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98年3月17日経済港湾委員会予算質疑

ゆりかもめ死亡事故の背景に安全軽視のしくみが

◯曽根委員 できるだけ協力したいと思っているんですが、どうしても四十分近くはかかるかもしれないので、よろしくお願いいたします。  最初に、去る一月二十日午後に起こりました、「ゆりかもめ」の職員の死亡事故について何点か、また、これに関連して何点かお聞きします。  接触事故で亡くなったのは、交通局から派遣された二十九歳の電気技術者の方で、都の職員であります。まだ前途ある都の職員ですから、本当に残念なことで、初めに、亡くなった職員のご冥福をお祈りしたいと思います。また、私はこの起きてはならない初めての「ゆりかもめ」の死亡事故を教訓として、二度とこうした悲劇を繰り返さないために最大限の手だてを打つことが必要だと思いますが、最初に、この基本的な認識についてお聞きしたいと思います。

◯永井港営部長 今回の事故で若い職員のとうとい命が奪われたことは大変残念なことでありまして、このような事故は二度とあってはならないと思っております。また、利用者の皆様にはご迷惑をおかけしたことを深くおわび申し上げます。今回の事故を教訓として、一層の安全の確保に向けてまして、会社と協力して全力で取り組んでいく所存でございます。

◯曽根委員 そこで、我々も事故の後、現場にも行きましたし、会社の方、管理者の方にも会って事故の状況を調べましたが、どうも今回の事故については不可解なことが多いんです。一つは、一月八日、十五日の二回にわたる大雪がありましたが、この事故はこの大雪から数日たった快晴の午後、日中に起きています。しかも五百メートル以上、この曲がりくねった「ゆりかもめ」の中で唯一直線コースの部分で、なぜ列車の接近に気がつかなかったのか。それから、四人で定期点検中だったということですが、なぜ電車に背を向けた方向で点検を行っていたのか。また、四人ともなぜ軌道内に入ってしまい、またすぐ点検路に上らずにしばらく軌道内にとどまっていたのか。しかも亡くなった電気主査の方は交通局の電気の専門家で、非常に技術レベルも高く、しかも堅実、慎重な性格で、ふだんは安全の上でいいかげんな仕事は絶対やらない人だったという定評のある方だそうです。そういう人がなぜ事故に遭ったのか。こういう事故の原因調査は大変難しいと思うんですけれども、こういう事故の中にこそ重大ないろんな問題が含まれていて、私は複合の原因があると思うんです。私なりに幾つかの視点から考えてみたい。  一つの背景として、八日と十五日の二週連続の大雪がありました。この二回の大雪の際、除雪などで「ゆりかもめ」をとめないために職員の方の大変な苦労があったと思うんですが、職員は延べ何人が動員され、延べ何時間ぐらいこの雪対策のために残業や超過勤務に当たったんでしょうか。

◯永井港営部長 除雪作業のために残業した職員数と残業時間でございますが、一月八日から九日につきましては、職員数は九十三人、総残業時間は九百時間です。また、一月十五から十六日にかけましては、職員数は八十五人、総残業時間は九百六十六時間です。合計しますと、延べ職員数は百七十八人、延べ残業時間は千八百六十六時間となります。

◯曽根委員 延べ職員数百七十八名が動員され、一人平均にしても十一時間ぐらい残業をしているわけです。もちろん休日出勤で出てきた方、夜勤明けの方がそのまま仕事に入った方もいると思うんです。しかも二週連続木曜日の大雪。これで、ニュースで一回目に、とまったじゃないかとたたかれまして、二回目は何としてもとめるなというので必死になって作業をした。そのご苦労は本当に大変だったと思いますが、はっきりいって、へとへとだったんじゃないか。その後始末がようやく済んだ二十日の快晴のもとでの点検作業。私、人間ですから、ほっと一息という雰囲気が職場にあったとしても不思議じゃないと思います。  それからもう一つの背景として、軌道点検のマニュアルが厳格に設定されていなかったのではないかという疑問があります。電気点検は通常、点検路から目視で行い、軌道内には原則として入らないことになっているそうです。また、列車に背を向けず、列車に向かって点検を進めるという原則もあるそうです。しかし、実際は軌道内に空き缶などが風で飛んで入っていれば、人手も少ないので、おりて拾うことも日常化していた。また、四人一組で上り、下りを点検するとすれば、四人一緒に進めば、必ずどちらかが電車に背を向ける格好になる。この事故の場合には、下り方向を担当していた二人の職員のうちお一人が、電車に背を向けて点検を進めていたことが原因だったのかもしれませんが、亡くなっているわけです。こういう四人一組の点検のやり方、マニュアルが厳格に設定されておらず、実際には現場任せになっていた。原則として入っていけない軌道にも、要するにだれかが物を拾わなければならないんだということで入っていったという問題があったようです。こうした一つ一つの問題点を明らかにして、私は、解決のために必要な費用も手間もかけるべきだと。何しろ安全輸送、人命優先が第一だというふうに考えるわけです。  その上で参考にすべきと思うのは、この事故を目撃した台場のフロンティアビルに入居しておりますシェル石油の従業員、この労働組合から「ゆりかもめ」の会社に対して質問書が出ていると思うんですが、この内容と、それから、それに対する「ゆりかもめ」側からの回答の内容について、簡潔にお願いします。

