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臨海開発特別委員会96年5月9日

 臨海懇談会の抜本見直し意見こそ都民要望と主張

 

◯曽根委員 長く、十七回にわたる審議会を行った臨海副都心開発懇談会の最終報告が出されました。

現行開発の継続を求めるA意見と、抜本見直しを求めるB意見を対等な扱いでの両論併記をするという結果になったわけです。

私ども日本共産党は、B意見の目指す大型オフィスビルの新たな建設はやめ、開発の内容を都民の望む森や水辺環境、低中層住宅、防災空間などに転換させ、今後の投資を抑制して、財政も改善に向けようという基本的な内容は、私たちの提案してきた方向と一致するものと考えております。

  我が党は、B意見をさらによりよいものに、当然個々の問題では都民の中にもう少しこうしたらという意見もあると思いますので、都民参加でよりよいものに練り上げながら、その目指している方向を実現させていく立場です。

それとともに、都の見直し方針案の策定に当たっては、五月末にはもう出すなどという拙速なやり方はとるべきではなく、有識者に検討を依頼した結果が両論併記となったわけですから、最終報告で示されたA、B両意見について、都民がどのような選択をするのか、その意向を確かめるべきだし、二つの意見に対する十分な都民的論議の場も保障し、都民の合意で見直しの方向を選択することを強く求めるものです。

  幾つかお聞きしておきたいと思いますが、懇談会では最後まで抜本見直しのB意見に対して、推進派の委員の方から、少数意見扱いにしろという要求が出されましたが、懇談会ではこれを退けて、現行開発継続意見と対等扱いとしました。なぜこうせざるを得なかったかということを見ていきたいと思うんです。

  そこでお聞きしますが、二十三日、第十六回懇談会、A、B両案が出そろったこの場で出された発言、また、最終報告の中のその他の意見、この中で総体的な選択も含めて、A意見とB意見のどちらかを名指しで支持した意見表明は、それぞれ何人ずつから出されたんでしょうか。

 

◯有手企画審議室臨海部総合調整担当部長 座長、それから副座長、小委員長を除く二十七名の懇談会委員のうち、意見書や議事録から判断いたしまして、A意見を支持している委員は九名、B意見を支持している委員は十一名であります。なお、残りの七名の委員のうち四名は、A意見に近いというふうに受けとめております。

 

◯曽根委員 どちらかの支持を明らかにした人数では、抜本見直しの意見を支持する委員が現行開発継続のA意見を支持する委員を上回っているわけです。

昨年九月の懇談会発足当時は、マスコミの皆さんなどは抜本見直しを求める委員は五人ぐらいしかいないんじゃないかと分析していましたけれども、それが論議を通じて倍以上にふえて、もう少数派とはいえなくなっているわけです。

この変化の上で大きかったのが、懇談会として都民の意見を直接聞いた一日都民臨海懇談会だと思うんですが、この一日臨海懇談会に応募して寄せられた意見百八名のうち、現行開発を継続すべきという意見と、そのほか森とか防災空地とか植物園、動物園など、これまでの副都心開発とは異なる方向を求めた意見とでは、どちらが多かったんでしょうか。

 

◯有手企画審議室臨海部総合調整担当部長 一日臨海懇談会では、五つのテーマを設定いたしまして募集したわけでございますけれども、一つは、住み、働き、訪れるものにとって魅力的な副都心づくり、二つ目は、東京の活性化を目指した臨海副都心の育成策、三つ目は、防災、住宅など、東京全体のまちづくりと臨海副都心との連携、四つ目は、臨海副都心開発における財政負担のあり方、五つ目は、その他臨海副都心の夢のある活用や今後の開発の進め方、この五つにつきまして募集しましたところ、それぞれ二十二名、六名、十六名、四名、六十名の提言がございました。

この百八名の応募した人の中では、現行開発計画をそのまま継続する提言より、異なる方向を支持する提言の方が多かったというふうに受けとめております。

 

