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市場値上げ反対、「みどり」行政問題、中小企業
振興基金、工業集積活性化事業の拡充

◯曽根委員 簡潔に何点かお聞きしたいと思います。  今小竹委員の質問でも出たんですが、卸売市場にとっては、競りの中で一般の小売の方がいて、相対もふえているとはいっても、品ぞろえを確保するには、中卸さんの存在というのは欠かせないと思うのです。中卸さんのところに行けば、八百屋さんにしても、また魚屋さんの場合も、いろいろな種類のものを必要な分だけ、競りだけでは賄い切れない部分を確保することができる。  その中卸の業者の方が今大変な経営危機に陥っているという話が私たちのところにも寄せられています。実態としてお聞きしたいんですけれども、青果と水産の市場の中卸業者で経営収支が赤字になっているのは、全体の中でどれぐらいを占めているのでしょうか。

◯山田業務企画担当部長 中卸業者の経常赤字のお尋ねでございますけれども、この割合につきましては、平成七年に経営調査をしてございます。この経営調査によりますと、水産物部それから青果部ともに、調査対象企業の約五三%が赤字となっております。

◯曽根委員 東京都の調査は法人だけが調査の対象というふうに聞いていますけれども、それでも赤字業者が五割を超えたというのは、大変深刻な事態じゃないかと。個人業者はさらに厳しいというお話を伺っています。この傾向というのは、今平成七年度の資料だというお話でしたが、これは持ち直してきて五割になっているのか、それともだんだん悪くなってきて五割を超えたという状況なのか、その傾向というのはどうなんでしょうか。

◯山田業務企画担当部長 赤字の推移でございますけれども、中卸業者の五年間の推移で見てみますと、水産物部でございますが、これにつきましては、平成三年の三四%が、平成四年には三三%と一度減少してございます。しかしながら、その後、徐々に増加の傾向になっておりまして、七年で五三%という状況でございます。それから青果部におきましては、平成三年に二九%を示してございましたが、これを底にいたしまして、残念ながらだんだん増加の傾向にあるという状況でございます。

◯曽根委員 平成三年、四年というと、ちょうどバブルが崩壊しかかっている時期ですね。したがって、バブルの時期は何とか二割か三割で抑えられていた赤字卸業者さんが、ここずっと悪くなって、ついに五割を超えた。これが平成八年、九年度、今年度にかけてよくなっているとは、だれも思えない事態です。  これは単に不況の深刻さを反映しているというだけじゃなくて、私たちのところにはこういう実態も聞いているんです。例えばこの数年、大型店のシェアは間違いなく市場でふえてきている。飛躍的にふえていますね。したがって、中卸さんは、大型店と取引の大半をせざるを得ない。そうすると、先ほどちょっと小竹委員も紹介しましたが、一カ月前からもう値を決められて、目玉商品の押さえをさせられる。しかも支払いの方はかなりおくらされて、泣かされている。その間は中卸の方は借金でつなぐわけですね。そういうことで何千万の借金、場合によっては億の借金を抱えて債務超過に陥ったり、自殺者も出ているという話も伺っております。  こういう状況の中で、実は使用料の問題があるわけです。これは東京都が直接中卸さんから取る使用料ですね。これは公共料金の一種になりますが、これが今、あらゆる分野の公共料金が、三年ごとの値上げをとにかくやるという原則になりました。たしか前回の料金改定は平成六年ですよね。たしか一五%ぐらい上げたんじゃないかと思いますが、ちょうどことし三年目なわけです。今回は四月一日、料金改定がかからなかったわけですが、これは何か配慮があったんでしょうか。前回の料金改定からの経緯について、もし何か配慮があったのだったらお聞きしておきたいんです。

