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99年3月2日経済港湾委員会予算審査

●築地市場移転問題

◯曽根委員 私は、築地市場の再整備問題について簡潔にお聞きしますので、関係部長さん、局長さん、市場長さん、簡潔にお答えいただきたいと思います。  まず、昨年十一月五日に、私自身が築地市場の再整備問題について、豊洲移転というような話が出ていることについて何点かお聞きいたしました。そのときに取り上げたように、六月末の東京都の業界六団体に対する回答の中で、暮れの十二月いっぱいに業界をまとめてくれというようなニュアンスの話があったと。これに対して業界の方でもいろいろと論議がされ、投票まで行われたようですが、その結果について。そして、その結果について東京都はどのように受けとめておられるのか。よい結果というふうに見ているのか、よくない結果が出たと見ているのか、その辺の評価も含めてお聞きします。

◯内村築地市場再整備担当部長 築地市場の整備に当たり、都として最終的に市場移転の可能性を判断するには、築地市場業界全体の一致した意思の確認が何よりも重要と考え、昨年十二月までを期限に文書による回答を求めたところでありますが、市場業界六団体から提出された回答においては、四団体が移転推進、二団体が現在地での再整備となり、意見が一致しませんでした。都としてこの問題について判断するためには、多角的な視点からの検討が必要でありますが、業界の意思が一致しなかったため、その見きわめが難しくなったと感じています。

◯曽根委員 結果は、東京都自身がこれから市場を管理する主体として判断をする点でも難しくなったというふうにいわざるを得ないわけですね。私たちは、昨年も態度を明らかにしておりますが、これは業界、つまり市場で、今、頑張っている業者の方々を中心に判断をしていかなきゃならない問題だと。その自主的な判断が下される過程の中で、東京都がどのようにそれを、いわば場をつくっていくのかという点で、今回のやり方は非常に無神経で乱暴だと。今、業界でまとまってくださいといって、まとまるような状況だったら、もともと自分たちでやっているわけです。それを東京都が、移転の可能性ありということで業界の方に球を投げたりすると、こういう事態になるというのは、少し事態の様子がわかった人ならば、だれでも予想がついたことだと思うんです。そういう点で、業界の混乱が一層深まった、対立も深まったという点は、事実としては認めないわけにいかない結果だと思うんですが、この点について、東京都はきちんと責任を感じておられるのかどうか。

◯内村築地市場再整備担当部長 昨年六月の中間回答におきましては、都として引き続き、移転可能性の検討を加える方針を示すとともに、市場業界の一致した意思等を明らかにするよう求めたところでございます。結果として市場業界の意思は一致しませんでしたが、この間、この問題をめぐり、市場業界で真剣かつ活発な議論が行われたことは、今後の築地市場整備のあり方を検討する上で意義があったと考えております。

◯曽根委員 そういう感覚でこれからも事に当たったら、大変なことになりますよ。少なくとも、今、こういう形で意見が対立して、それぞれの組合の組合長を、トップをかえなきゃならんとかなんとかというところまで、話が中でわいわいされるところまでいってしまったというときに、本当に市場全体の利益という立場から、お互いに腹蔵なく話し合える場ができていたのかという点でいえば、むしろ非常に感情的な体質になってしまったんじゃないですか。その点で、この事態を招いたことについて責任は全くないと、そういうことですか。それとも、これでよかったんだと、結果オーライなんだというふうになりますか。内村さん、いかがですか。

◯内村築地市場再整備担当部長 ただいまお答えしましたように、結果として市場業界の意思は一致しませんでしたけれども、この間は、この問題をめぐりまして市場業界の中で広範な論議が巻き起こり、また、真剣なる検討が行われました。そういう点で、今後の築地市場整備のあり方を考える上では一定の意義もあったと、このように考えております。

◯曽根委員 そういう無反省な態度だと、これからも混乱が続きますよ。私は、やり方を改めるべきだということを申し上げておきたいんです。これ以上やっても水かけ論だからしようがない。  それで、本当はきちんと責任を認めていただいた上でいうべきことなんですが、ここまできちゃったわけですから、大事なのは今後の協議の進め方なんです。私はこの間、業界のいろんな分野の方にお話をお聞きしてきました。小売商の方にも聞いたし、仲卸、卸売と、それぞれの主な業界の方にいろいろ聞いたんですけれども、確かに移転するか地元で再整備するか、それぞれメリット、デメリットがあると。率直にいうと、市場のことをみんな考えているけれども、移転の方がいいという人もいれば、地元でやるべきなんだという人もいるわけです。それに対して私たちが、ああせい、こうせいとはいえない立場だなというふうに思いました。しかし、東京都は市場を経営しているわけですから、そういう業界の方々が冷静に話し合って、意見をまとめていく、合意を進めていく場をつくる責任があると思うんです。  そういう点で、率直にいって、投票までやっていろんな意思をそれぞれ確認し合って、四対二になったんだけれども、若手の方々を含めて意見が大体集約されているというふうには、必ずしもいえないんじゃないかと思うんです。そこで、今、それぞれの組合の役員さんたち、ベテランの方々の意見もさることながら、これから市場を担っていく若い方々も含めて、本当に意見が十分に反映される場をどうやってつくっていくのか、この点について、今、取り組んでいることはどういう内容ですか。

◯内村築地市場再整備担当部長 築地市場の再整備を推進するに当たりましては、これまで都と関係業界でつくる築地市場再整備推進協議会でさまざまな角度から協議、検討を重ねてきたところでございます。昨年十二月の市場業界からの回答を踏まえ、本年二月に開催した同推進協議会においては、まず、現在地における再整備を中心に検討していくこととし、協議を進めております。今後とも、同推進協議会を中心に、都と市場業界及び市場業界間の積極的な話し合いを進め、また、委員ご指摘のような若手の意見もできるだけ吸い上げるような方策を考えながら、この問題に対する業界全体のコンセンサスを得てまいりたいと考えております。