◯曽根委員 一日臨海懇談会を私も当日傍聴いたしましたけれども、当日十七名の発言者がありました。この内訳も、全体の応募者を反映して、圧倒的に抜本的見直しの意見が多かった。

そして、例えば臨海部をまちづくりや災害時の建てかえなどの代替用地として、大規模な緑の空地として残しておくことを提案された発言者がおりまして、これに対し、懇談会委員の、今回A意見の主張者でもある花田委員が、臨海部というのは、都心に集中した都市機能を分散して、過密を緩和させる副都心なのはわかっているんですかと、こういう質問ぶつけたところ、その発言者は、東京都心部の中心地をわずか数キロ先に移して、都心の緩和策とか通勤問題の解消になるはずがないと、ずばり切り返されて、二の句が継げなくなる場面もあったんです。

  こうした一日都民懇談会やその後のさまざまな世論調査でも、都民の中では、残った用地は都民のために抜本的な見直しを求める声が多数を占めており、こうした都民世論を受ける中で、流れが大きく抜本的見直しに傾いてきたんだと思うんです。

  ところが、最終報告を見ますと、花田委員の起草によるA意見は、これらの都民の声を謙虚に受けとめるどころか、例えばバブルの崩壊による収支計画上の困難は、都全体の財政力なら修復可能な範囲だから、大幅な収入減があっても、開発目標の変更など必要ないといい切り、副都心については、相当程度の業務機能の集積が必要で、これに伴う大気汚染など環境問題は、部分を強調することは適当でないと片づけられています。要するに、現行開発が一番だから、変更などあり得ないという開き直りに終始しているわけです。

  だからこそ、両案の提出された二十三日の懇談会で、先ほどいいましたように、委員からは、素直に読んでみて、A意見は現行開発への未練たっぷりという感じで、何とかしてそのまま継続したいという考えだとずばり批判された上に、A、B両意見に賛成しない中間的委員からさえ、当初の計画思想が基本的に修正されておらず、これでは何のために知事が諮問したのかの意義が問われる、懇談会は時間と費用を浪費し、単に通過儀礼にすぎなかったのかといわれても仕方がないなどといわれている始末です。

  結局、A提案の余りに露骨な姿勢についていけない委員が離れていったり、公然と支持を表明できなくなったりして、結果としてA意見の支持表明は、進出企業や地権者など利害関係者、それから官庁のOBの委員、都議会などから途中で補充された委員、ごく少数の研究者にとどまっている。

一方、B意見は、五人の女性委員全員や都政モニターなどがそろって支持するようになり、A、B両意見の直接支持表明では、事実上逆転さえ起こってしまったと。

このようにして、最終報告では両意見を対等に扱うということにならざるを得なかったわけです。こうした両論併記を受けた都の対応としては、私は、都民がこうした二つの意見からどのような選択をするのか、当然都民の意向に立ち返るべきだというふうに考えます。

  ところが、前回の本特別委員会で、石川港湾局長は、都の見直し案をわずか一カ月後の五月末には示すと表明しました。私どもは、これに対して前回の委員会でも、結論先にありきの進め方だと厳しく批判したところです。私が特に問題にしたいのは、私たちの指摘を裏づけるように、昨日の東京新聞の朝刊の一面に、都が既に現行開発継続のA意見に近い見直し案で、事務レベルの調整に入っているという重大な報道がなされたことです。

「素案固まる」と、「臨海開発『推進』の方向」「都、最大9万人就業想定」、こういう見出しです。

これは事実だったら大変な問題です。

  そこで確認をさせていただきますけれども、見直し案の骨子の内容が、この記事に書かれている──就業人口八万から九万人を想定し、二次公募は新方式導入も視野に入れて、年内に実施する方向などというのが昨日の東京新聞の報道ですが、現在の検討している見直し案の方向の中で、報道された内容が事実に反する点はあるんでしょうか。

 

