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建設住宅委員会96年3月18日

 秋留台開発の中止、階段型住宅のEV設置を求める

 

◯曽根委員 私からは、初めに、秋留台地域の総合整備事業についてお聞きします。

  事務事業概要によりますと、昨年度から、政府のニュータウン21、広域多機能都市開発事業推進費補助金制度というものを導入して、秋留台地域の総合開発については調査を行っているということですが、国の制度は三カ年ということになっており、東京都は、来年度中に基本計画をつくっていく作業を終えなければならないということになりますが、その辺のスケジュールはどうなっているかをお聞きします。

 

◯今泉企画担当部長 秋留台地域整備についてのスケジュールでございますが、ただいまお話がありましたように、平成六年度から、国の方から広域多機能都市開発事業推進費補助金というのを受けておりまして、これは、六年度から八年度までの三カ年計画で調査検討を行うということになっております。

  ただいまのところ、社会経済状況の変化も踏まえて、産業の立地方策ですとか、広域交通網ですとか、緑の保全策などについて鋭意検討を重ねているところでございまして、引き続きこの調査を行いまして、八年度末には、これらの成果をもとにいたしまして基本計画を策定してまいりたい、こういうふうに考えております。

 

◯曽根委員 あと一年で基本計画を仕上げるということになるわけです。当然、以前出されました都市計画局がまとめたマスタープランから、秋留台についてのより具体的な開発計画というのを打ち出していくことになろうかと思います。

 そういう東京都の政策の流れについて、秋留台の開発は大資本などが今どんどん入り込んでいますので、乱開発を招きかねないということから、私たちはかねてから批判をしてまいりましたが、あと一年で基本計画を出して実施段階に入るということになると、その後、東京都はこの事業についてどういうかかわりを持ち、どういう責任を持ってやるつもりなのかということをお聞きしておきたいと思うのです。基本計画策定後、この開発に関して、事業実施に当たっての都及び多摩都市整備本部の役割はどうなるのか、その点でお答えいただきたい。

 

◯今泉企画担当部長 秋留台地域総合整備基本計画におきます東京都の役割でございますが、ご承知のように、マスタープランでは、東京都の役割につきまして、多摩地域の自立化という広域的な視点から、計画の実現に向けまして先導的かつ基幹的な役割を果たしていくということになっております。

  具体的に申し上げますと、まず第一には総合調整を行う。ご承知のように、あの広大な地域につきまして、地元の市町あるいは民間事業者、これは区画整理等の組合施行というのを含めますけれども、そういったところと、それから東京都と、非常に事業主体が分かれてきます。

したがいまして、東京都は、その基本計画に基づくまちづくりを推進するために、事業全体の総合調整をまず行うということが一つの役割でございます。

 それから、事業の推進に当たりましては、根幹的な都市基盤整備につきましては、東京都が主体になって整備に当たる。具体的なところは基本計画の中で決めていくわけで、まだ決まってはおらないわけでございますが、抽象的に申し上げますと、丘陵部につきましては、緑の保全、活用と開発の調和を図るとともに、多摩地域の自立性の強化のための産業導入ですとか、根幹的都市基盤の整備を一体的、総合的に行う。必要な地域については、東京都が積極的に対応していく。それから台地部につきましても、ただいま申し上げました根幹的な都市基盤施設の整備に当たる地域と、あるいは複数の行政区域にまたがるような、そういったところについては、東京都が積極的に対応していくというふうに定められております。

  ご質問の、多摩都市整備本部の役割でございますが、私どもは、マスタープランの具体化をやれというふうにいわれて、ただいま進めているところなんでございますが、当本部は、市街地整備あるいは面開発を担当するところでございますので、実施すべきプロジェクトが都庁内でオーソライズされましたら、私どもが実施していくということになろうかと思っております。

 

◯曽根委員 今、お答えでは、総合調整だと。それから、推進に当たっては、都市機能の根幹は都が主体になってつくっていくというお答えがありました。

  そうすると、多摩ニュータウンのような新住地域のようなまちづくりの手法もあったわけですね。あれも多摩都市整備本部が調整役として各事業主体をまとめているわけです。そういう方法になるのか、または、臨海副都心開発のように、東京都が第三セクターをつくって、完全にバックアップ体制をとって全面的に進めるというふうになるのか、この秋留台地域は、三千九百ヘクタールというかなり広大な面積を持っていますが、どういう手法を考えていらっしゃるのですか。

 

◯今泉企画担当部長 ただいまお話しの、三千九百ヘクタールを全面的に開発するということではなくて、この地域は、ご承知のように、都市的利用の地域とか、緑地でありますとか、あるいは農業をやっているところ、それから既成の集落というふうに、さまざまな土地の利用があるわけでございまして、そういった土地利用を、共存する場として計画的に位置づけてまいりたいというふうに考えております。このうち、新市街地として開発しようとしている面積は約九百ヘクタールでございまして、三千九百のうちの二三%になります。

 そこで、お尋ねの、具体的な開発手法でございますが、これは、八年度以降、具体的な開発区域について検討をしてまいりたいというふうに私どもは考えておりまして、確定はしておりませんが、今のところは、地域の事情に応じた、例えば土地区画整理事業ですとか、あるいは都市計画法上のいわゆる開発行為などを想定しているところでございます。

 

