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97年12月18日行財政改革特別委員会
3セク財政破綻、公共工事のコスト問題(国際フォーラム、多摩川の道路橋)

◯曽根委員 私からは、先ほど報告の資料をいただきました都の監理団体、とりわけ第三セクターの経営状況の評価報告に関連して、何点か初めに質問します。  報告によると、今回評価の対象とした四十七団体の中で、最悪の評価の、厳しい経営状況とされた四団体、これは、すべてテナントビルを管理する第三セクターであって、しかも、このうち三つが臨海関連の第三セクターによって占められている。臨海開発の、特にオフィスビルの建設がいかに間違ったものであるかをまさに象徴していると思います。また、総合評価だけでなくて、例えば資本金とか長期の借入金とか営業収支、補助金、営業原価、販売費、一般管理費、経常収支、職員数や役員などの組織、いろんな角度から分析をされていまして、臨海関連の三セクは、ずっと読むと、細かくいうと二十五回ぐらい名前が出てきますが、どの角度から見ても、ほとんどいい評価はない、全部落第という状況になっているのです。  この報告書の後半の部分に総合評価、いわば通信簿が書かれていて、この臨海関連三セクについて見ますと、まず第一に、テナント賃料の値上げを図るべきだとか、二つ目に管理経費の見直し、特に人件費を減らして経費を節約すべきだとか、不採算部門を切り落としてテナント以外の増収を図るべきなどなどの指摘が共通してされていますけれども、だれが見ても、こんな小手先の手法ではどうにもならない状態だということは、はっきりしていると思います。  テナント賃料の値上げなどは、いってみてもむなしいだけです。なぜならば、臨海部に行かなくたって、今、汐留でも丸の内でも、都心で次々とオフィス開発は続いているんですから。地理的にも不利な条件の臨海部のテナントの賃料に、値上げの交渉の余地があるはずがない。素人だってわかる。入居企業が値上げに応じてくれる余地はないはずであります。  それで、総務局がこの評価報告を出すに当たって、本気で第三セクターの経営を評価するというのであれば、東京都が不動産業に乗り出すという、この臨海の第三セクターの根本的なあり方こそ問題にすべきではなかったのかと思います。現時点に立って、この根本問題についてどういう評価を持っているのかをお聞きしたい。

◯幸田総務局参事 臨海部のお尋ねでございますけれども、臨海部は、通勤問題や住宅問題などさまざま都市問題を抱えた東京の都市構造を多心型に転換していくため、昭和六十三年三月に発表いたしました臨海部副都心開発基本計画に基づきまして、七番目の副都心として建設しているというものでございます。  ご指摘の第三セクターは、この区域内の都市基盤施設の整備や副都心開発の先導的な機能を果たすモデルビルの建設、運営等を、公共性を保ちつつ、民間の持つ資金、人材等を活用して推進する目的で設立したものでございます。

◯曽根委員 そこまでは教科書に書いてあるんですよ。その結果がこういう結果になったことについて、どう評価しているんだと、そこの点をお聞きしているんですよ。抽象的、一般的な評価ではどうしようもないところに来ているんですから。  じゃ、具体的に東京テレポートセンターについて、もう少し突っ込んでお聞きしたいんですけど、今後の経営目標の第一に、テナント賃料の値上げ交渉を行っていくなどと書いてあります。さっきもいいました。そういっている総務局自身が、今、東京テレポートセンター、つまりテレコムセンタービル内に職員研修所を移転させて、テナントを借りているわけです。今、坪幾らで、年間総額幾ら賃料などを払っているのか。そして、この周辺のテナント賃料は今上がっている様子は全くないんですが、ここに書かれているのを見ると、都は値上げ交渉に応じなきゃならないということになりますが、そういう応じる姿勢があるんですか。

◯木内財務局主計部長 株式会社東京テレポートセンター内に入居している職員研修所の賃料のことですけれども、一平方メートル当たり月額六千六百二十円でございまして、年間賃借料は約七億七千八百万円でございます。  また、賃料につきましては、一般的にはオフィス需要の動向であるとか、あるいは近隣のビルの賃料水準、それらと比較した現在の水準との均衡など、総合的に考慮しながら検討されるべきものというふうに理解をいたしております。