◯砂岡港湾局臨海部開発調整担当部長 現在、事務レベルにおきまして、見直し案の作成作業を鋭意行っているところでございますけれども、全庁的にはもちろん、局段階におきましても、現時点では正式にオーソライズされたという見直し案は存在しておりません。

したがいまして、当該記事が事実に反するかどうか、申し上げようがございません。

◯曽根委員 私は、見直し案が公式なものになっているかどうか聞いているんじゃないんです。改めて石川局長にお聞きしますが、今、砂岡部長は、見直し案を作成中だということを認めました。私が聞いているのは、その作成中のものが、八万から九万の就業人口とか二次公募への新方式の導入等年内実施とか、こういう報道されている内容と一致しているのか、いないのか、この期に及んで話をそらしたりしないで、ちゃんとお答えをいただきたい。

 

◯石川港湾局長 一つのマスコミの報道に対しまして私がご質問にお答えする立場ではないし、また、そういうお答えをしてはいけないというふうに思っております。

 

◯曽根委員 石川さんらしくない答弁なんですけれどもね。私は、強気でお答えが出るんじゃないかと思ったんですけれども、結局否定も肯定もなさらないということ。しかし、この新聞記事を見る限り、かなり正確な情報をもとに書いているという印象を私は受けました。

  先ほどもいいましたけれども、現行開発継続のA意見では、何のための懇談会だったのかといわれるという批判が出ているわけです。そのA意見とほとんど同じ案を、両論併記となった最終報告のわずか一カ月後に出すのでは、懇談会のあの十七回もの議論は一体何だったのかということになるんじゃないでしょうか。

こんなやり方では絶対に都民は納得しません。

  さらに、A意見でもし本当に開発を続けたら具体的にどうなるのかということで、幾つか伺っていきたいと思います。  ある新聞の報道で、A意見の特徴について、もっと投資をして企業を進出させ、取り戻すことにかけるものだ、こういう要約をしています。

これは私は非常に的を射たものだと思うのです。つまり、今のままでは、臨海部は非常に不便な場所なので、企業は進出してこない。そこで、A意見でも、また、その前に出された港湾局の試算例1でも、都心と結ぶ何本もの広域幹線道路を建設し、また、臨海部を横断する湾岸道路のパンクを防ぐために臨海道路を建設することになっているわけです。

これらは今後必要な投資の中心をなしており、その額は広域幹線道路と臨海道路だけで一兆三千億円近くになります。

  しかも問題なのは、このまま現行の副都心開発を続ければ、必要な投資はこの額にとどまらないということなんです。現にA意見の中には、これまでの計画に入っていない地下鉄十二号線の月島から臨海部への分岐線の建設が新たに持ち出されている。先ほど、話し合いになかったものが出てきているという話がありました。A意見でもこういうものが出てきているわけです。

  それから、臨海高速鉄道の羽田、川崎、鶴見方面への延伸を図ることなどが提言としてどんどん出てきているわけです。しかし、これは一つ一つ大変な事業なんですよ。なぜこんなことが出てくるのかといえば、臨海部については当初から、例えば竹下元港湾局長などからも、主な公共交通機関が鉄道が一本と新交通だけで、新宿や池袋に比べて大量輸送機関が余りにも不足しており、副都心機能は支え切れないと指摘されていたように、通勤地獄を新たに招くなど、もともと都市問題を激化させる欠陥開発だからです。

  実際、先ほどちょっと話題になりましたが、始動期分の企業のごく一部しか進出していないのに、新交通「ゆりかもめ」は連日のラッシュで、入場規制までやっています。

今後臨海高速鉄道を今の計画どおり大崎まで延伸させることについては、私どもも進めるべきだと考えておりますし、都民の憩いの場に転換するならば、それで賄っていくことは可能です。