◯曽根委員 いろいろお聞きしてみると、事業手法についても地域の実情に合わせてということになる、開発は全体の二三%程度だと、あとはどうなるのかということについては、余り定かに決まってはいないということですね。

  私は、この秋留台総合開発については、もう既にかなり資本が入ってきて乱開発のおそれもある、圏央道の計画が入っている──大義名分としては、いわば乱開発を公的に良質なものに誘導するというようなことがマスタープランでもうたわれていましたが、実際には、それに責任を持つ東京都の部署がどこになるのか。

多摩都市整備本部は、この基本計画をつくるところまでは責任を持っているが、その先はわからないと。基本計画の中で決めるということですが、あと一年で出さなきゃならないんですが、こういうことで本当に乱開発を食いとめることが、このもともとの大義名分であったことができるのか、私は非常に危ぶまれると思うのです。

  しかし、一方で、秋留台は総合的に開発をするということだけが今先行して進んでいますから、これを当て込んで、いろんな事業者が陰で動いているといううわさが私たちのところにも入ってくるわけです。逆に、そういう資本の、いわば利益を目当てにした動きを誘発する効果、危険の方が、このやり方でいくと大きくなってしまうんじゃないかということを私は危惧せざるを得ないわけです。

  そこで、一つだけ、地元の方々が多く心配している、自然、緑が一体どれぐらいきちんと保全されるのか、これについて東京都がどれだけ責任を持てるのか、担保ができるのかということについて、現在どういうふうに考えているのか、その点についてお聞きしたいと思います。

 

◯今泉企画担当部長 秋留台地域のまちづくりにつきましては、自然との調和というのが一つのコンセプトになっております。現在のところ、自然環境とバランスのとれた市街地整備をどう進めていくか、あるいは、その場合の自然環境の保全方策あるいはその活用方策等につきまして鋭意検討しているところでございまして、関係局、地元市町と協議しながら検討してまいりたいというふうに考えております。

  また、その後につきましてのお話がございましたが、私どもといたしましては、総合調整をする組織づくりというのを基本計画の中できっちりと入れてまいりたいというふうに考えております。

 

◯曽根委員 基本計画の中に入れるのはいいんですが、問題は、それの担保能力は、だれがどのように責任を持つのかということなんですが、その点ははっきりしているんでしょうか。その点を改めて聞きたいんですが。

 

◯今泉企画担当部長 緑の、自然環境の担保策というのは大変難しい問題の一つでありまして、法的な手法でありますとか、あるいは経済的な手法といいますか、その土地をどうやって公の場で確保していくかという大変難しい問題を抱えております。そういった方策につきまして、来年度びっしりと検討してまいりたいというふうに考えております。

 

◯曽根委員 私は、やっぱり非常に危険だと思うのですよ。基本計画で打ち出したけれども、事業手法として、区画整理やいろんな開発で縛りがかかる部分は、はっきりと権限が明らかになるでしょうが、それ以外の部分はかなり大まかな規制になると。そうすると、緑の保全で、何%緑を残すとか、この地域はどうなんだというふうに基本計画で打ち出したとしても、それを責任持って守れる東京都の部署がはっきりしないということにもしなったら、これは本当に乱開発誘導型になってしまう。私は非常に危険なところに来ていると思っています。

  基本計画そのものがまだこれからということですので、その中身を見なければわからないことがたくさんありますけれども、この作業の過程の中で、改めてまた機会を見つけて、私、この問題を取り上げていきたいと思っています。

 それから、次に、多摩ニュータウンの住宅建設にかかわって、最近、ニュータウンの新住地域で、住宅建設の計画戸数の変更というのが相次いで起こっているわけです。

よくよく調べてみますと、平成二年度に出されました住宅マスタープランが、その大きな原因になっている場合が多いんじゃないかと思うのですね。

  それで、最初にお聞きしたいのは、平成二年に策定された住宅マスタープランで、この多摩ニュータウンの新住宅市街地開発事業の認可区域に住宅建設をふやすということを計画しましたが、増加分、何戸ぐらい割り当てが来ていたのか、それを、多摩ニュータウンにかかわる稲城、多摩、八王子、それぞれどのように振り分けたのか、お聞きします。

 

◯佐藤建設計画部長 マスタープランによる増加分五千二百戸を、どの地域で消化するかというお尋ねでございますが、稲城市区域では一千二百戸、多摩市区域では六百五十戸、八王子市区域では三千三百五十戸、合計で五千二百戸でございます。

 

◯曽根委員 五千二百戸というのは、決して少なくない数なんです。確かに、良質な住宅をつくっていくことについて、私たちは、基本的にこれは促進しなければならないと思っていますが、しかし、それぞれの地域の住宅建設の条件、環境問題は当然考えていかなければなりません。

 それで、この中で、数は少ないんですけれども、多摩市に六百五十戸割り当てがあったということです。この多摩市では既に新住地域の住宅建設がかなり進んでいたと思うのですが、平成二年、住宅マスタープランができるまでに、多摩市の新住地域の住宅の計画戸数は、何戸のうち何戸までが建設されていたのか、そこに六百五十戸の計画が乗っかったわけですけれども、その後現在までに何戸まで住宅が供給されてきたのか、この経過をお聞きしたいと思います。

 

◯佐藤建設計画部長 平成二年度に東京都住宅マスタープランがつくられたわけです。それ以前における従前の計画戸数は二万七千八百八十戸でありましたが、多摩市域の変更後の計画戸数は二万八千五百三十戸でございまして、変更による戸数増は六百五十戸でございます。