◯歩田経営管理部長 原則として三年で見直しております。特にことしについては改定の対象にしなかったという特段の事情はございません。

◯曽根委員 そうしますと、三年ごとの原則というのは、都全体としては枠がはめられているけれども、これは東京都の裁量で市場の配慮はできる。特段の理由はないとおっしゃいましたが、私はやっぱりこの不況の実態で、ことし四月だあんと消費税五%を前にして、料金を上げたら、その直接の影響で、本当に中卸さんで倒産も出てくるというふうになりかねないと思うんですよ。だから、上げられないというのは私は当然だと思うのです。  ところが、東京都は今度財政健全化実施案の中で原価主義まで持ち出して、料金改定をあらゆる分野で行っていくということがいわれているわけで、これはお聞きしてもいい答えが出ないかもしれないのでお聞きしませんけれども、市場のように原価主義で、直接中卸さんや小売人さんにかけられないからこそ、公共の市場をつくって利便を図っている施設で、原価主義を当てはめるようなやり方や、まして大幅な料金の値上げというようなことは絶対にあってはならない。特に中卸さんの状況が厳しいというふうに私たちも聞いておりますので、この状況にかんがみて、料金改定は実施しないように、これは強く要望しておきたいと思います。  以上で終わります。

◯曽根委員 さて私は最初に、今、国の行革だということで、省庁の再編の構想が出ていますけれども、これがどういうわけか東京都にも飛び火しているという問題からやりたいと思います。  この七月に、平成八年の特別考査実施報告書というのが総務局の行政監察室から出されました。これは緑行政についてという中身ですが、都が行っている各局の緑に関連する事業を拾い出して、いろいろと指摘した後で、結局最終的には、環境保全局を緑行政の主管局として緑関連の部門の一元化を図るということを打ち出したわけです。ここで、労経局がやっている事業や、また所管する研究機関などについて、どのような部門がこの中で取り上げられて、どういうことがいわれているんでしょうか。

◯小林農林水産部長 ただいまのご質問の考査報告書では、緑関係事業につきまして、それぞれの現状、それから問題点、改善の方向について述べております。具体的には、生産緑地保全対策、あるいは保安林の指定、そして管理、鳥獣保護、都民の森の管理などがこの関係で挙げられております。  これらの事業に適切に対応していくためには、従来の縦割り行政に基づく対応では既に限界にあるというふうに指摘をしております。そして、この縦割りの弊害を解決するには、緑関連部門を再編成し、一元的な執行体制の確立を図り、緑行政の総合的な推進を図らなければならないとしておるところでございます。  こうした観点から、私どもの関係の組織におきましては、森林の管理、苗木の生産委託、農業試験場の緑化推進関係、それから林業試験場などの緑に関連する部門について保全局の方に移管をすることを具体的に検討すべきであるというふうな指摘をされております。

◯曽根委員 産業部門である林業試験場や農業試験場を何で環境保全局に移管しなきゃならないのか、だれが聞いてもちょっと不思議な話ですよ。これは国の方でも前々から準備をして、この間発表された農水省の解体、林野庁の解体、結局は日本の基幹産業から農業、林業、水産業を排除していくというふうに私たちは大変危惧しているものですが、タイミングがぴったりと合っているんですね。  例えば林野庁を環境省というような形で吸収してしまうということについて、これ自体が極めて乱暴な話ですけれども、林野庁の管理しているのは国有林です。しかし、東京都の場合を見てみると、労経局が担当している林野、つまり多摩を中心とした樹林というのはほとんど民有林です。民有林の緑の保全という問題一つとってみても、民有林の林業をどうやって守っていくのかということを抜きにしては、国有林じゃないんですから、直接管理するわけにいかないですから、民間でどういうふうに産業としての林業を守り、樹林を守っていくのかということを抜きにしては考えられないと思うんですよ。そういう意味で、これは極めて乱暴な構想が出てきたなというふうな印象を受けました。  もちろん我が党は、国の省庁再編のプランに対しても、こんなことをやったって国民のためにならないということで反対しております。まして都において、農林関係の事業や農業試験場や林業試験場まで緑関連だということで、環境保全のくくりで十把一からげにはできない問題だというふうに思うんです。  そこで、率直にお聞きしますけれども、労経局として、東京都の基幹産業である農業、林業の振興という立場で、しっかりと担っていっていただきたいと思うんですが、この点についての決意をお伺いしておきたいと思います。