しかし、九万人もの就業人口となれば、結局当初計画にもない、こうした十二号線の分岐線みたいな追加投資がどんどん必要になってくるということじゃないでしょうか。

  こうして、A意見では支出はさらに膨らんでいく方向が提案されていますが、一方で、開発による収入の方はどうなるのか。そこでお聞きしますけれども、A意見で、全体の業務・商業のフレームを十万六千人から九万人に縮小するとしています。

これは臨海会計の収入減になると思いますが、どれくらいの収入減となるのか。また、これを含めてA意見に基づく長期収支では、黒字転換はいつになる見通しなんでしょうか。

 

◯安樂港湾局開発部長 A意見には具体的な土地利用が示されておりませんので、お尋ねの減収額あるいは長期収支の試算を行う前提条件が設定できませんので、そういう試算ができない。ご容赦をいただきたいと思います。

 

◯曽根委員 試算ができないとすれば、A意見でいわれているような就業人口の減少というのが、開発の収入減になるということはお認めになると思うのですが、いかがでしょう。

 

◯安樂港湾局開発部長 人口フレームは通常は土地の面積あるいは容積率から設定されます。したがいまして、一般的にいいますと、フレームの引き下げというのは、土地の面積あるいは容積率の減がその背景にあるというふうに推測されますので、減収は生じるものというふうに考えられます。

  なお、臨海副都心の場合には、今後の開発によりまして都市としての熟成が進みます。また、土地の付加価値が高まることが見込まれておりますので、収入全体として見ますと、一概には減少する要素だけではないということを申し添えたいと思います。

 

◯曽根委員 就業人口の減少そのものは収入減になるということは明らかですね。そうすると、A意見に従うと、投資の方はさらに必要になる。支出の方は膨らむんですが、収入は減ってしまうわけです。

東京新聞で報道された局内で検討しているという中身も、同じ就業人口九万人を上限にしているわけでしょう。収支均衡年次はますます遠ざかってしまいます。一体これをどこで補うのか。

  そこで、もう一つ、A意見で新たに提案されていることですが、公的な利用を予定する暫定利用地は用地会計に移管するとさっきいいました。先ほどちょっとお話もありましたが、用地会計に移管するというのは、用地会計が都民の税金で返済する借金を新たに行って、臨海会計から土地を買い取るということですから、全く新たな都民負担の導入になるわけです。A意見で想定した用地会計の買い取りにはどれぐらいの費用がかかるのですか。

 

◯安樂港湾局開発部長 A意見では、暫定利用をするとしております土地、四十四ヘクタール程度と見込まれますが、このうち公的利用を想定していると思われる用地、有明の丘など二十一ヘクタールぐらい、この程度と考えますが、仮にこれを業務・商業の平均価格百十六万円で買い取るといたしますと、これは用地会計の場合起債でございますけれども、約二千四百億円程度になるかと思います。

 

◯曽根委員 二千四百億円もの新たな負担増になるわけです。結局何のことはない、A意見の方向でこのまま副都心開発を続ければ、先日出された港湾局の試算例1の場合よりも、支出の方は、新たな交通混雑の解消のために膨らむ可能性が大きくなり、一方で収入の方は、業務・商業フレームの縮小で減ってしまう。

それを埋め合わせるために、A意見では、例えば用地会計での買い取りが例に挙げられていますが、それ以外にもいろいろな方法で、都民の負担による穴埋めを考えざるを得ない、こういう仕組みじゃないですか。

  しかも、それもこれから企業が全部計画どおり進出することが前提なんです。それまですべて順調にいくなんという保証は、今だれにもできません。

むしろ、先ほど紹介した新聞がA意見をかけと呼んで、リスクを強調しているように、投資分を地代収入で回収できるだけの企業が進出するという保証は、現時点ではないということなんです。

  この点で、第十回の懇談会のときに、先ほどいった港湾局の試算例1が、今後すべての公募用地が順調に埋まるという想定で計算されているのは、見通しが甘過ぎるんじゃないかという批判の意見があったのに対して、A意見の起草者である花田氏は、臨海副都心は、東京都が多年抱えてきた多心型都市構造を実現するための政策手段としてやっているんだから、全部埋まると考えるのが当然なんだと反論して、会場の失笑を買っていました。

