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総務委員会97年3月6日

 都区財政調整の問題解明、都と区の協議を要求

 

◯曽根委員 私からは、平成八年度の都区財調の再算定に関連しまして何点かお聞きしたいと思います。

  今回の再算定は、基準財政収入額、特に区民税などがことしもまた落ち込んだ反面、調整三税、東京都が徴収している税金が若干伸びたということで調整が行われるわけですが、それにしても、この間数年にわたって、都区合意がなかなか実らない。特に都区財調の事業の内容について、見直しによる削減、また繰り延べ措置という、これまでになかった問題が繰り返し出てきているわけです。

一部のマスコミでは、都区間の財政戦争が行われているとも書かれています。

  そこでお聞きしたいのですが、九年度の財調について区側からどういう要望が出されているのか、この点についてお聞きしたいと思います。

 

◯今村行政部長 九年度財政調整の特別区要望事項には、大きなものが四項目ございます。

第一に、税制改革が与える影響額に対する確実な財源措置、第二に、災害対策、高齢福祉対策等緊急かつ必要な事業の的確な算定、第三に、改築経費等、平成四年度以降行った繰り延べ措置の早期復元、第四に、需要額の見直しは従来の算定経緯、基準的な経費の整合性、計画性に留意してほしいというものでございます。

また、そのほか、新規事業の算入や積算内容の充実では五十八項目の要望がなされております。

 

◯曽根委員 この算定の見直しに当たっては、必要な事業について的確に算定してほしいという要望があえて出されていることや、それから、繰り延べ措置については早期に復元をせよというのが区側の要望の中に入っているわけです。

このことはまた区議会の方でも各区で論議をされていると思いますが、この一年の間に、財調に関する区議会で出された意見書、何区で採択をされ、どういう内容になっているかをお示しいただきたいと思います。

 

◯今村行政部長 最近の区議会の財調に関する意見書等は、区要望事業の積極的算入、算定見直しの取りやめ、繰り延べ措置の復元等でございまして、このために調整率を引き上げるという内容でございます。

現在、十八区から意見書を知事あてに送付いただいております。

 

◯曽根委員 区長会も、また区議会でも、大半の区でこうした要望が強く出されているわけです。問題は、東京都がこれにきちんとこたえようとしているかどうかという問題です。今度の九年度でもやはり算定の繰り延べが行われようとしていますけれども、どういう事業で、それから、その額は幾らぐらいになるのでしょうか。

 

◯今村行政部長 金額は推計値で、あくまで参考でございますが、算定方法を見直す事業は、お手元の要求資料でお示ししたとおり、第一に標準職員数四千四十二人でございますが、三百十五億円、第二に特別養護老人ホームの運営費で六十五億円、都税徴収費取扱費で六十一億円、合計で四百四十一億円程度でございます。

  失礼いたしました。繰り延べ事業で申しますと、これも推計値でございますが、元利償還金の元金千八百九十六億円、改築経費、二分の一相当でございますが、二百八十二億円、第三に大規模改修経費、これが四百七億円、合計で二千五百九十五億円でございます。

 

◯曽根委員 繰り延べのことをお聞きしたら、見直しの内容が先に出たんですけれども、算定の見直しで四百四十億円余り、それから、繰り延べでもって二千五百九十五億円という金額で、これは合計しますと、実際に調整率に換算すると何%分ぐらいになるのでしょうか。

 

◯今村行政部長 九年度の算定見直しと繰り延べの合計額は、先ほど申しましたものを合計しまして、三千三十七億円と推計されております。九年度の調整三税は一兆六千二百三十八億円でございますから、これで割りますと、一八・七%となります。現行調整率が四四%でございますが、単純に合計いたしますと六二・七%ということになります。

 

◯曽根委員 現行四四%の財源の中でやりくりをつけている財調ですけれども、実際には、これまで都と区の間で積み上げてきた単位費用化のルールや、事業の新規算入のものを前進の方向で積み上げていくならば、当然六二・七%の調整率にしなければつじつまが合わないというところまで来ているわけです。

つまり、一八・七%の差がある。これでは、区側から調整率を引き上げてほしいという声が出るのは、ある意味で当然だと思うのです。

  それで、今回の繰り延べの措置ですが、先ほど、平成四年度から始まっているというふうに話がありました。これまで、九年度までというと、もう六年ぐらいになりますか、全部累積すると、見直し、繰り延べでどれぐらいの金額になるのでしょうか。

