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99年7月9日経済港湾委員会

臨海道路の交通量予測、レインボーブリッジの
事後アセスメントの問題を質問

◯曽根委員 私からは、臨海道路の工事契約に関連して、何点か質問したいと思います。  臨海道路は、臨海副都心を支える大きな幹線道路の一つとして、ほかの広域幹線道路は平成十七年にならないと今のところ完成の予定はないわけですが、いち早く、二〇〇一年度には開通という見込みで今動いて、工事が急ピッチで行われているということです。  したがって、私たちは、前々からいっているように、この道路はもともと清掃関係車両とか港湾業務の関係車両など、都市開発が進む前から臨海部を通っていた車が、臨海副都心ができたためにバッティングしてしまうということで南側に排除しようということが大きな目的の一つとしてつくられている道路ですから、臨海副都心がなければ、もともとのルートをとって、それほど必要性の急がれる道路ではなかったんじゃないかというふうに考えておりますので、計画全体について反対をしてきたわけですが、このままいきますと、恐らく予定どおり二〇〇一年度には開通ということになるでしょうから、そうすると、開通した後にどういうことが起きるかということもある程度今から見通して、対策を考えなければならないという段階に来ていると思います。  そこで、きょうは、問題提起の一つという形で環境問題について、臨海道路開通後の対策についてお聞きしたいと思います。  まず、この道路にかかる事業費なんですけれども、当初、たしか今の予定よりも事業費がかなり大きかったと思うんですが、現在、千七百五十億円というふうに報告されていますけれども、どの程度削減されてきて、主にコストが下がった理由はどういうところにあるんでしょうか。

◯増田港湾整備部長 当初の全体事業計画でございますが、二千百四十億と想定してございました。したがいまして、三百九十億程度の削減になってございます。  その理由でございますけれども、本事業の実施に当たりましては、創意工夫によりましてコスト縮減に努めてまいったところでございます。  ご質問の事業費の削減でございますけれども、第一には、沈埋函沈設のために作業船が必要でございますけれども、そういった作業船につきましては既存の作業船を改造して使うなど、既存、既設施設の有効活用を図ったことがございます。  第二に、沈埋トンネルの換気に係る基準の改定というのがございまして、その結果、換気塔の規模、あるいは喚起装置の縮小が図れたことがございます。  第三番目に、中央防波堤外側埋立地の地盤が、当初想定したよりも良好だったために、地盤改良等については経費が節減できたというようなことが主な理由になってございます。

◯曽根委員 コスト削減は大いに結構なことなんですよね。ですから、最初の質問は、評価することは私もやぶさかではないんですよ。ただ、このコスト削減が、千七百五十億という数字が出てきたのが、たまたま偶然なんでしょうけれども、三年前の青島知事当時の見直しのときなんですね。  当時、とにかく総事業費を開発の収入で支え切れないということで、いろんな見直しがやられて、それだけで足りなくて一般会計もつぎ込むことになったわけですが、そのときになって初めて、臨海道路が二千億円以上かかる予定だったのが千七百五十億円に圧縮されて出てきたということで、その前につくられた、例えば共同溝、これは当初の見積もりよりもはるかに大きい額に膨らんで工事が行われているわけですよ。その膨らんだ理由の一つが、今は思った以上に地盤が安定したというんだけど、共同溝の場合には思った以上に地盤改良にお金がかかったということで設計変更があって、工区によっては二倍近いコストがかかったところがあるんですよ。全体の開発が、バブルではじけて、財政破綻になって、それでお金が足りないとなったらコストが圧縮して出てくるというところに、私は東京都の問題の一つがあるんじゃないかと。ここは指摘だけにしておきますが。  それにしても、千七百五十億円という金額に下がったとはいっても、総延長三・四キロですから、単純にいって一メートル当たり五千万円以上の費用がかかるわけです。東京都にある既存の道路で、しかも一般道で、一メートル当たり五千万円以上の道路というのは恐らくまだないんじゃないかと思うんですね。私の地元でつくっている高速道路王子線が、一メートル当たり、たしか六千万円ぐらい。レインボーブリッジでさえ、あれは一千億円ぐらいかかっているんでしょうか、三・五キロですから、これよりもはるかに安いコストでできているわけですから、そういう意味でも、臨海道路は非常に高くついている道路です。  そういう道路が、しかも間もなく開通をしていくというときに、交通問題でどういうことが起きるのかということで、やはり開通前に交通量がどの程度になるのかという予測をちゃんと東京都としてする必要があるんじゃないかというふうに思うんです。開発の状況もかなり変化してきていますし、当初予測した交通量から大分変わるんじゃないか、車の種類も変わるんじゃないかと思うんですが、そういう予測を開通前に行うという考えは、おありでしょうか。

