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98年3月18日経済港湾委員会予算質疑
福祉対応の商店街事業に支援を、中小企業の技術開発後の販路拡大にも援助を

◯曽根委員 私からは、初めに福祉の課題についての、産業活性化に取り組んでいく上での問題で、幾つか質問したいと思います。  その第一は商店街、なかんずく未組織商店街、法人化されていない商店街の取り組みについてです。  昔は商店街どこでも、とにかくすりが出るくらい人通りが多い。高度成長のころは、お店が苦労しなくても、品物を並べておけばお客さんがふんだんにやってくるという時代がありましたが、今日はそういう時代も遠く去って、とにかく工夫をしないお店はつぶれる、やる気のある後継者、リーダーのない商店街も寂れていくという、厳しい状況に置かれているわけです。  私たちは、大型店の問題とか、行政の支援がまだまだ不十分だという問題がありつつも、やはり商店街自身の取り組みとして、新しい分野に乗り出していこうという決意、意欲がないと、これからは生き残っていけないだろうということも、確かだと思っています。  私のおります北区の中でも、もうこの際、一般の消費者全般を相手にしてやっていたのでは、大型店や駅前の商業集積に勝てないということで、地域や団地などでは高齢者、障害者、子どもなどにターゲットを絞るという形での取り組みが始まっています。  その中で、未組織商店街でも、車いすでも、どこにでも買い物に回れるような、そういう商店街づくりをやってみようじゃないかという話がよく出されるのですけれども、これがやはり取り組もうとすると、非常に大変なんです。今までのアーケードとかカラー舗装とかいう形のものでかかる費用と、一けたか二けた違うわけなんです。そういう点では、未組織商店街の場合、都の支援策というのは、今のところ基金事業がほとんどなんです。  それでちょっとお聞きしたいのですけれども、都の公社による基金事業で、まず支援の中身、事業の中身として、今私が話したようなものも含めて、とにかく商店街がこれをやりたいというふうに、いろいろと創意工夫を凝らして、また地元の区市町村とも相談してアイデアを出してきたときに、これにこたえられる、いわゆるプロポーザル方式が、この基金事業でも十分に用意されているのかどうか、この点の現状と、今後、新たなその点での充実の方向があれば、お聞かせいただきたいと思います。

◯長谷川商工振興部長 ただいま先生がお話しされました未組織商店街によりますさまざまな取り組みでございますが、お話しございましたように、各商店街が自主的にいろいろな企画をするということにつきましては、私どもできるだけ応援をしたい、こういうことでございます。  このため、かねてより中小企業振興基金──今、基金というふうにおっしゃいましたけれども、この基金を活用いたしまして、法人格を有しておりません、概して申し上げますと比較的規模の小さい商店街に助成の道を開き、施設整備や情報化、イベントといったハード、ソフト両面にわたりまして、支援を行ってきたところでございます。  そして、ハードにつきましては、私どもこれまでもメニューに定められた内容に限るということではなくて、各商店街が希望する施設を対象にしてきておりまして、これまでの実績を見ましても、いわゆる街路灯やカラー舗装といったなじみのあるメニューのほかにも、駐車場であるとか、放送設備、ポケットパーク、商店会館、モニュメント、からくり時計、こういった種々の例示ができるほど、助成をしてきております。  ソフト事業につきましても、同じような発想で、各商店街が企画いたしました内容を広く取り上げまして、資金の助成原資等、制約がありますけれども、その中で極力前広に拾い上げてきているというところでございまして、こういったご指摘、つまり商店街の自主的な取り組みについて幅広く行政が受けろというご指摘は、これまでの議会でも累次にわたりまして指摘を受けておりまして、こうした方向で、この基金事業につきましても運営を図っていきたいというふうに考えております。

◯曽根委員 そうすると、メニューとしてはいろいろなものができると。あとはやはり財政的な規模なんですけれども、一つの商店街、例えば五十軒とか百軒程度の小さい規模の商店街であっても、車いす対応で全部やれるようにしようと思うと相当なものなんです。  どこかでちょっと試算をしたのを聞きますと、カラー舗装とかアーケードならばせいぜい一千万円単位、これが億の単位になってしまうということなんです。こういう本格的な事業に支援をするということになると、どうしても基金事業では限界があるのじゃないか。それで、例えば何年か継続して支援をする方法がないかとか、それから一般会計との組み合わせで本格的な支援事業に取り組める方法はないかとか、いろいろと今後の方向を出していかなければならないのじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。