◯永井港営部長 お尋ねのシェル石油からの「ゆりかもめ」の安全性についての質問が東京臨海新交通株式会社に出ております。そして、その会社側の回答の内容につきましては次のとおりでございます。  まず一点目は、前方の障害物を感知するセンサーの有無についての質問でありますが、その回答といたしましては、そのようなセンサーはありませんが、異物に接触した際には非常停止する接触探知機は装備しているというふうに答えております。  また、二点目につきましては、障害物が軌道にあった場合の安全対策についての質問でありまして、これに対して、新交通システムは専用高架軌道を走るため、鉄道線路や道路と比べまして衝突事故や障害物が軌道に生ずる可能性は非常に少ないというふうに答えております。  また、三点目につきましては、事故の再発防止策につきまして有人運転の検討をしているかというような質問に対しましては、今回の事故は自動無人運転システムに原因があったというふうには考えておらず、むしろ点検作業の安全性をより高める方向の検討を行っているというふうに答えております。

◯曽根委員 無人運転、自動運転でありながら、第一衝撃、つまり、物にぶつからないと非常停止しない。手前で感知するセンサーはついていないということについて、非常に驚いてこの質問書を出されたというふうに労働組合の役員の方はいっていました。その日、三時ごろにそのビルから見えた、人が集まっていて、担架が出てきた、どうやら事故があったらしいと。家に帰って、夜テレビのニュースを見たら、ぶつからなければとまらない仕組みだったというのを知ったと。それで、驚いて質問書が出たわけです。ですから、新聞の記事でも、無人運転をやめてくれと。私はこれは根拠があると思うんです。乗客の側からの強い要望の一つとして受けとめるべきだと思うんです。亡くなった職員も、この衝撃検知装置にぶつかったから非常停止がかかったんですが、それでも、とまるまでに九十メートルかかっているわけですね。九十メートル引きずられているわけです。そういう点で、やはり無人運転、これが原因ではないというふうにいい切ってはならない問題ではないかということを申し上げておきたい。  それからもう一つ、安全の問題で重大な欠陥があると思います。「ゆりかもめ」の人身事故は今回が初めてではないと思いますが、以前起きた大きな事故について、経過とその後の対策についてお伺いします。

◯永井港営部長 お尋ねの内容でございますけれども、この事故は、平成九年四月二日午前十一時二十分ごろ、新橋駅ホームで乗客が落とした切符をとろうといたしまして、ホームと車両とのすき間に手を入れたところ、右手の指先がパンタグラフに接触、感電し、手などに電撃傷を負ったものであります。  その後の対策といたしましては、ホームドア位置のホーム先端及びホームスクリーンに注意の表示をするとともに、パンタグラフ及びホーム下の電車線の上面に絶縁塗料を塗って対応いたしてございます。