◯増田港湾整備部長 交通量の予測でございますけれども、臨海道路の建設に当たりまして、環境影響評価条例に基づきまして、環境影響につきまして評価したところでございます。その中で交通量をはじいているわけですけれども、交通量につきましては、臨海副都心全体を対象といたしまして、道路が完成した後、あるいは埋立地の開発が相当程度進んだ後に発生する交通量を予測しておるわけでございます。  現在、臨海副都心や関連広域幹線道路につきましては整備途中の段階でございまして、現段階では、交通量の予測のやり直しをやる必要はないというふうに考えてございます。  なお、臨海道路につきましては、先ほど質問の中でございましたように、二〇〇一年度に完成するわけでございますけれども、その後に、今後、条例に基づきまして事後調査を行ってまいりたいと考えてございます。

◯曽根委員 アセスの仕組みでは、開通した後に、アセスで予測した交通量やそれに伴う騒音や大気汚染の予測と結果がどう違うのかということで事後調査を行って、重大な誤差が生じた場合には対策を打つという原則で、そのとおりにやろうということですよね。しかし、そういうやり方で問題が解決し切れるのかという点で、同じ臨海部で既に具体的な例が出ているので指摘をしたいんですけれども、レインボーブリッジで、工事前のアセスもあって、それから工事後の、恐らく道路では初めてじゃないでしょうか、環境アセスメント条例に基づく事後アセスというのが行われました。そこで、私たちも指摘してきたことなんですけれども、交通量も当初予測よりもかなり多かったし、それに伴う大気汚染や騒音もかなり予測を超えていました。恐らく事後アセス第一号だと思いますが、知事の意見がこれについてついたわけなんです。これに対してどういう対策を当局としては行ってきたのか、それを伺いたいと思います。

◯高橋港営部長 平成九年四月に提出をいたしました事後調査報告書におきまして、既成市街地の芝浦側で、事前評価予測値を上回る地点の存在が判明をいたしました。このため、騒音対策といたしまして、臨港道路の高架部分の裏側に吸音板を設置いたしまして、騒音の低減化を図る工事を平成十年度から十四年度にかけて実施することといたしまして、現在、既に着手をしております。  また、沿道に面した建物一件につきまして、共同事業者でございます首都高速道路公団と防音工事助成を実施いたしております。  なお、平成十年二月に出されました知事意見に対しましては、都及び首都高速道路公団それぞれの事業者が管理する道路から発生する騒音が周辺に与える影響の度合い等の調査を行ったところでございまして、その調査結果を踏まえまして、必要な対策について、現在、首都高速道路公団と検討中でございます。

◯曽根委員 これは港湾局の所管ではなく環境保全局の方なんですが、お聞きしたところでは、知事の意見というのは、基準を超えたのが、今おっしゃった騒音だけじゃなくて、大気汚染についても二酸化窒素で基準をオーバーしたということから、大気汚染並びに騒音の二つの点について知事の意見が述べられているわけですよね。今お話のあったのは、東京都は騒音対策を今手がけているということですが、大気汚染対策の方はどうなっているんでしょうか。

◯高橋港営部長 先生ご指摘の場所は、浜崎橋インターチェンジの南側のことだと存じます。ここにつきましては、いわゆるバックグラウンド濃度、周辺濃度が高いこともございまして、二酸化窒素につきまして、環境基準を上回る日が観測をされております。当地点は、先ほど申し上げました騒音の地点とは異なりまして、首都高速道路の施設の部分でございます。首都高速道路公団におきまして諸方策を検討しているというふうに聞いております。

