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99年9月24日経済港湾委員会

なぜ臨海開発関連事業が、財政再建プランの
聖域なき見直しの対象にならないか

◯曽根委員 私からは、臨海道路並びに新海面処分場の契約案件に関連して幾つか質問したいのですが、それに先立って、今の質問に関連して、一、二関連する部分だけについてお聞きしたいので。  今、臨海開発に進出する企業の、いわばもう見切りをつけるという対象として二社、二企業グループといいますか、挙げられましたが、私の知っているところでは、昨年の三月末に三井不動産、ここから、契約の無期延長、それから、ほかの進出希望者があればお譲りしますという内容の文書が港湾局に出ていると思うんです。その事実があるかどうかということと、ここをなぜ、もう進出は事実上の辞退と見て今の二社と同じような扱いを検討しないのか、その理由をお聞かせいただきたい。

◯渡辺開発部長 三井不動産との間で、進出時期等をめぐっていろいろと交渉していることは事実でございます。ただ、本年になりまして、臨海高速鉄道の開業時期が平成十四年の十二月まで二年間延期になったというような事態がございまして、その後協議を行っておりますが、現時点では、進出について撤回するとか辞退するというような意向は聞いておりません。

◯曽根委員 状況が多少変化したというふうに相手が見ているかどうか、それは私も確認はしておりませんが、しかし、ほかの進出事業者が出てきたときには権利を譲るという意思を一たん表明して、それは撤回されたわけではないわけですよね。撤回されてない以上は今度のような措置を果敢に講じていく、危機意識とスピードを持って講じていくというならば、私は、はっきりと見切りをつけるべき相手じゃないかと思いますが、そういう判断は全くないんでしょうか。もし撤回されていれば別ですが、いかがですか。

◯渡辺開発部長 状況の変化、あるいは景気の動向等種々の要件がございますので、三井不動産との間では、今後の取り扱いについてこれから協議をしていくということになろうかと思います。

◯曽根委員 まあこれ以上やっても水かけ論ですから。  三井不動産の建設計画というのはまさにテナントオフィスビルであって、もともとフロンティアビルなどの第三セクターのビルが先行して建設してきたものを、いよいよ純粋な民間の企業グループがテナントビルを進出させていく。臨海開発を本格的に進めていく先駆けといいますか、そういう立場で計画をされたもので、ここが行き詰まるかどうかということが、いわば本当に臨海開発が、オフィス機能を持ったビルがたくさんつくられて、集積していく開発として成り立っていくかどうかの試金石といわれたわけです。そこがいまだにはっきりしない。かといって東京都も見切りをつけられないという状況というのは、私は臨海開発全体に対する認識の甘さをやっぱり反映していると思うので、この点は強く指摘しておきたいと思います。  この開発と一体のものとして、先ほどもお話のあったように臨海道路がつくられ、また、これとは別物ですけれども、この南側に新海面処分場の建設が今進んでおります。どちらもかなり大規模な事業であることはご承知のとおりなのですが、いただいた資料で見ますと、臨海道路の財源内訳の資料をいただきましたが、事業費の中に占める一般財源の割合が非常に大きく変動していると思うのです。例えば新海面処分場でいいますと、平成六年度、スタート時点ではそのほとんどすべてが一般財源でしたが、それから急激に減ったり戻ったりしながら、今日の時点では、二百十三億何がしの事業費のうち、一般財源は、一%ちょっとの二億五千万ほどしか入っておりません。  臨海道路についても、かつてはかなりの割合を一般財源が占めていたにもかかわらず、平成十一年度事業予算百八十三億何がしのうち、一般財源は、やはりこれも一%ちょっとの一億九千八百万しか入っていない。こういう状況はなぜ起こってきているのか、その経過についてお聞きしたいと思います。

◯阿部総務部長 平成八年度以降、臨海道路と新海面処分場の両事業とも、それ以前に比べますと起債充当額が増加していることに加えまして、事業費が全体として減少傾向にあるために、結果として、平成九年度以降一般財源の割合が減少してきているというふうに考えております。  また、一般財源を見ますと、ご指摘のように急激に減少しているように見えますが、一般財源と都債を合わせた都の一般会計が負担する財源について見ると、事業費に対する割合は、臨海道路については二五%、新海面処分場につきましては約九〇%と、ほぼ一定の割合をとっているということになっております。