◯曽根委員 意義があるとおっしゃるし、私は乱暴なやり方だというふうに申し上げましたが、それぞれの解釈は違うにしても、ここまでもってきた責任は東京都にあることは間違いないので、この先も、これまでくみ上げ切れていない業界全体の意見を本当にくみ尽くして、正しい方向を選択していくために、最大限の努力をしていただきたいと思います。  それから、同時に考えなければならないのは、中央区、地元の区長さんを先頭にした意見が出ていることと、場外市場の方々をどうするかという問題です。こういう隣接した商業地域の商業者の問題、それから地元の区の行政とのかかわり、議会とのかかわり、この点については、どういうパイプをつくっていこうとされていますか。

◯内村築地市場再整備担当部長 築地市場の再整備をめぐっては、各方面からさまざまな意見が出されているところであり、関係者及び関係機関とは十分に協議してまいりたいと考えております。とりわけ築地市場とのかかわりが深い場外市場の関係者や中央区に対しましては、都として、その意向に十分留意するとともに、極力、話し合いの機会を持つなど、誠意を持って対応してまいる所存です。

◯曽根委員 今おっしゃったとおりにやっていただきたいと思います。  いずれにしても、どちらをとるにしても、かなり苦渋の選択ということになると思うんです。もろ手を挙げて、うまくいくという道はどちらにも用意されていないと。現地再整備ということになれば、十年、二十年、片方で建てかえをしながら狭いところで営業を続けると。市場法が改正されようとしている中で、築地がその間にどうなってしまうのかという状況の中での再整備となるし、移転すれば、その辺はすっきりするのかもしれないけれども、場外市場や内部の業界も含めて、ついていけない人が出て、落ちこぼれが出てくるだろうという問題もあるし、臨海開発の広域幹線道路ができなければ、アクセスができないということにもなりかねないので、私は、どちらにも厳しい選択の道があるだろうと思っているんです。  前回、私たちは、臨海開発との絡みで、臨海開発を優先する立場から道路をつくろうという思惑の中で、市場の移転問題を論議されてはならないということは申し上げましたが、本当に業界が、自分たちがこういう道を選択するんだという点で、冷静な結果を出せるように、そしてそれまでは、東京都としては絶対見切り発車はしないという点だけは、ここでお約束をいただきたいんですが、いかがですか。

◯内村築地市場再整備担当部長 築地市場の整備には大変難しい問題があるわけでございますけれども、築地市場の整備については、築地市場再整備推進協議会において、市場関係業界との協議を精力的に進めていくとともに、本年二月八日、都庁内に設置された築地市場整備問題検討会において、幅広い視野から課題や問題点を整理していく予定であります。築地市場の整備については急がれているところであり、検討にそれほど時間の余裕があるわけではありませんが、この問題の解決には、関係者との話し合いを一歩一歩積み重ねていくことが大切と考えており、早期に一定の合意が得られるよう全力で取り組んでいきたいと考えております。

◯曽根委員 最後に二点だけ要望しておきます。  まず一つは、移転先として想定されている豊洲が、早く決めないと場所がなくなってしまうからということで結論を焦ってはならないということ。それからもう一つは、現地でこの不況の中で頑張っている業界の方々と離れたところで、密室で議論してはならないということ。この二つだけはどうしてもいっておかなければならない、要望をしまして、私の質問を終わります。

●労政事務所統廃合問題

◯曽根委員 まず、労政事務所の統廃合問題について、今も話がありましたけれども、昨年の秋にも取り上げてお聞きしたところですので、私たちがその後調べたことも含めてお聞きしたいと思うんですが、とにかく今、労働相談がふえているだろうし、中身も非常に深刻なものが多くなっていると思うんですが、この五年ぐらいを見て、特徴はどうでしょうか。

◯坂本労政部長 労働相談の内容を見ますと、この五年間を通しまして、解雇の相談が最も多くなっております。平成十年度におきましては相談全体の一五%を占めております。このほか、賃金不払い、労働契約の相談も増加している状況にございます。  このほかの特徴といたしましては、外国人労働相談、あるいはセクシュアルハラスメントや職場の嫌がらせに関する項目が増加するなど、相談内容は複雑多様化しているところでございます。  相談に見えられる方々を見ますと、労働組合がない企業の労働者、あるいはパートタイマー、派遣労働で働く人たちからの相談がふえておりまして、こうしたことから、労政事務所が労使の要請に基づいて調整を行うあっせんは、この五年間で五割ほど増加しております。

◯曽根委員 解雇の相談が一番多いということは、非常に深刻だと思うんです。当然ながら労働相談体制の強化が必要だと思います。また、先日、当委員会でも請願が、その趣旨で採択されたところですけれども、どのように取り組んでおられますか。

◯坂本労政部長 労働相談の増加や、近年の雇用環境の変化に的確に対応できる労政事務所とするため、平成十一年四月から労政事務所の組織の再編成を行う計画といたしたところでございます。相談員の対応という点では、労政事務所の事業を担当する職員全員が相談に応ずる体制をとるとともに、労働相談担当係長をふやすなど、体制の強化を図っていきたいと考えております。また、労働相談研修を充実させ、職員の相談への対応力の向上を図ってまいります。

◯曽根委員 今のご答弁で、今の体制の枠の中で、一生懸命、人材も育てて、所長以下全員で当たろうという姿勢はよくわかるんですが、肝心かなめの相談体制全体としての規模、これをどうやって拡充していくかというところの話がなかったと思うんです。現に窓口が減らされようとしているわけですから、これは昨年も私たちは取り上げましたので、あえて繰り返しませんけれども、相談体制、中身の充実ももちろんなんですが、全体の枠を広げないと、相談がどんどんふえている今の状況に対応できないんじゃないか。職員体制としては、定数などは来年度どうなるんでしょうか。

