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98年2月4日行財政改革特別委員会
総務局の行革方針について

◯曽根委員 きょうは、都の行革方針についての質疑が中心ということですが、知事の復活予算の発表をあすに控えまして、財政健全化計画の実施案に関連して若干触れておきたいと思います。  まず、来年度予算原案で、シルバーパス、そして心身障害者医療費助成、マル障が現行どおり維持されました。一たん公表された福祉の削減案を、さまざまな都民運動や都議会での各会派の論議の結果、押し返した、快挙として、お年寄りや障害者など制度の対象者だけでなく、多くの都民から歓迎されております。しかし一方で、老人医療費助成、マル福については、若干緩和されたとはいえ、大幅削減がなされました。現行どおり継続した場合に比べ、五年後には二十二万人からの取り上げになります。現行制度では六十五歳から六十九歳の三分の二がマル福制度を受けていますが、五年後には三分の一しか受けられなくなる、大後退であります。これには怒りと不安が渦巻いており、現行どおり継続してほしいという声が広がっております。  都議会でも、マル福については、かねてから各会派が後退しないようにと要望してきましたし、先日、各会派の復活要望でも、我が党は、所得制限を強化せず現行どおり継続を求め、公明と生活者ネットワークが、現行水準で継続するよう要望しました。「公明新聞」でも、議会での論戦などを通じて削減幅をさらに縮小するよう求めていくと、大きく扱われていました。自民党さんも、知事原案でマル福の所得制限を強化したことを批判し、マル障など他の医療費助成との整合性が図られないじゃないかと指摘しています。この限りでは、自民党さんのいうとおりであります。(笑声)こういう都民の怒りの声や都議会での各党の要望、意見について、どのように受けとめておられますか。

◯木内財務局主計部長 老人医療費につきましては、制度創設時と比べまして年金制度が充実していること、高齢者人口が増加し、平均寿命の伸長も著しいことなどの時代環境の変化を踏まえ、今回見直しを行うこととしたものでございます。今回の見直しの内容におきましては、現行助成を受けている人は引き続き助成対象とすること、新たに助成対象とする人につきまして、所得制限の上限額を住民税の非課税のものとし、その非課税の基準を高齢者本人の所得とし、制度対象者も五割を超えるという水準に設定していることなど、都民生活にも配慮した見直しの内容になっているというふうに私どもは認識をいたしております。