これは、おれが大丈夫といっているんだから大丈夫なんだといっているようなものです。今までの開発の財政破綻というのは、結局投資したお金がこのままでは回収できないというところに、つまり懇談会でいわれている原価割れということを起こしているわけです。

それなのに、今局内で進められているA意見の方向での見直しは、無理やり企業を進出させるためにさらに投資を拡大して、都民の税金投入をふやした上に、回収できないお金がさらにまた拡大する危険すらあるわけです。

  結局A意見は、投資しても、その分が回収できないという今日の失敗の上に、また同じ失敗を重ねることになってしまうんです。懇談会の報告には、ある委員の意見として、開発を破綻させ、今日の事態に至らしめた都の責任を明らかにすることが臨海開発見直しの大前提だという意見がありましたが、私もそう思います。

やはりA意見というのは、臨海副都心開発の破綻を認めず、反省もしないというところから、前の失敗を繰り返すこういう方向が出てきているというふうにいわざるを得ません。

  これに対して私たちは、B案が提案している方向こそ都民の願いに大筋沿っているものだといえると思います。

B案では、何よりも、今後は大型オフィスビルの建設をやめ、残りの開発用地は、当面自然環境を生かした森や原っぱなどにしながら、将来の活用は、都民の合意に基づいて、低中層の住宅など都民要望に沿った開発に転換していくことを提案しています。

A案のような、さらなる巨額の投資を抑えて、基盤整備を最小限に縮小していこうというものです。しかも、環境破壊を防ぎ、また、将来の時代の変化にも都民参加で対応していく、つまり、民主主義、それと柔軟性という点でもすぐれています。

  そこで幾つかB意見について見ていきたいのですが、まず、今後の開発への基盤投資という点ではどうでしょうか。B意見では、広域幹線道路を現計画の六割を上限として整備するとしています。

この六割というのは、これらの幹線道路が通る豊洲・晴海地区の開発については、現行計画のフレームを前提とした上で、その交通量予測から割り出したものとされています。

しかし、B案では同時に、豊洲・晴海の開発も今後フレームも含めて見直すことが望ましいので、その段階でさらに幹線道路の必要整備量を路線ごとに検討すべきだと書いてあります。

  そこで、これは都市計画局にお聞きしたいのですけれども、臨海部幹線道路建設事業の環境影響評価書で示された、臨海副都心の基盤整備が終わる二〇一〇年度の一日の自動車発生集中交通量は、臨海副都心地域から何台出て、豊洲・晴海地区からは何台出るんでしょうか。

 

◯宇口都市計画局臨海副都心開発計画担当部長 平成五年の二月に提出いたしました臨海部幹線道路建設事業及び臨海部開発土地区画整理事業の環境影響評価書におきまして推計を行っておるわけでございますが、これによりますと、平成二十二年度時点における自動車発生集中交通量でございますが、臨海副都心地区でございますが、十六万八千台、豊洲・晴海地区では十四万一千台となってございます。

 

◯曽根委員 臨海副都心が十六万八千台に対して、豊洲・晴海地区でも十四万一千台の集中交通量を予測していると。つまり臨海開発地域と同じくらいの交通発生量が豊洲・晴海地区で想定されているわけです。だから、豊洲・晴海開発をそのまま現行フレームで残すという前提に立つと、道路の必要量は六割ということになるわけです。  私たちは当然豊洲・晴海の開発も抜本的な見直しが必要だし、それによって広域幹線道路整備は大幅に削減できるものだと考えます。

また、臨海道路についても、B案では、必要性について改めて協議するとありますが、この道路は湾岸道路の真上に副都心などをつくるために、いわば湾岸をパンクさせないよう、バイパスとして不可欠になってくるものです。