◯坂本労政部長 平成十一年度の労政事務所の定数は、全体で百三十九名を予定させていただいております。このうち、職業適性相談機能の移管に伴います四名を除きますと、百三十五名となりまして、平成十年度との比較では五名の減となります。定数減の多くの要因は、管理事務の統合によるものでございまして、事業に必要な人員の確保はされているというふうに考えております。

◯曽根委員 結局、窓口を一つ、事務所を減らすということによる管理部門の統合、そういうところがもろに定数にあらわれてくるわけです。必要な人員は確保したというふうにおっしゃっていますが、廃止される当該の事務所である渋谷の労政事務所、この運営に、諮問を受けております労政協議会で反対の意見が多かったということを、私は昨年紹介いたしました。その後の対応はどうだったのか。そして、この廃止問題については、きちんと納得を得られたんでしょうか。

◯坂本労政部長 労政協議会は、労政事務所の事業についての諮問機関でございますので、渋谷労政協議会に、当該事務所である渋谷労政事務所の再編成について合意をという性質のものではないというふうに考えております。今までもそうでございますが、今後とも、所長等が労政事務所の再編成についての考え方を説明し、理解を得るように努めているところでございます。

◯曽根委員 結局、納得がまだ得られていないわけですね。合意できていないのに廃止を行っていくことは、労政協議会との関係で、本当にこれで構わないんでしょうか。どういうご見解でしょうか。

◯坂本労政部長 先ほども申し上げたとおりでございまして、再編成の必要性について現在説明をしているところでございますし、労政協議会については、事業についての諮問機関というふうに考えているところでございます。

◯曽根委員 もちろん、労政協議会が事業の中身について諮問を受けるわけですが、渋谷について統廃合されるということは、渋谷の労政協議会は全部解散になっちゃうわけです。自分たちの存在そのものが否定されるわけですから、黙っておとなしく引き下がるという状況ではないことは明らかだと思うんです。  それから、都民の方、特に労政事務所を多く利用している労働組合の皆さんからも、廃止反対の声、また、全体としての統合反対の声が寄せられており、逆にいえば、こういう問題について賛成意見というのはほとんどないわけです。したがって、改めてこれを、余りにも時期尚早であり、しかも今、相談がどんどんふえているのに対して、対応すべき労働相談体制の強化の課題からいえば、逆行というふうにいわざるを得ないと思います。  私は、この問題を通じて労政協議会の方と話し合いまして、やはりこれは重要な役割を持っているなというふうに思いました。統廃合問題とは別にして、今後、労働経済局としては、労政事務所の運営に当たって労政協議会を本当に重視した方がいいと思うんです。関係をよくした方がいいと思うんです。  例えば労政事務所が労働相談を受けると。しかし、その人は労働組合にも入っていないと。解雇されても、どうしたらいいのか全くわからないという相談が多いわけです。そういう場合に労政協議会の協力を得ることはできないのか、担当職員だけで対応していていいのか、こういう問題も問われていると思うんです。そういう点で、今後、労政事務所として、もっと労使団体との関係を緊密にするという中で、労政協議会に一層大きな役割を果たしてもらうという考えは、お持ちになっておられませんか。

◯坂本労政部長 労政協議会は、昭和二十八年以来、条例によりまして労政事務所ごとに設置され、地域の労政行政に関する学識経験者を含めた労使の協議の場として機能してきたところでございます。  しかし、長期間の設置ということなどから、都の内部におきましても、そのあり方について検討を求められているところでございます。今後、労政行政の運営に資するような柔軟な協議のあり方について、検討してまいりたいと考えております。

◯曽根委員 そういうふうにあり方を検討して充実させていきたいということであるならば、一つ一つの事務所に置かれている諮問機関である労政協議会を、こういう形で廃止と一緒になくしてしまうというのがどうなのかということが、改めて問われていると思うんです。私たちは、そういう点でも、労政事務所の統廃合には反対せざるを得ないということを申し上げておきたいんです。  あわせて、私は、こういう協議会に参加している、労働組合の代表の方はもちろんいますけれども、学識経験者、大学の先生なんかが、講演に出れば結構なお金が出そうな方も、一回一万円ちょっとの報酬でもって、時間をかけて来てくださるわけです。そういう事実上の手弁当のような形で、一生懸命知恵を出してくださるということに対して、きちんと報いる当局の対応も必要だということを申し上げたいと思うんです。そして、労働運動、労働組合の取り組みとも協力しながら、今、組合に入っていない人がどんどん解雇されているということに対して、誠実に対応できる体制というのは何なのか、もう一度改めて抜本的に検討してみてほしいということを、最後に要望しておきたいと思います。

●職業訓練校縮小統廃合反対

 次に職業訓練校、これも統廃合なんですけれども、この間の動きについては、小竹委員などからも質問をさせていただきました。お茶の水校とあわせて、新宿、牛込、中野、四校を統廃合ということで、TFT、東京ファッションタウンにということでしたが、中野校については二年間に限って存続ということになりました。一定の改善だと思います。  しかし、あえていわせていただければ、東京ファッションタウンにこの四校分が入るのは、到底人数的に無理だろうなと思っておりましたので、何か最初から予定されていたような面もないではないなというふうにもいえるわけなんです。この三校が東京ファッションタウンに移転をするに当たって、やはり事業費として見た場合でも、財政的にむだが非常に大きくなるということが浮き彫りになってしまうんじゃないかと思うんです。  一番のわかりやすい例として、東京ファッションタウンビルに入居する家賃、この問題について何点かお聞きしたいんですが、まず、東京ファッションタウンの中で、お茶の水校仮設校が使用する面積、家賃、それぞれ幾らでしょうか。