◯小林農林水産部長 一元化につきましては、ただいまお答えを申し上げました考査報告書の内容も参考にしながら、現在検討を進めているところでございます。  なお、決意につきましては、私どもは従来から、東京において農林水産業は大変重要な分野であるというふうに認識をしております。今後もその振興に全力を挙げてまいりたいと考えております。

◯曽根委員 その決意をお聞きしておきたいと思います。  このほかにも、国の方針絡みで、労働経済局が本来進めるべき方向と、しかし、やっている仕事、もしくはやらされている仕事が逆方向に進むということがいっぱいあるわけですね。これが大変ふえている。先ほども取り上げられましたけれども、私も大規模小売店舗に対する出店調整のあり方について、ほかの方とダブらないようにしながら何点かお聞きしたいと思うんです。  この間、議論の中で、もう大店法に期待できない、建築基準法の要綱か何かで対応するしかないんだという議論も先ほどありましたけれども、大店法なんかなくしてしまった方がかえっていいんだという議論は、大規模店をどんどんと出店させようという側の人たちが一生懸命いっていることなんですよ。  これは六月二十五日の朝日の論壇ですけれども、ダイエーのトップである中内〓氏が、大店法緩和にブレーキをかけるなということで、この人は、大店法緩和によって、中小商店の売り上げ減少を差し引いても年平均約三兆円もの消費拡大が実現している、大店法撤廃はより大きな需要拡大効果をもたらす可能性が高い。明確に撤廃論者です。その人が、さっき別の規制をかければいいんだといった、まさにそのとおりいっているんですね。例えば大規模店の出店で町並みが壊れるというのだったら、大店法という経済的規制を通して保存することは適当ではない、その町並みを本当に保存すべきかどうか、必要であれば、景観条例などの社会的規制によって保存を図るべきだ。要するに、大店法じゃなくて別の方法でやれ、経済的規制はもうやめるべきなんだという論理の中で先ほどのような話も出ているわけで、私、これは大変危険な議論だと思うんです。  地方自治体として、国がどういう方向をとろうが、地元の住民の方々、都民の方々がやっている営業ですから、貴重な中小企業を守るためには、敢然と立ち上がらなければならないときがあるはずです。そのためには、経済規制が必要なときにはかけるという議論を正々堂々と国とやるべきだという立場から、何点かお聞きをしていきたいと思うんです。  私たち、代表質問で黒潮市場の問題を取り上げました。高野さんも、やはりこれは問題だと思われたんでしょうね。豊島区は八割以上が大規模店なんだから、大変ですね。この間の経緯を見ますと、大店法に期待できないとか、国の機関委任事務だから、東京都がやれることは権限が限られているんだというふうに盛んにいわれていますが、しかし、その仕組みの中であっても、東京都が頑張れば、今でも行政の力でできることはあるはずだというふうに思うんです。私も今回のことでいろいろと勉強をさせられました。  今回の黒潮市場は、JRが板橋駅前の土地を提供して、キオスクというのは事実上JRの子会社ですが、そこに東日本キオスクが出店する。ここでひっかかってきたのがJR法の第十条。JR法は十年前のJR発足の際に決められた法律ですが、JR法の第十条には、会社はその営む事業が地域における経済活動に与える影響にかんがみ、その地域において当該会社が営む事業と同種の事業を営む中小企業者の事業活動を不当に妨げ、またはその利益を不当に侵害することのないよう特に配慮しなければならない。先ほど部長さんがお答えになったように、法律の中でこういう規定があるのは珍しいですよ。  しかし、JRというのは旧国鉄時代から駅前一等地を持っているわけです。事実上それをただで使えるわけです。それを使ってJRが本当に駅前で商売を始めたら、駅前の商店街なんか吹っ飛んでしまうというのは、だれが考えてもわかることで、そういうことのないように特にこの十条が入ったというのは、当時運輸大臣だった現橋本総理大臣が明確に答弁をしています。これでひっかかってきた。しかし、この十条というのは、出店者側からは一切持ち出されていないんです。キオスクがやることだから、JRじゃないからということで、JRは全く交渉にも出てこようとしない。  しかし、その事態を知った地元の商店街の方、それから関係区の区長さん、区議会、いろんな人が動き出しました。動き出したのは、出店計画が発表されてから大分たった時点からです。私は、最初に行われるべき出店者側からのきちんとした正確な出店に関する情報、それから出店計画、それが及ぼす影響についての自分たちの調査も含めた客観的な情報が地元にちゃんと伝えられていたのか、それから、大店審の委員さんにちゃんと伝えられていたのか、このところが問われるのじゃないかと思うんです。  そこでお聞きしますが、黒潮市場を出店するキオスクがこの近隣に影響を与えると見られる──キオスクの資料によりますと、百ほどの商店街に影響を与えるそうですね。板橋区が三十二、豊島区で四十六、北区で二十二、二キロ圏内の合計百の商店街に影響が及ぶだろう。そういうところに対して、出店計画についてきちんと説明をし、また本当に個々の商店の方々を集めた説明会を開いたのかどうか、この点では東京都はつかんでいらっしゃいますか。