◯長谷川商工振興部長 同一の事業につきまして、一般会計と振興基金から組み合わせて助成をしてきた例につきましては、これまでも必ずしも多くはございませんが、実績はございます。江東区あるいは渋谷区、平成七年、平成六年、それぞれアーケードやカラー舗装を助成した例がございます。  それから、同一の商店街につきまして一たん助成をいたしまして、その後、事情の変化が起こった結果、さらに助成をするといった例につきましても、昨年の三定で、例えば一たんつくった商店街の施設がその後老朽化いたしまして、安全の面から改修の費用を助成したらどうか、あるいは四定では、そういった老朽化が過ぎるために、改修どころか、もう撤去も必要ではないか、むしろこういったものが安全の面から必要だ、こういった議会でのご指摘がございまして、こういったご指摘を踏まえて、十年度からそういった方向で助成の対象に含める方針でおります。  また、振興公社の事業につきましても、同一事業について、複数年にわたって助成したらどうかということでございますが、限られた原資をなるべく多くの商店街に使っていただくという趣旨から、これまで確かに同一の商店街が複数年にわたって、直ちに連続して助成金を交付されるという例はなかったわけでございますが、さきの予算特別委員会におきまして、豊島区の三年間にわたります助成事業の例が引かれたところでございまして、こうした指摘を受けて、局長の方からも、区市町村の自主的な取り組みを受けて行う商店街に対しては、都の助成予算の執行上、複数年にわたる事業も積極的に続けてまいるというふうに申し上げたところでございますので、これを受けまして、十年度からはそういった考え方で臨んでまいりたいと思っております。

◯曽根委員 そうしますと、希望が見えてくるのです。確かに、一つの小さな商店街に東京都がいろいろな形での支援をつぎ込むというのは、不公平感があるのじゃないかとか、いろいろな意見も、場合によってはあり得ると思うのです。  しかし、やはり生き残っていこうという意欲をどうやってくみ上げていくのかということが、今大事だというふうに思いますので、複数年にわたる支援、それから一般会計での支援との組み合わせがトータルで受けられる中で、思い切った、先ほどの福祉のまちづくりが実際にできるような支援事業の取り組みを、地元の区市町村などとも連携して進められる、そういう道が開かれるように、実際はなかなか難しくて、ほとんど実現していないのですよね、福祉のまちづくりの商店街というのは。それが未組織商店街でもできるように、要望しておきたいと思います。  それからもう一つは、福祉機器の開発普及の問題なんです。こちらでも、私の知っている方も含めて、福祉機器の開発に意欲を燃やしている別の分野の、例えば水道屋さんがパイプ技術を生かして福祉機器に取り組むとか、そういう例は出てきております。また、福祉機器の普及に携わりたいという商店の方も、私にちょっと声がかかってきたのです。これは新しい話だなと思って、私、着目をしているのです。  そこで、一般論としてまずお聞きしたいのですが、福祉機器などいわゆる新技術を開発をするというような取り組みに関して、都としては、例えば技術的な面、財政的な面での支援の方法としては、どういうものが用意されているのでしょうか。

◯鎌形商工計画部長 技術開発の支援につきましては、例えば創造法の認定、それに基づく国とのタイアップによる助成事業だとか、それから基金事業におきます新製品、新技術、また創造的技術、いろいろな分野での助成制度を設けているところでございます。  あとはいわゆる産技研を含めた東京都の技術陣を、そういった開発について、ご指導、ご支援をさせていただくということも、現在、広くやっているところでございます。

◯曽根委員 技術的には、開発のいろいろな連携事業に対して支援があるというふうなお答えですが、開発した新技術を普及し、販売ルートをつくっていくことについての支援という点ではどうでしょうか。