◯曽根委員 内容だけご説明いただきましたが、この内容を都民は受け入れられないと、大変憤慨しているわけです。あすの復活予算の発表が大変心配されるところですが、今回、予算の編成と都議会での論議で明らかになったのは、現金あるいは現物給付型の福祉は今なお必要だということではないかと思うんですね。現金給付型といわれるシルバーパスやマル障が現行どおり維持されただけでなくて、例えば乳幼児医療費助成の拡充、我が党が昨年の四定で提案しました児童手当の拡充も、来年度から実施していこうというのが都議会の共通認識になっていると思うんです。マル福や、同じく削減対象になりましたひとり親家庭の医療費助成が、これだけ突出して差別扱いをされる理由などないはずなんです。  来年度も現行制度で維持する財源として、私たちが試算しますと、マル福であと十九億円あれば維持できる、マル親は国の所得制限が強化されましたが、これを東京都が肩がわりしたとしても、二千四百万円あれば維持できるんです。財源の上でも十分対応できる範囲であります。ぜひとも存続させるべきだし、我が党はそのために都民の皆さんとともに、また、議会内での各会派の皆さんと協力していく決意だということを申し上げておきたいと思います。  さて、行革方針の質問に入りますが、ここでは当面する課題として、職員定数の削減、給与の見直し、監理団体の見直しを挙げており、次いで組織再編についても考え方が提起されております。  まず、職員定数問題についてですが、我が党は、自治体の職員定数というのは、全体としてできるだけむだのないものであるべきだ、しかし、住民福祉に直結する福祉、医療、教育のような部門と、それに必要な職員数は十分に確保して、むしろむだ遣いの大規模開発や、事実上大企業や一部の特権勢力に奉仕するような部門は、そちらこそ少なくすべきだと考えています。その見地から見て、都の職員定数の削減計画は重大な問題があるといわざるを得ません。東京都は、財政健全化計画による定数削減だけでも、二年間で三千三百二人を減らしてきました。そのうち、教育、福祉、医療部門が約七割を占めております。高齢化対策とか少子化対策など、本来なら職員の充実が図られるべき部門でこれだけの定数を削って、その結果、都のそれぞれの職場はどういう状態になっているのか、それをきちんとつかまずに、さらなる切り込みを進めることは、重大な問題を引き起こしかねないと思うんです。(「中身をいえよ」と呼ぶ者あり)  じゃ、具体的な一例として、定数削減の半分を占めてきました学校教職員の場合はどうか。この間、学校では小規模校がふえてきて、ただでさえ教職員が少ない上に、定数基準を厳密に守るんだということで、先生の人数には全く余裕がなくなってきました。その中で、例えばある先生が年度途中で退職したり、長期の病気などで欠員が生じた場合、それが小学校の、しかもクラス担任を持っていた先生の場合以外は、正規の教員を補充しないというやり方がとられてきました。そこで臨時の講師や嘱託の先生を探すんですが、なかなか見つからない。ある中学校では体育の授業がしばらくできなかったなど、大変異常な事態も起きたことを、私たちは都議会でも取り上げてきました。  今年度も、先ほどいいました福生市の小学校で、新入生のクラスの担任が欠員となり、本来なら正規の職員が入るはずですが、ついに現在まで一年近く、正規の先生が新一年生のクラスに来ないままの事態ということになってしまったわけです。当局だとか、学校や関係者にいろいろ事情があったとしても、結局、小学校の新一年生の子供たちに犠牲を負わせることになってしまったという事実は消えません。ある先生は、今、子供たちの心は、水面が盛り上がるほどの水の入ったコップのようで、たった一滴垂らしたら、水があふれてしまうような状態だと表現されていました。つまり、家族や先生や友人のたった一言で、どっと感情があふれ出てしまって、何をするかわからない、大変危うい状態にあるということではないかと思うんです。最近起こりました一連の事件は、またそれを裏づけているように思います。  都は来年度予算でも、教育庁の要求で、中学校の登校拒否対応で百一名の増員要求をしていたんですが、ただの一名も認めておりません。教職員を福祉の施設などで長期に研修させる制度の創設をするということで、二十五人の定数増を図るということらしいですけれども、子供と離れたところで長期研修をさせる前に、ぎりぎりの人数で頑張っている学校現場でこそ、切実な子供の実態に正面から向き合うために、むしろ教員定数の充実を行うべきではないかと思うんです。こういう学校現場の現状、特に校内暴力など、さまざまな問題をどう解決していくかということを踏まえて教員定数というのは検討されているんでしょうか、いかがですか。

◯大関総務局理事 私どもは、教育庁からは、児童生徒数に応じた教職員数を算定し、学校運営に支障が生じないように努めていると、このように聞いております。また、教育現場の欠員補充につきましては、小学校では新規職員や経験豊かな嘱託の先生などで、中学校や高校につきましては、学校内で担任がえするなどして対応している、このように伺っております。