◯長谷川商工振興部長 お尋ねの件でございますけれども、本年三月十二日に大店法第三条に基づきます届け出がございまして、東京都は公報によりまして三月十九日にその旨公告をいたしました。その後、地元説明会が出店者側により行われまして、私どもで確認をしております限りでは、豊島区、板橋区、北区の三区で、本年一月末から六月の初めの四カ月余りにかけまして、商店街に対しまして計二十三回の実施がございました。  なお、この間、五月の二十二日には、主要三紙に新聞折り込み広告で地元説明会の開催が知らされております。これはもちろん大店法の正式の折り込みの広告ですから、手続にはございませんが、そういう事実があったということでございます。  そして、六月の十九日に、関係三区及び私どもと、さらには東京商工会議所、五者の出席のもとに、地元の説明の終了を確認いたしまして、これを受けまして、六月の二十日に大店法第五条の小売業の届け出がございました。これにつきましては、私ども都公報で七月十七日に公告いたしまして、公告の中で、意見を述べようとされる方は二週間以内に書面で提出するよう明記いたしまして、その後意見聴取の段階に至るわけでございます。  その後の経過もかいつまんで申し上げますと、七月の初めに豊島区及び板橋区の区長から、本件の出店の店舗面積が千平米を割るものであるけれども、大店審の手続にのせるべきであるというような要望が書面で参りました。これをも踏まえまして、出店の店舗面積が千平米に達しませんけれども、大店審にかけるということで、七月の二十三日に意見聴取会議を東京都庁の中で開きました。  ご案内かと思いますけれども、この意見聴取会議に出席される皆さんにつきましては、豊島区、板橋区等の関係区、それから東京商工会議所からの推薦をいただきまして、消費者、小売業者、学識経験者の三つの分野から計十二名の意見をちょうだいしたわけでございます。男性の方九名、女性の方三名、四十歳ないし五十歳代の主婦の方や七十五歳の学識経験者ということでございますが、ご高齢の男性の方もおられます。