  なお、平成二年度末における住宅供給実績は二万五千三百五十二戸となっております。  また、平成七年度末の住宅供給実績の見込みでございますが、二万六千三百六十七戸となっております。残りの建設戸数は二千百六十三戸となっております。

 

◯曽根委員 数はいろいろと出たんですが、平成二年度のマスタープランが出るところまでで、計画戸数の二万七千八百八十戸に対して二万五千三百五十二戸ができていたと。そうすると、残りは二千五百戸程度ですね。ここに六百五十戸が上乗せされたということなるわけです。大体三割ぐらい、この時点で上乗せになっているんですね。その後、若干は供給されたが、現在までに二千百戸まだ残っていると。

  こういう過程で、三割といっても、残された面積はそうたくさんないんですよね、あそこの地域は。どこに振り分けていくのかということになると思うのですが、多摩市の中で、こういう住宅の建設をこれからやっていかなきゃならない、やれる地域としては、どこどこがこれから配分ができるんでしょうか。

 

◯佐藤建設計画部長 多摩市域の中で、まだ建設が残されている部分がございまして、その主なところといたしましては、愛宕・和田地区、鹿島地区、永山地区、豊ケ丘地区、鶴牧地区等でございます。

 

◯曽根委員 昨年の秋の議会だと思いましたが、私、今挙がった豊ケ丘ですが、まだ住宅が未着工になっている地域で、住宅・都市整備公団が当初八十戸程度の住宅建設をしていたものを、今回三百戸以上の計画に切りかえて提案してきたという問題を取り上げました。傾斜地で、とてもそんなに数は建たない地域なんですが、二十三区に比べれば決して過密じゃないんだという理屈で、ここに三百戸の計画変更を持ってくる、こういうことが現に起きています。ほかの地域でも、多摩市や、それから多摩市以外、八王子市などでも、住民の方から、急に計画変更で戸数増が発表された、公団が建てる予定が都営住宅に回ってきたとか、そういう話が次々と今来ているんですね。

  そういう住民の方々から、住宅マスタープランを平成二年に決めたときに、多摩ニュータウンについて、ほかの地域と同じような決め方をしたのはやはり問題があるんじゃないかというふうな指摘があったんですよ。私、そのとおりだと思うのですね。

多摩ニュータウンというのは、この二、三十年の間にまちをつくってきているわけで、既成市街地といっても、建てかえというのが当分考えられないところなんですよ。だから、もう空き地に建てていくしかない、増加分はそのままそこに積み上げていくしかないという地域ですから、私は、ほかの地域と同じような上乗せ分を乗せたことに無理があると思うのです。

 そこで、これは要望にしておきますけれども、来年度いよいよマスタープランの改定があるわけです。確かに、東京都全体ではまだまだ良質な住宅が足りないんで、ふやしていく必要があると思いますけれども、特に多摩ニュータウンの新住地域については、やはり実態に見合った計画戸数の見直しを行うべきだと、この点は意見として申し上げて、私の質問を終わります。

 

◯曽根委員 予算審議ですので、取り上げたい問題は多数あるんですが、差し迫った問題として、今、国会に公営住宅法の改定案が既に出されており、きょう資料でも出していただきましたが、これを中心に、都営住宅問題について質問をしていきたいと思います。

  先日、代表質問のときに、公営住宅法改定案の危険性について、我が党の代表質問に対しまして、青島知事は、家賃制度を改善し、低所得層の入居機会を拡大しようとするもので、私もそう理解しているとか、東京都にとっても、都営住宅本来の役割を高め、東京などの大都市の実情に即した対応が可能になっていくものと考えるなどと、手放しで評価をしています。しかし、実際はどうなろうとしているのか。

法改定の国会審議はまだ始まっていませんが、出されている法案の中身で明らかな範囲で、重要な点に絞って幾つか質問をしておきたいと思います。

  まず、都営住宅の申し込みができる対象の範囲をどう定めるかという問題です。  一昨年、九四年の第二回定例会で、当時の住宅港湾委員会として政府に対し意見書をまとめました。

この中では、公営住宅の収入基準が政令により全国一律に決められており、全般的に所得水準が東京の場合高いので、公営住宅の入居対象範囲の拡大が切に望まれるということから、政府に対し、東京では住宅事情や所得の水準が異なることから、収入基準について地域の実情に合わせて定めることを強く要請するという内容の意見書がまとまり、都議会の全会一致で政府に提出をいたしました。また、東京都も同趣旨の大都市特例の基準を求める要請を政府に行っていると思います。

 今回の法案は、この内容にこたえるものになっているのかどうか。公営住宅法の改定案では、低所得階層の一般世帯について、現在の収入分位で、下から約三分の一を入居対象基準とするという基準をどのように変えようとしているのかをお聞きします。

 

◯村上住宅政策担当部長 今回の公営住宅制度の改正につきましては、実際の入居収入基準自体は政令で定められるということになるわけでございますが、政策の考え方といたしまして、入居対象といたしまして、一つは、高齢社会の到来を控えまして、高齢者、障害者等の世帯、こういった方々が民間賃貸住宅において敬遠されがちであるといったようなことを踏まえまして、収入分位で下から四〇%まで拡大をするということが一点でございます。