◯曽根委員 会計としては当然のお答えだと思いますよ。周りが上がってないんですから、値上げに応じる余地はないわけです。  総務局としては自己矛盾ですよ、完全に。今まで自前の建物にいて、もともと賃料などかからなかったのに、わざわざ移転してやって、年間総額七億八千万のテナント料を払ってやっていること自体が、今、全庁でとっている経費削減という方針にも逆らうものです。都民から見れば、全くのむだ遣い。そんな協力をしてやっているから、こういう自己矛盾に陥って、経営破綻、泥沼に引き込まれることになるんです。  もう一つお聞きしますが、この総合評価の中に、テレポートセンターが、当初の設立趣旨である情報受発信拠点の機能が薄れているという表現がありますが、これはどういう意味ですか。

◯幸田総務局参事 総合評価の中の、機能が薄れておるというお尋ねでございます。  株式会社東京テレポートセンターは、臨海副都心地域におきます情報通信基盤の整備、運営を担う目的で設置されたものでございます。一方、今日の情報通信を取り巻く環境は、著しい技術革新や規制緩和の進展などによりまして大きく変化をしてきており、それに対応して、東京テレポートセンターに求められる情報通信機能のあり方も変化をしてございます。  今後とも、社会経済状況の変化に的確に対応させていく必要があると考えてございます。

◯曽根委員 何か総務局の答弁というのは抽象的な感じがするんですけど、テレポートセンターの基本的なコンセプト、これは、衛星通信の拠点としての機能が集約をされている、こういうかなりコストもかかるインテリジェントビルを建てて、それで、臨海副都心地域におけるとおっしゃいましたが、もともとは東京じゅうの情報の拠点だという位置づけで、町の名前も東京テレポートタウンと前は呼んでいて、今はレインボータウンになっちゃったんですけど、そういうコンセプトで始まったわけですよね。それが、実際にはインターネットとかが普及しちゃって、もう衛星通信というのは相対的に極めて小さい比重になってしまったと。これをつくった意味が、根本的にもう薄れてきたということじゃないですか。  しかも、お聞きしますと、羽田に着陸する航空機に遮られて、パラボラアンテナが、時々電波障害で使い物にならなくなるという話をお聞きしたんですが、それは実態としてどういう状況で、どういう頻度で電波障害が起きているのか。それから、実際このアンテナを使っている企業が、入居企業の中でどれぐらいの割合なのか。二つお聞きします。

◯幸田総務局参事 電波障害のお話でございますが、いわゆるアンテナサイトを利用しております事業者から、航空機が原因と推定されます電波障害が発生しているとの苦情が寄せられているというお話は、伺っております。また、その入居企業数の割合については承知しておりません。

◯曽根委員 航空機がなぜ電波障害を起こすか。私、現場の方へちょっとお聞きしたんですけど、風向きによって起きるそうですね。南風が吹いて、夏場の季節風などのときは──羽田は沖合展開をした後、南風用の滑走路ができて、航空機は東京湾の方からずっと進入してきますが、南風に対しては、追い風で着陸するよりは向かい風で着陸する方が安全だということで、中央防波堤の東端に運輸省の定めた標識があって、そこを通過して、ぐっと円弧を描いて北から羽田に進入すると。その円弧を描いた頂点のところが、ちょうどテレコムセンターのちょっと南側らしいんですね。そうすると、ちょうど南に向かっているパラボラアンテナと衛星通信の角度に、飛行機が目の前で入ってしまうと。  その航空路は、通常五百メートルの幅を守っていれば切らないという話なんですが、非常に接近しているという話を聞きました。何か多いときは、日に何回も電波が切れていると。これじゃ、デジタル通信の時代に、通信が途中で切れちゃったら使い物にならないですよ、一連の通信が。  ですから、この建物をこの場所に建てたこと自体がもう失敗じゃないか、間違いだったんじゃないかといわれても仕方がないところだと思います。これで賃料の値上げどころじゃないと思うんですよ。(「港湾委員会でやれよ」と呼ぶ者あり)第三セクターの問題だからやっているんですが、総務局長、このテレコムセンタービルの建設、こういう評価も出された立場から、これは失敗だったというふうに思いませんか。