◯曽根委員 今おっしゃったようなやり方で、本当に子供たちが安心して教育が受けられる状態になっているか、そうではないということが、最近改めて明らかになっているんじゃないでしょうか。    〔委員長退席、立石副委員長着席〕  もう一つ例を挙げさせていただきます。住宅局では、昨年多摩の住宅建設事務所が統合されまして、建設部門の職員が大幅に減らされました。今度は、来年度は二十三区を担当しております東部建設事務所が大幅削減の対象とされております。とにかく都営住宅の建設戸数を減らしたので、それに見合って職員も減らすということらしいんですが、もともと一人の職員が幾つかの現場をかけ持ちで、しかも、戸数は減っても現場の数はそれほど減っていない、また、最近、都営住宅が型別供給やスーパーリフォームなど仕事の中身が非常に複雑になっているので、結局は一人の技術職員の現場かけ持ちなど負担がふえている、またふえてしまうということだと聞いています。そしてこのまま、公営住宅はとにかく区市町村にお任せで、都営住宅は新規に建設しないという東京都の方針に沿ってどんどん職員を減らしていけば、どうなるか。  例えば、電気、機械、造園、土木など、電気は電気設備、機械はエレベーターなどの機械、造園はもちろん植栽など、土木は団地内の道路や街灯など、こういう設備関係の専門技術職員というのは、ただでさえ数人ずつしか事務所にいないわけです。それをさらに削られてしまうと、ベテラン職員が技術を引き継がせる後輩がいなくなってしまう。都営住宅建設の技術そのものが途絶えてしまう。ある幹部の方は、職員の士気がなくなっていくのが心配だというふうにも話しておられました。東京の住宅の実態からいって、東京都にとって公共住宅建設は欠かせない重要な使命ではないかと思います。阪神の経験を見ても、公共住宅というのは、区市町村はもちろん頑張ってもらわなきゃなりませんが、東京都が大都市政策としてもさらに力を入れるべき分野だと思うんです。  それから、今、建築コストの見直し削減が課題となっておりまして、来年度二〇%コストダウンさせるといっていますが、これも都の担当部局にしっかりと職員体制を置いて初めて、ゼネコンのいいなりでないコストの見直しができると思うんです。これは住宅だけではなく、公共工事全体にかかわる問題です。こうした課題と相反する現場の技術職員の削減、これはぜひとも見直すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

◯大関総務局理事 技術職も含めまして毎年度の定数査定に当たりましては、今回のご指摘の住宅問題でございますが、住宅の建設あるいは改善、改修などを含めまして、都の住宅行政を着実に推進できますよう、その体制整備をしてきたところでございます。住宅分野については、暮らしの基盤づくりを目指して、これまでの施策の見直しや新たな施策展開がされておりますので、それにあわせて執行体制の確保をしていきたい、このように考えております。

◯曽根委員 今、新たな施策のために執行体制を確保したいというお話がありました。一例だけいっておきますけれども、例えば住宅局が、昨年の局要望でスーパーリフォームという新しい住宅施策を目玉にしているわけですね。八百戸要望したと。そうしたら今回、査定で二百戸くっついて、一千戸やれということになったわけですね。ところが、増員はわずか三名しか認めていない。こういう状態では、やはり今おっしゃったことは実態に合っていないというふうにいわざるを得ないと思うんです。  もちろん、削減すべき対象部門もあります。例えば、臨海開発などむだ遣いの開発や同和事業関連の部門などは、当然事業の凍結や中止を行い、職員体制も見直されるべきです。それから警視庁でいいますと、悪質犯罪が増加している中で、刑事犯の捜査などに必要な警察職員の確保はもちろん当然ですが、警備、公安部門などが聖域化されているというのは、やはり正されなければなりません。こうした部門こそ、聖域としないで定数見直しのメスを入れるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

◯大関総務局理事 職員定数に当たりましては聖域というのは設けておりませんでして、いずれにいたしましても、都全体にわたって事務事業の抜本的見直し、それから職員の効率的配置などによりまして、計画的に実施しているというところでございます。ご指摘の部門につきましても、事業動向や環境の変化を踏まえ、適切な職員定数の配置に努めているということでございます。

