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住宅港湾95年9月25日

 都営住宅家賃制度の破綻を追及

 

◯曽根委員 私からは、今回の議案である異議申し立てに関する諮問についての問題と、あわせて、請願陳情も今回審査になりましたので、質問を何点かしたいと思います。

  最初に異議申し立てについては、実施されてから異議申し立てがあるわけですから、今日審議になるというのは当然かもしれませんが、請願陳情については、実施前に出された請願が、そのとき議会で審議されないで、実施された後になってから審議されるという事態そのものが異常であるということを私たちは前から指摘をして、今回ようやく改善のめどがついてきたところなわけです。

  特に家賃問題については、かねてから私たち主張しておりますように、居住者の意見が家賃の決定の中でほとんどといっていいほど反映されない。今回も政策審議会の部会の中で、関係者ということで居住者の代表を呼んで意見を聞いたというにとどまっているわけです。

しかし、それも一応非公開ということですので資料が出てこない。何を意見として居住者の方が述べたのかもわからないんです。住宅政策審議会の委員である私にすらわからないという状態ですので、これはまさに意見が反映されているという何の証拠も残らない。

唯一あるとすれば、議会への請願陳情の中で、居住者の方が、今回の家賃制度はこうだからやめてくれと、実施前に意見を出して議会に審議を求められる場がこの請願陳情なんですが、それが実施後に審議されるということ自体が、この問題について見ればなおのこと私は問題が大きいというふうに思います。都営住宅の家賃問題、今後もいろいろと続くと思いますので、この点の改善を強く当局にも求めておきたい。

  その中で、昨年の二月三日、住宅政策審議会の答申が公となって以来ですから、もう一年以上にわたってこの制度の問題点を私たちなりに、全面的にあらゆる角度から追及してまいりました。きょうはその論点を繰り返すつもりはありませんが、そうした過程の中で、マスコミ報道などでも今回の新制度、中身が明らかになって、居住者の方々からも反対の声が上がりました。昨年の七月の委員会の際には、都知事に対する要請、議会に対する今回審査される請願陳情、合計すると六万に及ぶ反対の署名が出されているわけです。

 それから、実施された一月以降も、やむにやまれぬ思いで異議申し立てにまで及んでいる方が四千人以上に及ぶということで、今回の制度は特に都営住宅居住者の方にとって到底承服しがたい、納得できない制度だということが、この経過の中にもあらわれているというふうに私は思います。

 そこで、最初に、この異議申し立ての方についてなんですが、四千人を超えるような今回の異議申し立ての人数、今回よりも多い人数の異議申し立てが過去の都営住宅家賃の改定の際あったでしょうか。過去どれぐらいの異議申し立てが出ているか、例をお聞きします。

 

◯那須管理部長 過去五回家賃改定を行ってきておりますけれども、そのうち四回につきまして異議申し立てがなされております。昭和三十五年には千百四名の方、それから昭和五十五年には千六百三十九名の方、昭和五十九年の改定では六千七百十九名の方から異議申し立てが出ております。また前回、平成二年には二千五百四十名の方から異議申し立てがなされております。

 

◯曽根委員 今回は、そうすると昭和五十九年の家賃改定に次いで二番目の数の多さということになるわけですね。なぜ居住者がこのような異議申し立てに及んだのか、今回の改定がどうしてこれほど大きな反対の声を受けているのか、担当の当局として、異議申し立てと、それから請願陳情、これらの声をどう受けとめているのかをお聞きします。

 

◯那須管理部長 今回の家賃改定は、全住宅の応益調整を改善いたしました。それから、収入基準内の入居者に対して応能減額の仕組みを導入いたしました。さらに、収入超過者に対しまして使用料負担の是正を導入、行ったところでございます。こうした主な点を内容としておりまして、全体といたしまして都営住宅の管理の適正化に資するものとなったと考えております。また、減免基準を引き上げるなどいたしまして、低所得者により配慮した制度ともなったと考えております。