◯長谷川商工振興部長 一たん開発されまして、製品化されましたものの普及販売についての、労働経済局という観点に限ってからの支援の道具立てということでお答え申し上げますと、私どもの制度融資の中で最優遇の条件に位置づけて、そういった費用をご融資させていただくという制度を、新年度に設けてございます。  そのほか、これは中小企業の方が何社か集まって、あるいは組合をつくって、組合の活動として、集団としてお取り組みになる場合は、別途、中小企業のこういった取り組みを助成するという観点からの補助金といたしまして、業種別活性化補助金というものを、平成八年度から設けておりますので、こちらのルートに乗ることができるかと思います。  なお、付言いたしますと、二点ほど申し上げておきたいのでございますが、やはり助成の程度というものを決めますときには、その事業に伴いますリスクをどうしても勘案せざるを得ないということでございます。これは何も東京都に限ったことではございませんで、ほかの道府県や国も同様でございます。  そういたしますと、ある技術の開発段階と、それからそれができ上がって一応製品化した段階とでは、リスクの程度に質的な差がございます。したがいまして、販売普及段階におきます助成は、開発段階におけるものよりも、質的、量的には一段見劣りがするというのは、そのリスクの面から、やむを得ない点になっております。  それから二点目としては、これはあくまでも労働経済局という点からの視野で見ておりますので、販売普及ということになりますと、何といっても、一番肝心なものはお客さんがいる、買ってもらえるということですから、そういった購買サイドについては、私どもとしては直接なかなか手が伸びないというような制約があるということも、ご承知いただければありがたいと思います。

◯曽根委員 技術の開発までは労経局としての支援がいろいろ、技術的だけじゃなくて、財政的にもかなりあるのですが、普及販売となると、個々の経営の利潤にかかわる問題ということで、かなり制限されてしまう。どうしても制度融資だとか、そういうものに限られてくるということなんです。  そういうところに、福祉機器に技術開発と普及販売の支援を乗せようとすると、そこに壁がやはりどうしてもあるのだなというふうに、私、いろいろと調べていて思ったのです。福祉機器のような用具の場合には、需要はこれまで非常に限定されていたわけです。そういう意味でこそ、福祉のいろいろな援助がこれまでされてきました。例えば高齢者日常生活用具の給付、それから重度の身心障害者児の日常生活用具給付としての補助が出ているわけです。  したがって、これは技術開発はもちろんですけれども、普及販売という点でも、公的な援助を抜きにしては成り立たない分野だというふうに思うし、実際に欧米を見ても、日本を見ても、そういうことが実態なんです。しかし、産業面での支援は技術開発までということだと、実際には障害者やお年寄りのところに、すぐれた技術の物が届く手だてがない、ルートがないということで、日本の場合、福祉機器の普及が大変おくれているわけです。  先日、福祉機器総合センターに伺いましたら、大体欧米に比べて二、三十年おくれていると。それは技術水準もあるけれども、やはり障害者、お年寄りの身近なところにすぐれた物が展示され、そして使ってみてどれが合うのかとか、その人に合わせていろいろな修正ができるとかいうことが日常できない。東京で福祉用具を扱っている店、一覧表があるのですけれども、デパート、専門店などを入れても百十店、私の住んでいる北区には一戸もないので、非常に残念な状況なんです。  そういう点で、確かに団体だとか組合のレベルなら援助ができるということもあるでしょうが、個々のお店への援助ができないかなというので、実は私に相談があったのは、自転車屋さんなんです。  北区のある自転車屋さんが、大きな病院のそばで営業をしていまして、自転車も修理しますけれども、日常、病院から頼まれて、車いすのパンク修理なんかをしょっちゅうやっているわけです。しかし、ねじ一本合わなければ、自転車は全部規格が統一されていますが、車いすはそうじゃないので、ねじ一本外れて直してほしいといわれてもこたえられないという限界を感じていて、こうなったら車いすを販売もし、責任を持って修理もするというために、車いすのメーカーの部品をそろえてやってみたらどうかと思って調べてみたら、大変だということがわかった。車いすはメーカーによって全部規格が違うということで、部品を集めるだけでも大変だということがわかったらしいのです。  ですから、今のお答えだと、一つの道としては、自転車の小売店の団体、組合などで取り組めば、こうしたことに対して業種別の支援はあり得るということになるでしょうか。こういうことに取り組む場合にはどうでしょう。

◯長谷川商工振興部長 私ども商工振興部、そして労働経済局という観点からは、この委員会でも何度もご指摘をいただいておりますが、東京の中小企業の少しでも多くの皆さんに、苦境を乗り越え、発展していただきたいということで施策を展開しております。  そういう意味では、確かに福祉機器の持つ重みというのは感じますが、福祉機器をつくられる自転車屋さんも、酒屋さんも、そして小売店の方、さらには用品の卸屋さん、すべて私どもにとっては大事な大事な中小企業でございます。  したがいまして、どういう品物をつくっているか、あるいは売っているかということで、特にそういう観点から助成金をつくるということは、私どもなかなかできないと思っておりまして、先ほど申し上げました、扱う事業のリスクの段階に応じて販売の段階は融資、しかも制度融資の最優遇の条件を、この福祉の関係では新年度から実施したいと思っておりますので、先生のお話では、融資はどうも助成じゃないというようなことのようでございますけれども、私は制度融資をつかさどる部長といたしまして、立派な助成だと思っておりますし、他方、中小企業の集団化の助成、育成ということからつくっておりますのが業種別活性化制度でございますので、先生よろしくその辺をご指導いただきまして、ご利用いただければありがたいと思います。