◯曽根委員 聖域は設けていないというお話は実態に合っていないから、私は今いったところを挙げたわけで、こういうところはきちんと見直しをすべきだと改めて申し上げておきたいと思います。  それから我が党は、都の組織のあり方についても、公正で民主的な行政を効率的に執行していくという立場から、都の組織や運営は絶えず改善が図られるのは当然だと考えています。しかし、国に追随して自治体の任務を放棄するようなやり方や、安上がりのために都民サービスの低下を招くことは認められません。  以上、基本的な見地を改めて表明しておきたいと思います。  次に、都の財政監理団体の見直しの問題に移ります。  去る一月二十日に、都の監理団体の一つでもある臨海副都心の新交通「ゆりかもめ」の事故で、都の交通局から派遣された二十九歳の電気技術職員が死亡されました。事故の報道に接しまして、私たちも驚いて現場も調査し、新交通の担当者や現場の従業員からも話を聞きましたが、まだ調査中ということで、全貌の解明はこれからになります。しかし、はっきりしていることは、「ゆりかもめ」の列車に乗務員が乗っていれば間違いなく防ぐことのできた事故だということであります。都として、この点を放置してよいとは私はどうしても思えないので、今申し上げました。  具体的には、直接の指導監督に当たっている港湾局に当該の委員会でただしていきたいと考えておりますが、ちょうど総務局から、この間、監理団体の経営評価、それから今回の行革の観点からの統廃合その他の方針が出されましたので、大きな意味ではこれらの方針も、例えば臨海新交通にとっては、公共交通機関として、何よりも乗客の安全輸送という本来の使命を果たす上で生かされなければならないものだと考えております。もちろん総務局のこの方針はかなり大枠を示した方針だと思いますが、経営の効率化という観点のみが強調されている嫌いがあるのではないか。たまたまこの方針が出される直前に、監理団体の一つ、臨海新交通であってはならない悲惨な事故が起こりましたので、これを繰り返さないことを願う立場から、見直しや改革は、こういう監理団体本来のあり方の基本を踏まえておくべきだということを申し上げておきたいと思います。  さて、監理団体の見直しの一環として、団体の統廃合に臨海関連の三つの第三セクターの実質的な業務の統合方針が掲げられております。業務を統合する東京テレポートセンターに対する増資など、昨年末、この統合とあわせて経営安定化策が提案されました。増資が約三十億円、地代減額が十年間で百五十億円、さらに無利子の融資が九十億円で、合計二百七十億円であります。そのうち、初年度の十年度に八十六億円の支援をやろうというものです。これはいうまでもなく、臨海開発が都民の願いとは正反対の企業都市づくりに突き進んだあげくに、開発の象徴ともいうべきテナントオフィスビル経営が新たな財政破綻に陥ったことに対して、都の公的な財源で穴埋めしてやるというものであります。港湾局は、公的資金といっても、すべて臨海会計の中から出すんだといっていますが、実際には羽田沖埋立会計から臨海会計への二百六十億円の貸付金から負担されるものであって、明白な公的資金の投入にほかなりません。  我が党は、このような第三セクターの財政破綻への公的資金の投入を厳しく批判してまいりました。また昨年、財務局長も私の質問に、株式会社の経営上の課題は会社みずからの責任において対応することが基本であって、出資者の責任は、基本的におのおのの出資額の範囲内に限定されているというふうにお答えになっています。今回の救済策は、出資額の範囲内という都の出資者としての責任の範囲を超えていることは明らかであります。局長答弁と反するのではないか。一体、どういう考えで今回の救済策を行おうとしているんでしょうか。

◯西念財務局長 ご指摘の中にございましたように、株式会社の経営上の課題につきましては、会社みずからの責任において対応することが基本でございます。出資者の責任は、最終的には、例えば会社の清算などの場合に、その出資額を放棄するという意味合いにおいては、基本的にはおのおのの出資額の範囲内に限定されているものでございます。  一方、今回ご指摘いただきました臨海三セクへの支援は、当該三社の経営の安定化に向けてとられる措置でございまして、出資者でもある金融機関などとの協議のもとで全体スキームが形成され、これに基づき、まずは三社の経営努力、そして金融機関の支援が行われるということを前提にしているものでございまして、このことは先ほど申し上げた考え方を逸脱するものではございません。

◯曽根委員 それじゃ結局、東京都は出資者以上のことをいろいろやるんだといっていることと同じだと思うんです。しかし、今財務局長がお答えになったことは大変重要であって、まずは三社の内部努力、それから金融機関の支援が前提にあって、東京都のいわば救済策があるんだというお話でした。だとすると、非常に変な話になると思うんです。なぜなら、今はっきりしているのは、都の救済策が二百七十億円、十年間で行うということだけであって、民間を含めた金融機関の支援策というのは全く明らかになっていないわけで、金融機関の支援策が明らかになる前に、なぜ東京都のが先に出てしまうのかと。これでは東京都の方が前提になってしまうじゃないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

◯西念財務局長 もちろん、都が臨海の関係第三セクターに支援を行うに当たりましては、当該三社の企業努力が明確となり、金融機関からの支援が確実なものになることが前提でございますので、私どもとしては関係者間の協議を十分注視をしている。また、それらのスキームが成り立つという状況の中で、先ほど申し上げましたように予算の執行を行っていく、こういう仕組みになっているということをご理解いただきたいと思います。