◯梅津職業能力開発部長 東京ファッションタウンビルの賃借面積は三千五百五十四・七七平米でございます。賃借料は、月額でございますが、一平米当たり六千五十円、年間では、消費税込みで約二億七千万でございます。

◯曽根委員 年間二億七千万円の家賃を払うわけですが、これは、現在、統合前の三校分のいわゆる使用料などと比べて、どれぐらい財政負担がふえることになりますか。

◯梅津職業能力開発部長 統合を予定しております新宿、牛込、お茶の水の三校のうち、民間のビルを賃借しておりますのは、現在、コスモス青山ビルにありますお茶の水校仮設校でございます。あくまで仮にの話でございますが、このまま仮に十一年度にこの三校で運営をしていくという想定でのお話でございますが、賃借料は、このコスモス青山ビルの分として、年間約八千二百万円程度と考えられます。先ほど申し上げました東京ファッションタウンビルの賃借料との差が、予算上、増ということになります。

◯曽根委員 もう一度、その額は幾らですかとお聞きするのも面倒くさいから、差額を計算すれば一億八千九百万円ということになりますね。約二億円弱というふうにいえるかと思いますが、これを移転によって、わざわざこれから財政負担を、これはそのままTFTに居続けようという話も出ているようですから、半永久的に払い続けるのかなというふうに考えると、途方もない金額になっていくんじゃないかと思うんです。  しかも、この家賃が一平方メートル当たり六千五十円ですから、一坪三・三平方メートルとして、坪当たりの家賃が月二万円程度ということになりますね。これは東京ファッションタウンビルのフロアを借りているほかの民間のテナントに比べて、家賃がかなり高いんじゃないかと思うんですが、違いますか。

◯梅津職業能力開発部長 ほかの民間のテナントについては、いわゆる民民の契約でございますので、私ども承知をしておりません。東京ファッションタウン株式会社との賃貸契約に当たりましては、私ども、この賃貸料について、東京都財産価格審議会に諮問いたしまして、妥当であるとの答申を得ておりまして、適正なものと考えております。

◯曽根委員 財産価格審議会で適当なものであるというふうにした根拠というのは、私、TFTがオープンするときに、このTFTが何とかやっていける──長期にですけれども、三十年以上にわたってやって、何とか黒字転換ができるという採算ラインぎりぎりの家賃というのが、坪当たり二万円だったんですね。これは公表されています。公式にはそれに合わせざるを得ないということじゃないかと思うんです。なぜならば、ここには中小企業振興公社のフロアもありますね。ここもやっぱり坪当たり家賃二万円なんです。これが公的な機関が入るときのぎりぎりの家賃だと思うんです。  ところが、民間との間では、TFTはそういうふうになっていない。これは、私自身が労働経済局を通じていただいた東京ファッションタウンの経営報告書ですけれども、これを見ますと、民間の家賃がどれくらいかというのは大体推定できるんです。つまり、これでいうと、これは平成九年四月から平成十年三月までの一年間の報告ですが、最新になりますけれども、入居率が年平均で八四%、それに対して賃料、共益費、実費収入で三十八億五千百万円というふうに出ているわけで、明らかにされているわけで、これで当時の賃貸床面積から割り込んでみれば、坪当たり幾らで貸しているのかわかるわけです。そこから中小企業振興公社分を、これは二万円だとわかっていますから、引いて計算すれば、純粋な民間のテナントの賃料というのは計算で出てくるわけです。これは、労働経済局が考えたって、当然わかることだと思うんです。  私がいうまでもないですが、地財法では、公の施設を賃貸で借りる場合には、家賃は適切なものでなければならないという法律の定めがありますから、相手が民間であろうとも、ほかのテナントよりも割高の家賃を払っていいということにはならないわけです。これで計算すると、月の家賃がちょうど一万七千円ぐらいなんです。つまり、東京都及び中小企業振興公社は、坪当たり月二万円で借りているけれども、民間は一万七千円と、これは計算すればはっきりわかるんです。つまり、二割近く高い家賃をわざわざ払ってやっているわけです。これは明らかに、東京ファッションタウンビルが来年度末にも債務超過になろうかというときに、わざわざ入居して、しかも高い家賃を払うという点では、救済になりませんか。

◯梅津職業能力開発部長 お茶の水仮設校の有明移転につきましては、当委員会でも何度かご質問いただき、ご説明をいたしたところでありますが、私ども従来より、推進プランの中で、一つは、臨海部を一つの空白地域として、将来、校が欲しいというようなプランを持っておりました。そのことと、昨年の、現在の予算の査定の中で、統合の前倒し、二年早い予定になりますが、有明への移転をということの査定が出て、私どもとしては、有明に移転をし、新しい校の展開に向けて一つのチャンスであるということで、全都的な配置計画等を勘案した上で、移転を決断したものでございます。

◯曽根委員 そういう理屈やいいわけは、もうさんざん聞かされてきたんです。しかし、それがもし正当な理由であると、仮に百歩譲って認めたとしても、何も周りのテナントより高い家賃を払う理由は、東京都にはないわけです。別にこちらでお願いして移転する関係じゃないんですから、賃貸というのは関係は平等なんですから、そういう点でも、私はこの問題は到底納得できません。明らかに東京ファッションタウンの倒産寸前の状態を救うために、東京都がわざわざ移転するということではないかと思います。しかも、利用者にとっても大変不便が大きいところであるということは、昨年来、小竹委員からも指摘しているとおりです。  同時に、ファッションタウンで、ファッション部門なんだから関連があるんだというふうに、もう一つの理由として盛んにおっしゃっていましたけれども、一体このファッションタウンビルの中の施設を利用することによって、メリットがあるのかと。例えば会場使用、施設使用の減免措置など、そういうはっきり目に見えるメリットというのは、何かあるんでしょうか。