◯曽根委員 私、制度融資も立派な、大きい意味での助成の一つだと思っていますので、誤解のないように。  わかりました。業種別支援というのはあり得ると思うのです。確かに自転車屋さんも生き残るのは大変なんです、スーパーにみんな持っていかれちゃって。ですから、ほとんど修理で食っているわけです。そういう生き残るために、福祉の分野に乗り出そうかと考えることは、福祉の側からいうとどうなのか、という疑問もあると思うのです。自分たちも食べていく。しかし、目の前で障害者の車いすが壊れて、直すところも、メーカーに頼んだら十日くらいかかってしまうということで困っている人がいると。そこで、お互いの生き残りのために本当に頑張ろうじゃないかという思いは、受けとめていいのじゃないか。  そういう意味で、必ずしも団体や組合だけではなく、個別のそういう取り組みにも援助ができる道が開かれる、なかなか今すぐにというわけにはいかないかもしれませんが、方向を検討していただきたいということを申し上げておきたいと思います。  それから次に、先ほど高野さんも取り上げましたが、六信組の問題について。もう高野さんから、私も本当に同感、共感する内容の質問がありましたので、その点は大幅に省略しまして、幾つかに絞ってお聞きをしたいと思います。  私たち代表質問でも指摘しましたように、今日、六つの信用組合がここまで追い込まれたという背景としては、四月一日から早期是正措置が適用されて、四%の自己資本比率が求められる。それに足りないところは、評価としては経営不振組合という、言葉は悪いが、レッテルが張られてしまう。四%以上なら健全組合だと。経営不振組合の中で、短期間に債務超過が解消される見込みのない組合、自己資本比率ゼロ%の組合が、今回こういう措置となったと。やはり早期是正措置を信用組合に適用するというやり方に、今回の事態の大きな原因があるだろうというふうに思います。  それが果たしていいことなのかということなんですが、先日、我が党が信用組合協会の役員の方にお会いして、率直なお話を伺いました。これは代表質問でも一部いいましたけれども、もともと収益を前提にしていない非営利団体だ、黒字が出れば会員に還元する組織であって、蓄積できない仕組みになっている。それを銀行と同じ基準で、このような早期是正措置を押しつけるのは矛盾があるじゃないか、という意見がありました。  それから、銀行救済のために含み資産などの土地など、簿価方式から時価方式に切りかえて、保有資産の中身を時価でもって大きく見てあげるという措置があるそうなんですが、信用組合はこの恩恵に全くあずからない、何しろ蓄積できないのですから。そういう不利な面がある。  それから、不良債権などといわれているけれども、大体バブルで破綻した銀行は、自分でバブルをつくって、自分で破綻したという面があるが、信用組合はどちらかというと被害者の立場だ。そういう点でも、信用組合と銀行を同列に扱うということについては異論があるのだということを、盛んにおっしゃっていました。私、そういう点では本当に同感なんです。  こういうことから見て、初めに早期是正措置、四月からやるということだけれども、これを、言葉は悪いですけれども、押しつけて、今後もやっていくとすると、次々とこういう経営不振組合、そして経営譲渡という事態が続いてしまうのじゃないかというふうに思うのですけれども、今後の問題についてはどのようにお考えでしょうか。

◯藤井参事 早期是正措置は、我が国の金融の自由化を控えまして、金融システムを市場規律に立脚をさせ、透明性の高いものにする必要があることから、平成八年六月の、いわゆる金融三法の制定によって導入されたものでございます。  その中で、健全性を確保する基準といたしまして、自己資本比率を置きまして、その客観的なデータに基づいて、監督官庁が業務改善命令等の措置を行うこととしたものでございまして、当局の裁量の幅をできるだけ狭め、行政の透明性を確保することを目的としたものでもございます。  都内の信用組合も、かねてからこの四月の早期是正措置の実施に対応するべく、懸命の努力を重ねてきたところでございますが、六信用組合につきましては、この措置に四月段階で対応できないということが判断されたところでございます。  都といたしましては、金融システムの安定という法の目的が達せられることが非常に重要なことであるというふうに考えておりますので、適正な制度の運用と、都内信用組合の指導に当たってまいりたいというふうに考えております。