したがいまして、高齢化社会に対応した家賃制度であるとも考えているところでございます。  そうしたことから、異議申し立てが提起されましたことは、私どもといたしましては非常に残念に思うところでございまして、これからも制度の本質をより深く理解していただくように、入居者の方々には一層ご理解を求めていきたいと考えているところでございます。

 

◯曽根委員 非常に残念だということなんですが、しかし、私、勘違いしちゃ困ると思うのは、住宅局が制度の本質をより深く理解してもらいたいと、そのように努力するとおっしゃいましたけれども、この異議申し立てをされている方の異議申し立ての理由書なども私も拝見しましたし、請願陳情の方も読ませてもらいますと、この制度についてより深く知れば知るほど反対の声を上げざるを得なくなっているという経過があると思うんです。

つまり、そういう制度の中身は、深く理解すると、居住者の立場がむしろ非常に損なわれるということが、私もこの間勉強させてもらいまして、わかりました。

 それから、減免基準のこともおっしゃったんで、この際申し上げておきますけど、減免基準の引き上げというのは、今回が最初ではなくて、家賃改定のたびに生活保護基準に準じて引き上げているもので、別にこの制度に連動したものじゃありません。その点は、昨年の審議のときに申し上げましたので、この点は指摘しておきます。

 それで、申し立ての理由を共通して分けてみますと、大きくいって二つの面からこの制度が批判されていると思うんです。一つは、家賃改定の手続の問題。居住者を無視して、またはその意見を聞かないで、反映させないで今回の家賃改定を行ったことに対しての異議を主張している方がたくさんおられる。もう一つは、新しい制度の内容として、都営家賃としては、この根本を揺るがすものである。しかも、個々の居住者にはかつてない大幅な値上げになっているということについて、つまり中身の問題についての異議、大別すればこの二つになると思うんです。

最初に手続の問題について。これは前からいっていることですが、住宅政策審議会の審議の過程で、居住者の理解を得ようという努力が私は全く足りなかったと思います。

その点については、居住者からこのような異議がたくさん出てしまうのは、この経過から見て本当にやむを得ないことじゃないかと思うんですが、その点についての反省が多少なりともあればお聞きしたいと思います。

 

◯那須管理部長 制度改定までの手続といたしましては、平成四年十一月に住宅政策審議会に対しまして、都営住宅入居者の適切な住居費負担のあり方について諮問を行いました。一年以上にわたるご審議の後、平成六年二月に答申をいただいたわけでございます。この答申に基づきまして、都営住宅条例の改正案を第二回都議会定例会に提案させていただきまして、本委員会でも慎重な調査、審議をしていただいた上、可決されたものでございます。そして、本年一月から制度を実施したところでございます。

 また、この制度改正につきましては、前後九回にわたり、居住者向けの広報紙でございます「すまいのひろば」でPRしてまいったほか、あらゆる機会をとらえまして居住者の理解を得るように努めたところでございます。手続としてはそのようにやってまいりまして、私どもといたしましては法令にのっとった形での手続が行われたものと確信をしております。

 

◯曽根委員 今のお答えでは、私がお聞きした、居住者の意見を反映させる家賃決定のプロセスの中でその実情や意見をよく聞いて、それをなるべく反映させるようにするという点では、家賃が決定された都議会での七月の審議まではそういうことについて全く触れられていない。決まった制度改正について、前後九回ですか、「すまいのひろば」でPRする、決まったことをお知らせするという、このことについてのみいわれたわけです。

  したがって、そういうお答えを聞く限りでは、やはり家賃を決めるときの、いわば大家とたな子の関係である東京都と都営住宅入居者、居住者との関係をより改善していく点で反省の気持ちはさらさらないというふうに見ざるを得ないんですが、一般的にいいますと、居住者を加えないで家賃を決める──法律の根拠があるというふうに前からおっしゃってますが、そういう場合には、少なくとも決める側には責任が重いわけです。居住者の実情を別の方法できちんとつかまえて、それに対してちゃんと配慮をしたやり方をしなければならないというふうに当然なるわけですけれども、そういう配慮をしていれば、今回のような家賃改定の中身にならないと思うんです。