◯曽根委員 局長のおっしゃることを私は全面的に受け入れるわけではありませんが、そうすると、少なくとも今、予算にはこの額は計上されていますが、これを執行するかしないかは、いずれにしても金融機関の具体策が出て、その上でのことであって、これはまだコンクリートされていないということですよね。この点だけは確認しておきたいんです。

◯西念財務局長 お答えするまでもなく、先ほど来から明確にご明示したつもりでございます。スキームでございますので、関係者のおのおのの努力が、おのおののその行為が成り立って初めて、東京都としても予算を執行するということを明確に申し上げたつもりでございます。

◯曽根委員 非常に大事な問題なので、繰り返しお聞きしました。銀行側が何にも具体的なものを出していないわけですから、東京都として、その点を具体化させるための努力が今は何よりも必要だというふうに私たちは考えております。大体、第三セクターのビルの破綻というのは、最近起きた問題じゃありません。我が党も、これはバブルに乗った無謀な開発であって、赤字になれば必ず損害は全部東京都がかぶる仕組みになっているぞと、以前から繰り返し警告してきました。それを、何の責任もない都民の財産を不動産事業のしりぬぐいにつぎ込むというのですから、これは到底都民の納得の得られるものではないということを、まず強調しておきたいと思います。  そして我が党は、三セク破綻処理に当たっては、バブルをあおり、都と一体になって不動産事業を進めてきた金融機関に、しかるべき責任をとらせることを前々からいってきました。今回の処理策でも、金融機関が都と同等の支援を行うものとされていますが、しかし、この同等という点で、極めて問題が多いと思うんです。既にもう東京都は、この開発ではリスクの多い負担をさんざんやってきたわけです。例えば、都市基盤をつくるために三千億円以上の共同溝を初め莫大な借金をして、税金も使って基盤整備をやった。ゼネコンをもうけさせ、銀行には、これから延々と続く借金の元利払いでもうけさせる。さらに、ビルの用地は、賃貸から出資に切りかえて都有地を事実上ただで提供した。ビルの建設でも、わざわざこの都庁よりも床面積あたりで一・九倍も高いコストのインテリジェントビルを建てて、ここでも銀行には借金の利息払いでもうけさせている。東京都自身は、動く必要のなかった青少年センターや職員研修所を入居させて、高い床賃料を払ってやっている。何から何まで、もうけは銀行とゼネコン、財政支援は東京都という仕組みが徹底しているというふうに思うんですね。開発者として対等の責任になるといえる関係になかったことは明らかであります。  また、仮に処理策のように、三セク支援で都と同等の支援だというならば、東京都は既にビル経営支援として大変な財政的てこ入れをやっています。ちょっと積み上げてみますと、例えば、都の施設の入居で移転費用と九年度賃料で百二十五億円出費しています。これから毎年十七億円の床賃料を払い、今後も払い続けると、来年度から十年間で百七十億円、さらに今回、スキームの中では床賃料を途中から一・五倍に上げるといっていますので、そのとおりにすると二百億円以上になります。さらにおととしの暮れに、他の進出企業とともに、他の開発では例のない権利金の返還もやっている。百二十一億円。これらを合わせると、都の財政面の救済というのは、これだけで四百五十億円ということになります。名目はどうあれ、これらの総額が都の財政的な支援、救済だというふうに思うんですが、処理策はこれを見ていない。これからの二百七十億円しか計算されていない。これはおかしいと思うんです。これでは金融機関の責任は矮小化されてしまいます。  財務局にお聞きしますが、臨海関連三セクへの都の支援が、今回の処理策が初めてではなくて、今いったような莫大な財政が既につぎ込まれたという認識を持っておられるでしょうか。