  それからもう一つは、そのほかの世帯につきましては、これは現在、中堅所得層向けの特定優良賃貸住宅制度というものがございまして、東京都におきましては、この制度を活用して都民住宅の供給に努めているところでございますが、この制度との収入区分についての重複がございます。この重複を改めることによりまして、収入分位で下から二五%までというふうにしようとするものでございます。

  そして、これによりまして、東京においてはとりわけ公営住宅あるいは都営住宅に対する応募倍率が高いわけでございますけれども、より低所得層の人々の入居の機会を拡大しよう、こういうような観点でなされるものと理解しております。

 

◯曽根委員 私は一般世帯の問題についてお聞きしているので、高齢者世帯等については後でまたお聞きします。  一般世帯の場合、何度申し込んでも当たらない、あるいは収入基準をほんの少しオーバーしているために、当選はしたが後の審査で失格になったという、こういう都民の方がたくさんおられるわけです。

  ところが今度は、現在の下から三分の一、つまり三三%程度の基準を、全国の基準で二五%まで下げるということになるわけですから、もう申し込み自体ができなくなるわけです、こういう方々は。私たちの推定では、約三十万世帯がこれに当たるんじゃないかと思っています。

  あるいは、当選したけれども、ほんのちょっとオーバーで失格になった、今度基準改定のときには基準が上がるだろうから今度は申し込めるんじゃないかと思っていたら、基準は逆に下がっていくという、こういう方々の声はどうなるのかというふうに思います。これで対象の拡大とは到底いいがたいと思うわけです。

  しかも、問題は、全国一律の基準を全く変えようとしていないということですが、既に平成二年の総務庁の行った行政監察報告の中でも、全国一律の基準のままでは、大都市圏以外の県では下から四二・六%の範囲の人が申し込めるけれども、東京圏では下から二六・四%の範囲の人しか申し込めていないということを、総務庁が指摘をしています。

  つまり、地方の県に比べて、東京都は、全体の平均収入が高いために申し込みの範囲がこれまでも狭かった。これがもし全国一律に二五%に下げられるとすれば、どうなるのか。これはまだ細かい数字が全く出てきておりませんが、私の推計では、東京都内では、一般世帯で申し込めるのが二割を下回る可能性が強いというふうに予測されます。私はとんでもない基準の改悪だと思います。

  その一方で、先ほど、高齢者、障害者の申し込みの枠が広がるというお話がありました。収入階層で下から四割まで基準を上げるというお話があるそうですが、この緩和措置の対象というのは、高齢者や障害者を含む世帯まで対象とされるのか。つまり、高齢者や障害者以外の世帯主がいる世帯ですね、そういうところまで広げて対象とされる見通しなのか、この点をお聞きしたいと思います。

 

◯村上住宅政策担当部長 現在は、改正法案の国会審議がまだこれからという段階でございます。したがいまして、政令、省令等を含めました制度の全容が明らかとなっていない段階でございます。

  そういった中で今のご質問にお答えしなければならないわけでございますが、今般の公営住宅制度の改正につきましては、先ほど申し上げましたように、高齢者あるいは障害者等の方々が民間賃貸住宅への入居が敬遠されがちである、こういう趣旨から公共住宅でもって対応しようということで、収入基準の緩和をするものでございます。

  したがいまして、制度の全容はこれから明らかになるわけでございますけれども、お尋ねの高齢者、障害者等を含む世帯の取り扱いにつきまして、まだ正確には申し上げることはできませんが、いずれにしろ、今申し上げましたような趣旨に沿って改正されることになるのではないかと考えております。

 

◯曽根委員 民間アパートなどで高齢者や障害者が敬遠されるというのは、私が知っている範囲では、高齢者を抱えているご家族が入るというよりも、高齢者のみの世帯、ひとり暮らしのお年寄りの方、障害者のみの世帯が入った場合に、家賃負担はできるのか、火事を出さないか、もし倒れたらどうするか、こういうことを心配して大家さんは大体敬遠するというふうに聞いていますが、そういうことではないですか。

 

◯村上住宅政策担当部長 民間賃貸住宅で家主の方が入居を敬遠しがちな世帯といたしましては、今お話ございましたような、ひとり暮らしの高齢者であるとか、あるいは高齢者のみの世帯、さらには障害者のいる世帯といったようなことが多いのではないかと私どもも考えております。

 

◯曽根委員 私、ここのところちょっとお聞きしているのは、高齢者を含む世帯まで拡大する場合と、高齢者のみ、障害者のみの世帯を拡大する場合とでは、全く違うということなんですよ。高齢者を含む世帯、お年寄りを抱えている世帯で四割まで収入基準を上げましょうとなれば、これは、例えばその世帯の世帯主の方が働き盛りの方であった場合、収入が今のままではオーバーしている、しかし、四割まで上がれば、助かる人はたくさんいますよ。

しかし、高齢者のみの世帯であれば、これは──六十五歳以上の都民の大部分は、毎年の定期収入は年金のみなんです。だから、二五%を四〇%に上げたって、それで救済される人、枠で新たに申し込みの機会が得られる人はほんのわずかな部分で、そういう点では、高齢者のみとか障害者のみということでは、この基準緩和の恩恵にあずかれる方はごく限られてしまうという点で、もし今の趣旨のとおりに、狭い範囲の高齢者、障害者のみに枠が広げられるということであれば、結局、この基準緩和というのは、一般世帯の方を逆に二五%に削るということの隠れみのにされてしまうというふうになりかねないということを、私は危険性を指摘しておきたいと思います。