◯曽根委員 私もこれを知って、今度の事故の調査に行ってわかったんですけれども、全く新聞にも出なかったし、ご本人とは示談で話が解決したというふうなことだったんですが、びっくりしました。とにかく始発駅、終着駅の新橋、有明、この駅だけ、ふだんはホームと反対側、向こう側についている架線がホームの下に入っている。これは構造上の必要があってそうなったというふうになるんでしょうけれども、しかも始発駅と終着駅というのは電車がとまっている時間があるわけですね。その間、数分間、ホームドアも電車のドアもあいている。ほかの通過駅ではそういうことはないです。乗客が乗りおりする時間だけあけ閉めして、その間に時間はないわけですが、始発駅と終着駅だけホームのあいている時間があって、しかも電車とホームのすき間、その下には、六百ボルトですけれども、架線がある。しかも運の悪いことに、その方は、切符を落とされたら、そのすき間におっこって、パンタグラフの上に切符が乗っちゃった。拾おうとしたら、そのときはむき出しのパンタグラフだったので、それで感電したということですね、指先に穴があいたといっていましたけれども。普通の人は、パンタグラフ、架線というものは、上にあるか、地下鉄でいえば向こう側にあるものだと。それが自分の足元にあって、手の届くところにあるなんてだれも考えていません。こういう点は私は構造欠陥だなというふうに思ったわけなんです。  今後も、想定していなかったような事故が起きないという保証は私はないと思うんですね。機械というものは必ずそういうふうに当初気がつかなかった問題を含んでいます。最大の防止の方法は、やっぱり人の目だと思うんですね。今のところ、こうした交通機関において、人の目による監視、目視以上に安全対策としてすぐれた方法は私はないと思うんです。そういう点で、特に混雑時、ホーム要員もやっぱり必要じゃないかという点も指摘しなければなりません。  その上、乗客数が多くなったということで、間もなく「ゆりかもめ」は四分間隔になるそうですが、当初設定されたのは六分の間隔で、これを四分まで詰めるわけですね。実際上、このシステム上、四分よりもさらにもっと短くできるのか、これがぎりぎりなのか、その点はいかがでしょうか。

◯永井港営部長 四分がぎりぎりかというようなご質問でございますが、現在の線路の構造上、新橋駅付近でカーブしたところがございまして、その関係上、現在のところがぎりぎりだと考えております。

◯曽根委員 ぎりぎりまでダイヤを詰めないと、お客さんを運び切れないという状況が現実ですから、やむを得ない措置かもしれません。聞いたところでは、とにかくこれ以上ダイヤを詰めると、新橋駅の──今仮設駅ですね──そばにあるポイントの切りかえができなくなって、例えば三分なんかに詰めればポイント事故にもつながりかねないということもあり得るそうで、したがって、これ以上は時間は詰められないと。ぎりぎりのところまで今度持ってくるわけですね。三月二十日からこのダイヤ改正があるわけですが、私は本当に率直にいって心配なんです。自動運転、ホームに人はいない、大丈夫かいなと。  職員の方にお聞きしますと、普通の軌道は自動運転ですが、車両基地については操作は有人運転でやっていると。その場合、ダイヤ改正で車両がふえて、車両の間を職員が走り回らなければならない事態も起きるのではないかということで、そこでの事故も心配されているそうです。私は率直にいって、こういう点の見直しは一つ一つ必要ではないかと思います。特に先ほどのシェル石油の職員の方からの訴えにあるように、今でも点検のために一定時間、有人運転で運転している車両もあるように聞いていますので、特にラッシュ時、ダイヤ改正の直後は特に必要な有人運転も取り入れて、全部とはいいませんけれども、やっぱり安全に万全を期すという点での検討をやってもいいのではないかというふうに私は思うんですが、いかがでしょうか。

◯永井港営部長 もともとこの新交通システムにつきましては無人運転を前提にしておりますので、これを前提としまして、安全対策に一層の力を入れてまいりたいというふうに思っております。

◯曽根委員 本当はここでもう二、三回やりたいところなんですけれども、本当に残念だな。とにかく先日、二月四日の行財政改革の特別委員会のときにも、私、総務局が第三セクターは経営の効率性が悪いという指摘をしたので、経営効率だけで、こうした安全輸送が一番大切な交通機関を見ちゃいかぬということをいったんですけれども、やっぱり経費節減とか経営効率とかいうことを名目にした、いわばもうけ第一主義というのは、こういう交通機関には似合わないんだというふうに思うんです。  ところで、現在はもう車両を買い足さなければならない事態になっているわけですが、私の記憶するところでは、三年前に世界都市博覧会を中止したときには、博覧会の乗客数を見込んで購入した電車が過剰投資になったということで、たしか東京都から「ゆりかもめ」の会社に対して営業補償的なものがあったと思うんですが、それは幾らですか。

◯永井港営部長 都市博中止によって新交通株式会社が補償を受けたかというようなご質問ですが、会社は車両編成分の過剰投資に対しまして、その減価償却費、固定資産税等相当分といたしまして、約三億円の補償を受けております。

◯曽根委員 見込み違いがあったんだということで三億円の補償を受けたんですけれども、その見込み違いがまた見込み違いで、乗客がわっとふえて、現在では車両がまた足りなくなったと。その問題については後でやりますけれども、しかし、この三億円は東京都の都民の税金の方から出されているお金ですから、私はこれは今となっては返還するのが筋合いじゃないかなというふうに思うんですが、ご見解はいかがでしょうか。