◯梅津職業能力開発部長 東京ファッションタウン株式会社並びにタウン内の施設等と、校移転後、校運営についてどのような協力関係が結べるかというようなことについて、いろいろお話し合いをしているところですが、委員ご質問のような、特に校であるから、ある施設を無料であるとか減免であるとかというようなことについては、ただいま、そういうような状況にはございません。  ただ、私ども、これも再三申し上げておりますが、ビル内にファッション関連の団体や企業、デザイン系のカラーライブラリーや繊維関連の開放型試験施設など、ファッション系にかかわるさまざまな施設が立地してございます。例えば、このうちのカラーライブラリーなどでは、企業育成支援施設につきましては、無料で使用が可能ということになっております。また、開放型試験施設では、CDデザインシステムなどの繊維関連の高度な機能が低廉な価格で利用ができるということで、ファッション系のより高度な訓練を校の中で実現をしていくという上で、大変メリットのある立地であると考えております。

◯曽根委員 やっぱりファッションタウンなんですから、多少そういう施設があるということは否定しません。しかし、今おっしゃったカラーライブラリーとか、そういった施設は、ファッションタウンも絡んでいるかもしれませんが、東京都中小企業振興公社があそこを二万円で床を借りてやっている施設の中で使えるものですね。ですから、いってみればこれも東京都絡みなんです。  私はむしろ、東京ファッションタウン株式会社が、例えばイベントホールを三つ持っているんですけれども、この訓練校が入ることによって、このホールは多少減額もしくは免額して貸し出しますよとか、そういうメリットというのがはっきりと出ているのかどうか、その点はいかがでしょうか。

◯梅津職業能力開発部長 ただいまご答弁いたしましたように、そうしたことについてお話をしてはおりますが、具体的にそういうふうに、校であるから特別に無料で使えるとか、半額でいいとかというお話にはなっておりません。

◯曽根委員 高い家賃を払って、メリットもまだ余りはっきりしたものがないんです。もし四月以降開校するということになれば、徹底的にやってもらわなきゃならないんです。だって、こんな高いところにわざわざ、利用者は「ゆりかもめ」に乗って行かなきゃならないんですから。  それは、私たちは移転は許されない立場ですから、そこまで私はいいませんけれども、考え直すべきであるという立場です。しかし、実際、間もなくやられようとしているので、今後のことは、本当に利用者の立場に立って考えてもらいたいというふうにだけ、いっておきます。  それから、職業訓練校全体でこんなことがどんどん起こるようでは困るというふうに、利用者も、それから訓練校で働いている人たちも、思っていると思うんです。  そこで、これからはむしろ充実をさせていくべき分野があるんじゃないかということで、私はいろいろと関係者にお聞きしたんですけれども、例えば介護保険が始まる直前ですから、福祉に携わる職業の分野で訓練校の役割はないのか。それから、例えば西暦二〇〇〇年対応のコンピューターのソフトの緊急に必要な人材を育てるというような分野では課題はないのか。また、港湾の方の関係の方からも望まれているんですけれども、港湾関係の労働者のための訓練校というのが、横浜にはある、東京にはない、こういうものもつくってほしいという要望も聞いているんですが、こうした新しい訓練科目などをどのように考えておられますか。

◯梅津職業能力開発部長 訓練校の科目の設定に当たりましては、産業界の人材ニーズを把握するため、企業に対するアンケート調査であるとか、地域の事業主の代表者等から成る職業能力開発推進協議会などの意見を踏まえまして、年々開発に努め、廃止あるいは新設の見直しを行っているところであります。  ただいま委員ご質問の関連で申しますと、例えばコンピューター関係は、私どもも従来から力を入れてきているところですが、十一年度につきましては、情報処理分野においてOAソフト管理科を設置したところです。  また、福祉サービス部門のご質問がございましたけれども、この分野では、従来の介護科にあわせまして、福祉調理科などの新規科目を実施することで、十一年度は予定してございます。  今後とも、東京の産業を支える中小企業の求める人材ニーズに即した訓練科目となるよう、努めてまいります。

◯曽根委員 ぜひそういう新しい課題にチャレンジしていくということで、お願いしたいと思うんです。  そこで、私がどうしてもひっかかるのは、こうしたいろんな課題が新しく出てくる、しかも、不況の中で失業者がふえているわけですから、とにかく、どこから見ても職業訓練校の役割はますます重要というときに、いまだに東京都が、九五年の東京都職業能力開発推進プランという中に示されている職業訓練校の大規模化、そして学校は減らしていくという、この方針にしがみついていることなんです。大規模化して数を減らしていくというのは、バブルの発想だと思うんです。  将来、特に二十三区がひどい目に遭うんですけれども、十二校ある現在の職業訓練校を八校に減らすと。そのうち二校は牛込、新宿。中野も三番目に減らされるわけですね。TFTが残るかもしれませんが、あと二校、これが私の地元北区の王子、それから、映画の舞台になったようですが、亀戸、この二校が将来の地図から消えているわけです。この計画はいまだに続けようということなんでしょうか。

◯梅津職業能力開発部長 ただいまご指摘ございました職業能力開発推進プランでございますが、これは平成十七年までの十年間の基本計画でございます。そこの中で、全都的な専門校の適正配置の基本的な考え方が示されてございます。ただいまご質問にございましたように、このプランの中では、区部の中小規模校の集約を進めていく中で、一般の技術専門校の校数を十二校から八校に集約をしていくと。また、改築期に合わせた大規模化や、多摩部の空白地域の解消を図るというようなことが、計画に記載されてございます。  このプランを具体的にどのように実施していくかということにつきましては、五カ年の実施計画ともいうべき計画を立てて進めていくことになります。現在の計画が平成十二年で終了するということになりますので、平成十三年からの計画の五カ年の実施計画である第七次の職業能力開発計画の策定を予定しておりまして、その際、ただいまご質問がございましたことにつきましては、具体的な対応策等を検討してまいりたいと考えております。