◯曽根委員 地元説明二十三回と聞くと、随分やったように思うと思うんですが、実は行っているのはほとんど会長さんばっかりなんです。本当に直近の商店街、その黒潮市場というのは、海産物を中心にした生鮮三品が中心で、まさに魚屋さん、八百屋さん、肉屋さんがひっかかるわけですね。また酒も売っているそうです。そういう個々のお店が出られる場所で説明がされたのは、板橋区で三月十日合同説明会、豊島区が三月十七日の合同説明会、北区は四月七日のこの三回が基本的にあっただけで、あとは、個別対策のためかわかりませんが、五月十日と二十一日に同じ板橋駅前西口商店街に二回行っていたり、六月三日に豊島区の近隣商店街に行っていたり、個別にはありますが、個々のお店が出られる説明会というのは、これは私、運輸省を通じて説明会の記録をいただいたんですけれども、本当にそれぞれ各区で一回ずつですよ。これが実態で、あとはいろいろやったようにいっているけれども、全部、計画書を出したとか、会長さんのところに訪ねていって経過を説明した。  近くのお店にはこうやって一回ぐらいしか説明しないのに、二回繰り返し行ったりしているのが各区の商連の会長さんなんですよ。聞くところによると、この区の商連の会長さんが大店審の意見聴取の会議に出席をしているというふうに聞いている。ですから、出店者側も、ちゃんと意見聴取の会議に出る人をねらって、向こうは向こうで出店者側の都合のいい情報をいって、大丈夫だという話をしたんでしょうね。  ところが、これに直接影響を受けて、もろに営業に影響を受けるお店の方は、正確な情報も知らされないまま七月には意見聴取会議が開かれる。影響を受けるお店が、自分たちのお店がどうなるのかについて正確な情報を知って、知った上で、自分たちが危ないと思ったら、どうやって意見聴取の会議に自分たちの意見を反映させることができるのか。何か告示をしたというふうにいいますが、どこに告示したのかもわからないぐらいの、どこかの役所で出したんですね。地元では見る機会なんかありません。このルートが実際にあるのかということなんですよ。  七月にやられた意見聴取の会議の日にちや場所、参加者、出席者、意見を述べた人、これは公表されているんですか。

◯長谷川商工振興部長 七月二十三日の意見聴取会議でございますけれども、出席が予定されている方には、当然のことながら前もってご通知を申し上げております。それから、そこへどなたがお出になっていたかということでございますけれども、これは自由で率直な意見の開陳を図るという趣旨から、会議は非公開でございまして、先ほどのご答弁で申し上げました消費者、小売業者、学識経験者、計十二名、この中の一部の方で出席できない方からは、書面で意見をちょうだいしたわけでございます。この会議の結論は、届け出のとおりでよいという意見が大勢でございました。

◯曽根委員 公開されないんですよね、出席者にしか。そうすると、一番影響を受ける魚屋さん、八百屋さんが意見聴取の会議にどうやって自分たちの意見を届けられるんですか。だれが行くかもわからないんですから。しかし、出店者側は知っているんですよ。現に板橋や豊島の区商連の会長さんは行っている。前もってちゃんとそこには説明に行っているんです。考えれば大体わかるといえば、そうかもしれないけれども、そうすると、本当に公平を図るという点で、この意見聴取の会議というのは何なのか、地元の商業者の方にとってこれが公平といえるのかということなんです。結果としてはオーライになったわけです。私、この意見聴取会議の仕組み自体も大変問題だと思います。審議委員の方が、一つ一つの問題を一生懸命判断しようと思っても、正式の材料はこの意見聴取の会議しかないわけですよ。その実態がこうだ。  それから、その会議に出られた方の中にも、その後JR法の問題を知って、あっ、こういう法律にひっかかっていたのか、出店者側が説明しませんから、後で知った。それから、豊島区の区長さんや豊島、板橋の区議会、北区でも今議論中ですけれども、地元の商店との話し合いが必要じゃないかという意見書を国の運輸大臣にも出し、それから、もちろんキオスクやJRにも出し、豊島区は区議会として二回にわたって要請を出して、何とか話し合いをしてくれというふうにいっているんですね。そういうふうに事態はその後どんどん動いてきているわけです。  そこでお聞きしたいんですけれども、もし仮に意見聴取の会議で意見をいった方が、後になってこういう事態を見て、やはりもう少し考えるべきだ、認識を改めてもう一回意見を述べさせてほしいとか申し出た場合とか、状況が変わったから、もう一回意見聴取をやりたいという声が地元から起こった場合に、こういう意見聴取はもう一回できるでしょうか。

◯長谷川商工振興部長 ただいまの先生のご指摘でございますけれども、東京都の公告をもちまして、意見がある方は書面で提出願いたいというお願いを私どもしておりますので、意見聴取会議に出席できない方の意見、公告は出したから十分か不十分かというご議論もあるかもしれませんけれども、私どもはあくまでもそういう機会を開いているというような手続でございます。  そして、通例であれば、意見聴取会議が終わりました直後の大店審にこの聴取会議の模様を報告いたしまして、大店審で結論を出すわけでございますけれども、今回は、いささか異例ではございますが、両区の区長からいろいろご意見、要望がございましたので、法律の許す範囲内いっぱいということで、さらに一カ月大店審での審議を延ばしまして、その間に、各区なり、あるいは文書で寄せられました方々の意見を委員に紹介をして、審議に供したところでございます。

