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二〇〇4年第4回都議会定例会 代表質問


      2004年12月8日
              そね はじめ(日本共産党・北区選出

 私は日本共産党都議団を代表して質問します。

 いま、年金の切りさげ、来年一月の所得税・住民税の老年者控除や年金控除の改悪による増税、さらに介護保険の負担増など、国の悪政が次々におしよせています。だからこそ、東京都が、都民生活をまもる自治体本来の役割をはたすことがつよく求められています。ところが、福祉や教育、くらしにかかわる各局の来年度予算要求は、査定前で今年度予算を下まわる異例の事態です。これでいいのでしょうか。

石原知事に質問する、そねはじめ都議
 これまでも石原都政は、福祉関係費をどんどん削ってきました。二〇〇三年度決算をみると、九九年度にくらべ実に七百六十四億円、四年間で一割以上の削減です。全国の福祉関係決算を調べましたが、東京のように減らしたところはありません。

 削減で大きいのは、経済給付的事業です。シルバーパス、マル福、老人福祉手当、障害者医療費助成、重度障害者手当の五つだけで三百二十一億円の削減です。

 もうひとつは補助金です。この四年間に廃止や削減された補助金は百種類を超えています。なかでも都民に影響の大きいのが、国民健康保険への補助の削減です。特別区と市町村、建設国保組合などに対する補助は二百億円以上の削減です。その結果、区市町村では国保料の値上げが相次ぎ、保険料が払えず、短期証や資格証となる人が急増しています。二十三区では、さらなる国保料の値上げが提案されています。

 特別養護老人ホームの都独自補助も、二百億円をこえる削減で、「常勤職員を減らさざるをえない」「週に三回の入浴が二回しかできなくなった」などの悲鳴があがっています。わが党の調査によれば、現在の経営支援事業を、「増額・拡充してほしい」との回答は、七割近くにおよびます。

 知事、このように高齢者をはじめ都民に痛みをおしつけている現状をどのように認識しているのですか。答弁を求めます。

 石原都政は、福祉手当など経済給付的事業を切りすて、補助金を廃止・削減し、保健所など都立施設を廃止し、さらに一律マイナスシーリングをかけて、福祉予算をつめたく削ってきました。しかも、その大幅に減らした予算さえまともに執行せず、昨年度だけで六百三十二億円も使い残した結果、決算でみると予算以上の大幅削減になっているのです。

 その一方で、基盤整備など「充実する」と約束した事業はどうか。施設整備費は増えるどころか、百九十八億円も削られました。だからこそ、特別養護老人ホーム、老人保健施設、療養型をあわせた介護三施設の整備率の順位は全国最下位なんです。痴呆性高齢者グループホームの整備率も全国最下位で、定員の伸び率でも、神奈川、千葉の半分、埼玉の四分の一にすぎません。シルバーピアも、訪問リハビリ、ショートステイも、今年度末の目標達成にほど遠いのが実態です。以上が、石原知事が推進してきた「福祉改革」の昨年度までの決算であります。「東京の福祉は冬の時代に入った」と言われて当然ではありませんか。

 しかも今後さらに、第二次の財政再建推進プラン、都庁改革アクションプランにもとづいて、区市町村や福祉団体などに対する補助の中で、補助率が高いもの、長く継続されているもの、当事者のみなさんにとっては切実な少額補助などを見直すといって、廃止、削減をすすめようとしています。救急車の有料化や、都立施設のさらなる廃止、縮小も検討されています。これ以上の福祉をはじめ都民施策きりすては、絶対にやめるべきです。