◯曽根委員 まず、事業費がだんだん減ってきたのが一つの理由というのは全く当たらないと思うんですね。事業費は確かに若干は減っていますけれども、一般財源が、例えば臨海道路でいえば九十億規模から二億円弱まで減る割合から比べれば、はるかに小さいわけです。やはり最大の原因は、一般会計の負担率は決まっているにもかかわらず、その中の借金ですね、都債部分を大きくしてきた。一般財源つまり、いわば東京都が自由に使えるお金、現金的なものを投入する部分をうんと小さくしているということが原因だと思うのです。  今回、財政再建推進プランが出されましたが、ここでは一般財源を重点的に施策見直しの対象として財源対策の目標に掲げていますよね。そして最後には、巻末には、一般財源を五億円以上投入した事業をリストアップしているわけです。百三十八事業が掲げられているわけです。これを見ますと、かつての規模で一般財源が新海面にしても臨海道路にしても投入されていれば、当然この百三十八事業の中の非常に大きな位置を占める事業になるでしょう。ところが、今年度はいずれも一般財源が二億とか二億五千万とか、こういう規模ですから、事業費全体で見れば数百億の事業費であるにもかかわらず、これが重点的な一般財源の削減対象の事業に出てこないということで、あの事業のリストの中に出てこないわけです。私は、こういうところに、東京都が聖域なく事業を見直すといいながらも、投資的事業、特に大型の投資的事業については、借金の部分を大きく膨らまして、一般財源を極端に減らして、それによって財政プランによる切り下げの対象から逃れていくという仕組みがあると思うんですね。このことは指摘しておきたいと思うのです。  こういう借金、一般会計の負担率は決まっているわけですが、その中の借金をどれぐらいにするか、都債の方をどれだけにするか、これはどういうふうな割合で、だれがどういうふうに決めているのでしょうか。

◯阿部総務部長 事業費に対する起債の割合の基準といいますか、つまり充当率につきましては、自治省の地方債許可方針に基づく運用通達等に定められております。具体的な個々の事業の充当につきましては、財政当局において、この充当率等に基づいて行われていると聞いております。

◯曽根委員 いわば自治省や財務局の方で割合を決めてくるというふうに聞こえますが、しかし、この事業はどちらも計画事業で、例えば臨海道路でいえば平成十三年に必ず開通ということで、今着々と進めているわけですよね。事業局としては、当然計画どおりに進めなければまずいというお考えがあると思うのです。それで、例えば来年度の事業で、もし一般財源を本当に削減しなければならぬ──もしくは投資事業一五%削減しなさいよという依命通達が出ていますよね。そういうものに従って一五%削減すると、予定どおり開通ができるかという問題が起きると思うのですが、こういう問題に対しては、何か計画どおり進めるための財源面の方策というのは持っているのでしょうか。

◯阿部総務部長 現在、この両事業の予算につきましては、予算見積もりの依命通達等を踏まえ、来年度予算要求に向けて局内において検討している段階にあります。したがって、今の時点では、来年度事業予算について明言できる状況にはございません。