◯曽根委員 私も首都高に問い合わせてみたんですが、騒音対策は、東京都の一般道の部分と高速道路の部分と、それぞれからあるので、それぞれの責任においてやると。しかし、大気汚染については、東京都の今の説明ですと、大気汚染で基準を超えているのは高速道路の部分だと、だからそれは首都高でやるという仕切りになっているということだと思いますが、首都高の方は、どちらがやるにしても、大気汚染の対策は今のところ手がありませんというようなニュアンスのお答えだったんですよ。要するに、決め手は流入規制しかない、しかし、それは今できないということなんですよね。  私は、環境問題でアセスメント条例が施行されて、もうかなりの年月がたちますが、道路についてはこういうふうにレインボーブリッジで初めて事後アセスが出て、結果としては、事後に環境の破壊が基準をオーバーして行われたとしても、騒音については後でちょっといいますが、大気汚染については今のところ防ぐ手がないと。車をある程度規制するといっても、それは事実上難しいということになってしまうということからも、事前の対策を打たないとこういう問題は解決できないということが、この点でもはっきりしていると思うんです。  それから、今、大気汚染対策を、東京都は基本的に責任がないというようなお話だったので、これだけはちょっといっておきます。ちょっと図にかいてきましたけれども、(図示説明)レインボーブリッジの事後アセスの測定点というのが、1、2、3、4、5の五カ所で、夏と冬、それぞれ一週間ずつ、一日の平均濃度をはかって出したわけですよね。ですから、五カ所で七日間、夏三十五地点、それから冬三十五地点、三十五回観測しているわけですね。  そのときに、基準を超えたというのが、このナンバー1の部分、これは高速道路が通っている部分だと。それからナンバー5、ここも高速道路の分かれて入る部分で、一般道はここからなので、これは入っていないというのが東京都のお話なんですね。しかし、道路としては一体のもので、ここは高速道路しかない、ここは一般道もあるという違いが、この小さな地域において出てくるような場所じゃないと私は思うんですよ。  それから、もう一つは、それをいうならば、このナンバー2の地点、これは一般道しかない部分ですよね。ここにおいても、冬の日の観測では、十二月三日から十二月九日にかけて観測しているんですけれども、十二月四日、五日、六日については〇・〇五五から〇・〇五八ppmという日平均濃度が出ていて、基準である〇・〇六に極めて近いわけです。ちょっと心ある人なら誤差の範囲ですよ、こんなものは。それを、ここは基準を超えていない、こっちは超えたけどこれは首都高だと、こういう感覚で環境対策をやるんじゃ話にならないなということをいっておきたいと思うんです。  騒音対策で、これはこれからのこともありますので、ぜひお願いかたがたお聞きしておきたいんですが、東京都も騒音対策については防音助成を始めていますよね。予算も通っているというお話なんですね。これについては、騒音被害があると思われた方の申請があって受け付けるものかなと思うんですが、そういう仕組みになっているということでよろしいでしょうか。

◯高橋港営部長 先生、今ご指摘のとおり、本年度の予算におきましても、防音助成経費というものを予算措置をしております。これは、住民からいろいろ騒音についての要望が出された時点でどういった対策をとるかということのために予算措置をしておるものでございまして、ただ、私の方が今考えておりますのは、先ほど申し上げました地点について、いわゆる共同事業者である首都高速道路公団、ここにおきましても、いろいろ防音助成措置を持っております。こういった制度とあわせ、いろいろ東京都も活用しながら、そういった対策に取り組んでいきたいと、こう思っております。

◯曽根委員 基本的に今のところは自己申告といいますか、申請に基づいて対策を打っているということですから、この制度があるということを知らなければ申請がないんだと思うんです。現に、今お聞きしたところでは一件だけと。そこは、測定してみれば基準を超えているので助成をする、こういうお話ですから、私は、このレインボーブリッジ周辺の住民の方、例えば台場の住宅街、今、人口三千人ぐらいでしょうか、臨海部に住んでいる方、ここも環境破壊は非常にひどいと思いますが、こういう方々が本当に制度をご存じなのかどうか。それから、港区側の、芝浦側の入り口付近の方々。やっぱりきちんとお知らせをして、そういうことが可能なんだ、予算も用意してあるんだということを知らせるべきだと思います。  それにしても、環境問題というのは、でき上がって供用開始されてからでは間に合わない部分がどうしても出てしまうということは、これはもう現在の道路のつくり方からいうと避けられません。そういう点では、私は、道路問題についても、臨海道路が開通すれば、交通の流れも臨海部全体で変わるわけですから、きちんと予測をして、そして必要な環境対策も行うということが今求められているんじゃないかなと思うんですが、その点について、交通量の予測、臨海部全体についても対策を考えていくというふうな必要性については、お考えがあるでしょうか。

◯増田港湾整備部長 先ほどご答弁申し上げましたように、臨海道路につきましては、供用開始後、それからさらに十年後の平成二十二年ごろを予定しておりますけれども、事後調査を行うということを考えてございます。事後調査の結果を得た上で、条例に基づいて対応していきたいというふうに考えてございます。