 

◯今村行政部長 平成四年度以来繰り延べてきた、あくまでも推計金額でございますけれども、算定の見直しで四千九百八十八億円、繰り延べが一兆一千五百二十八億円でございまして、合計で一兆六千五百十六億円でございます。

 

◯曽根委員 一兆六千五百億、途方もない金額になっているわけです。本来ならば、財調はその単年度ごとに解決していかなければならない問題ですが、それをずるずると引き延ばしていたために、都区間のいわばお金の面での認識の違いがここにあらわれているわけですよ。一兆六千億ですよ。

  これをどうやって解決するのかという問題で──私は、繰り延べ措置というのは、本来、財調制度にはあるはずのない問題だと思うんですね。しかも、算定の見直しというのは別に行われているわけで、これはその年ごとに算定の方法を見直して、これも削減をされているのですが、そのほかに繰り延べが別にあると。この違いというのはどういうことなんでしょうか。

 

◯今村行政部長 いわゆる算定の見直しというのは、毎年度の都区協議によりまして、算定方法の見直しの一環として、その年度には当該需要を算定しないことで区側と合意しているものでございます。しかしながら、算定方法の見直しのうち、第一に元利償還金、第二に改築経費、第三に大規模改修経費につきましては、税収が回復次第、従前と同様な算定方法で復元いたしますという意味で、繰り延べと称しております。他の算定方法の見直し事項とは便宜的に区別しているものでございます。

 

◯曽根委員 繰り延べが、ほかの事業の見直しと同じならば、区側から復元の要求が出るはずがないわけで、これは明らかに都側の財政事情でもって、本来、ルールからいえば出さなければならないものを、待ってくれ、税収が回復するまでということで抑えられているもので、そういう意味で見直しと区別がされているんだろうと思うんです。

  私は、本来、財調制度の特徴である総額補てん主義、つまり、区の財政需要に満たない分は、不足額は、借り入れなどを行って、もしくは調整率を変更して、財源を補てんする、総額を保障するという考え方に基づけば、当然補てんをされなければならない金額だと思うんです。

それから、必要な根本的解決としての調整率の変更ということも、引き上げということも行われなければならないはずですが、この点では東京都はどういう考えをお持ちですか。

 

◯今村行政部長 財調の総額補てんの制度につきましては、都と区と少し意見を異にしております。区側の多くの方々は、一度都区で合意し算定することとした需要は基準的な需要なのだから見直してはいけないんだと、その需要額を算定するために必要な交付金は、一般会計借り入れや調整率の引き上げによって都がいつも全額を保障すべきだという理解を区側がしているわけです。しかしながら、都側は、財調における基準的な需要といえども、社会経済状況の変化や税収動向によって適切な見直しが必要と考えておるわけでございます。

  そうした観点から、当該年度に算定すべき基準的な需要については、毎年度区側と十分協議を行いまして、その結果、厳しいやりとりはございますが、調整率の変更を行わないことで都区が合意しているものでございます。

 

◯曽根委員 私は、財調の制度が総額補てん主義を掲げている以上は、都区間で繰り延べという措置が起こるというような事態はあり得ないはずだし、起こるとすれば、そこは総額補てん主義で埋めていかなければならない、これが区側のいっている主張だし、当然筋が通っていると思うんです。

  問題は、私が聞いているところでは、都が区に対して、区側に多額の基金があるじゃないか、それに対して東京都の方は基金も底をついてきて苦しいんだと、つまり、都に比べて財源的に余裕があるから調整率をいじる必要がないというような主張をしているというふうに聞いているんですが、こういうことだと、都の財政事情を区側に押しつけるということになってしまうんじゃないでしょうか。いかがですか。

 

◯今村行政部長 繰り返しになりますけれども、毎年度の都区財調のフレームは、特別区の基準的な需要の内容、水準及び算定方法の見直し等について、区側と財政調整協議会や都区協議会を通じまして十分に協議、策定しております。その結果、各年度とも、財調上は財源不足が生じないこととなっております。

したがいまして、調整率の変更に至らなかったものでございます。

  したがいまして、区の基金額や、あるいは財政事情は、区の自主的な財政運営にかかわるものでございまして、調整率の問題とは直接関係がないものと私どもは理解しております。