◯曽根委員 これから決めるんだと思いますが、私ここで意見をいっておきたいのですけれども、港湾局の事業は大半が投資的事業ですよ。ですから、全体としては一五%シーリングという依命通達がかかっているわけですね。それに対して、先ほどもご意見が別の委員からありましたが、臨海道路は臨海副都心と一体の事業として、東京都としては最優先だと思うのですよ、石原知事のこの間の見解を聞いても。  そうすると事業費は守らなきゃならないというふうになる。新海面もそうだ。こういう大きな事業を率を落とせないということになると、どこにしわ寄せが来るかというと、やっぱり島しょの港湾事業とか、それから東京港の早くやらなければならない修繕関係だとか、規模としてはそれぞれ小さいけれども、大事な事業にしわ寄せがいってしまうということを非常に危惧するわけです。したがって、聖域なくといっている以上は、それは投資事業を削るからには、当然メスを入れるべきところはメスを入れるということと、私たちは、前からいっていますように、臨海道路、臨海開発事業全体の抜本見直し、思い切った予算の削減、凍結、見直しは必要だというふうに思っております。  そこで、特に新海面処分場──前回、臨海道路については少し質疑しましたので、今回、新海面処分場のその後の動きについて、計画を適切に見直していく立場から質問したいと思うのですが、新海面処分場の廃棄物の埋立量ですね。昨年の五月に、埋立処分の計画が大幅な見直しがありました。かなり縮小されたわけですけれども、その見直しした計画量から、さらに実際には、処分量の実績を見ると変化しているんじゃないかと思うのです。これも資料で出していただきましたが、特に廃棄物系、これが平成十年度に十九万立方メートル、昨年五月につくられた新しい処分計画に基づいて新海面処分場に埋め立てる計画だったものが、実績を見ますと、Aブロックに十万立方メートル入っただけで、Bブロックには全く埋め立てが行われていない。したがって半分程度しか廃棄物は入っていない。それで済んでいたということで、見直しは昨年五月で、まだ一年ちょっとですけれども、早くも見直し量以上に減量化が進んでいるということだろうと思うのです。  これは大変喜ばしいことではありますが、こうなってくると廃棄物の減量化というのが、これからさらに進むことはあっても、またどんどん廃棄物がふえていくというようなことは、あってはならないし、ないと思うのです。したがって廃棄物に関しては、少なくとも処分計画は、もう一度適切なときに見直さないとならないのじゃないかと思うんですが、この辺実際に埋め立てを、経過を見た上で、どうお考えになるでしょうか。

◯増田港湾整備部長 新海面処分場には、廃棄物、しゅんせつ土、それから建設発生土等を合わせて処分することになってございます。平成十年度の新海面処分場におきます廃棄物処分量につきましては、計画量十九万立方メートルに対しまして九万立方メートルの減となってございます。しかしながら、廃棄物系十九万立方メートルと土砂系九十八万立方メートルを合わせました百十七万立方メートルが計画量でございますが、処分実績につきましては百六十万立方メートルとなっておりまして、計画量より約四十万立方メートルの増になってございます。  計画の見直しにつきましては、十年度一カ年の実績のみで処分量の傾向を判断することは適当ではなく、現行の埋立処分計画においても、おおむね五年ごとに計画を見直すこととしています。したがいまして、現時点では処分計画の見直しの必要はないと考えてございます。

◯曽根委員 今、土砂系のお話もあったので、昨年度、確かに土砂系が予定よりも多く入っている。この土砂の埋め立てというものも、建設残土やしゅんせつ土砂が全体の量に対しては、埋め立てに使われている量というのはごく何分の一かにすぎませんで、ほかにいろいろな形で活用されているわけですから、これは確かに流動的だと思います。しかし、今年度は土砂系の埋立量はほぼ計画どおり推移しているというふうに聞いておりますし、私は、たまたま去年少し多かったからといって今後ふえていくというものではないだろうというふうに思っています。  この点は余り議論したくないのですが、いずれにしても、もしこの見直し計画どおり仮に進んだとしても、全体としては、この新海面処分場全体で相当な量を計画し、今つくってきているわけですが、昨年の見直しによって、埋立量の方は半分以下に縮小しちゃったわけですよね。大体、量的にどれぐらいになるのか。現在建設中の新海面処分場全体の容量はどれぐらいで、昨年の五月に見直しされた埋立計画の方はどれぐらいなのか。それから、今もう既にでき上がったAブロック、Bブロック、それから今もう建設にかかっているCブロック、この三つの容量はどの程度なのか。これをちょっと数字でお示しをいただきたいと思います。

◯増田港湾整備部長 新海面処分場全体の容量でございますけれども、全体といたしまして一億二千万立方メートルでございます。それに対しまして、昨年処分計画を改定いたしましたけれども、その新海面処分埋立量につきましては約四千万立方メートルでございます。それからブロック別の容量でございますけれども、A、B、C合わせまして約四千五百万立方メートルの容量がございます。