 それからもう一つ、家賃の問題についてお聞きしたいんですが、公営住宅法の今回の改定案では、家賃は、近傍同種の住宅の家賃以下で、政令で定めるところにより、事業主体が定めるというふうに条文に書かれています。  ここの近傍同種の住宅の家賃というのはどういうものでしょうか。

 

◯田子参事 今回の公営住宅法の一部を改正する法律案第十六条によりますと、近傍同種の住宅の家賃は、近傍の同種類の住宅の時価、これは当該住宅の敷地を含むものでございますが、それと、修繕費、管理事務費等を勘案して政令で定めるところにより、毎年度、事業主体が定めるということで規定されてございます。

 

◯曽根委員 その都営住宅なり公営住宅が建っている近くの民間の住宅の時価、これを参考にして政令で定めるということになるわけです。つまり、公営住宅はそれ以下で事業主体が定めるとなっていますが、民間住宅並みの家賃まで上げることができるという──今回初めてこの法律に書き込まれようとしているわけです。

  現在も、都営住宅の家賃、使用料ですが、これは、都営住宅の場合は使用料限度額というものがいわば天井になっていて、これ以下で抑えなければならないと、もちろん基準内の入居者の場合ですね、なっています。

  この使用料限度額というのは、原価的な計算で設定されていて、建設費の補助分を差し引いていますけれども、先ほど話のあった近傍同種の市場家賃に比べて、現在の都営住宅の使用料限度額は高めになるのか、低めなのか、その点をお聞きします。

 

◯田子参事 現行制度におきます使用料限度額は、原価的家賃とされているところでございます。その構成は、建物部分と土地部分との合計額より成っておるところでございます。

  建物部分については、標準工事費から国庫補助金を控除した額に変更乗率を乗じた額の償却費に、修繕費、管理事務費等を加えたものでございます。また、土地部分については、固定資産税評価相当額に地代利回りを乗じたところの地代相当額であります。

 一方、改正法案における近傍同種の家賃とは、今申し上げましたように、敷地を含む住宅の時価を基本としておりますので、相対的に需要と供給のバランスで決定されるものと理解しております。

  したがいまして、一概にどちらが高い低いということはいえないかと思いますが、建設事業費の補助金が控除される分だけ、使用料限度額の方がおおむね低いと思われます。

 

◯曽根委員 計算の方法はそれぞれちょっと違いますが、しかし、基準内の入居者の天井になるという点では、共通の役割を果たすことになります。使用料限度額は、国の補助金分を差し引いて計算されているので、近くの民間の家賃に確かに近いけれども、それよりはおおむね低くなっていると。  私たちは、この使用料限度額を今回導入した応能応益的家賃制度ですね、民間家賃の考え方を導入するものであるといって反対しました。反対したけれども、今の使用料限度額はまだ民間家賃までは届いていない。しかし、今度は文字どおり、近傍同種の住宅の家賃が上限になるわけですね。

 そうすると、どういうことが起きるかというと、家賃改定が昨年の一月から行われましたが、現在の法律では、家賃限度額以下で事業主体が決めるという法律によって、本当は計算上はもっと値上げが行われるはずの都営住宅で、今、この使用料限度額の天井に都営住宅の四割がぶつかっているために、多摩を中心にこの天井で値上げがとまっているという住宅がたくさんあります。

  ところが今度は、近傍同種の家賃が天井になるわけですから、この天井が上がってしまうことになって、その分、多摩を中心に家賃の再値上げが、これが実施された後に自動的に行われてしまうことになりかねないということになるわけです。

  私、前から、この使用料限度額でとまっているところはどうなるんだという問題を追及してきましたが、国の法律によって今度はこの天井が上がってしまう。民間の家賃のところまで上がってしまえば、かなりの部分が値上げになるという危険性を指摘しておかなければなりません。

 さらに、今度の改定法案で特徴なのは、入居者負担基準額というものを新たに定めるということになっているわけです。これは、入居者の収入に応じ一定の負担率を掛けて、また立地条件などを考慮して決めるというふうにしていますが、この一定の負担率、これはどれぐらいになるか決まっているんでしょうか。

 

◯田子参事 公営住宅法の一部を改正する法律案にいう入居者負担基準額は、国からの家賃補助算定のための概念でございますが、この算定方法については、法文の上では示されておりませんで、政省令を待つことになるかと思います。

 

◯曽根委員 これも大変危険な問題だと思うのですね。現在、この法律案でいう入居者負担基準額に当たるものは、東京都の都営住宅の場合には、昨年の改定の中で基準負担額というふうに規定されているものに近いわけですね。これは、第一種では一六%、第二種では一五%の収入に対する負担率を掛けて計算をするというのが基本になっています。

 この一五%、一六%というのが、国の法律の政令の中で何%が設定されるのかによって、またこれも上がったり下がったり、まあ恐らく下がることはないと私思うのですね。この点でも国にフリーハンドが与えられているという問題があるんですね。

 したがって、私心配なのは、改定案の家賃制度がもし実施された場合、居住者の家賃──つまり上限となっているこの近傍同種の住宅の家賃というものも、また入居者負担基準額も、毎年度、政令で定めるところにより事業主体が定めるとなっていて、現行法のように、ある家賃限度額というものがあって、その限度の範囲内で事業主体が定めるというふうに、事業主体である自治体の裁量の範囲を認めるような記述に今回の法案はなっていないんですね。