◯曽根委員 正式の意見聴取、こういう場面がもう一度必要になることがあるだろう、これはやっぱりかぎを握っているのは、事務局である東京都ですよ。審議委員さんは一遍にかなりの件数の審議をしなきゃならない。しかも、正確な新しい情報をいかにきちんと伝えられるのか、あえていわせてもらえば、地元の商店街を守るためにどうやって東京都は頑張れるのかというのはここにかかっていると思うんですよ。それは公平性云々があるでしょう、国から縛られているということもあるでしょう、しかし、それは行政の側でやる努力ができるんじゃないかというふうに思わざるを得ない。  この大店審で結審してオーケーになる。普通、行政の決定があった場合には、それに不服な関係の都民は行政不服審査請求というのができますね。これについては、例えば地元の商店街、商店の方が、この結審は困る、撤回してほしい、見直してほしいという正式の不服を申し立てる場面はあるんでしょうか。

◯長谷川商工振興部長 一般論としては、行政の行います結果につきまして、行政不服審査法の適用の可能性があり得るわけでございますが、行政不服審査法では、処分に対する審査請求あるいは異議申し立てということになっているわけでございます。そして、この処分が何かというのはいろいろご議論があるようでございますけれども、この大店法の運用に関しましては、一件だけでございますが、高裁まで争われた司法例がございます。  具体的に、原告適格であるとか、あるいは処分性ということが問題になるのでございますけれども、この高裁の判決では、周辺の小売業の方々の原告適格が否定されております。したがいまして、もちろんこれは司法の決定ではございますけれども、私ども行政不服審査法の運用につきましては、やはりこの高裁の判断というのが重みを持って影響を持つものというふうに考えております。

◯曽根委員 したがって、今の裁判の事例や、それから行政不服審査請求になじまないという都の判断から見て、これは結審が出れば終わりなわけですよ。だからこそ、意見聴取そのほか本当に必要な地元の声を聞く場面をつくるということが東京都に本当に求められているんじゃないでしょうか。私、この経過を見て、やっぱりこれじゃ地元はつぶされてしまうなと思いました。しかし、つぶされた後がまた問題だと思うんですよ。  昨年度、東京都の商工指導所が特別調査というのをやりまして、中小小売業経営における流通規制緩和の影響と経営対応というのを一年間かけて調査をしたんですね。私も勉強させてもらいました。この中にこういう部分が出てくるんですよ。最近、大型店同士の競争が激化して、出店規制が厳しい時代に出店した西友やジャスコなどの量販店の閉鎖が相次いでいる。郊外の効率のよい大型店との競争の結果であるが、多くは市街地の商店街の中や周辺にある店が多く、商店街の衰退に拍車をかけることが危惧される。これは、ことし四月十六日の日経の記事なども引用しながら述べているんですね。  これは要するに、大型店ももうからなくなれば撤退しますよということが今相次いでいる。新しく効率のいい量販店がそう遠くないところにどおんと出てくれば、古くからあった大型店といえども撤退せざるを得ない場面が出てくる。いや、撤退しちゃうんですよ。私はこれは極めて無責任なことだと思うんです。  例えばこの黒潮市場について見ても、最近その撤退が起こっているわけですね。千葉県の富津市で、平成五年十月、ジャスコのスーパーの中に生鮮品のフロアとして出店した黒潮市場が、ことし八月三十一日に撤退したわけです。私、これどうして撤退したのか調べました。そうしたら、富津というのは海辺の町なんです。最初は、ワンパック、一切れ売る、安いし、新鮮だし、小さい単位で売ってくれるということで、物すごい人気が出て、テレビのコマーシャルもばんばんやって、大宮からも車でばんばん買いに来たそうなんです。ところが、だんだん、安いけれどもまずいという話になって、地元の人が買いに行かなくなった。それで、四年を待たずして、売り上げが大幅にダウンして撤退ですよ。しかし、これが出店したときには、三軒ぐらい地元の魚屋さんがつぶれているわけです。こういうふうにして周りのお店をつぶしておいてから、自分もいなくなる。  こういう事態が現に黒潮市場についても起きているので、こういう無責任な商法で大型店の出店を本当に野放しにしていいのかということについて、私は改めて、これは東京都が正面から国に対して、大型店出店に関しては経済規制は必要なんだ、少なくともこれ以上の大規模店舗法の規制緩和はやるべきじゃないという意見を率直にいうべきだと思うんですが、いかがですか。