◯木内財務局主計部長 臨海開発に対する考え方の位置づけといいますか、考え方の違いのようなものが前提にあろうかと思いますけれども、東京都としての考え方は、地域開発の一環としての臨海開発というものに、東京都のまちづくりの上において、あるいは東京の都市づくりの上において役割を果たすもの、したがって、これを着実に進めていこうというのが基本的な考え方であろうというふうに私は理解しております。また、この間の東京都の施設が移転することに伴う賃料は、何らの支援ということではなくて、入居者として賃料を払うのは当然のことであろうと私は思っております。  また、権利金のことをお話をいただきましたけれども、権利金についても、土地の賃借方式を、いわゆる新土地利用方式から通常の長期の貸付方式に変更したことに伴って、権利金差額の相当額を清算したという考え方でございまして、特定の三セクを支援するということを目的としたものではなくて、進出企業全体にわたってそうした措置を行ったものでございます。  今後、東京都として、あるいは支援していくに当たっては、先ほど来財務局長が答弁申し上げていますように、三社の企業としての努力、金融機関としての支援、そしてそれらを前提とした東京都の支援といったものを一つの大きな仕組みとして設定しているものでございまして、現在、金融機関等との間、関係者の間でそうした協議が調いますよう協議が進められているのが今日の状況であろうというふうに考えております。

◯曽根委員 それじゃあ銀行側に足元を見られるんですよ。だって、現実に銀行側は──私は三セクビルに限定して四百五十億をいったわけですよ。民間銀行側は、一体これにどれだけ腹を痛めているのか、一銭も痛めていないんですよ。むしろ逆に、建設事業費については貸し出していますから、銀行はその利息分だけで既に百億円以上もうかっているんです。ですから、これでは対等の交渉にならないんです。これらはすべて財政支援であり、公的資金による事実上の救済にほかなりません。民間銀行側は、今いったような救済に、全くまだ具体的には何にも自分の手を染めようとしていないです。都の支援と同等というならば、例えば東京都が三十億増資するというふうにいっているわけですね、私たちは賛成できませんけれども。では、銀行が現ナマを出すのか、無利子の貸し付け、都と同じようにやるのかと。どうなんですか、そういう内容をつかんでいらっしゃるんですか。

◯木内財務局主計部長 十年度予算において、先ほど来答弁しておりますように、会社の努力、そして金融機関の支援ということを前提とした上での一定の予算措置を行ったわけでございまして、それらが、公的資金という定義はいろいろあろうかと思いますけれども、基本的には開発利益をもって賄うとされている臨海会計の資金の中から行うということとしているわけでございます。先ほど来、羽田沖会計等々のお話がありましたけれども、それをもって云々ではなくて、臨海会計全体の収支の中での羽田沖会計との関係でございまして、特にそのために云々ということではなかろうかということも、私どもとしては考えているところでございます。  いずれにいたしましても、現在、関係者間でさまざまな協議が進められているところでございまして、そうした協議が調うことによって、全体のスキームがまとまるものというふうに理解をいたしております。

◯曽根委員 はっきりとした確証もないまま都の支援策だけを認めてしまったのでは、都の財政を預かる財務局の責任は果たせないのではないかということを指摘しておきたいと思います。  同時に強調しておきたいのは、民活法などでオフィス開発を誘導し、臨海開発についても開発銀行を通じてさんざん後押しをした国の責任も明確にして、それにふさわしい支援を行わせる必要があるということなんです。このことで日本開発銀行と他の金融機関を一緒に扱うことは許されません。  最近の日経新聞で、「第三セクター破たん 官民共同事業の虚実」「ばらまかれた民活事業」という見出しの記事が載りましたが、ここで臨海副都心開発に触れて、八五年、鈴木俊一前知事時代に打ち出した東京テレポート構想から一年、翌年三月には民活法が施行され、六省庁が参加する形で東京臨海部開発推進協議会が発足した、開発面積はわずか二年足らずで当初の十倍規模に膨れ上がった、通産、運輸、建設等各省庁の主導権争いが激化した、結局同じような形態の第三セクターが乱立、バブル破綻の影響もあって非効率な経営を強いられた、その中で、設立当初から臨海副都心の三セク経営に携わってきた元都庁幹部は、最後まで国の省庁間の縄張り争いに振り回されたと指摘する、こういうふうに書いています。  やはり、ここの記事でもいっているように、地方自治体における三セクブームというのは、国の主導でつくられた面が強いというふうにいわざるを得ないと思う。現在、開発銀行、これは約六百億円の低利融資の残高があります。開発銀行のバックは大蔵省ですから、政府が重い責任を果たすことが求められているというふうに思うので、この六百億円の低利融資の残高、金利は大体三%から六%、平均すると四%ちょっとですから、年間二十五億円の金利、この利息分などは全額放棄させるぐらいの決意で国ともかけ合う必要があると思いますが、いかがでしょうか。