◯永井港営部長 新交通株式会社は、世界都市博覧会開催時における五分間運転に備え、通常の六分間運転に必要な車両より三編成過剰に配備した次第でございます。そのため、都市博終了後までの期間に限りまして、減価償却費、固定資産税等の相当分が補償されているところでございます。

◯曽根委員 固定資産税とか減価償却費といっても、そのすぐ後にはもう五分間隔になっているわけなので、私は、これは「ゆりかもめ」の会社自身の経営の問題でありますけれども、金が入ればそれでよいということでは済まないだろうと。その陰では死亡事故も起きているし、現場の職員は大雪の中で、例えばもう電気が通っていて電車が走っている、とにかくとめるなということで走らせながら、軌道やその近くで、感電の危険にさらされながら大雪の除雪に当たらなければならなかったという状況になっているわけで、こういう現場の職員の犠牲の上に、とにかくもうかっていればいいというものではないということを申し上げておきたいと思うんです。  それで、最近、この臨海新交通の会社が間もなく十周年を迎えるということで、記念のパーティーを予定しているという話ですが、これは、いつ、どういう形でやるんでしょうか。

◯永井港営部長 その点につきましては、まだ私ども、詳細に伺っておりません。

◯曽根委員 臨海新交通の会社は昭和六十三年四月に設立されておりまして、ことしの四月で満十周年になるんだそうです。私たちは開業したときが始まりだと思っていますけれども、実際はそうなんだそうで、十周年の四月二十七日にホテル日航東京ですか、三百人ぐらい集めてパーティーをやる。しかし、死亡事故からまだ二カ月たっていないんですから、浮かれている場合かというのが、これは私がいっているんじゃなくて、(「だれがいっているんだ」と呼ぶ者あり)現場の職員の方々がやっぱりそういう声を出している。(「組合員がいっているのか」と呼ぶ者あり)幹部の方でも、率直にいって、こんなことをやっている状態かという意見も出されているというふうに聞いていますので、私は、はっきりいって、こんなものは考え直すべきだということを申し上げておきたいと思います。

3セクビルの経営見通しにはごまかしがある

 さて、先ほど「ゆりかもめ」が大混雑という話をいたしましたが、「ゆりかもめ」が大混雑をしても、破綻状況に解決の道が見えてこないというのが臨海副都心開発、なかんずく第三セクターのビル経営の問題であります。今回、開発全体でも、二次公募の問題とか、まちづくりガイドラインなどがいろいろ出されておりまして、質疑をしたいところですが、後日に譲りまして、今回は第三セクターのビルの経営の問題に絞って何点か質問をしたいと思います。  この三セクビルの経営問題では、昨年十二月の末に都の支援策が発表されまして、今回の予特の資料の中で金融機関の財政支援策というのが出されました。私は率直にいって、先ほどもちょっと意見がありましたけれども、検討の素材が余りにも足りなさ過ぎるということで、決算書の本書とか議事録、取締役会の議事録とか、金融機関の預金残高、金利、あと年商などについて資料要求したんですが、先日、我が党の西田議員が質問したところ、港湾局長は、このうち、議事録については法律上許されないとか、金融機関の金利については守秘義務があるとかいうふうにおっしゃって、これは私たちは大変不満です。裁判所の判断があれば出せるじゃないかというふうに申し上げました。しかし、残りの問題については検討をしたいというお答えでした。検討された結果はどうなったでしょうか。

◯今沢港湾局長 議会中でございますので、まだまだこれから、少し時間をかけて検討いたします。

◯曽根委員 検討していて、議会が終わりました、予算が通過しましたでは、これは事実上、最初から拒否しているのと同じで、拒否しているよりもなお悪質ですよ、我々は待っているんだから。ですから、きょうは間に合わないとしても、少なくとも二十四日の締めくくりの総括質疑、予算特別委員会で要求したんですから、締めくくり総括質疑までに出すべきじゃないですか、いかがですか。