◯曽根委員 今、計画で、つくる方は一億二千万立方メートルの容量のものを、計画を変更せずに、若干スケジュールはおくれぎみのようですが、つくっている。しかし埋立計画の方は、昨年五月に見直しして、その三分の一に下がっている。したがって三分の二の分は、どれだけの埋立量があるからこの器が必要だという根拠なしに今進んでいるということになるのですね。そして、今既にでき上がり、またつくりかけているA、B、Cブロックで、去年の五月に決めた埋立計画量、二〇一五年ですか、までの埋立計画量は、量的にいえば入っちゃうんですね。  ですから、はっきりいって、A、B、Cブロック以降のブロックについては、金額でいえば約五千億円ぐらいの事業費がかかるわけですが、これはもう、その先の埋立計画ができるまでは凍結してしかるべきじゃないか。もし進めるとすれば、何らかの根拠があるのだろうか。その二点、ちょっとまとめてお考えをお聞きしたいと思います。

◯増田港湾整備部長 都では、廃棄物、しゅんせつ土、建設発生土、それぞれ発生抑制やリサイクルの推進など、最終処分場の削減に努力をしてきております。その結果、今お話にありましたように、当初計画に比べまして大幅に計画処分量を削減した現行計画を策定したものでございます。  この計画に合わせまして、例えばCブロックでは、当初平成九年度完成予定を三年ずらすことなどをすることによりまして、適切な対応をしてございます。今後とも、しゅんせつ土、建設発生土や廃棄物の処分に支障のないよう、長期的視点に立ちまして、適切かつ着実な整備を進めてまいりたいと考えております。

◯曽根委員 今、長期的な視点と、それから埋立量の推移を見ながら適切な建設をというお話なので、埋立量が、今後この見直し計画のとおりに進むか、またはそれ以下に下がっていくというふうになるならば、当然、大き過ぎる器は見直すということが含まれているのかなとも思いますが、はっきりしたお答えじゃないのですね。私は、港湾局の技監を長としたこの新海面処分場の見直しの検討会が庁内にできていると聞いておりますので、これ以上は要望にしますけれども、今財政が厳しいときに、たとえちょっと先の話とはいっても、五千億円に及ぶ処分場計画をまだ後に残しているというものについて、少なくともそこに入れるごみや土砂の量がまだ決まっていないのに、一億二千万をつくる計画だけはどんどん進めるということだけは、これは適切ではないということを指摘し、計画の見直しを早急に行うように要望しておきたいと思います。  臨海道路もそうですが、新海面処分場は、確かに土砂やごみの量というのはゼロになるということはまずないだろうと思います。したがって、一定の量は一定の期間に必要です。しかし、やはり東京都の財政全体を見回せば、大きな投資事業、今、現金を余り使わないで借金でやっているわけですが、借金も必ず返済のときが来ると大きい負担になるということから、適切な見直し、特にこの二つの事業についてはメスを入れるべきだという意見を申し上げて、質問を終わります。

◯曽根委員 契約議案について日本共産党の意見を表明します。  第百七十号議案から第百七十四号議案は、臨海道路関連工事の契約案件ですが、今、質疑もありましたように、臨海道路については、第一に、臨海副都心開発と一体の計画であり、開発そのものが財政的にも行き詰まり、今後も事業計画どおり進む見通しも立っておらず、全体として抜本的な見直しが求められていること、また第二に、臨海道路自体も、供用開始後の自動車交通量や環境への影響の予測が、アセスメント当時からの状況変化によって不透明であり、改めて交通量その他の予測と必要な見直しが迫られていること、第三に、都民生活と無縁の大規模な工事であり、財政難のもとでメスを入れるべきなのにもかかわらず、逆に一般財源の割合を減らし、財政再建プランの施策見直しの対象からも事実上逃れた聖域扱いされているということなどから、臨海道路事業は、開発全体のあり方とともに凍結し、根本的に見直すべきと考えます。よって、本契約案件には反対します。  また、第百七十八号議案から百八十二号議案までは、新海面処分場関連の工事契約案件ですが、新海面処分場は、昨年度見直しの行われた廃棄物及び土砂の埋立処分の長期計画に基づけば、現在の三分の一程度に計画を縮小することが可能であり、改めて建設計画の見直しが求められています。これを行わないまま巨額の事業費を投入し続けようとする今回の工事契約案件には反対します。  以上です。

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