◯曽根委員 最後のお答えは、これから検討する余地もあるかのようなニュアンスもあったので、ぜひ私は、こういう計画、まだ基本計画ですから先の話なんで、考え直していただきたい。財政状況からいったって、新しいものを大型化して建てるというよりは、今ある建物をきちんと生かしていくということの方が、これからの東京の財政状況から見ても必要なんじゃないかと思うんです。  そして、私はさっき、亀戸校が映画の舞台になったという話をしましたけれども、あの「学校III」ですか、映画の中には、亀戸校と、それからもう一つ、主人公が住んでいる団地で、北区の赤羽台団地というのが出てくるんです。この赤羽台団地も、公団の古い団地なんですけれども、建てかえ時期を迎えていまして、なくなろうとしているんです。だから、庶民の町も庶民の学校も、映像の中にしか残らないというふうになっていいのかと。それぞれがそれぞれの役割を持っていて、勤労都民にとって大切な生活の場であり、職業訓練の場であったはずだと。これを簡単に消し去っていく流れというのは、本当に根本的に考え直してもらいたい。そこで学ぶ人もおり、働く人もおり、そして、そういう中で辛うじて、新しい職場を見つけて頑張っていける人たちの場であるわけですから、東京都はそういう立場に立って検討してもらいたいということをいっておきたいと思います。

●商店街活性化支援に付いて

 それから次に、商店街の活性化問題で簡潔にお聞きしたいんですが、さきの代表質問でも、我が党は新しい提案をいたしました。つまり、商店街の活性化の問題というのは、今まで中心的には、大型店が進出してくるのに対して、どう対応するかということを中心に取り組まれてきたと思うんです。もちろんそれも今後も引き続き重要な課題ですし、大規模小売店舗法が廃止されて、間もなく実際になくなってしまうという状況ですから、なおさらこのあらしは厳しくなってくると見なければなりません。  しかし同時に、今後、商店街の活性化という点で、まちづくりの中で、商店街がどう生き残っていくのか、そして役に立っていくのかということを考える必要があるということで、最近、国の方でも、中心市街地整備活性化法ができて、商業活性化と地域の活性化と、両面から攻めていこうという法律になっているわけです。我々はもろ手を挙げて賛成ではありませんけれども、その中で活用できる部分は活用して、今、本当に苦しんでいる商店街、そして、その周りを取り巻く地域全体を、生活の場、商業の場として生かしていきたいという立場で提案をしたわけです。  そこで、あそこで聞き切れなかったものについてお聞きしたいんですが、一つは、労働経済局として、地域の活性化を図っていく上で市街地活性化法を活用するという点で、どういう取り組みがあったのか、この点を簡潔にお答えいただきたいと思います。

◯山本商工振興部長 中心市街地整備改善活性化法についてのお尋ねでございますが、ご存じのように、この法律は、市街地の整備改善と商業等の活性化を一体になって整備をするという法律でございまして、地方分権の流れの中で、地元区市町村の創意工夫を生かすという観点から、基本計画自身──これはマスタープランでございますが、それ自身は、区市町村が計画を策定するということになっております。従来、この手の法律については、大体、都道府県の承認とかという行為があったわけですが、これは区市町村が自分でつくれると。これを国、都に送付をしまして助言を得るという形で、助言、指導をやるというのが、国、都道府県の位置づけというふうになっております。  こういった法律の体系のもとで、労働経済局といたしましては、都市計画局と連携いたしまして、区市町村からの相談指導に当たるとともに、基本計画が送付された場合においては、労働経済局と都市計画局を中心に、関係局が一堂に会しまして説明会を開催して、各局からの助言も含めて、区市町村に対して行っているということでございます。  先ほど委員がおっしゃいましたように、一月末現在で、全国で一都十九県二十六区市町が計画をつくっておりますが、東京都はこの中で三つということで、九月に葛飾区、十月に三鷹市、十一月に町田市と、三つ出てきております。  いずれにしましても、計画に基づきましていろんな事業が出てくるわけでございますので、都の商店街活性化対策事業を活用いたしまして、その支援に努めたり、国に対しても、各種の国の支援策が受けられるように、助言をしてまいりたいと思っております。

◯曽根委員 なかなか簡潔というわけにはいかないでしょうけれども、いろいろ話はあったんですが、本格的にはこれからということになりますね。  そこで、国の方では、関係十三省庁が統一窓口をつくったと。中心的には、市区町村との関係で、この法制度の適用をしていくわけですが、その場合に、当然ながら、まちづくりと商業活性化がセットで出てくるわけなんで、いろんな課題が東京都絡みで出るものがたくさんあると思うんです。  先日、三鷹市にお邪魔しましたが、例えば商店街のモール化などは、当然入っているんですが、それを東京都絡みで、どのようなものができるか。それから、物づくりのセンターをつくりたい。さらには、LRTを引きたいとか、家庭子ども支援センターをつくりたいとか、いろんな分野の話が出ているわけです。そこで、東京都も、国の十三省庁に匹敵するだけのきちんとした受け皿体制をつくる必要があると思うんですが、その点ではどういうふうになるんでしょうか。

◯山本商工振興部長 都の受け皿ということでございますが、中心市街地整備活性化法の二つの大きな目的、市街地の整備と商業等の活性化ということで、都市計画局と労働経済局が中心になるわけでございます。いずれにしましても、この二つの局が区市町村の相談指導や計画に対する助言の窓口になって、各局に働きかけると。恐らく施策的にも、この二局以外のものが出てこようかと思います。この二局が中心となって、庁内の連絡体制の強化を図り、各局に積極的に働きかけをしていきたいというふうに思っております。