◯木宮総務局長 テレポートセンターについてのお尋ねでございますけれども、現在においても、テレポートセンターを設立した意義はあるというふうに考えております。

◯曽根委員 総務局長じゃ全然話になりませんから、財務局長、都の財政を預かる立場から見てどうお思いになるか。私たちは臨海の関連の第三セクターのところに訪問もいたしました。幹部の方にもお話を伺いましたよ。そしたら、東京都の元財務局長で、今、臨海副都心株式会社の社長の花田さん、この方は私たちに、大体東京都のような自治体が不動産業などに手を出したのが間違いなんだと、はっきりみずからおっしゃっているんですよ。財務局長の先輩ですよ。  また、先日、総務委員会でテレコムセンターを視察されたそうですが、飯田橋から移転してがらがらになってしまった青少年センターを見て、これでは共産党が反対するのもわかるなと、ほかの党の議員さんもつぶやいたという話を聞いたんですが、今日の時点に立てば、第三セクターによるテナントビルの管理業、この事業そのものが大きな誤りじゃないか、失敗だ、そして、今後このような過ちは絶対に繰り返してはならないと思うんです。都の財政を預かる財務局長として、こんなやり方はもうやめると、きっぱりと決断できますか。

◯木内財務局主計部長 ただいま総務局長が答弁されたとおりだというのが、財務局主計部としての見解でございます。

◯曽根委員 私は臨海部開発全体のことも問題にしてきましたが、しかし、なかんずくこの第三セクターによる不動産業、これが今焦げついちゃって大変な事態になっているわけですよ。先日の委員会で、私、一問だけ聞きましたが、財務局長自身も、なかなか名案がない、頭が痛い難問だとおっしゃったじゃないですか。今後もこういう事業のやり方を続けるとすれば、難問を次から次と抱えることになりかねないじゃないですか。局長自身のお答えをいただきたい。

◯西念財務局長 先ほど総務局の方からお答えがございましたように、臨海の第三セクターにつきましては、いわゆる都市構造、多心型から始まりまして、第七番目の副都心として築造されていく中での先導的モデルビルとして発足したものでございます。その後の経済環境の影響を厳しく受けまして、非常に苦しい経営状況に置かれておりますが、やはり日本全体、東京全体の問題の影響を受けているわけでございますので、ここ数年をいかに切り抜けていくかということを、今、関係局が集まりまして思案、検討しているわけでございまして、もう少しいろいろな取り組みを工夫していかなければいけない、このように考えております。

◯曽根委員 そんなお答えでは、この先どういう対策が出てくるか、私は大変心配です。東京都は、自治体としてこの際、不動産業からきっぱり足を洗うべきだということを重ねて強調して、次の質問へ移りたいと思います。  我が党は、今述べてきたような第三セクター方式とか、それを組み込んだ大規模開発などの投資的経費のむだ遣いの分野を思い切って削減することこそ行政の改革であって、財政健全化の道だという立場で、この間、東京都の幹線道路計画、臨海副都心開発などについて取り上げてきましたが、私はここで、建築や土木の公共工事について、設計から完成後のメンテナンスに至るまで、トータルでいかに都民の立場から節約できるかについて、幾つか質問をしてみたいと思います。  まず、むだ遣いの公共工事の典型として東京国際フォーラム、これについて触れておきたい。ちょっとパンフレットをもらってきました。この国際フォーラムの建物の建設費については、総額で幾らか。そのうち、上部が上に突き出た温室のような格好をした、ガラス棟といわれているそうですが、この部分の設備を除いた建設の費用については幾らかかったのか、お答えいただきたい。

◯木内財務局主計部長 国際フォーラムの総工事費は約一千六百五十億円、国際フォーラムは二棟、ガラス棟とホール棟で構成されておりますけれども、そのうち、ガラス棟の建設費は四百十六億円でございます。

◯曽根委員 ガラス棟というのは、聞いてみたら会議室が少し入っているだけで、あとはがらんどうですよ。ですから、こちら側にあるホールが大中小と並んでいるものが本体であって、ここは本当にがらんどうなんですね、会議室は少しついていますけれども。それだけで四百十六億円、全体の建設費の四分の一ですよ。いろいろ凝ったコンペもやったということですけれども、非常に割高じゃないか。最近、どういうわけだか雨漏りもしてきたそうですね。もうお話にならないというか、何をかいわんやという状況だと思うんです。私は、今後こういう国際フォーラムの建設のような、必要以上にお金のかかる施設のつくり方は改めるべきじゃないかと思いますが、いかがですか。