 

◯曽根委員 当然だと思います。区の財政事情や都の財政事情との比較によって、この財政調整の問題を論じてはならない。私が聞いているところでは、これは公式の場ではもちろんですが、非公式の場でも話に出ているということなので、これは今後はあり得ないということを確認しておきたいと思いますが、いかがですか。

 

◯今村行政部長 基金額、財政事情等とは財調協議は関係ございません。

 

◯曽根委員 わかりました。それだと、繰り延べをしている根拠が、その財政事情というのは一体どこにあるのかということになってくると思うんです。

 それで、特にバブル期に財調の財源が大きく膨らみました。このときに、都と区の間の協議によって、当初の算定、それから年度末の再算定によってかなりの金額が、いろいろな事業がついた、新しい需要が入ったわけです。このときに、実は多額の基金が区側に積み込まれたというふうにいわれています。

  そこで、このバブル期を挟んでの特別区での基金の推移、いつごろふえて、その後どうなっているのか、現在どうなのか、それから、これに対して東京都の基金の推移、それを両方お示しいただきたい。

 

◯今村行政部長 区の基金が増加いたしました時期は、特別区民税も好調で、財調財源にも余裕がありまして、新規の区民施設の算入、改築経費等の単位費用化、都市基盤基金の算入等を行ったりした時期でございまして、区の基金残高は平成三年度まで増加しておりまして、九千九百十億円がピークとなっております。

平成四年度以降は基金残高が減少しておりまして、七年度末現在、七千三百三億円となっております。ピーク時から二千六百七億円減少しております。

  一方、都の基金残高は平成元年度まで増加しておりまして、一兆一千八百二十五億円がピークとなっております。平成二年度以降は基金残高が減少しておりまして、七年度末現在、七千三百九億円となっております。ピーク時からいたしまして、四千五百億円程度減少しております。

 

◯曽根委員 これを見ますと、奇妙な一致といいますか、現在の区の持っている基金の総額七千三百三億と東京都の基金の残額七千三百九億は極めて酷似しているわけです。しかし、ピーク時は東京都の方が多かったんです。調整三税というのはバブルの影響を非常に受けて膨らんだわけですけれども、それを四四%と五六%で分けたと。

東京都の方もかなりこの時期に基金を積みましたが、私たちにいわせると、大変な浪費的な投資によって、臨海開発そのほかで使って、もう底をついてくるというふうになっているわけです。

ところが区側には割と残っている。このことは財調上の協議の根拠にならないということは先ほど確認しました。  それにしても、このバブル期に、私、当時区議会にいたんですが、財調で、年度末に再算定で、区側にとってはかなり大きな財源が入ってくるわけです。

使い道も、年度末ですから、もう決められない時期に入ってくるんです。これが基金に積まれたという実態を私も見てきたんです。こういう実態について東京都は正確に認識をしておられるでしょうか。

 

◯今村行政部長 区の基金が増加した時期は、区税が大変好調な時期でもございました。財源的にも、財調でも多分に余裕がございまして、先生ご指摘のとおり、そうした状況があったかもわかりません。

しかし、それは各区の財政運営上の判断でございまして、直接財調との関連があるかどうかは明らかではございません。

 

◯曽根委員 実態は、区に行けばはっきりしているんですよ。

  それで、この時期に実際には基金に積み込まれたお金が区側でどういうふうに使われたかというと、例えば区役所を大変な金額で建てかえたところもあります。それから、大規模な施設を建設するのに、普通ならば起債をして長期に返済をしていくわけですが、お金があるということで、繰り上げ償還をしてしまって、短期でもって返済してしまうというようなことも行われました。そういう形でかなり使われたわけです。

それでも区側には残っているんですが、東京都はもっとひどい使い方をしたと私は思うんですけれども、こういう時期に使うべき財調の財源の使い方という点で、実際にバブル期に膨らんだときの新しい事業、先ほどの部長の説明では、かなり投資的経費によって大きくなったと、その元利償還分を現在繰り延べているというお話がありましたが、この時期に財調の膨らんだ分をつぎ込んだ主な投資的な事業というのはどういうものがあるでしょうか。

 