  したがって、東京都が事業主体でありながら、家賃決定について実質的に決定権を失うことになってしまうんじゃないかというふうに危惧するんですが、いかがですか。

 

◯田子参事 公営住宅法の一部を改正する法律案によりますと、公営住宅の家賃は、毎年度、入居者からの収入申告に基づき、入居者の収入及び住宅の立地条件、規模、建設時からの経過年数その他の事項に応じ、かつ、近傍同種の住宅の家賃以下で、政令で定めるところにより、事業主体が定めるとあり、確かに現行の規定との表現は異なりますが、裁量の余地があるかないかにつきましては、今後の政省令の決め方によるものと思われます。

 

◯曽根委員 どうなるか法案に書かれていないと。書かれていないまま国会審議にかかるわけです。政府の裁量で一方的に決める政令がどうなるかにゆだねられているんだと。これ自体、国にフリーハンドを許す点で大変問題だと思いますが、さらに、もし政令で自治体の裁量を認めず、居住者の個別の家賃の計算や基準まで政令で縛ることになれば、これは前代未聞のことになります。

 つまり、自治体が事業主体でありながら、個別の料金まで国が定めるなんていうことを、地方自治体がやっている事業で私はちょっと聞いたことがないんですよね。まるで国営住宅になるのと同じじゃないかと。

つまり、早い話が、居住者の方が、これから毎年政令で基準が決まっていって、家賃が変わる可能性があるわけです。  家賃上がる通知が来た。で、東京都に交渉に来た、上げないでくれと。

ところが、大家さんであるはずの東京都は、いや、うちで決めているんじゃないんだ、国で決めちゃって下におりてきているんだからどうしようもないんだ、こういう話になりかねないわけなんですよ、これは。

  こういうことが、事業主体である地方自治体の権限が拡大するというような法律の趣旨の説明があったそうですが、こういう理屈がどうして成り立つのかというのが、私には理解しかねます。

  もう一つ聞いておきたいんですが、借り上げ方式の公営住宅というのが今度法令化されようとしています。借り上げの期間は原則として何年で、期間が過ぎた場合、居住者への対応はどうなるんでしょうか。

 

◯村上住宅政策担当部長 今回の制度改正によりまして、きめ細かく公営住宅を供給するということから、借り上げ方式も新たに導入されることになるわけでございます。その際の借り上げ期間についてのお尋ねでございますが、賃貸借につきましては、民法におきまして、最長期間を二十年とし、その更新を可能というふうにされております。

  そういうことから、建設省から聞いた話でございますが、借り上げ公営住宅の一回の契約上の借り上げ期間については、原則として二十年とすることが適切であろうと聞いております。

  次に、借り上げ期間が満了したときの入居者への対応でございますが、まず、あらかじめ入居される際に期間をお知らせ申し上げ、そしてまた、期間満了六カ月前までにその旨の通知を行うといったようなことは当然行うこととなるわけでございます。

  さらに、現に退去する場合には、法定建てかえ事業の場合と同様に、他の公営住宅への特定入居、これは抽せんなどを経ずして特定で入居できるというものでございます。それからまた入居資格の特例、こういったものも設けられておりまして、継続居住が図られるよう、改正法案においては所要の規定が設けられているところでございます。

 

◯曽根委員 二十年たったら出てもらうということを前提にして入居になるということなんですね。確かに、その後の措置は設けなければ、手当てをしなければ、本当に大変なことになってしまいますが、そういう制度をつくったとしても、借り上げの公営住宅のあり方について、私、居住者の立場から見れば非常に大きな不安ができてしまうと思うのです。

  前に、二十年たったら出てもらう制度が必要なんじゃないかという質問が住宅港湾委員会のときにあったんですけれども、まさかすぐにできると思わなかったんですが、今度、借り上げ方式という形でそれに近いものが実施されようとしているという点で、私、非常にこの点も心配しているわけです。

  いずれにしても、これらは国会の審議を待たなければなりませんが、こういう、都営住宅に住んでいる方も知らないし、国民のほとんども知らない中で、審議がもう間もなく始まろうとしている状況というのは、私は、本当にこれは民主主義にもとるという点で、もっと国民的な論議をすべき問題だろうというふうに主張しておきたいと思います。

  さて、東京都は、この国の公営住宅法の趣旨の一部を既に先取りして、昨年の一月から応能応益的使用料負担制度という家賃制度を発足させました。

形は少し今度の法案の中身と違いますけれども、民間家賃の考え方を導入して、立地条件その他を入れたわけです。これによって東京都はかなりの家賃増収をしているはずです。平成七年度、平成八年度見込み、それぞれどれぐらいの都営住宅家賃の増収になるのか、お聞かせいただきたい。

 

◯田子参事 平成七年一月から実施いたしました応能応益的使用料負担制度の実施による増収は、平成七年度は対前年度比で六十七億円余、平成八年度は同様に対前年度比で四十億円余を見込んでございます。

 

◯曽根委員 今年度が六十七億円余、来年度が見込みで四十億円余ということですから、合計百七億円余、平成六年度と比べて来年度は増収になるということですね。

  私は、予算説明書の中で、実際の増収額について計算してみたんです。平成六年度の予算説明書で都営住宅の使用料及び付加使用料の収入見込みの合計額は七百六十二億円余なんですね。