◯木内財務局主計部長 臨海開発に当たっては、国との関係もさまざまにあったというふうに聞いております。当時においての認識は逆だと私は思っておるんですけれども、国の関与が強まろうとする中にあって、都としての主体性といいますか、主導性というものを発揮すべく当時の関係者が努力したものというふうに私は理解しているところでございます。  また、そうした中、開発銀行についても、株式会社東京テレポートセンター、竹芝地域開発株式会社の両社において資金の借り入れを行っているところでございまして、その開銀につきましても、他の金融機関と同様、できる限りの支援が得られますよう現在協議を進めているところでございます。

◯曽根委員 どちらに主導権があったかという問題はともかくとして、民活法をつくったのは国ですから、そういう意味での国の指導監督権というのは揺るぎないものです。後段おっしゃったように、開発銀行に対しては、本当にきっちりとした交渉を行っていただきたいということは申し上げておきたい。  そこで、今大事なことは、ビル事業の破綻に重大な責任のある金融機関、政府、開発銀行にきちんと責任を負わせる。そうすると、東京都の今出されているような財政を投入する必要はなくなるということであります。仮に日本開発銀行、民間金融機関それぞれに、これまで東京都が事実上お金を出した四百五十億円と同等の支援を行わせ、さっきいったように十年間で両方合わせて約九百億円支援を引っ張り出す、これが実現すれば、年間九十億円の支援ができるんですよ。  一方、三社の経営状況報告によれば、処理策が九八年度に達成しようとしている償却前黒字にするためには、約六十億円が年間不足しています。借金の元利払いは除きまして、ビル経営を続けていくための維持管理費と利子払いにこれだけ足りないということであります。処理策では、そのうち三社のリストラで二十四億円内部努力で生み出そうというわけなので、これを除けば実際の不足額は三十六億円程度です。年間九十億円の支援があれば、この三十六億円の不足額も賄い、かつ元金も返済していけるわけであります。  また、三十六億円というのは、一年間に三社が金融機関に支払っている借金の利払いの約三分の一ですから、この程度の支援はすぐにでも行わせるべきであります。  これぐらいの支援を金融機関や政府、開発銀行に負わせるのは当然であって、それをあいまいにしたまま都の財政を投入するということは断じて認められないということを改めて強調しておきたいと思います。  それから、今回のスキームのもう一つの問題点は、三社が借りている借金の三千八百億円という莫大な元金の返済を、もっぱら賃料値上げに頼っていることであります。その現実性は、やはり真剣に吟味してみる必要があります。このスキームの中で、三セクの内部努力、経営努力で、テナント料を二〇〇四年、平成十六年度までに平均で一・五倍に引き上げることを計算に織り込んでいるわけですね。これによって、現在三社で、共益費も入れると年間百八十億円のテナント収入がありますから、一・五倍ということになると、約九十億円ふやすということになっているわけですが、九十億円というと、現在の三社の利払いとほぼ同額になるわけです。つまりテナント収入がふえると見込んで、金利の返済分はそこから何とか賄える、そうすると元金が返せると勝手に想定して、よって銀行側には大きな支援はさせなくても最小限で済ませることができるというような、どちらかというと、これから支援を発表する銀行側に極めて都合のいいスキームが東京都から出されているわけです。  問題は、テナント料を予定どおり引き上げられる保証がないということなんです。東京都は、臨海高速鉄道の大崎延伸で利便性が飛躍的に向上することを賃料引き上げが可能になる根拠としていますけれども、この点では、例えば竹芝の開発ビルは関係ありませんから、これはテナント料は上がらない。臨海部でも青海のビルは、高速鉄道の駅から遠いのでほとんど効果がない。実際には台場のフロンティアビルなどが一番テナント料を上げなきゃならない、一番利便性が上がるということで。そうすると、平均一・五倍ですから、台場あたりは二〇〇四年までに二倍くらいにテナント料を上げなきゃならないという計算になっているわけです。六年間で二倍ですよ。天王洲あたりの、今臨海部よりも便利で、大崎に延伸しても同じぐらいというところで、現在坪一万四千円程度ですから。これで六年間で二倍に上げるというようなことは到底考えられません。丸の内、汐留、民間開発はメジロ押しです。財務局は、このテナント賃料増収策、これは今回のスキームに入っているんですが、これは現実性があるというふうに考えておられるのでしょうか。