◯今沢港湾局長 二十四日といいますと、一週間もないわけでございますので、とてもそれまでには結論は出ないと思っております。

◯曽根委員 何でそれまでに間に合わないんですか。皆さんがお持ちの資料を出してくれといっているだけなんですよ。一つは金融機関の、金利はだめだというんだったら、預金残高のリスト。だって、これはなければ、そんなのスキームをつくれないんですから。  それからもう一つは、これまでにあなた方が協力依頼書といっている、我々は念書じゃないかといっている中身を正確に出せと。出せば、念書か単なる協力依頼書かわかるわけですから、それぐらいのものを出さないと……。これは大阪で出ているということは、この間、西田議員もいいました。大阪の泉佐野コスモポリスについて、大阪府が出せるのに、何で東京都が検討して、しかも間に合わないぐらいの日にちがかかるんですか。どうしてなんですか。答えてください。

◯関谷参事 会社の財務内容につきましては、これまでも経営状況等説明等におきまして、情報公開可能なものについてはやってまいったわけでございますので、今回新たに検討せよということで求められて、現在、これから検討をしてまいるわけですが、今後どこまで公開が可能かについては、やはり慎重に検討する必要がございますので、(笑声)その点、よろしくお願いいたします。

◯曽根委員 私、漫才をやっているんじゃないんですよ。だって、今回新たにじゃないですよ。予特の資料として前にもう要求しているんですよ。予特の資料というのは最優先でつくるわけでしょう。しかも、これはあなた方が持っている資料なんですよ。金利がだめだというのなら、せめて、まずは金利のところだけホワイトで消して出せばいいじゃないですか。これでは相手もわからないですよ。金融機関の支援というのは、一体どの銀行が支援するのかもわからない。もちろん金利もわからない。これでは何の確かめようもないですよ。これでどうやって検討できるんですか。これで、議会で、予算ですから、予算に含まれているものですから、我々は検討しなければならないんです、審議するんですから。では、どうやって今の材料で金融機関の金利、支援、財政支援というものを我々が吟味することができるんですか。ちょっと方法を教えてください。

◯関谷参事 ただいま予算特別委員会の資料ということでお尋ねでございますけれども、今回のご要求いただいた資料の中でも、業態別の借入金の残高については資料として提出させていただいてございます。

◯曽根委員 業態別じゃね。個別の銀行の名前が出てこなければやっぱりわからないんですよ。皆さんの数字は〇・七五%相当だといったって、全部丸められちゃっているんだから。これじゃ、我々は本当にその銀行に行って、本当に支援するつもりがあるんですかと聞きたいですよ。名前がわからない──(「聞いてくればいいんだよ」「富士銀行へ行ってみな」と呼ぶ者あり)富士銀行は間違いなく入っているだろうけれども。全体としてどれだけ、本当に二百七十億円、東京都と同額相当なんだという中身をどうやってつかめるのか。例えば、これがもし予算が通過して、実施されていったとしますね、実施されて、東京都の方の出すお金は明確に予算から落ちるんだから、だれが見たってわかるわけですよ、お金が行っているなと。  それでは、逆にこれが実施されて何年かたっていって、銀行側の支援が東京都と同額やられているなということを、今皆さんが出されている経営報告書とか、議会に出されている資料の範囲の中で我々はどうやってつかむことができますか。銀行側、金融機関側の支援が二百七十億円相当だということが、実際にいろんな援助が出てきているなというのをどこで確認できますか。

◯今沢港湾局長 大体都と同額の支援の根拠といたしましては、三千六百億円に上る借り入れにつきまして、十年間平均して〇・七五%ということは、これはご説明をしてございます。それからあと、支援の方法といたしましては、先ほどのご質問にもお答え申し上げましたけれども、いろんなものを組み合わせながら支援をするわけでございます。  お尋ねの中身は、多分それぞれの業態、あるいは金融機関別に何%ぐらい支援するのかという、金利の面ですけれども、それも含まれていると思いますけれども、これにつきましては、平均では申し上げられますけれども、それぞれの借りた時期によっても金利は違います。固定か変動かによっても違います。これを小まめにいうということは、私どもといたしましては、これはなかなかつかみ切れないとともに、金利そのものは、金融機関側にとりましても、先ほどもお話しいたしましたけれども、守秘義務が課されているわけでございます。その守秘義務が課されたものを、我々、借りている側が──これは会社でございます。借りている側がその額を、金利をいうということは、今後の円滑な融資を受ける上につきまして最大の障害になるということから、先ほどの質問にもお答えいたしましたとおり、具体的な内容は申し上げられないという説明をしたわけでございます。