◯今村行政部長 バブル期に算入しました事業の一例を挙げますと、昭和六十年に義務教育施設大規模改修経費の単位費用化で千二百八十二億円、昭和六十二年に義務教育校舎改築経費の単位費用化でこれも一千六百六十二億円、それから昭和六十三年、商工振興センター算入で六百億円、平成二年度、総合防災センター算入で九百八億円等々多数に上っておりまして、現在までの総事業費で申しますと、二兆二千億円を超えるものとなっております。

 

◯曽根委員 全部これは投資的経費で、大型施設それから学校などの義務教育施設の将来の改修経費などを積み上げたわけですよね。こういう形で財調に算入された財源が、その後の償還分ですね、このとき算入はされたが、当初のイニシアルコストについて算入をして、後の償還は十カ年でやると。

その十カ年分を今待ってくれと、繰り延べで、こうなっているわけですね。この盛り込まれた事業を、その事業の名目どおりに区が実施したとすると、最初の費用は財調で当時出たけれども、その後十カ年で償還をしたとすると、今になって繰り延べということになると、償還分が財調から入ってこないということになって、正直にこの事業の名目どおりやるとすると、区が大変な財源不足になるということに、これだとなるんじゃないでしょうか。

 

◯今村行政部長 先生ご指摘のとおり、財調の投資的事業では、新規事業として算入した年度には総事業費の二五%を算定いたしまして、残りの七五%は起債に充当しております。

この起債部分は、翌年度以降十カ年分割で元利償還金を算定するというのがルールでございます。これらの元利償還金を、現在、繰り延べ措置として、十年目の満期が来た時点で一括して算定しておるわけでございます。

ただ、財調交付金は補助金ではございませんので、財調上の繰り延べ措置が区の実際の事業執行の有無に直結しているわけではないと思います。

バブル期に算入した事業は、その当時には施設を建設しないで基金の積み立てに回されたと先生おっしゃいました。そういうこともあったと思います。

それから、施設を建設した場合でも起債をしなかったりしたものもございます。元利償還金の繰り延べ措置がそのまま区の施設建設の中止等、影響を及ぼすものとは、直ちにつながるものとは思っておりません。

 

◯曽根委員 私、ちょっといろいろと今お聞きしましたが、今の財調制度そして都区間の協議の持っている問題点がここにあらわれていると思うんですよ。

つまり、財源が膨らんだということで盛り込まれた経費は投資的経費、一時的に済ませる経費という形で盛り込んだ。

それにしても十年間償還が引きずると。ところが、区側はそれをそのとおりに使っていなくて、基金に積んだり区庁舎を建てかえたりしている。繰り上げ償還に使ったりしている。後でもって名目上の返済の時期が来れば、東京都側は、どうせこれこのとおりに使ってないんだから、償還分は実際には区側には影響ないんじゃないかといって、それにストップをかけると。

  私は、このバブルの時期にそれでは二十三区の区民がどういう行政需要を持っていたのか、何を区に求めていたのかという点が、この都区間の協議ではほとんど反映されていないと思うんですよ、この問題を通じて。

  例えば一例を挙げますと、私調べてみたんですが、一九八五年バブルが始まったころから一九九〇年バブルが終わりかけているころ、五年間の間に、私が住んでおります北区では、二十代の人口が急減したんですよ。

二十五歳から二十九歳までの人口の合計二万七千三百三十八人、これは八五年当時。これが九〇年になると二万二千六百五十二人に減るわけです。

わずか五年間の間に、この年齢層の──九〇年には三十歳から三十四歳になっていますが、人口の約二割が区外に流出している。

これだけの流出というのはかつてない事態で、この二割の流出というのが──その区外に出ざるを得なかった方々が、何の原因で出ることになったのかということを調べてみると、ほとんどが住宅問題なんです。都内で住宅が得られなくなった、買えなくなった、賃貸住宅も住める家賃のものがなくなったということで出ざるを得なかった。

これがその後、現在では、三十代、四十代の働き盛りの年齢の人口が大きく陥没しているという事態になって、二十三区、特に周辺区などを苦しめているわけなんです。

  区財政の収入も、これが一つの原因となって大きく落ち込んでいるというふうにいわれているわけです。

私は、本来ならば、このときに、財調の財源が大きくなったのならば、バブルで被害を受けている住宅問題で、区民にきちんとやはりこの財源を活用すべきだったのじゃないかと。