平成八年度、今度いただいた予算説明書では、これが九百四十一億円余になっている。差し引くと大体百八十億円増収になるんですね。

 これは、全部がもちろん家賃改定による影響ではなくて、戸数が変わっていますので──大体この期間に四千四百戸ぐらい戸数でいうとふえている。この資料に載っていました。

この戸数がふえた分、全部にまだ人が住んでいるわけじゃないので、では実際に家賃を払っている人、請求されている人といいますか、がどれぐらいふえているのか。これは正確な資料が住宅局にはないそうなんで、収入報告書の発送数などをもとに推定したんですが、大体三千人ぐらい新たにこの二年間で入居者がふえている。

このふえた分はもちろん丸々増収になりますね。それがみんな新築に入ったと仮定すると、大体平均五万円の家賃、これもちょっと高過ぎるんですけども、五万円の家賃を払っているとします。そうすると、年間六十万円、三千人で十八億円ですよ。

 合わないんですよね。百八十億円の増収見込みがあって、そのうち新たにふえた三千人の方が全部家賃を新築家賃並みで五万円平均で払っているとしても、十八億円ですから、差額は百六十億円なんですよ。今いった百七億円との間には相当開きがあるんです。

  私は、そのほとんどが、これまで住んできた方が家賃改定でその後上がった分だと思うのです。もちろん、収入がふえたから、今までの基準のままでも家賃が高くなった方というのもいるでしょう。しかし、それを考えても五十億円ぐらいの差があるわけですから、ちょっと埋まらないんですよ。

  この百七億円という金額というのは、推計で計算されていると思うのですけれども、実態を反映しているという自信がありますか。

 

◯田子参事 ただいま申し上げた見込み額につきましては、平成七年一月の制度実施の時期に、平成六年の収入報告による試算数字をもとにしたものでございます。

この数字をもとに、激変緩和措置を講じて、各年度どの程度の増収になるかを見たもので、おおむね実態を反映しているものと思います。

 

◯曽根委員 やはり推計の計算ですよね。実際に、今まで住んできた方が家賃改定にぶつかって、この二年間で上がった金額というのは、総額で、その新しくふえた十八億円の分を除いた百六十億円に限りなく近い金額が、家賃負担の増額になっているに違いないと私は思うのですよ。

 この住宅局の計算と私の推計との差を、もう少しきちんと詰めていきたいというふうに思っているんですが、今回、歴史上初めての大幅な家賃改定が行われましたので、その影響については、私たち引き続きこの問題を追及していきたいということをいっておきたいと思います。

 それで、この家賃改定をするときに、今度の改定というのは、家賃制度の改善なんだから、増収分については、単純に営繕費などに還元するべきお金ではない、しかし、居住者に対して配慮をしたいというお話が当時ありました。  私はもう、増収分は全面的に都営住宅の設備改善、営繕費、環境改善などに使うべきだと思うのですが、七年度、八年度──ごめんなさい、その前に聞いておかなければならないことが一つありました。

  激変緩和の期間がまだあるわけですね。平成九年度、十年度まで激変緩和の期間が続いて、増収が見込めるわけですが、あとどれぐらいの増収が見込めるんでしょうか。

 

◯田子参事 前提条件はただいま申し上げたとおりでございますが、それによりますと、平成九年度は対前年度比で約十五億円余、平成十年度が対前年度比で約六億円余、計二十一億円余りでございます。

 

◯曽根委員 どうも失礼しました。順番を間違えました。  住宅局の計算でも百七億円、プラス、九年度、十年度も激変緩和が続くということで、合計で百三十億円程度の増収があると。私はもっとあると思うのですが、これらをきちんと都営住宅居住者に還元していくという点で、七年度、八年度、この分野で設備改善、計画修繕、こういうものの充実はどの程度行われたでしょうか。

 

◯那須管理部長 家賃制度の改善に伴います増収分につきましては、ただいま先生お話しのとおり、当初より一般財源として予定しておりまして、必ずしも都営住宅の営繕費等に直接関係づけては考えられないところでございますけれども、営繕費の予算額といたしましては、平成七年度では三百八十七億九千二百万余円で、前年度に比べまして四十七億三千万余円、それから平成八年度では三百九十八億二千二百万円を計上いたしまして、前年度に比べ十億二千万余円と、それぞれ増額しているところでございます。

 

◯曽根委員 二年間の合計で五十七億円余増額をされています。しかし、増収分から見れば半分以下であり、私の推定からいくと三分の一程度なんですね、これは。

 それで、以前から、都営住宅の設備改善については新しいメニューが必要だという要望が出されておりました。私たちに寄せられているものの中で特に強いのが、畳や、それからエレベーターの中層住宅への設置です。

  最初にエレベーターのことについてお聞きしたいんですが、既存中層住宅のエレベーター設置については、現在、対象が四百五十棟程度で、二十四戸以上、廊下型の中層住宅で、設置可能なスペースがとれる、建築基準法にひっかからないというところだけが対象になっていますが、二十四戸以上、廊下型の中層住宅でも、千三百棟以上残されています。

これらの大部分は、住宅改善などと結合することによって、例えば三戸を二戸、二戸を一戸にするような住宅改善を行い、その中でエレベーターの導入スペースを確保することは技術的にできるんじゃないかというふうに思うのです。こういう形で、技術的に解決しながら、四百五十棟を進めながらも、同時に、残された部分も放置しないで、エレベーターの設置を進めていくべきだと思うのですが、いかがでしょうか。