◯曽根委員 この問題は、これ以上聞いてもいいお答えはないと思いますので、やめます。  具体的な問題をちょっと取り上げたいのですが、六信組の中で住友銀行に経営譲渡する西南信用組合ですね。ここの場合について、私たちは、この西南信用組合が、今回措置をとられる直前まで出資金集めに奔走していたというふうに聞いております。  これは、こういう措置を受ける可能性が強いということを知りながら出資金集め、出した出資者は、今回の措置でもって出資金が戻らないということになるわけで、これは出資者に対する背信行為になりはしないかと思うのですが、いかがでしょうか。

◯藤井参事 組合員の増強は、信用組合にとりまして、大変大きな意味を持つものでございますが、お話の西南信用組合におきまして、事業譲渡の直前まで出資金集めが積極的に行われたというようなことは聞いておりません。  事業譲渡につきましては、それ以前に数カ月間の準備期間がございましたけれども、当然のことでございますが、その準備が始まった以降は、積極的な勧誘等はすることはないように、組合を指導し、組合もそのように対応してきたところでございます。  一方、組合員になろうとする方から直接申し出があった場合の対応につきましては、事業譲渡を発表する前のことでございますので、そういったことがあるということを当然明らかにすることもできませんで、大変難しい対応でございましたけれども、後日トラブルになることがないように、これも信用組合に十分指導いたしまして、信用組合も、西南信用組合も含めまして、そのように対応してきたところでございます。

◯曽根委員 私の聞いたのがうわさだけだったというならいいのですけれども、もう一つ、住友銀行が──西南とは前からいろいろつながりはありましたよね。それで、出資金を集めるのに、これは直近というわけではありませんが、平成七年、平成八年、それから平成九年と、何度にもわたって、出資者が、もう出資金危ないそうだから返してほしいというときに、いやいや、住友銀行がバックについている、大丈夫なんです、出資金継続してくださいということで、出資金は守られますからというようなことをいって、出資金の返還を勘弁してもらったというのが、具体的にこちらに苦情といいますか、来ているわけです。  その方の場合には、平成九年六月に、この西南信用組合が、結局は決算で無配になった、配当が出なかったということから、断る理由がなくなって、出資金は返還されたようなんですけれども、住友がバックについているということをいって、出資金集めをしたという事実はあるわけなんです。  私は、それは当然ながら住友銀行とも相談があったのだろうということから、ここは銀行ですから、住友銀行の判断で、出資者に対しては何らかの保証をするということはできるのじゃないかと思うのです。信用組合に行った場合はなかなか難しいと思うのですけれども、住友銀行の場合にはできるのじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。

◯藤井参事 先ほど申し上げましたとおり、事業譲渡の準備に入って以降は、出資金の問題については慎重な対応を求めてきたところでございます。事業譲渡の準備に入るより以前に、お話のような事例があったかどうかについては、把握をしていないところでございます。  また、いわゆる住友銀行と出資者の保護との問題でございますけれども、今回の事業譲渡の趣旨から見まして、東京都が、受け皿となった住友銀行に対しまして、出資者の保護を求める根拠もございませんし、またそのような立場にもないというふうに理解しております。

◯曽根委員 やはりこれは、銀行の判断でできることだと思うのです。東京都としては、これはいいお答えで、その中から、要望にしておきますが、住友銀行に対しては、何とか出資者のことを考えてやってくれ、可能なんだから、という要望を出してほしいということを要望しておきます。  それから根本的には、ほかの五つの信用組合の場合にはこれも難しいと。ですから、東京都としては、先ほどこれも高野さんから質問があった問題ですけれども、出資者保護について何もできないのかという点では、大阪府では、昨年の二月に既に、大阪府下信用組合の今後のあり方等、府の財政支援について、という文書を出しまして、この中では率直に、先ほど申し上げたように、信用組合の出資というのは、預金や貸付を受けるための参加権としての性格が強くて、組合員の意識から見ても、株式同等に考えることには問題があると。地域での信用組合再編を早期に進捗させるためには、経営者のみならず、組合員や総代の理解が不可欠であることから、出資金の損失への充当を緩和する、つまり出資金を全部債務超過の穴埋めに使うのではなくて、それを緩和することが検討課題になるだろうということは、この文書の中で率直に述べているのです。  したがって、東京都も、今後検討すべき課題であるというくらいは明らかにするということは、信用組合の業界を、まだまだ検討課題というだけじゃ弱いかもしれないけれども、それでも東京都が何か考えているよという点では、できることがあるのじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。