◯曽根委員 これからのことですので、ぜひ積極的に対応をお願いしたいと思います。  この問題の最後ですけれども、中心市街地のエリアを決めて、そこを活性化をさせることで、その基礎的な自治体の、地域全体の盛り上げを図っていこうというのが、この法の考え方ですけれども、実際にはそう単純にはいかないと。中心市街地だけ活性化すると周りが逆に冷え込んでしまうということが、今まで往々にしてあったわけです。  したがって、私が訪ねた三鷹市では、その周辺の小さい商店街をどうするのかということで、専門家を派遣したり何かしていました。この点では、私は東京都の役割は大きいと思うんです。例えばTMO、タウンマネジメント機構ですか、そういった考え方も出ているわけなんで、そこに対して専門家、それも東京都レベルで頼めるような、本当にレベルの高い方を派遣して、地域とあわせた商店街の活性化を図るような取り組みが必要だと思うんですが、その点での積極的な対応をお願いしたいんですが、いかがでしょうか。

◯山本商工振興部長 都の商店街対策事業におきましては、広く都内の商店街の活性化を図るという観点から、いわゆるハード事業、カラー舗装やアーケード等施設整備とともに、ポイントカード導入や商店街活性化に向けたイベント事業、さらには商店街が取り組む空き店舗対策等、商店街の創意工夫や問題点の解決に向けた取り組みに対して、さまざまな支援をしてきたところでございます。十一年度予算においても、商店街振興対策の予算については拡充を図ったところでございますので、今おっしゃった商店街への専門家の派遣につきましても、商店街活性化指導事業の一環として取り組んでまいりたいというふうに思っております。

◯曽根委員 ぜひお願いしたいと思います。

●金融安定化融資の延長・拡充

 私の質問したいテーマの最後は、今、切実な問題である金融問題なんです。金融安定化特別保証制度が実施されて、まだ半年たっていないんですけれども、すごい勢いでこれが利用されているというふうにお聞きしておりますが、今、実績はどのぐらいなんですか。

◯山本商工振興部長 中小企業金融安定化特別保証の実績についてのお尋ねでございますが、十月の制度創設以来、ちょうど五カ月が過ぎたわけでございます。二月末現在の速報値が出ておりますので、ご紹介いたしますと、申請ベースで十五万八千百六十五件、金額にいたしますと三兆七千三百二十九億円、保証承諾ベースで十四万五千三百七十件、額にしまして三兆二千五百五十二億円でございます。

◯曽根委員 申請ベースでいうと、当初予測された東京都のシェアに近づくぐらいの申し込みがあったということですよね。それは実際には、承諾では三兆二千億円余ということになっていますが、非常に早い勢いで利用されているし、前にもこの委員会でやりましたが、大変喜ばれている制度であることは確かです。  ただ問題は、ことし十月から一年据え置きの後、返済が始まるわけです。厳しい中で、別枠で、今までの制度融資から見れば、少し枠を広げて貸そうという考え方で行っている融資ですから、事故率一〇%と想定していますけれども、これで本当に大丈夫かなというのが、現実を見ますと心配なんですね。東京都の方は、事故率一〇%というので済むかどうか。済まない場合には、もし代位弁済が一〇%以上出た場合にはどう対応していくのか。ちょっと先のことですけれども、お考えをお聞きしたい。

◯山本商工振興部長 中小企業金融安定化特別保証は、一年未満の据え置き期間を含めまして、運転資金で五年、設備資金は七年で返済することになっております。現実には、つなぎ資金的に活用された方は、据え置きなしで返済されている方もあるわけでございますが、いずれにしろ六カ月、一年という据え置き期間を置いた方については、返済は今後本格化ということになろうかと思います。この返済につきましては、景気の動向にかなり左右されるところが大きゅうございまして、今の段階で事故率というのを予測するのは、なかなか困難でございます。  お話のように、この制度設計に当たりましては、財源措置として、全国ベースで約二十兆円の保証規模、事故率一〇%、それから、事故が起こった後、いわゆる代位弁済した後の債権の回収率を五〇%というふうな前提に置いているわけでございまして、この三つの要素が制度設計の前提と大きく異なった場合は、今すぐにということではございませんが、将来的に、先日の補正予算でいただいた四百四十五億円余の基金を取り崩していくわけですから、将来財源が不安になるということでございます。  したがいまして、その制度設計の前提と異なるような状況が発生した場合におきましては、その時点における保証承諾額の推移でございますとか、事故率の発生状況、回収実績の見通し、それから基金の取り崩し状況、そういったものを総合的に勘案して、必要に応じ国に要請するなど、適切に対処してまいりたいというふうに思っております。

◯曽根委員 おっしゃったように、そういう事態が起きた場合には、国にちゃんと責任をとってもらうということは当然だと思うんです。  私が心配なのは、一つは、融資が三兆二千億いっているわけですから、この返済が順調に進んでいくというのは、ことしに入ってからの、政府が景気対策を打った、これによって景気が回復していくということが前提になっているということなんです。これで景気が回復していかなかったら、東京だけで三兆二千億円余の融資が焦げつき始めたら、大変なことになるということなんです。私たちは政府の景気対策を余り信用していませんので、これを一つは心配しているのと、もう一つの要因として──これは後で質問しましょう。  そういった場合、今までの制度融資でも、代位弁済になる前に、実質的に返済据え置き期間を若干延ばすとか、返済額を若干下げて返済期間を延長するとかというようなことが行われていたと思うんですが、その辺の柔軟性という点では、これまでの実績と今度の場合とでは、どうでしょうか。