  いろいろ前にもご意見がありましたけれども、結局平年度化しますと、百三十八億円の増収ということが──今回の家賃改定によって東京都の収入がふえるということですから、二十四万余の都営住宅に割り返しますと、一戸当たり六万円弱の値上げになっているわけです。

ですから、改善とか改正とか適正化とかいいながら、実態は値上げなんです。年間六万円、平均しましてもね。しかも、その中身はかなり偏った値上げになっておりまして、六五%ぐらいの住宅のところに集中的に値上げが来て、月一万円以上ですか、平均して負担は上がっているという実態なんです。

こういうことを最も被害を受ける居住者を加えないで決めるということによって、現在その影響がもろに居住者の方にかかってきているわけですが、このことについて、具体的に負担の重さを加えていったことについて当局としてどういうふうに考えているのか。痛みを全く感じていないのか。この点をお聞きします。

 

◯那須管理部長 今回の改定は入居者の適切な住居費負担を実現するという視点からなされたものでございまして、適切な家賃負担が実現したものと考えております。私どもといたしまして、負担増になる方が相当数いらっしゃることも承知はしておりますけれども、居住者の高齢化に伴いまして、年金生活に入っていかれたり、あるいは収入が減ってきたりする方もふえておるわけでございまして、そうした人には家賃を減額できるという仕組みも導入しておりまして、高齢化社会に適応した、時宜を得た制度になっていると考えておるところでございます。今後とも、計画修繕の促進でございますとか環境整備の充実といったこともあわせて努めてまいりたいと考えております。

 

◯曽根委員 家賃負担でふえた分はエレベーターとか環境改善に回したいというんですが、そういう問題で解決される問題じゃないんです。例えば、きょういただいた資料の三ページを見ますと、階層別に値上げの増額分がどれぐらいになっているか出てますが、一戸について月々二万円以上の値上げというのが、それだけ足し合わせても二万戸近くあるわけです。月二万円の家賃の値上げなんていうのは、今どきやったんじゃ、民間のアパートじゃ、大家さんとたな子の大げんかになりますよ。それが、居住者を加えないところで堂々とやられるということが、私は本当に今回は異常だといわざるを得ないんです。

 そこで改めて、次回の家賃改定はいつになるかわかりません、また、住宅政策審議会では近々都営住宅の管理の問題も審議の対象になると聞いていますので、そういうことが行われる前に、改めて住宅政策審議会に居住者の代表を、学識経験者という肩書でも何でもいいんですけれども、加えるというようなことを当局として知事に──知事が選ぶわけですから、助言をするという考えは全くないんでしょうか。

 

◯村上住宅政策担当部長 東京都住宅政策審議会は、住宅基本条例におきまして、住宅及び住環境の整備、あるいは都市計画、社会福祉、消費者保護など、こうした分野に係る多数の学識経験者の方々と都議会議員、区市町村の長の代表、こういった方々で構成されると規定されているところでございます。また、特定の事項を調査、審議するため、必要がある場合には関係者から意見を聞くことができるとされております。

  ご指摘の住宅政策審議会に都営住宅の入居者、またはその代表の方を委員として加えるということについてでございますが、入居者、またはその代表の方々は直接的な関係者であるわけでございまして、そういう意味から、必要がある場合には関係者として意見を聞くことが相当であるというふうに考えております。

 

◯曽根委員 関係者として意見を聞くことができるという関係はあるんですが、これは先ほど私、実態を申し上げたように、意見は一方的に聞くだけで、それについてどう政策的に取り入れることができたのか、その結果も決定されるまではご本人に知らされるわけでもないし、やりとりがあるわけでもない。全く一方的な関係なんですね。

  それは、私、承服しかねるのは、今回、都知事がかわって青島知事になり、最初の定例会であった第二回定例会の知事の施政方針の中では、都民に隠し事のない開かれた都政を貫きたいということで、青島知事はこういうふうにいってるんですよ。都政改革の柱として、都民の声を都政の隅々に行き渡らせるために、第一に、都民に隠し事のない都政を実現する。