◯曽根委員 それは結局は銀行側の都合に立っているんですよ。私たちは二百七十億円相当の銀行側の支援という額についてももちろん納得していませんよ。こんなものじゃ足りないと。東京都は前からもうお金をいろいろ出しているんですから、それは前にも述べてきたので省略しますよ。しかし、二百七十億円銀行側が出すと。それ相当の支援をするんだということが我々にわかるようにする方法は幾らでもあるんですよ。例えば単純に金利を下げればいいんですよ。金利を下げれば、利払いの返済額がその分落ちるんですから。単純にいえば、十年間で二百七十億円下げるのだったら、一年間に二十七億円利払い分が下がるんですから、利払いが二十七億円下がれば、それは経営報告書に出ますよ。それで、ああ、銀行側は利息を下げて、二十七億円分下げたんだなと、そこへはっきりあらわれるわけですよ。  ところが、利息を下げるのは一部であって、何か大部分は、これから上がるはずの利息を上げないで固定する、こういうわけのわからない──専門家にはわけがわかるんでしょうけれども、我々から見れば先のことはわからないわけですから、そういうものが金利の支援としてどこにあらわれるのか。あらわれないですよ。はっきりわかりやすい方法をとったらいいじゃないですか。そうしたら、経営報告書に銀行名は出なくても、金利がこれだけ下がって、それでその分の利払いが減ったと。一年間に二十七億、十年間で二百七十億、こんなわかりやすい話はない。こういう方法をどうしてとらないんですか。

◯関谷参事 今回、金融機関から協力を取りつけるに当たりまして、直接金利を引き下げる以外に、いわば変動金利から固定金利への変更ですとか、長期金利に適用される金利を短期金利に適用される金利に変更する等、幾つかの手法を組み合わせておりますのは、やはり金融機関にはさまざまの業態がございますので、そのさまざまな業態の特性等、また金融機関も資金を調達しているわけでございますので、その辺の調達構造等も含めて、より協力の取りつけやすい手法を組み合わせていったという側面がございます。  また、今お尋ねの、金利を直接下げればわかるじゃないかというご質問なんですが、現実には金利というのは固定金利の場合と変動金利がございますので、変動金利の中で金利自体が動いている中では、例えば何%下げたということであっても、金利そのものを申し上げない限りは、その辺は、財務諸表の利払いの額が云々だけでは的確に表現できない。結局、お求めの内容を明らかにしていこうとすると、どうしても金利そのものを明らかにしないと、その辺はなかなかご納得いただけない。そういう側面がございますので、こういう答弁になっているわけでございます。

◯曽根委員 そういうんだったら、金利を全部明らかにするしかないですよ。我々はそこしか見えないんだから。私は百歩譲って、こんな方法を出すのも問題なんだろうけれども、我々にわかる方法は、金利を幾ら、どういうふうに、変動金利だろうが固定金利だろうが下げたのは、結果として利払い額にあらわれるんだから、経営状況報告書に利払い額として二十七億円下がれば見えるじゃないか、単純に来年、再来年とそれが下がっていけば、ああ、支援があったんだなというのがわかるじゃないかと。この方法ぐらいとれなくて、それで、今、協力してもらいやすい方法を選んだと。結局は銀行側の都合でいろいろと皆さんが配慮して回っているんじゃないですか。こういうやり方だと、結局は足元を見られる。繰り返しになりますからやめますけれども、結局、やみの中に東京都だけが明らかな金額を明確に投げ込む、あとはどうなるかわからない、こういうことだと思うんですね。  これは、我々はビル経営を立て直そうという立場ではありませんけれども、ビル経営を立て直そうという立場にいる人だって、こんなことで大丈夫かという不安は先ほど出たとおりだと思うんですよ。我々とは立場を異にするけれどもね。銀行側がまじめに支援をしなければならなくなるところにどうやって追い詰めるのか、ここをもっと真剣に考えなければだめですよ。  結局、本体のビル経営が、もし銀行の支援があったとしても、ビル経営が見通しが立たなければ、これも全部パアになるわけです。これだけは、東京都がどんなに支援をしようと思っても、ビル経営は民間企業でやっているビル経営ですから、都心のテナントビルなんかと競争しなければなりません。したがって、テナント料とか管理サービスの水準で、どうやってテナントをお互いに獲得するかという競争なんですから、これは我々、東京都としても助けようがないわけですね。その分野で本当に立ち行くのかということについて、特に台場のフロンティアビルについて、時間もありませんから絞ってお聞きしたいと思います。  台場のフロンティアビル、これは三社の五つのビル平均で、六年間でテナント料を、収入を一・五倍に上げるというふうにしているわけですね。そうすると、だれが考えても、台場のフロンティアビルは一番場所がいいところにありますし、大崎に地下鉄が延伸するメリットを一番受ける場所ですから、テナント料を二倍ぐらい上げなければならないということになりますから、六年間で二倍程度に上げる見通しだということでいいんですか。