 

◯小山参事 既設中層都営住宅のエレベーターについてでございますが、現在、設置対象としています約四百六十棟のうち、既にエレベーターを設置し使用しています建物が三十八棟ございます。それから、平成七年度に工事中のものが四十棟ございまして、さらに、平成八年度にはエレベーターの台数を十基ふやしまして、五十基を設置する計画となっております。

  したがいまして、従来にも増して積極的に取り組んでいるところでございますので、ご理解を賜りたいと思います。  また、計画外の住宅、約千三百棟につきましては、設置スペースの確保や建築関係法令上の問題などから、そのほとんどが設置が困難な状況にございますが、設置が可能となる条件を今後とも研究してまいりたいと考えております。

 

◯曽根委員 ぜひお願いしたいと思うのです。  さらに、現在、技術的には困難だといわれている階段型住宅、これも、廊下型住宅と同じぐらいの数があるわけですね。こういうところのお宅からも、エレベーター設置をしてほしいという要望が出されているわけです。建てかえにはまだ当分間がある、四階、五階にお年寄りが住んでいるという声がたくさん寄せられています。偶然階段型に入居した人に、あなたは運が悪かった、廊下型だったらエレベーターがつけられるんだけど、階段型はだめなんだというふうに済ませるべきではないんじゃないか。  そこで、専門家にお聞きしたんですが、階段の踊り場を横につなぐ廊下をつけることによってエレベーター設置は可能だし、海外には実例もあるというお話をお聞きしました。費用が幾らかかるかということはちょっと置いといて、住宅局として、技術的に可能なのかどうか、そして検討の余地はないのか、この点をお聞きしたいと思います。

 

◯遠藤開発調整部長 階段型中層住宅へのエレベーターの設置につきましては、敷地の形状、設置スペースはもとより、建築基準法等の制約の問題がございます。

  これらの条件は個別団地ごとに異なりますから、純技術的には一概に不可能とは申しませんが、エレベーターに接続する廊下を新たに設置することや、それを支えるための独立した基礎工事など、相当の費用を要しますことから、これらを含めまして総合的に判断いたしますと、現実的には困難と考えております。

 

◯曽根委員 技術的には不可能ではないというお答えがあったので、そこに希望を託したいと思いますが、四百五十棟、一年間に五十基ずつつけていく、これは大体展望が見えてきた。次は千三百棟残っている。ここも技術的には可能だし、これは射程距離に入ってくるだろうと思います。

  その先、残されている階段型住宅、これは今でも新築で建っているそうですね、中層で。こういうのはやはり、時代からいいますと、時代的に見ますと、バリアフリーの考え方からいうと、エレベーターがつけられる中層住宅をつくっていく方向に行くんだろうと思うのですよ。しかし、建てかえがまだ当分先にある階段型住宅についても、技術的に可能であるならば、開発を進め、事業の対象に加えていくことを考えていただきたいということを要望しておきたいと思います。

 最後に、畳の改修については計画修繕に入れるべきだということを、かねてから申してきました。なかなかいい答えをいただいていないので──私は、ほかの大都市で実際に実例としてやられているところがあるはずなので、そういうことをきちんと調べて、東京都の可能性、やれる可能性について調べてみることはできるんじゃないかと思うのですが、その点をお聞きしたい。

  それからもう一つは、最近、地震対策として、お年寄り世帯などの家具の転倒防止の器具を設置してほしいという要望が強まっています。これは予算的には非常に少額で済みます。今行われている高齢者の住宅設備改善事業に加えることもできるんじゃないかと思いますが、この点について二点お聞きしたいと思います。

 

◯小山参事 畳の取りかえでございますが、住宅の管理戸数の多い道府県あるいは政令指定都市といいますか、大都市、こういうところの実態を調査すべきではないかということでございますが、これにつきましては、何年かに一遍はやっておるのでございますが、できるだけ早い機会に調査したいと思います。

  それから、高齢者などの住宅施設改善に家具の転倒防止器具を加えることについてのご提案でございますが、コンクリート壁面に居住者がご自分で家具を取りつける工事をすることは大変困難なことと考えられます。新しい建物はこういうものを取りつけますアンカー金物がついておるのでございますが、アンカー金物がついていない古い住宅につきましては、この金物を設置することを検討してまいりたいと考えております。

 

◯曽根委員 畳については、ぜひ調査を綿密に行って、東京都がもし可能であるならば、ぜひ実現を図っていただきたい。

 それから、今お話ししました、お年寄りの、もしくは障害者の方の家具の転倒防止については、建物については、東京都はもうすでに耐震診断、補強工事、開始しています。しかし、建物は守られたが、中に住んでいる人が家具の転倒によって亡くなったというケースさえ阪神では報告されているわけで、人道的な見地からも──確かに個人でつければいいというふうにお考えかもしれませんが、しかし、すぐにできることですので、これはぜひ取り組みをスタートさせてほしい。

  それで、今お答えにあったように、まずは壁に取りつける器具を考えていきたいということですので、これをぜひ急いでいただきたいことと、あわせて、壁に器具がついて、それから実際に家具をここに接続する金物ですね、こういったものについても、東京都の設備の改修の中でできるようにしていただきたいことを強く要望しておきたいと思います。  以上で質問を終わります。

 

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