工事費に対して一定の割合を助成するという意味合いで使われているわけです。

  こういった踏み込んだ助成制度の提案もされてきておりますので、また、きょう資料でもいただきましたが、東京都内で見ましても、昭和四十一年以前、つまり築後三十年か、もしくはそれに近いマンションが既に六千戸近く現在あるわけですから、早晩、これが建てかえの必要性が迫られてくるという点からも、この課題は急いで考えていかなきゃならないということを指摘して終わりにしたいと思います。

 

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