◯関谷参事 三社の合計で、賃料収入は大体五〇%増を十六年度までに見込んでおりますけれども、賃料自体の見込みといたしましては、フロンティアビルにつきましては、おおむね賃料として五〇%程度の上昇を見込んでおります。

◯曽根委員 今フロンティアビルとおっしゃったので、有明、台場、青海と三棟あるわけですね。台場について個別にテナント料を増収どれぐらいという見込みはいえないんですか。

◯曽根委員 なぜいえないのかと聞きたいところなんだけれども、だれが考えたって、一・五倍平均ですから、台場は一番高いですよね。一・五倍から二倍の間でしょう。それを六年間に上げるということが、これはもう少し細かい数字を恐らくお持ちだと思うんだけれども、それが表に出ると、台場ビルというのは入居企業が少ないですから、もろに、あっ、うちに来るなとわかるわけですよね。それが入居している企業にとって、私はお話にならない金額になるだろうと、とても応じられるものじゃないというふうな状況だろうというふうに思うんです。  なぜかを申し上げます。シェル石油が、さっきは労働組合の話をしましたけれども、シェル石油が台場ビルに入居するときに記者会見をしまして、三つのメリットがあるんだと。だから、都心の霞が関ビルからわざわざ臨海部の台場ビルを選んだと三つの理由を挙げたんですが、三つの理由をご存じですか。    〔「曽根さんがいってやった方がいいよ」と呼ぶ者あり〕

◯曽根委員 だんだんせかせかしてきましたが……。一つは、災害に強い、特に震災対策、液状化対策がしっかりしている、そういうビルである。それからもう一つは、ロケーションのよさだと。海辺の緑の多い環境、こういうのを評価した。三つ目は、テナント料が都心よりも四割安い。これは新聞記事にも当時紹介されまして、私も読んだんですけれども、この三つのメリットをいわば堂々と明らかにして霞が関から移ってきた。その三つのメリットがどうなったかということなんですね。台場フロンティアビルだけ、どういうわけかビルがオープンしてから今日まで一回も防災訓練をやっていないというふうに聞いているんです。それで、シェル石油からは、早く防災訓練をやってくれということで異例の督促があったというふうにも聞いているんですが、それについてお聞きになっていますか。

◯曽根委員 シェル石油の方の話では、とにかく一緒に入っている企業との折り合いがつかないから待ってくれ、待ってくれという話で、もう業を煮やして自主的にやりますということにしたというような話も聞いています。  防災はもちろんですけれども、ビル管理というのは、一つはセキュリティー、警備、防災、それから設備ですね。空調関係の機械がちゃんと動くか、それからエレベーター、そういったサービスがきちんとできないとだめなんですね。そのサービスのレベルでテナント料というのは決まるんですよ。あとは場所の問題もありますけれども。そういう点で、新しいということもあるんでしょうけれども、ここのビル管理は率直にいってだめだという評価が、どういうわけか、前にいた霞が関ビルを管理していた三井不動産──三井不動産はまたこの臨海進出の問題で今は微妙な立場にありますけれども、三井不動産の方にも聞こえている、何とかしてくれと。三井不動産の方は、我々は逃げられた立場だから、我々にいわれても困るのでというふうにおっしゃっていましたけれども、それぐらい評判なんです。  ですから、この台場ビルが本当にテナント料を六年間で二倍近くまで上げられるのか。三井不動産の、いわば長いことビル管理のプロとしてやってきた人の話では、向こうは相当年期がありますから、三井不動産が自信を持って管理しているビルでさえ、ここ数年は、とにかくビル入居の企業の経営者がテナント料増額に応じられない、決断できないというんですよ、先が見えないから。それでも頑張って三%とか五%程度、二年に一遍の更新で上げてもらっていますと。二年に一遍の更新でも、三井でも三から五%ですよ。ところが、六年で二倍近くに上げるとなれば、二回か三回しか更新がないわけですから、一回に一〇%以上上げていかなければならない。これは、私ははっきりいって不可能だと思うんです。(「三井不動産だとかシェル石油だとか、共産党も随分大手の味方をするんだね」と呼ぶ者あり)そう、もういろいろと私もこの点は調べたんです。皆さん、率直に話してくれました。その上、今回、内部努力ということで、合併して四割職員を減らすそうですね。これで私は管理水準がまた下がるんじゃないかと思うんですが、これでもテナント料の二倍近い引き上げは六年間にできるという見通しを持っていらっしゃるんでしょうか。