大規模なオフィス街をつくらないで、処分場のためだけというのであれば、現在も処分場につながる海底トンネルがあるのに、わざわざその上に三千六百五十億円もかけて、もう一本のルートをつくるなどは、全く急ぐ必要のない道路ですから、臨海道路は工事を凍結すべきです。

  これらを合わせれば、A意見ではリスクになる新たな投資について、B意見の抜本見直しの方向で一兆円余も削減することができます。

  次に、B意見の方向での財政収支はどうなのか。抜本見直しをすれば、今後必要な投資額は大幅に減りますから、当然その分収入も少なくて済みます。

開発推進の人たちはB意見に対して、転貸債と他会計の借り入れ七千五百億円の借金をどうするのかと攻撃していますので、ちょっとお聞きしますけれども、試算例1、先日の港湾局の条件で、一次公募進出企業からの権利金、地代収入の累計は幾らになるでしょうか。

 

◯安樂港湾局開発部長 試算例では、一次公募進出企業十社の用地につきまして、平成十二年度に売却すると想定しておりますけれども、売却代金を含めまして平成十二年度までの土地運用収益の累計は約二千八百億円でございます。

 

◯曽根委員 一次公募で進出した企業の十社の地代と、それからこれは試算例1では売却を想定していますから、その売却益も含めると二千八百億円。売却については都民が反対をしております。

貸し付けを続ければ、先日議論があったように二千八百億円の収入はさらにふえることになるわけです。都民の憩いの場に転換したからといって、一次進出企業が撤退するわけではないことは、今オープンしているホテルや商業施設を例に前回の委員会で私、明らかにしたとおりです。

  B意見でも、水に囲まれた緑豊かな地区として再生すれば、都民にとってだけでなく、進出している企業にもメリットがあると指摘をされています。

したがって、この一次進出企業の地代収入は十分見込めるものです。  B意見では、そのほかの収入については、例えば住宅収入などを中心に想定していますが、都民の要望は多様であり、それ以外にも例えば病院とか福祉施設、文化、スポーツ施設など、公共もしくは民間の施設を配置するならば、同じく一定の地代収入も入る、また、都民の憩いの場として適切な料金収入が見込める施設も考えられるわけです。したがって、全額税金ではなく、緑に囲まれた都民のための施設を整備することで収支を成り立たせていくことも十分可能です。

  これに対して、現行開発継続のA意見に従えば、これからさらなる基盤整備に一兆円をはるかに超える投資を行い、企業誘致に失敗すれば、その投資額を回収できず、都民の負担がまたふえていくという大変なリスクを背負ってしまう。このことはさっき述べたとおりです。

どちらが財政的に堅実な方向かは明白ではないでしょうか。これまでの開発の破綻のおかげで、都民の負担での何らかの手当てが必要とされている現在、今問われているのは、税金を使うのなら、大企業のためでなく、臨海部を都民のものになるようにしてほしいということです。

B意見で示されているのは、更地で残された残り三分の二、百ヘクタールに及ぶ都有地が、環境にも十分配慮し、都民の願いに沿った憩いの場や住宅や公共施設として、都民合意で活用され、将来に都民の財産として残していけるということです。

  これに対し、A意見や、それに近いと報道されている都の現行開発継続方針で進めれば、税金を使って臨海部に残るのは、企業活動のためのオフィス街と、また、ヒートアイランドや幹線道路による大気汚染などの環境破壊だけということになります。都民の利益を守る立場に立てば、B意見の抜本見直しの方向を選ぶべきであることは、余りに明瞭であります。

  きょうの委員会の趣旨は、都の見直し案策定に当たっての都議会としての意見を申し上げる場という趣旨でしたので、私どもの最終報告に対する見解を中心に発言をさせていただきました。

こうした意見を踏まえて知事が、都民の意向に基づく見直しの方向を選択していくよう強く求めて、私の質問を終わります。

 

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