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青島見直し方針による都民負担第1号
進出企業への権利金返還・「前例ない」都が認める

 都議会臨海副都心開発特別委員会が22日開かれ、都が示した臨海部の一次進出企業への権利金(523億円)、賃料の引き下げや特別減額をする契約変更などについて質疑。
 日本共産党からは西田ミヨ子、曽根はじめの両都議が質問し「臨海部進出企業にはごほうび、都民には福祉・教育の切り捨てとは許されない」と厳しく追及。企業都市造りをやめ開発を都民本位に抜本的に見直すよう強く求めました。

●「これまで例があるのか」「例はない」

 曽根はじめ都議は進出企業への権利金返還について、「契約の常識では考えられない特別扱いだ」「これまで都の行政で権利金を返還した例はあるのか」と追及。港湾局、建設局、住宅局の関係部長がそろって「ありません」と答弁し、今回の権利金変換がきわめて異例の措置であることを浮き彫りにしました。

●臨海進出企業なら何でも認めるのか

 都財政が苦しいといわれる中で「臨海」開発を聖域扱いし、臨海部の進出企業にだけ金を返すやり方を批判。企業側が1次公募以降の進出企業との「不均衡の是正」を規定した進出契約の条項をたてに都を揺さぶり、都も企業をつなぎとめるために無理な要求をのむという図式であり、都民にそのつけが大きくのしかかろうとしていると指摘しました。

●契約引き伸ばしで8億円も損害受けた企業にも

 曽根はじめ都議は、1次進出企業が「契約を守った」ことを賃料の特別減額の理由としていることについて「契約を守るのが当たり前」とし、住友商事が進出を契約の期限より1年5か月も遅らせ、その地代分が8億8千万円欠損となったことを上げ、「こうした企業にまで〃ごほうび〃とは、まったく道理がない」と強調しました。

 財務局の木内征司主計部長は「(今回の支出は)開発を推進するために必要なものと判断した。」などと答弁しました。

●厳しい都財政無視し教育予算にまでしわ寄せ

 曽根はじめ都議は、「臨海」開発では企業の要求をのまされて巨額の支出をする一方、教育庁が学校校舎の耐震改築などの今年度予算で決まっていることまで執行停止にして数億円の金を削るなど、都民施策にしわ寄せされていることを批判。「臨海開発の聖域扱いはやめよ」と厳しく求めました。

◎「臨海」地代値引き・最高で66% 6社分で年30億円も減収に

 東京都は、臨海副都心に進出した大企業の要求をのみ、企業に貸し付けている都有地の地代を大幅に値下げした上、さらに3年間にわたって地代をおまけするという大サービス方針を決めていますが、企業別の値下げ率が、11月22日に明らかにされました。

 臨海副都心の地代は、土地価格から権利金割合を除いた価格の6%を毎年徴収するしくみ。港湾局の資料によると、すでに着工・開業した企業グループに対する地代は最高66%、最低でも45%も値下げする大盤振る舞いです。(地代、値下げは以下の通り) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−  
   企業グループ  現行地価 新地価 値下率(%) 値下額 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
*住友商事グループ   132・1   66・4   49・8    3・7億円

*東京ヒューマニア     117・3   39・9   66・0    4・4億円
 エンタプライズ

*日本生命         149・9   73・0   51・3    4・8億円

*フジテレビジョン     193・3   81・9   57・6    7・1億円

*タイム24         189・4   81・0   57・2    3・4億円

*東京ファッション     173・4   83・8   51・6
  タウン(2区画)     149・4   82・4   44・8    7・3億円
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 東京都は進出企業のために、権利金523億円を返還するほか、副都心の都有地の平均地価を現在の1平方メートル当たり164万円から114万円へと30%値下げし、着工・開業済の企業には、さらに3年間にわたり50〜20%おまけする方針。

しかし東京都が都有地の貸付け先に対して権利金を返還したり地代を値引きした前例はなく「臨海」進出大企業に至れりつくせりの大サービスに都民から批判が高まっています。

◎地代値下げは、臨海開発の長期収支をさらに破綻させる 「半世紀でも採算とれず」都も事実上認める

 西田都議は、今回の措置で算定根拠となる業務用地の平均値が、7月の開発基本方針での長期収支試算(平米あたり116万円)に比べて2万円減の114万円となり、事業開始46年後の2034年に「臨海」開発会計の収支が均衡するとした同試算が大きな影響を受けるはずだと強調。

 「地価の下落と今回の措置による減収額は、将来の国際展示場分の権利金返還なども加えると1千億円を越える。私の試算では、収支均衡年度は7月の試算より5〜6年先に伸びることになるがどうか」と追及。港湾局の前川開発部長は「場合によってはそうなるかもしれない」と事実上これを認めました。

 西田都議は、「臨海」開発が事業開始から半世紀たっても投資を回収できない状況を「破綻としか言えない」と批判。それも2次公募以降の進出企業が予定通り進出したことが前提であり、現状は1次公募の企業でさえ未契約のところがあるなど、今後の企業進出の見通しも厳しい状況であると指摘しました。

 また今回の措置も含め、都民の税金でまかなう他会計からの「臨海」開発会計の借入額が今年度末で2762億円、来年度末に3078億円になる見込みであり、しかも収支均衡時に一括返還するという「臨海」開発に都合のよいしくみになっていることを批判。

 この分を一般会計に回せば都民施策が充実できることを指摘し、あらためて企業本位の開発を抜本的に見直すよう要求しました。

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