そして、都民との間で双方向のルートを確立することにより都民に開かれた都政が可能になるというふうに述べているわけです。まして、都営住宅居住者というのは、知事にとって都民という一般的な問題ではなくて、広い意味では大家とたな子の関係です。借地借家法が適用できるかどうかという問題を別にしても、より双方向のルートを確立しなければならない相手のはずなんです。その最も大事な問題の家賃を決めるときに、この知事の施政方針、つまり都民に対する約束を生かす立場に立つならば、当然審議会、家賃を決める場に、意見をお互いに述べ合って交換できる立場に都営住宅の居住者を何らかの形で参加をさせるべきではないかと思いますが、今のご答弁は知事の所信表明と全く反しているんじゃないでしょうか。

 

◯那須管理部長 確かに、今、先生がおっしゃいましたように、都と居住者の関係というのは広い意味で大家とたな子の関係であるということは、私どももあえて否定するものではございません。しかしながら、都営住宅が公営住宅であるという性格から、公営住宅法などの特別法の存在が認められているものでございまして、この限りにおきまして一般の借地借家関係との違いが生じることについてはやむを得ないことではないかと考えておるところでございます。この点につきましては、居住者の皆様方にもご理解いただけると思いますし、また先生にもぜひともご理解をいただきたいと思っております。

 

◯曽根委員 理解しろといわれてもちょっと難しいんですよ。公営住宅法を持ち出さなくたって、この審議会に居住者を加えるかどうかは東京都の裁量でできることなんです、別に法律を適用する云々じゃないんですから、政策的判断でできることなんですから。このことを指摘しておきます。努力すべきだと思います。

 たしか昨年の二月の本委員会で、公明党の議員さんだと思いましたが、これから都営住宅の管理のあり方を審議する中で、例えば都営住宅は一たん入居したら二十年で出てもらうような制度を考えたらどうかというご質問がありました。そのとき当時の住宅局長は、そのことも含めて住宅政策審議会で検討していただくというふうに答弁されていますね。こんなことまでいわれているわけですよ。私は、とんでもない問題が出ているなと思いました。これは事実ですから申し上げておきます。

 そのとき、公営住宅法などでは考えられないような提案を、検討するとまで答えが出てるんです。これが本当に住宅政策審議会でやられたら、本当に居住者の立場になってこういう問題について意見をいう人がいなかったら、どうなるかと思うのです。現に、今の審議委員の中で、本当に都営住宅居住者の、管理の問題をこれからやるに当たって、生活上の細々とした問題について実情をよくつかんで意見を述べられる立場の、そういう経験や学識を持った人が、専門性を持った人がどれだけいるか。ほとんどいないと思うんです。この点は改めて強く求めておきたいと思います。

 それで、これからの問題としてもまだ重大な問題が残っていることを、私、昨年の秋のこの委員会で指摘をしました。つまり、今回の制度改定に伴う応能応益的制度がまだ全部の都営住宅については適用され切っていないという問題。きょう資料をいただきましたが、使用料限度額と住宅の規定家賃が同額になっているところ、それぞれの区市町村別の戸数と割合をいただきました。全体の数は出てないんですが、一種、二種、それぞれ住宅のうち何戸が同額になっていて、全体で何割ぐらいの住宅が同額になっているんでしょうか。

 

◯田子参事 使用料限度額と個別使用料が同一となってございますのは、一種住宅で四万九千四百四十六戸、割合にしまして三四・七%、二種住宅では五万二千六百四十八戸で、割合にして四九・八%でございます。あわせて十万二千九十四戸でございますが、全体の管理戸数に対する割合は約四一%でございます。

 

◯曽根委員 この同額になっているということは、つまり今回の応能応益的制度に基づく家賃の、特に収入基準内の方については、応能減額制度というのをつくって家賃の階段を設けたわけです。これまでは二段階のところを五段階ぐらいに階段をつくった。この階段が、途中で使用料限度額にぶつかって切れているわけです。つまり、天井にぶつかって階段が途中で終わっているというところが同額になってあらわれているわけです。そういうところが都営住宅全住宅の四割に及んでいます。