 そして私は、今年度の補正予算や来年度予算で、ぜひとも福祉関係予算を増額し、福祉拡充の方向に大きく転換することを求めるものです。知事、お答え下さい。

 私がいま遅れを指摘した施設整備については、今年度、特別養護老人ホームなどの国庫補助削減が大問題になりました。このため埼玉県は一床あたり三百万円の県独自補助を実施し、三億七千万円の補正予算を組みました。ホテルコストをとらない従来型特養の定員を増やすため、これも県独自補助を創設し、三億二千四百万円の予算を計上しています。その背景には特養ホームの定員を四年間で一・七倍にふやすという県の積極的な姿勢があります。また横浜市も、少なくとも要介護度四、五の待機者はすべて特養ホームに迎え入れることを表明し、九月補正予算で五億円をこえる整備費をくんでいます。一方、東京では、こうした対応をまったくとらず、八か所の整備が見送りとなりました。東京都がいかに高齢者につめたいか、歴然としているではありませんか。

 介護の必要な高齢の方が、特養ホームに入るのに四年も五年も待たねばならないという事態を、知事はいつまでに解決するのですか。特養ホーム整備の目標を大幅に引き上げ、埼玉や横浜のように独自の予算も組んで、整備を促進する必要があると考えますが、お答え下さい。

 異常な都政運営は、福祉の分野に限られたものではありません。この五年間、未来をになう子どもたちの教育も、東京の経済をささえる中小企業対策も、住宅や環境政策も大きくゆがめられ、施策は後退させられてきました。

 石原知事は、財政がきびしいことをその理由としてあげましたが、事実は異なります。本当の理由は、超高層ビルと大型道路中心の「都市再生」に都財政をつぎこむためだったことは、この五年間の財政運営を見れば明らかです。

 大型幹線道路や臨海副都心開発などの投資的経費と首都高速道路公団への出資や無利子貸付など経常的経費に含まれた投資をあわせたトータルの投資総額は、バブル前の二倍の一兆円規模に高止まりし、これが都の借金を七兆円規模に増やし、福祉など都民施策を圧迫する最大の要因になっているのです。

 全国の多くの自治体は、さまざまな問題があるにしろバブル時代の反省のうえにたって、国言いなりの浪費的な公共事業にメスをいれ抑制することで、福祉や教育などの分野に予算を配分する方向にむかっています。こうした全国の流れとは逆の方向を向いているのが石原都政です。

 たとえば、投資的経費の中心である土木費についてみると、石原知事が最初に編成した二〇〇〇年度以降の四年間に増やしているのです。一方、首都圏の自治体はどうか。土木費を毎年抑え、埼玉県は半減、千葉県と神奈川県が六割台に削減しています。そのうえ、東京都は、首都高速道路公団への出資・貸付金などを経常的経費として毎年三千億円以上もつぎ込んでいます。「圏央道」など国が全額負担すべき国直轄事業負担金にいたっては、この五年間に増額したのは、東京都だけです。本来、東京都が負担する必要のないこうした投資だけで、この五年間に年平均八百二十億円、合計四千億円をこえる資金を投じてきたのです。これを改善するだけで福祉予算は削減どころか、増やすことができるではありませんか。

 大阪府では、予算のマイナスシーリングは建設事業費にのみかけています。そこから生み出された五十億円の財源を、「子どもを育てる」「雇用を生み出す」「安全なまち大阪」の三つの重点の事業にあてています。

 東京都でも、全国にくらべ、突出している「都市再生」事業について、再検討することがどうしても必要です。都が重点として整備をすすめている三環状道路は、外郭環状道路が国直轄事業となれば、あわせて一兆円規模の支出となり、その他に羽田空港再拡張の一千億円、さらには、区部、多摩地域の都市計画道路など全体で数兆円規模の投資が予定されているのです。この路線を進めば、都財政はますます破たんの道を歩み、都民施策にしわよせがいくのは明らかです。いま、地方自治体にあるまじき、このような都政運営を切りかえることこそが求められています。