◯大西委員 委員長、ちょっと進行について。  先ほどから再三にわたって傍聴席の方からこの討論に対して不規則発言が続いているんですよ。これについては厳重に注意していただきたい。

◯西念財務局長 申すまでもなく、東京国際フォーラムは東京における文化活動や国際交流の新たな拠点となるものであり、意義のあるものであるというように考えてございます。先生ご指摘のように、ホール棟とガラス棟と分けて考えないで、全体で考えていただくのがこのフォーラムではないか、このように思っております。  後段の、むだのない施設をつくることはいうまでもございません。今後は限られた財源の中でございますので、施策の順位を厳選した上で財源を重点的に配分していくというような考え方に立つならば、ご指摘のように、むだな施設というようなものについては、今後当然に取りかかる余裕がない、このようにご理解をいただきたいと思います。

◯曽根委員 私は、必要以上にお金をかけるような施設のつくり方はやめるべきだと。むだな施設という意味が、そういうむだな費用を上積みした施設ということならば、それは当然だと思います。最近、財務局が専門家にもお願いをして、公共建築コストについての検討委員会の答申が出されて、取り組みが始まっているというふうに聞いていますが、どういったことを検討されているのか、具体的な検討項目をお示しいただきたい。

◯木内財務局主計部長 コストの縮減については、例えば何項目かの項目に大きく分かれておりますけれども、経済性を考慮した設計の推進というようなこともございまして、その中でオーダー製品の使用の自粛、標準品あるいは規格品の積極的な採用というようなこと、すなわちオーダーの製品は既製品に対して一般的にも割高といわれており、既製品をなるべく採用していこうというような考え方、さらには、維持管理しやすいようなメンテナンスに重点を置いたような設計といいますか、そんなことを進めていこうというようなことについて、それぞれ建築工事についてのコストの縮減の取り組みを行い、それを既に九年度予算の中で実施しているものでございます。

◯曽根委員 先ほど皆さんに資料をお配りさせていただきました。今ご答弁があったのは、この資料だ思うんですけれども、ここに九項目出ています。私、ちょっとパネルも持ってきたんで、せっかくだから労作を見ていただきたいんですけど、見えにくいと思って資料も加えさせていただきました。同じものです。  例えば、二番目にある「計画面積の厳守」、留意する内容を読みますと、設計者によっては計画面積をオーバーした設計を行ってしまうケースがあると。それがなぜ是正できないかというと、設計者が極めて有名な方で、東京都がちょっと文句をいえない、いいにくい、すると、そのままオーバーしてでき上がってしまうという場合があったりする。これは、まさにこのフォーラムの、何とおっしゃいましたか、コンペをやって当選した方、ラファエル・ビニオリという方のことをいっているんじゃないかと思われるような……。  それから、「明快な平面計画」というのが三番目に出てきますが、要するに、建物というのは真四角の建物というのが一番コストはかからないんだ。これに一番反しているのが、これなんです。  それから第四に、「華美な仕上材の使用自粛」、これは都庁でも大変話題になりましたが、石材などを壁に縦に使うといかに費用がかかるか。フォーラムも、ここに書かれているように、凝った金属の加工をした壁を使うとかいうのは、非常にコストがかかる。  私、どの項目を見ても、吹き抜け空間の採用の自粛とか、オーダー製品の使用自粛、要するにオーダーの塊のような東京国際フォーラムのやり方を、こういう形で見直すということでつくったのかなと思われるぐらい、ぴったり合うんです。それで、ちょっとつくってみたんですけど、フォーラムの建物。明快な平面計画に反しているもの、吹き抜け空間の採用自粛に反しているもの、メンテナンスの費用のかかるこういうガラス棟、華美な仕上げ材の使用、そして見積もり単価が厳選されていないオーダー製品はたくさん使っている、ほとんどオーダーの塊といってもいいですよね。  この見直し、検討項目というのは、都庁もありますけれども、結局、こういうやり方を変えるためにつくったんじゃないですか。この点について、私はこれぴったり合っていると思うんですが、いかがでしょうか。