◯鎌形商工計画部長 出資金につきましては、本会議それから予特、そして本日の委員会でご答弁申し上げたところでございまして、法律上一切そういった扱いはできないということになっているわけでございます。したがって、法律を改正する以外に、保護する道はないというふうに考えております。  また、先ほど参事の方からお答えいたしましたように、確かに株式だとか預金と同様に考えていたということ、そういった実態は我々もよく理解しているということを申し上げてきたところでございまして、そのお答えをもってご理解をいただきたいと思います。

◯曽根委員 やはり私は、法律改正が必要ならば、そのことも国にいうべきだと申し上げておきたいと思います。  それから、これに関連して、安全、協和とコスモ信組の処理が非常に困難に直面しているというふうに聞いています。その現状について、このままでは十年を待たずに、このスキーム自体が破綻しちゃうのじゃないかといわれていますが、現状はどうでしょうか。

◯鎌形商工計画部長 先ほど総務部長からご説明いたしましたように、委員会資料の二ページに、二信組、コスモの債権回収状況を載せてございますが、これから考えますと、今現在も都信協におきましては懸命な回収作業に努力しているわけですが、現下のこういった厳しい経済情勢等々を考えますと、その全額を回収することは大変難しいというふうに考えております。

◯曽根委員 都信協は、このままでは毎年四億円くらいずつ、要するに差額が出てきて、最後は都信協がかぶるか、東京都がどうするかという問題になってしまうと、大変心配しているわけです。  したがって、私はこの問題では東京都の責任が非常に重いと。国の法律ができてしまって、二信組、コスモについては、もう置いてきぼりを食っちゃったわけですが、改めて国に対して、預金保険機構の中で救済のスキームを考えてくれということは、やはりこれはいわなければならないですよね。  そのことも含めて、信用組合を本当に守るというためには、東京都もできる中で最大限のことをやらなければいけない。本会議でも、信用保証協会に原資を預託するのと同じように、信用組合に、貸し渋り対策の原資預託を行うことだってやるべきじゃないかということを提案いたしました。この提案へのお答えも含めて、最後に局長に、信用組合、これからどうするのかという、長期的なものを含めたご意見を伺いたいと思います。

◯坂庭労働経済局長 まず、事実関係といたしまして、コスモ、二信組の、都信協の債権回収機関の問題でございますが、これまでたびたび本会議、予特等でお話を申し上げておりますように、資料をごらんになって、先ほど商工計画部長もご答弁を申し上げましたように、全額回収というのは事実上困難でございまして、どういう結果になるかというのは、まず東京都が見るか、都信協がかぶるかということ以前に、全国信用組合連合会の貸し金が不良債権化する、これが要するに最初の現実になってくるわけでございまして、それを、東京都は借金の返済のためのお金は絶対に出せませんので、都信協が仮に返すとすると、これは並大抵なことじゃない。  そういう現実を踏まえまして、それから、金融三法ができたことの後先は別にいたしまして、やはり整理回収銀行に都信協の債権回収部門を引き取ってくれ、国に対してこういうお話をしました。担当の部長、あるいは参事の話だと、かんかんになって怒ったそうですが、協議は続ける、こういうことになっておりますので、引き続き協議を続けて、これまで本会議、予特でお約束したことが実現できるように努力をしていきたい、こういうふうに思っております。  それから、今後の信用組合の健全化、あるいは信用組合業界の基盤の強化についてでございますが、私は、個別の信用組合については、一つは、やはり指導監督をはっきりさせる。その指導監督のもとは、それぞれの信用組合に経営情報の開示をきちっとさせる。それが本当かどうかということも含めて、やはり個別の信用組合については指導監督をきちっとしていかなければならない、こういうふうに思っております。  ただ、それとは別に、業界全体が二信組、コスモ、それからその後の金融機関のさまざまな破綻を目の前にして、今までの生き方ではとても生き残れない、こういう空気が非常に強くなっておりまして、そういう空気の中で、それぞれ隣同士というのですか、営業区域が隣接しているところ同士が合併していこうとか、先ほどご答弁申し上げましたように、資金運用の一元化を図ろうかとか、そういういろいろな試みがなされておりまして、そういった試みについて、都としてどういうふうに支援していくかについて、これまでもお話し申し上げておりますように、業界とよく相談して、しかるべき措置を講じていきたい、こういうふうに考えております。

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