◯長谷川商工振興部長 ただいま先生からご表明がございましたご意見につきましては、大変貴重なご意見だということで、私ども念頭に置いて対応したいと思いますが、先ほど局長からもご答弁申し上げましたように、この大店法というものもできましてから、数次改正がございましたけれども、二十年余を経過しまして、その後の経済情勢あるいは社会情勢の中で種々ほころびがあるというのも事実かと思います。したがいまして、今後私ども機会をとらえまして、そういった問題を踏まえた意見を国に出していくということで対処したいと思います。

◯曽根委員 東京都は断固として、地元の商業者、それも中小零細で不況で苦しい商業者の立場に立って意見をいってもらいたいということを申し上げておきたいと思うんです。  私は、東京都が、国の機関委任事務だからといって、都民である営業の方々の苦しみを増すようなことに協力させられている場合じゃない、むしろ商店街に対して本当に活性化の支援が今こそ必要だと思うんです。そういうときに、今度の財政健全化計画実施案で、中小企業振興基金を含む果実活用型の基金は見直すというのが出てしまいました。こんなことはやってはいけないというふうに私は思うんです。  簡潔に二点だけお聞きしておきたいんですが、この中小企業振興基金というのは四百億円の原資をもとにしてやっていますね。今、低金利です。それで年間二十億円のいわば果実を生み出して、それでもって運用するという形になっているが、今四百億円銀行に預けたって、二十億円の利子は出ませんね。どうしてやっているのかなと思ったら、一般会計から大半を借りて、五%の利息を払っている。それでもって何とか二十億円近くの財政を生み出しているというふうにお聞きしました。事実上一般会計で支えなきゃ、この低利の時代には果実運用型というのはできないわけですね。私たち、これが発足するときに、これは大事なことだから一般会計でやるべきだといいましたが、そのときに危惧したことが現実の問題となってきたと思うんです。  この見直し方針、実施案に対して、二十億円というのは額としてはまだ不十分でありますが、これは非常に貴重な役割を果たしている、それも法人ではない商店街にとっては大変役に立っている制度ですから、私は守る立場で局は頑張ってほしいと思いますが、お考えをお聞きしたい。

◯鎌形商工計画部長 ただいまご指摘がございましたように、財政健全化計画の実施案で例示をされました中小企業振興基金は、果実活用型の基金ということで、現在の低金利による運用益の減少によって大変厳しい運営を余儀なくされているのが実情でございます。しかし、一方で、基金事業に対する需要も多いこと、さらには、将来にわたる経営環境の変化に伴う中小企業者や商店街などの新しいニーズにも適切にこたえていく必要がございます。こうした観点から、柔軟かつ機動的な基金制度となるよう鋭意検討しているところでございます。

◯曽根委員 頑張ってほしいと思うんですよ。需要は大変多いわけですから。そこで私、基本的には一般会計で支えていく中小企業振興制度に移行していくべきだという立場に立ちながらも、当面いろいろ改善できる道があるんじゃないかと思うんです。例えば助成を決める時期が年に一回しかないと、その計画がだめになった後、その年度は決定できなくて、そこの部分があいてしまう、予算を使い残してしまうというようなことがないように決定時期を複数にするとか、それから、できるだけいろんな業種がなるべく自由にフレキシブルに使えるような形に運用制度を改善するとかあり得ると思うんですが、どうでしょうか。