◯木内財務局主計部長 平成八年三月に、この公共建築物のコストについての検討委員会から報告が出されておりますけれども、それら検討の結果、検討委員会の報告というのは、東京都が行う建築工事すべてについての考え方を示したものであって、今おっしゃるように、殊さら特別の建物についてのみ申したものではございません。そうした観点から、先ほど答弁申し上げましたように、九年度予算の中におきまして、建築工事全般についてのこうした答申の考え方に沿ってコストの縮減を行ったものでございます。

◯曽根委員 それで、こういう取り組みをやりまして、昨年度から始まっているそうですが、今年度予算の中でどの程度成果が上がったんでしょうか。数字で出ていれば、教えていただきたいんですが。

◯木内財務局主計部長 九年度の執行分につきましては、建築費が施行額約百三十七億円でございまして、そのうちコスト縮減によりまして二十五億円を縮減したものでございます。

◯曽根委員 二〇%近い縮減がされていると。やれば、かなりできるんだなということはいえますが、今までの東京都の建物がこういう傾向があった、私は、そのうちの一つが、まさに典型が国際フォーラムだと思っていますが、いずれにしても、これはやり方を改善することによって、去年からことしの取り組みだけでも二割近く縮減できた、もっと頑張れるんじゃないかと思うんです。  例えば、私の地元北区には、国際フォーラムと同じようなホールや会議室などを持つ多目的な施設として、北トピアというのがあるんです。規模を比べますと、大ホール、中ホールの座席数の合計で東京フォーラムは北トピアの三・八倍、敷地面積でいうと三・九倍、延べ床面積では四・一倍、会議室で三倍と、機能からいうと東京国際フォーラムを四分の一ぐらいに縮小したのが北区の北トピアです。同じような機能を持っているんです。しかし、建設費については九・二倍なんですよ。座席一つ当たりのコストを見ると二・五倍かかっているんです、国際フォーラムは。  ですから、やっぱり今までの東京都の建物のつくり方、特に大型の箱物、この考え方をやめないと、本当にむだ遣いが改まらない。これが意義があるなんていっているようじゃ、だめだと思うんですよ。改めてこの努力を求めておきたいと思うんですが、東京都の決意をもう一度お伺いしたいと思う。

◯木内財務局主計部長 引き続き、建築コストの縮減に努力をしていきたいというふうに考えております。    〔発言する者あり〕

◯曽根委員 一々合いの手が入るんでやりにくいんですけれども、一方で建築コストも大変ですけれども、東京都の公共工事の多くの部分を占めているのは土木工事なんですね。私は、この土木の公共工事についても、相当コストの縮減が必要だろうというふうに思うんです。建設局の方から先日、土木のコスト縮減の行動指針というか方針が出されまして、来年度予算で三%の縮減を見積もり要求で出しています。建設局にお聞きしますと、もうこれで技術的にやれることは全部大体出したと、縮減できるコスト、減らせる方法は。これ以上の縮減は難しいなどとおっしゃっていました。  しかし、それに先立って国の方からも出ているんですね。公共工事コスト縮減対策に関する行動計画、ことしの四月に建設省から出されています。それから、それに基づく中間報告も六月に出されている。これを見ますと、国の方は三年がかりで、平成十一年、つまり九九年度の末までに公共工事について一〇%の縮減を目標にすべきだというふうに提起しているわけです。国でさえ一〇%の目標を提起しているのに、東京都が三%で、もうあとは余りできませんというんじゃ、お話にならないと思うんですが、いかがですか。

◯木内財務局主計部長 土木関係の工事につきましては、本年の十月に土木関係の各局の職員をメンバーとする検討会を設け、その中で、十年度に実現可能なものということで具体的な積算を行いまして、その結果、十年度における削減目標を三%と設定したものでございます。十一年度以降につきましても、引き続きそうしたコストの縮減のための取り組みを継続、拡大していくことによって、国として定めたそうした目標も達成するよう、最大限努力をしていきたいというふうに思っております。  なお、国の目標値の一〇%というのは、三カ年によって行うということで設定された数値でございます。