◯曽根委員 アセスをやっただけに、アセスの方式に全部倣ってしまって、すべて事後調査ということになってしまうんですね。しかし、臨海開発はもともと、開発のある段階段階でもって、交通の調査とか、開発の進捗に合わせた調査もやりながら進めるということが仕切りだったはずなんですね。したがって、私は、この開発は今、予定から見るといろんな形で変化をしているわけですから、私たちは開発全体の見直しが必要だという立場から、この間、物を申してまいりましたけれども、そこに住んでいる人もいて、それから楽しみに来る人もいる、働きに来る人もいるという中で、環境問題というのは、そこに住み、働き、憩う人々にとっても重大な問題なので、これはやっぱり考えていく必要がある。場合によっては流入規制ということもとらざるを得ない場合もあると思うんです。知事もそういう趣旨の発言をこの間されているわけですから、ぜひ対策を考えてもらいたい。  私、前に提案しましたけど、臨海部に入ってくる車を、極力、臨海部の周辺で駐車場を設けて、おりてもらって、臨海部の中は域内交通で、公共交通で賄っていくようなやり方、いわゆるTDMの考え方も取り入れる必要があるんじゃないかと提案してまいりましたけれども、その点も含めて、最後に局長に、開発の環境対策のあり方についての見解をお聞きしたい。

◯浪越港湾局長 ただいまレインボーブリッジの例をとりながら、環境問題についてのご議論がございました。  私は、局所的な対応と、もう一つは広域的な対応と、二つあろうかと考えております。ただいまレインボーブリッジを例にとられていろいろ議論されたのは、展望ブリッジを中心とした、いってみれば局所的な対応についてのご議論だったと思っております。その対応としては、防音装置板をつくったり、いろいろな対応はあろうかと思いますけれども、やはり局所的な対応と、もう一つは広域的な対応というふうなことで、今お話のありましたように、ソフト面での流入規制の問題とか、低公害車の導入の問題とか、あるいは広域幹線道路の整備とかというふうな大きなもので見る必要もあろうかと考えてございます。  そういうことで、私の方の基本的な考え方といたしましては、臨海副都心は、いってみれば二十一世紀の東京の活力と創造を生み出していく、都民生活を支える新しいまちを創造していく重要な事業でございます。まず、このために、着実に開発を進めていく必要があろうかと考えております。  現在、この副都心では、本社ビルなどの施設の建設も進みまして、多彩な事業活動が展開されておりまして、大変活況を呈して、新しいまちづくりが進んでおりますが、臨海副都心の開発、発展には、何としても交通基盤の充実が不可欠であるというふうに考えてございます。  したがいまして、交通利便性の向上を図り、環境に配慮したまちづくりを進めるためにも、今後の開発に対応して、広域幹線道路や、あるいは臨海高速鉄道などの広域交通基盤の整備がぜひとも必要であり、その推進に取り組んでまいりたいと、そのように考えております。

◯曽根委員 最後に一言だけ申し上げておきますが、今までは、臨海部についても、東京全体についても、道路を整備していけば交通は緩和し渋滞は解決していくというふうにいわれたし、私はそういう面があることは否定しないんですけれども、事臨海開発についていえば、道路が整備されたからといって、開発の内容の変化によって、決して交通渋滞が解決するかという保証にはならないというふうに申し上げたいと思うんです。  今、オフィス開発が進んでいない一方で、物すごい観光客が入ってきているわけで、私、この夏なんか大変なパニックが起きるんじゃないかと思うんですよ。それは単に広域幹線道路の整備がおくれているというだけではないという問題があると思いますので、このままでは、問題が起きたときに、大局的、長期的、中期的な対策を着実に進めれば事は解決するというようなことでは、スピードと危機意識が少し足りないんじゃないかということは申し上げて、引き続き必要なことは指摘していくということで、終わりにしたいと思います。

◯曽根委員 東京港臨海道路の工事契約議案について、反対意見を述べたいと思います。  先ほど質問でも申し上げましたが、東京港臨海道路は、臨海副都心を支える広域幹線道路の一つであって、特に清掃関係、港湾関係の車両を臨海部から南側に排除するということを大きな目的の一つとして、臨海副都心での企業活動のための自動車交通と競合しないように、目的を持ってつくられた道路の一つであります。したがって、私たちは、臨海副都心計画がなければ急ぐ必要のなかった道路計画であると考えております。  また、沈埋トンネル方式の採用によって、一メートル当たり五千万円以上とコストも極めて高く、都の財政負担も重い道路になっています。  さらに、工事契約についても、これまで指摘してきたように、城南島側が大成、臨海部側が鹿島が中心となった大手ゼネコンのジョイントベンチャーに独占されてきた経過もありまして、競争入札が実効性を発揮していないことは明らかです。  以上の点から、都民や中小企業などにとってメリットの少ない道路計画であり、臨海開発全体とともに工事や計画の凍結、見直しが必要であると考えます。よって、本契約議案には反対します。  以上です。

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