◯鎌形商工計画部長 中小企業振興基金の運営方法改善の検討に当たりましては、利用者にとってわかりやすく、利用しやすい制度としていくことが中心課題でございます。このため、具体的には、技術開発等、現在細分化されております支援メニューを統合するなどいたしまして、事業内容を大ぐくりにいたしまして、中小企業者にとってわかりやすく利用しやすい制度とすること、もう一つは、ISOなど新しい行政需要の取り組みを積極的に行っていけること、こういった点について検討しているところでございます。

◯曽根委員 こういう検討を今後もぜひ進めていただいて、この基金がむだなく、そして効率よく活用できるように、引き続き存続のために頑張っていただきたいと思うんです。  そういう中で、商店街に対する活性化の支援として、この間実現をしてきました工業集積地域の活性化支援事業、これは我が党もいろいろと具体的な提案もさせていただいて、実現をしてきたもので、大田区や墨田区など次々と手も挙がっている状況ですけれども、これは非常に参考にする必要があると思うんです。  というのは、補助金が非常に大きい、五年のスパンで援助する、それから、どういう補助金を使った事業をやるか、メニューは区市町村が地元の事業者と相談しながら決められる。こういう点では、この商店街振興基金も役に立つんですけれども、単年度であるということや、どうしても枠が狭い。いろんな細かい適用の難しさがある。こういう点では、商店街も商業集積という立場に立って、先ほど局長がお答えになったように、商業集積をどうしていくのかということをまちづくりの観点から考えれば、この工業集積地域活性化支援事業を参考にしながら、商業集積である商店街の新たな支援策をぜひ考えていただきたいと思うんです。これは意見として申し上げておきます。  工業集積の方も、十年度、実は私のおります北区も含めて要望がたくさん出ているのですが、適用を大きく広げるというようなお考えはないでしょうか。

◯鎌形商工計画部長 十年度の指定につきましては、現在、お話の北区を含めまして、幾つかの区や市から申請の動きがあるということは承知をしているところでございます。今後、これらの区や市からの申請を待って、審査機関であります東京都工業集積地域活性化支援協議会に諮りまして、集積の状況、支援事業の有効性、適切性、事業実施のための準備状況などに加えまして、全都的な地域バランスなどを総合的に勘案いたしまして、十年度におきましても引き続き四地域を指定してまいりたい、このように考えております。

◯曽根委員 できれば四地域にとどまらず、もう少し枠を広げていってほしい、こういう事業こそ拡大してほしいというふうに要望しておきたいと思うんです。  先日、北区の経済課長さんにお会いしたり、地元の業者の方にぜひ適用をというお話も伺ってきたんですが、その際北区では、例えば福祉機器とかリサイクル関係の新しい事業とか、北区では最近大手のビール会社の移転が決まりまして、その跡地が出るというものなども活用しながら、何か新しい産業、事業を起こしていく、また製品開発に乗り出していくようなことを官民協力でやっていきたいというお話をしていました。  そういう場合、最終的にネックになるのは、開発した製品の販路なんですね。開発しても売れなきゃしようがないという話がさっきありましたけれども、そういう点で、都が区などと協力して、販路拡大普及という点で協力できることがたくさんあるんじゃないかと思うんですが、この点で、いってみれば支援事業のフォローの部分もぜひ拡充していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

◯鎌形商工計画部長 指定地域となった区におきましては、地域ブランドの育成や新しい製品の需要拡大を目指しまして、見本市への出展等販売促進事業を実施しているところもございます。東京都といたしましては、ご指摘の製品の販路開拓は、物づくりを推進していく上で大変重要な課題であると考えておりまして、このため、これまでも新製品の開発に積極的に取り組む活力ある中小企業者を支援するため、新製品開発展示会だとか中小企業テクノフェア、さらにはインターネットを活用するなどいたしまして、販路開拓の支援に関する事業を実施してきているところでございます。  今後とも、産業貿易センターだとか国際展示場などの活用を含めまして、あらゆる機会をとらえまして、区市町村とも十分に協力しながら、積極的に販路開拓について支援をしてまいりたい、このように考えております。

◯曽根委員 終わります。

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