◯山本商工振興部長 都の制度融資の中で、返済が滞った場合には、先行きの中小企業の返済能力や事業の継続性の見通しなどを十分に勘案いたしまして、返済猶予等の措置を講じて返済の継続を図れる案件なのか、それとも、その時点において代位弁済せざるを得ない案件かというような判断をすることになっております。  安定化特別保証については、まだ制度が始まったばかりで、返済の始まっているケースは必ずしも多くないということで、そういった個別の相談が多くあるわけではございませんが、いずれにしろ、この判断を行うに当たりましては、中小企業者がみずからの経営内容の実情に応じて、しっかりとした返済計画を練り直していただく、それを前提としまして、返済期間の延長、毎月の返済額の減額等、可能な限り弾力的な措置を講ずることによって、中小企業が将来に向けて事業を継続できるように努めてまいりたいというふうに思っております。

◯曽根委員 質問が前後しましたが、もう一つ心配なのは、昨年の暮れからことしにかけて、私のところに相談があったのは信用金庫から借りている方なんですが、メーンバンクというか、メーンで貸してくれている信用金庫が急に冷たくなったと、冷たくなったというよりは、もう貸してくれなくなったというのがあるんです。金融安定化資金を限度いっぱい借りた後、急に担保をよこせというと。担保がある程度、つまり今まで借りた額に匹敵する担保を確保したなと思うと、途端に融資が切られるという傾向が出ているんです。これは明確にあると思うんです。  これは、聞くところによると、早期是正措置がことしの四月一日をもって期限を迎えるというようなことがあるんじゃないかと思うんですが、早期是正措置について、信用金庫とか信用組合など国内業務のみを行っている金融機関については、どういうふうに適用されるんでしょうか。

◯藤井信用組合経営改善担当部長 金融機関の早期是正措置が導入されましたのは、昨年四月でございますが、この早期是正措置の導入を前にいたしまして、いわゆる貸し渋り問題が発生をいたしまして、その原因の一つに、折から株価の低迷によります、金融機関が自己資本比率の低下を危惧いたしまして、融資に対する姿勢を慎重にしたことが原因の一つではないかというふうにいわれたところでございます。  そのため、国は昨年二月に、国内業務のみを行っております金融機関を対象といたしまして、一年以内に自己資本比率が確実に四%以上に達成できるという合理的な計画が提出された場合には、早期是正措置に基づきます改善命令等の発出を一年間猶予することとしたところでございます。この特例措置は、大蔵省令で平成十一年三月三十一日までと定められております。したがいまして、本年四月一日からは、本来の早期是正措置の内容に服することになるわけでございます。

◯曽根委員 私は、信用組合の方はまだ話は聞いていないんですが、信用金庫のかなりの部分が、四%達成のために、危ないところを相当切り始めているという傾向が出ているんじゃないかと思うんです。したがって、この安定化融資、借りたけれども、本当にその先行きが、もうだめだなと思ったら、金融機関の側が切っていくという事態が起こったら、これまた大変だというふうに思うんです。  もう一つ心配なのは、聞くところによると、いわゆる第二分類の不安定な債務に対しては、一五%の貸倒引当金をつけなさいというような措置が、まだ大手の銀行を対象にしてではあるけれども、行われようとしているというふうに聞いたんですが、この点はいかがですか。

◯山本商工振興部長 現在、金融再生委員会におきましては、不良債権引当ガイドラインの原案というのを作成しておりまして、この原案につきまして各方面の意見を聞いているところでございます。今、お話のありました要管理債権の一五%の引き当て率についても、まだ原案の段階で意見を聞いているということでございまして、最終的にどうなるか未定でございます。

◯曽根委員 実は信用金庫のある幹部の方から聞いたんですが、大銀行でも大変だろうけれども、信用金庫に一五%の引当金なんて義務づけられたら、ただでさえ、ほとんど町場の貸し出し相手が不安定なんだから、全部つけなきゃならないと。一五%の利息でもって金を貸すようなものだと。こんなことはできません、うちはつぶれますという話をしていました。率直な実情だと思います。そういう立場から、もしこんなことが実際行われて、それが貸し渋りにつながるようなことがあれば、ぜひ国に物をいっていただきたい。これは要望しておきます。  それで、制度融資というのは、むしろ拡充が必要な分野がたくさんあると思うんですが、二点だけお聞きしたいんですけれども、一つは創業支援融資、今年度から始まりました。相談が来た例でいいますと、三十歳以下の、勤務経験のない女性の方から、創業支援融資をお願いしようとしたけれども、条件に当てはまらないということで断られたと。今、若い女性の方のパワーは非常に大きいので、私は、そういうところにある創業の意欲というものを摘み取ってはならないと思いますが、この点での拡充をお願いしたい。  もう一つは、これはちょっと制度融資とは違いますけれども、失業した人を対象にした生活資金の融資、これは私たちは前々からお願いしているんですが、少なくとも現行制度で可能なことがあるんじゃないか。例えば従業員貸付制度を活用した失業者のための貸付金、こういうものも切実だと思うんですが、二点まとめてお聞きします。

◯山本商工振興部長 大変恐縮でございますが、前段の創業支援融資のみについてお答えさせていただきます。  都の創業支援融資につきましては、本年二月、国の方で新事業創出促進法が施行されました。これに基づいて新しい信用保証制度が活用できることになっているものですから、それを基本といたしまして、現在、見直しを行っております。主な検討内容として、より利用しやすい制度とするため、今の勤務経験や年齢を要件から外して、融資対象の拡大を図ること等を考えております。

◯坂本労政部長 後半の部分でございますが、現行の東京都中小企業従業員生活資金融資制度は、都内に在勤または在住の中小企業従業員の方に生活資金を低利で融資する制度でございます。失業した人を対象とする、いわゆる一般的な生活つなぎ資金の貸し付けにつきましては、返済の保証などの問題がございまして、この制度の中で直ちに実施することは困難と認識をしております。  失業者に対する融資につきましては、区市等で実施している応急の生活資金に対する融資も含めた融資体系全体の中で考えるべきものというふうに考えております。都と区市町村の役割分担や、区市町村における融資制度の状況等を踏まえながら、今後、必要に応じて研究してまいります。

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