◯曽根委員 そうしますと、建設局は余りもうやることないよといっているんですが、財務局としては、これは東京都の財政を預かっているんですから、まだ来年度以降もやれる余地がある、そのために建設局にも強力に働きかけていただきたい。建設局がなぜもう余地が余りないといっているかというと、土木の分野が、公共建築よりも設計や工事方法の選択の幅が小さいというふうにいっているんですが、私はそんなことはないと思うんですよ。  そこで、具体的な例として、土木の分野にあります橋梁のコスト低減の問題について、ちょっと質問したいと思うんです。というのは、最近、道路橋で斜張橋というのがふえていまして、私も調べてみたんですが、特に今、多摩川の中流域で盛んに橋をかけているんですね。具体的にちょっと比べてみたいんですが、現在建設中の橋梁で府中四谷橋というのがあります。それから多摩水道橋、どちらもまだ工事中です。これを比較してみると、どちらも完成すれば片側二車線、両側で四車線のかなり大きな橋になりますが、それぞれの事業費はどれぐらいなのか、それから一メートル当たりの建設費はどれぐらいになるんでしょうか。

◯木内財務局主計部長 建設局によりますと、橋梁の形式というのは、その地域における地形であるとか地勢、あるいは河川でありますので、河川敷に植物であるとか貴重な動植物、あるいは野鳥であるとか、そういう環境面ということも最近では大きな課題になっているやに聞いております。そうした環境、地形等々によって橋の形式は定まるものであって、橋の形式そのものによって価格も大きく変動するというふうに聞いております。したがって、それぞれの価格が云々することをもって、あちらが安い、こちらが高いということは適切ではないと考えております。

◯曽根委員 その前置きはわかるんですけど、金額の方はいかがなんですか。

◯木内財務局主計部長 府中四谷橋は事業費が約百四億円でございまして、申しわけありませんけれども、多摩水道橋については手元に事業費がございません。

◯曽根委員 財務局は、これ契約しているんでしょう。それなのに、ちょっと余りにも──それに事前に私、これをお聞きすると通告もしているんですから、ちゃんと調べておいてほしいんですが、府中四谷橋で百四億円というのは、議会にかかった分だけですよ。議会にかかっていない契約もあるわけで、百五十億円というのが総事業費です。財務局が契約しているんですからね。それから、多摩水道橋が第一期工事が終わって今半分できているんですが、同じものを残り半分つくるんで、合計で九十億円だそうですよ。しようがない、私いいますけど、一メートル当たりの金額にすると、府中四谷橋が四百四十六メートルですから、一メートル当たり三千三百六十万円、これに対して多摩水道橋は三百六十メートルありますので、九十億円を割ると一メートル当たり二千五百十万円なんですよ。三四%違うわけです。  それで今、自然環境を配慮しなきゃならないとか、いろいろおっしゃっていたんですが、私このパンフレットをもらったんですけど、多摩水道橋というのは、よく見かけるアーチ橋です。標準的なアーチ橋だと思う。それに対して府中四谷橋というのは、私も見てびっくりしたんですけど、斜張橋の、まあ都内で一番大きいんじゃないですかね。見る人が見ればかっこいいというらしいんですけど、この橋脚の間の距離が二百六十メートルあるそうです。恐らく都内で一番橋脚の間が広いでしょうね。この真ん中の部分を引っ張り上げるためにワイヤーで持ち上げるわけですけれども、そのためにコストが上がっているわけです。これ写真だけじゃわかりませんが、この橋脚の下には、直径が二十メートル近く、また深さ四十メートルぐらいのコンクリートの塊が地面の中に入っているわけです。それでもってこの支柱を支えている。技術的には非常に高いものでしょう。しかし、物すごいコストがかかるんですよ。このワイヤー一本だけでも億の単位です。  じゃ、これが本当に橋脚の間をあけて自然環境を守らなきゃならない橋なのか、専門家の方にいろいろお聞きしましたけど、そんな必要はないと。だって、真ん中の下は中州の地面なんですから、足が立てられない場所じゃないんですよ。これ、足一本立てるだけでも斜張橋は必要なくなるんですから。だれが見たって、技術屋さんの、はっきりいえばデザインの凝り過ぎじゃないのかなと。しかし、そのために三四%もコストが上乗せされているわけですから、こういうやり方は、さっき何かお答えありましたけど、私は──個性を持たせるのはいいですよ、しかし、費用に差のない形で個性を出す方法は幾らでもあるんじゃないかと思うんです。その点、もう一度お聞きしますが、いかがですか。