 先ほど、この新しい応能応益的な負担制度は居住者に対するより適切な家賃負担の制度だというお話がありましたが、そうすると、そのより適切な制度に基づく家賃の階段が、四割の住宅で国の定めている家賃限度額──東京では使用料限度額という制度をとっているわけですが、そこにぶつかって、階段は事実上そこを突き抜けているということは、つまり四割の住宅では、本来の応能応益的制度の適切な家賃がかけられていない。東京都の考え方に基づくと、取れるはずの適切な家賃が、使用料限度額にぶつかったために、そこで仕組みが崩れて取れていないということになるわけですよね。その点を確認しておきたい。

 

◯田子参事 使用料と使用料限度額が同一となる場合というのは、入居者の使用料負担率、それぞれ各一五%、一六%となるように政策的に設定した額よりもさらに原価的な使用料限度額が低い場合でございます。このような場合には、使用料限度額が上限として機能することになっているものでございますが、この仕組みは居住者に有利に働いているものと考えております。

 

◯曽根委員 今、使用料限度額は原価的なものであるというふうなお話があったんで、これも昨年の審議で申し上げましたが、この原価的という意味は、都営住宅の土地の購入や建物の建設に幾らかかったかという原価ではなくて、民間の市場の家賃でいえばどの程度になるかということを勘案した原価的な意味だということは昨年確認したところです。その市場的な家賃の限度として定めている使用料限度額が、今回の家賃の階段よりも低い場合にはそちらが機能すると。

そうすると、この応能応益的家賃制度というのは、使用料負担制度というのは、四割の住宅では結局、国が定めた基準を超えてしまっているという点で、私は当然、国の制度の枠の中で本来ならば家賃の階段はつくるべきであって、四割の住宅でそこを突き抜けてしまうような制度というのは、国の法律で定めている考え方をかなりの程度はみ出しているというふうにいわざるを得ないと思うんです。どの程度はみ出しているかということについて、きょうはちょっと具体的な数字をお聞きしておきたいんですが、できれば全住宅の四割、十万戸以上に及ぶところでどうなっているか実態をお聞きしたかったんですが、計算が膨大になって大変だということなので、具体的に私の住んでいる北区の二つの団地についてお聞きします。

  滝野川二丁目アパート、ここの一種の基準内の一番高い家賃、つまり規定家賃が、今の制度改定によって定まった金額が、もし使用料限度額がなかった場合はどうなるのか。それから、堀船三丁目アパートでも同様に、一種の規定家賃が、今回改定後の金額が、使用料限度額の天井がなければどこまで上がることになるのか、お聞きしたい。

 

◯田子参事 使用料限度額をもって歯どめをかけないとすると、どこまで家賃が上がるかということでございます。滝野川二丁目アパートは昭和四十二年度建設でございまして、ただいまお尋ねの一種住宅は三十七・〇五平方メートルございますが、現在の負担額三万五百円が三万六千円となる予定でございます。

  それから、堀船三丁目アパートでございますが、これも昭和四十二年度建設のものでございまして、一種住宅の占用面積は三十七・三八平方メートル、現在の負担額二万九千三百円が三万六千百円となる予定でございます。

 

◯曽根委員 滝野川二丁目では、三万五百円が第一種の基準内の一番高い家賃で、これも二万円台から大きく上がったわけです。上がった上に、この天井が今後なくなるか、もしくは大きく上がってしまうと、三万六千円まで上がる。この制度によって、さらに一八%上がる余地を残しているわけです。

 それから、堀船三丁目アパートでは、二万九千三百円が三万六千百円ですから、二三%以上さらに上がる余地を残しているわけです。国の使用料限度額が、土地の評価額が要素として入っており、しかもこれが平成三年度の数字を使っていることは、昨年、この委員会で私、指摘しました。平成六年度の評価額は、宅地でいうと今までの大体四倍ぐらいになっている。それをそのまま代入してしまうと、使用料限度額が大体平均二倍ぐらいに上がるだろうと。そうすると、この天井というのは、上に上がって事実上なくなってしまう。