◯曽根委員 いや、よくいってくださいました。勘違いだというのなら数字を出してくださいよ。台場のフロンティアビルは一体何倍に上げるんですか。私は勘違いだといわれるのは心外だから、じゃ、数字を正確にいってくださいよ。持っているんでしょう。

◯曽根委員 もう細かい問題はやりませんけれども、三棟で平均で賃料を五〇%上げるんだということは間違いないんですから、台場ビルの位置からして、一・五倍以上であることは間違いない。あと、二倍までどこまでなんだか、あとはいわないんだから私らはわからないですよ。それで勘違いなんていわれたら心外ですよ。  それで、上がるという根拠を──相手は、シェル石油というのは外資企業です。メリットがなければ出ていきますよ。三つのメリットを私はさっきいいましたが、全部だめで、賃料が都心から四割安いというのが最後に残ったメリットなんです。これがなくなるわけです。出ていく先があるのかといわれれば、あるんです。二〇〇一年には丸の内と汐留、同時にビル開発が完成するわけですよ。バブルの当時は、臨海地域とか、大崎とか、品川とか、天王洲とか、超一等地ではない、ちょっと外れたところが開発されたわけですよ。しかし、今度は都心ですよ。超一等地、丸の内ですよ。そこに森ビルが開発するわけですね。ここのテナント料が二〇〇一年の段階で幾らに設定されるか。これによって臨海の三セクビルは、もしこれが安目に設定されたら、全部持っていかれますよ、本当に。どうなるかわからない。今はもう全く先が見えないですから。高くなるかもしれないけれども、低くなるかもわからない。いずれにしても、ビル需要というのはダブついているんですから、要するに買い手市場になっているという点で、私は臨海の第三セクターは、六年間の先のことを見越して今助ければ何とかなるという状況ではないだろうというふうに申し上げておきたいと思います。  こういう状況だからこそ、本体であるビル経営ではもうだめだというか、間に合わないと見たのか、今、第三セクターを統合したところにいろいろと仕事をやらせようということで動きがあるという問題、ちょっと時間が延びましたけれども、二問か三問ぐらいだけやらせてもらいたい。  一つは、マリーナ条例が廃止されます。今回出ています。このマリーナは、東京テレポートセンターに経営を無償貸付で移すわけですね。いろいろ聞きたいことがあったんですが、一点だけ、このマリーナは、毎年の収入と支出の関係で見ると、要するに、施設を維持していく経費及び運営経費に対して収入の方がはるかに多いんじゃないですか。毎年三億か四億のいわばお金が残っているというふうに聞いていますが、いかがですか。

◯曽根委員 最後におっしゃった改修経費というのは、大規模改修でふ頭をつくったりグレードアップする部分ですから、維持経費としては二億数千万。間をとりますと四億ぐらいの事実上の収益がある。これが今度、公共の施設から完全に民間の経営するものになるわけです。  実はけさ、私のところに利用者から電話がかかってきたんですよ。経済・港湾委員会だからということだと思うんですが、とにかくかんかんなんですよ。きのうかおととい、きっと説明会があったんですね。それで、とにかく今度経営を移譲するというので、規則はもう大幅に変わって厳しくなる。料金も基本料金は上げないといっているんだけれども、駐車場料金とか、それから修理を頼んだときの施設の中に出入りする料金とか、いろいろ取られる。こんなのはやめさせてくれというふうに、私、電話で陳情を受けちゃったんですね。  私は、利用者に納得を得られないままで強行する、しかもこれでお金は──結局は東京テレポートセンターの事実上の救済じゃないかと。ほかにも海上公園の管理委託で、臨海内の海上公園は全部もう東京テレポートセンターにやらせようと。それで委託経費を都費でつぎ込む。とにかくいろんな形で東京都のお金を次から次と第三セクターにつぎ込んでいく。本体のビル経営が危なければこっちの方でという、そういうところは、私は本当に都民に対して無責任だと思うし、都民の財政をむだ遣いしている最たるものだということを申し上げておきたい。したがって、マリーナ条例は──私は絶対反対なんです。  それから、海上公園その他も、今度公共料金の値上げが出ていますけれども、このことについても反対だと。  もういろいろいう時間がないので、終わりにします。

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