このことは当時区議会でも主張したことがありますが、たしか、二十三区側からの、特別区側からの要望として、今、住宅対策についての要望が出されていると思うんですが、これについて都側はなぜ財調に算入しないのか、この点をお聞きしたい。

 

◯今村行政部長 財調算定上、現在、住宅関連事業につきましては、公営住宅の募集事務等のみを算定しております。

  確かに、先生おっしゃるとおり、区側の要望として、住宅対策推進のため、中堅所得層向けの民間賃貸住宅の整備費助成事業及び住宅借り上げ事業について算入してほしいという要望を受けてはおります。ただ、今年度は具体的な協議には至りませんでした。

  ご指摘の点につきましては、区の住宅事業の実施状況であるとか、あるいは財調の財源状況等を勘案して、今後、区側と十分協議してまいりたいと考えております。

 

◯曽根委員 そのときそのときに経済事情も変わり、それによって区民も生活上の影響を受けますよ。それを正確に行政に反映していかなければ、こういう事態になると思うんです。

前から要望されていた住宅問題などについては、やっと今、区側が取り組み始めたという状況で、取り組みが遅かったんですよ。私にいわせると、六、七年遅いんです。

だから、その前に二十代、三十代が大きく流出してしまった。

こういう問題について、本当に区民が何を求めているのか、行政需要として、これを正確につかんで、それを財調に算入していくという協議のあり方が、これから四年後にいよいよ区が独立するという中での新たな財調の発展の上で、どうしても盛り込んでいかなければならない課題だと思うんです。

  昨年、我が党の木村議員が、財調の再算定に関連して保育料の値上げが行われようとしているじゃないかというふうに質問したときに、今村部長は、いや、これは財調上の計算だけであって、東京都は、別に区が値上げをしてほしいといっているわけじゃないといいましたけれども、現に去年の算定見直しによって、ことし一斉に二十三区、保育料値上げが出てきてしまっているわけです。

こういうふうに結局は区民のところに、最後に、財源が足りなくなるとしわ寄せするという財調の仕組みじゃ、やはり私はまずいと思うんです。

  行政間の財源の分捕り合いではないと、財調の財源というものは、二十三区に住んでいる区民のために、福祉や健康や安全の保持のために、自治法の精神に基づいて使われなければならない財源なんで、こういう方向で考えるならば、今日、防災問題や住宅問題、それからもう高齢化社会に対応しなければならない財源などで、区側に現に新たに財源が必要になっているし、保育料なんかはもう値上げしなきゃならないところまで区側が行っているわけですから、そういうところの補てんも考えて、調整率の引き上げはもう避けられないだろうと思います。

  そういう点で、東京都は区と誠実に協議をしていくべきだと考えますが、これは局長の決意をお聞きしたいと思います。

 

◯渡辺総務局長 財調の繰り延べとか見直しに関しまして、いろいろご議論をいただきました。  先生のお話のように、最終的には、都民生活をどう向上させていくかという観点からこの制度を生かしていくということは、おっしゃるとおりだと思います。

  ただいま部長からも申し上げましたように、都区双方、ここ数年大変厳しいやりとりの中で、この財調協議を進めております。お互いに、区の主張、都の主張いろいろ交えながら、最終的には、知事と区長会、役員会の都区協議会で合意をいただいて進めてきたところでございます。

  今後も、このバブルのような税収が期待できないというような状況にありますので、都と区それぞれが自立的、自主的な団体であるという認識のもとに、それぞれの行財政改革等に取り組みながら、都民のために最大限この制度を活用するという観点から、ただいまいろいろご意見をいただきました、繰り延べ、見直し等の問題につきましても、その解決に向けて努力をしてまいります。

 

◯曽根委員 最後に意見を申し上げておきたいんですが、今、局長もおっしゃいましたように、バブルの時期ほどの税収は見込めない中で、それでは、今の財源、本当に都民、二十三区の財調の場合は区民のために、どこにどう使うのが一番正しいのかということについて、本当に議論ができるような場をつくっていっていただきたい。

しかし、そういう状況にはなっていないというのが、都区間の認識の差として今日あらわれている。

 

区側からの要望が強く出されている問題は解決されておりませんので、私たちは、今回出されている再算定の議案である第三十三号議案、第百十八号議案の都区財調の補正、それからこの財源を繰り出すための第百十七号、一般会計の補正については反対の意見であることを最後に表明しておきたいと思います。

 

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