そうすると、滝野川二丁目で一八%、堀船三丁目では二三%さらに値上げが来るという仕組みが、この中で自動的にでき上がっているんだということになるわけです。もちろん、その天井をそんなに上げてしまうようなことがあってはならないと思いますが、しかし、どうするのかということについては、今、仕組みは全くないわけです、そのまま適用すれば上がっちゃうわけですから。こういうとんでもないことがまだ残っているということですね。

  この点についても、これからの問題が残されていますので、ますます私は、今回の異議申し立てに特に主張されているように、この応能応益制度の国の法律の枠までもはみ出している問題と、それから、居住者の意見を全く反映しないし、聞いてもいない、ちゃんと考慮してもいないような家賃の決め方、このことについての異議申し立てに私は正当性が大いにあるというふうに考えておりますので、これについてはぜひ却下とか棄却の決定ではなく、東京都としてきちんと受け入れるべきであるというふうに考えております。

  さて、請願陳情の方でも同じ趣旨の請願がありますけれども、同時に、収入基準の引き上げ、それから大量建設についての要望が出されておりますので、この点についてちょっとお聞きしておきますが、収入基準の引き上げについて、先ほど質問がありましたけれども、国に要望すると。都市圏、大都市圏については独自の基準を設けてほしいという要望が出されているということは承知しております。

  私は、さらに、都の独自の基準も設定すべきだと、国が制度を改善するまでの期間、都の独自基準もつくるべきではないかと思いますが、この点についてのお考えをお聞きしたいと思います。

 

◯村上住宅政策担当部長 公営住宅の収入基準は公営住宅法によりまして政令で定めるというふうになっております。したがいまして、都で独自で設定することはなかなか難しい問題だというふうに考えております。

 

◯曽根委員 政令で縛られているというお話がありましたが、例えば都営住宅の明け渡し基準については、かつて独自基準が長いこと行われていた事実もありますので、これはやる気になればできるというふうに思います。ぜひ実施を考えてほしいというふうに思います。

 それから大量建設については、さきの代表質問で私たちは、今、毎年の新築及び空き家募集で大体三万人から四万人弱の人たちが常に申し込みを続けている。こういう常に三万、四万という方が申し込みを繰り返しやっているという、その申し込まれている待機者の実態を東京都がきちんと調べれば、年齢階層、収入階層、そして家族構成などどういう傾向があるのか。障害者、単身者、本当に今の住宅建設の割合で足りているのかということがわかるはずだから、そういう実態をよくつかんで、この待機者を、これからつくろうとしている三カ年計画の中で一気に解消できるような大量建設をやるべきだ。少なくとも三万戸以上の建設をすべきだというふうに提案させてもらいました。このことも参考にしながら大量建設に取り組んでいただきたいと思っています。このことはあえて質問しません。

 最後に、収入基準の引き上げ及び都営住宅の大量建設について、局長の決意を伺いたいと思います。

 

◯石橋住宅局長 公営住宅の収入基準と都営住宅の大量建設についてのご質問でございます。

 先ほど来、部長からご説明しておりますように、公営住宅の収入基準は、公営住宅法に基づく政令によりまして、全国的基準として定められておりまして、都が独自に収入基準を設定することはできませんけれども、地域の実情に合わせたものとするように国にさらに要望をしていきたいというふうに考えております。

  また、都営住宅の建設につきましては、東京都住宅マスタープランに基づき着実に推進しているところであり、今後とも都営住宅の供給を住宅政策の重要な柱として位置づけ、その供給に努めてまいりたいと考えております。

 

◯曽根委員 そういう決意をぜひ具体的に、私たちの先ほどの提案も含めて検討していただきながら実現していただきたいということで、今回請願陳情の中で、基準の緩和、基準の引き上げ、それから大量建設を求めたことについては、ぜひ議会としても採択をすべきであるというふうに考えております。

 それから、異議申し立ての趣旨と、今回の家賃制度の改定の導入を撤回するよう求めた請願の趣旨も、これは実施後になりましたけれども、実施前に出されている居住者の方々の切実な思いを受けとめるならば、これは採択をすべきであるというふうに考えます。  以上です。

 

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