◯木内財務局主計部長 賃料収入の確保というのは、三社が経営努力の一環として行う、努力をしていくということが会社としての任務であろうというふうに考えております。

◯曽根委員 人ごとのようなことをおっしゃっているので、それではお聞きしますけれども、問題は、民間テナント料が一切公表されていないのです。その中で、今でも割高のテナント料を払っている都の施設は、使用料がわかるわけです。ここは間違いなく増額の交渉が来るだろう。当てにされているんだと思うんですね。主計部長は前回の委員会で、オフィス需要とか近隣ビルの賃料水準と比較した現在の水準との均衡などを総合的に考慮してオフィスの賃貸料は検討されるべきだと、東京都の賃料についてお聞きした私の質問にお答えになりました。だとすれば、臨海部周辺テナント賃料が上向いていない現状では、この増額交渉に応じる余地はないという判断になると思いますが、いかがでしょうか。

◯木内財務局主計部長 基本的に曽根委員申されたとおりの認識でございます。今日の時点における認識は変わってはございません。

◯曽根委員 東京都もそういう立場に立つのは当然だと思うのです、借り主ですから。民間はもっと厳しいです。現状でテナント料がどんどん上がっていくとか、六年後、台場ででも二倍になるとか、そういう保証はいささかもないわけです。もちろん東京都としては都民の税金で払っているんですから、あいまいな態度は許されません。こうして考えると、テナント賃料の収入増というスキームは極めて怪しいと思う。  ところが、このやり方でもし進んでしまった場合、スキームどおりいかないと、また経営破綻になります。そのとき銀行は何をいうか、もうはっきりしていると思うのです。同等の救援策だと合意したじゃないか、銀行もぎりぎりの案を出したんだ、これ以上の支援が必要なら、まず最大出資者の東京都さんが先に具体化するのが筋ですよ、こういうふうにいうに決まっているんですよ。結局、また都がしりぬぐいをしてやることになりかねない。そんなことは絶対に許してはならないと思うのですが、改めて東京都の姿勢を聞いておきたい。

◯木内財務局主計部長 今日さまざま関係者間で論議し、取りまとめる方向で努力している一定のスキームが取りまとめられるよう、さらにさらに協議が進むことを私どもとしても願っているというか、方向に進んでほしいというふうに思っているところでございます。そうした取りまとめの中で、三社の経営改善が図られ、経営安定が進むようしていってほしい、あるいはしていくべきものと考えております。

◯曽根委員 改めていっておきますが、私たちはこうした第三セクターの破綻問題、これは起きる前から警告をしてまいりましたが、いずれにしても東京都は出資者の責任の範囲を超えることは絶対にあってはならないし、したがって、公的資金の導入も許されるものではない、都民の納得は得られないというふうに考えております。  さらに、問題の第三セクターの経営が、ほとんどやみの中で、都民に対する情報公開がまともにされておりません。それなのに、東京都の財政だけは使われていく、これも大問題であります。私は改めて、第三セクターに関するすべての情報を公開することを要求しておきます。  また、ここで委員長に、ぜひこの臨海関連第三セクター問題での集中討議を本委員会で、関連局も呼んで行うようにお願いしたいのですが、いかがでしょうか。

◯立石副委員長 理事会に諮ります。

◯曽根委員 ぜひ集中審議を行っていただきたい。都民の前で、情報も公開して、関係者の意見を聞くという公聴会などもやって、徹底的に議論したい。そうすれば、財務局は関係者間で今協議中だというお話でしたが、都民の前で堂々と議論すれば、おのずと都民にとって最良の選択の道が見えてくるはずだと。我が党もその中で、この問題の都民本位の解決を目指して全力を尽くしていきたいということを申し上げて、質問を終わります。

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