◯木内財務局主計部長 それぞれの橋には、それぞれの機能、あるいはその地域における考え方といいますか、そんなことがあって、それぞれ所管局において適切な施行を行われたものというふうに理解しております。しかしながら、そうした中にあってもコストの縮減を図ることは、東京都として、あるいは社会的な命題でございますので、財務局としても、コストの縮減に向けてさらなる努力を重ねていきたいと考えております。

◯曽根委員 そのように努力をしていただきたいと思うのです。建設省のマニュアルを見ますと、こうした技術的、ハード的な面のコストの削減だけじゃなくて、もっとソフトの分野、例えば入札とか契約のやり方とか、それから、いわゆる丸投げの防止とか、そういうソフトの分野でも改善を行うことによって、土木の公共工事のコストの削減は相当できるというふうに提言されています。  私にも幾つか相談があったので、一つだけ紹介しますと、例えば残堀川という、これは瑞穂町にあるんですけれども、河川整備工事で矢板を打ち込む、そのくいの工事を請け負った元請から、間に、明らかにペーパーカンパニーと思われる企業が二段階入って、実際に現場で仕事をした下請の方が、途中に入ったその業者が倒産したためにお金が来なくなったという訴えがありまして、建設局さんにもお願いして調べてもらったりしました。結局、ごくわずかな金額で和解をせざるを得なかったわけですけれども、もともとは九百万円以上で出された工事の発注額が、一番現場でやっている業者の方には四百万円ちょっとしか行かないという実態を、私もそのとき知りました。  建設省のこのマニュアルの中には、こういうペーパーカンパニーなど不適格業者の参入をもたらす要因が契約のやり方の中にないのか、よく調べる、そして適正な競争を妨げるような、また、真面目に努力して技術力を向上させようとする優良な建設業者の意欲をそぐようなやり方を改善する必要があるということを、はっきり述べている。したがって、建設局は余りそういうところに力を入れていないように私は思うんですが、この点は、やはりコストを縮減していく上で重要な分野だと思いますので、ぜひこれは契約のプロである財務局さんに努力をお願いしたいと思うんですが、いかがでしょうか。

◯西念財務局長 建設コストの削減への取り組みについては、曽根先生おっしゃるとおりだというふうに私の方も踏まえてございます。したがいまして、今後の最大の課題の一つとして、コスト削減に、建築物、土木工事、両方とも取り組んでいきたいと思っております。先ほど主計部長からお答え申し上げましたように、国は三年間で一〇%、一応うちの方は土木工事三%という数字が出ましたが、その後、引き続き国に準じた取り組みをしたいというように思っております。特に、契約等のソフトの面のご指摘もいただきました。国においては文化財調査の合理的進め方といいますか、こういう細かいことにまで指摘がされておりますので、当然に国の取り組んでいる状況も十分に見習いながら、東京都独自の施策も出しながらコスト削減に取り組んでまいります。

◯曽根委員 ぜひ努力をしていただきたい。私は国が出している一〇%に準ずる必要はないというふうに思うんです。もっとやれるということを強調しておきたいと思います。  それから、このコスト縮減とあわせて、例えば中央環状新宿線の未着工部分とか、臨海関連道路とか、住民の反対や、開発が行き詰まっているところについては、無理やり事業を進めるのでなくて、当面凍結するなどの措置をとるべきだ。それから、今後の道路などの土木事業は、単独事業から国の補助事業に重点を移すことなどが必要だということを強調しておきたいと思います。そうしますと、この間──東京都が、例えば今焦点が当たっているシルバーパス、マル福、マル障、これら三事業を現行制度で存続すると、二〇〇五年までには九百億円ぐらい足りなくなると盛んに宣伝していますが、それぐらいの財源は十分に確保できるわけです。  私は、こういう点からも、投資的経費の浪費の部分を徹底見直しすることで都民の福祉の充実を図ることを求めて、質問を終わります。

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