 そもそも、都市の再生というのであれば、経済や人口の東京一極集中を是正し、だれもが安心して住みつづけられる東京、地震や災害につよく、環境と共生できる東京をこそ目指すべきであります。しかし、石原知事がめざす「都市再生」は、都民の願いとは裏腹に、東京を多国籍企業に役立つ都市に切りかえていくものであり、そのための超高層ビルや大型幹線道路を最優先に建設していくというものです。そして、この五年という短い時間のなかでも、すでに東京の都市構造は、東京一極集中、都心集中がはげしさを増し、記録的なヒートアイランド現象や集中豪雨、自動車排気ガス公害などいままで経験したことのない異常な環境悪化がすすんでいます。安全性をたなあげした超過密の進行は東京をますます災害によわい都市にしています。

 いま、なすべきことのひとつは、いたずらにあらたな開発をすすめて、今後、人口減が予想される将来の世代に莫大な負の遺産を残すことではありません。何よりも、投資を適正な規模におさえることが必要です。そのうえで首都高速道路の耐震補強や耐用年数をむかえつつある橋梁の改善こそ必要です。また全体として、学校施設の改修など、既存ストックの維持、更新にこそ力をそそぐべきです。この方向こそが、都民生活の向上と東京の経済の持続的発展をはかる道であると考えますが。知事の見解を伺います。

 重要なことは、今年度から来年度にかけて、都税収入が五千億円、うち都が使える分だけでも四千億円程度の増収になると見込まれていることです。

 この増収を、七兆円規模の借金の返済など財政立て直しに役立てることは当然ですが、なにより、都民のくらしと営業を守るために、優先的に活用することが重要です。例えば、三百億円で認可保育所や学童クラブ、特別養護老人ホームの大幅増設もできます。二万戸の木造住宅の耐震、防火改修への助成や小中学校の耐震補強支援も三百億円あればおこなえます。また二百億円でシルバーパスの負担軽減や乳幼児医療費の所得制限の撤廃、介護保険の保険料・利用料の軽減などが可能です。ぜひ、この立場で予算を組んでいただきたいと思いますが、知事の見解を伺います。
 つぎに少子化対策です。

 日本における女性の合計特殊出生率は下がりつづけ、東京ではついに一をわりこみました。その背景に、「子どもを生みにくく、育てにくい」日本と東京の実態があることは共通して指摘されています。一方、世界を見ると、フランスでは、家族手当など二十種類もの経済給付を充実するとともに、週三十五時間労働制を実現し、三年間の育児休業または勤務時間短縮を認めるなか、合計特殊出生率は九三年の一・六五から一・九一まで上昇しています。デンマークは、医療や、教育費は大学まで無料、青年に住宅手当を支給して自立を促進し、「子どもを生むことは権利」として認めて条件整備をすすめることで、少子化を打開しています。

 これに対し、東京のとりくみはどうでしょうか。先日、次世代育成支援対策法にもとづく「東京都行動計画」の骨子案が示されました。その内容は、他府県の「行動計画」素案や骨子案とくらべても、きわめて抽象的一般的なものです。

 そこで伺いたい。知事は、東京の深刻な少子化の現状を、どう認識しているのですか。

 日本で最も深刻な現状にある東京都こそ、最も先進的で総合的な対策をうちだし、具体的な目標と年次計画、財源的裏づけもあきらかにした実効性ある「行動計画」をつくる必要があると考えますが、答弁を求めます。

 具体策として、私はいくつかの角度にしぼって提案します。

 第一は、若者の雇用の促進、育児と仕事の両立支援の両面での「東京ルール」の確立です。まず、方策のひとつは若者の雇用の促進です。

 今日、子どもを生み、育てることが可能な社会をつくるうえで、解決にあたらねばならない問題の第一は、若者の仕事の確保であり、経済的基盤の確立です。この点で、日本とりわけ東京では、大企業は過去最高の収益をあげる一方で、新規採用をおさえ正社員の数をこの五年間には百八万人も減らし、フリーターや派遣労働者など不安定雇用を増大させています。若者の雇用の状況は最悪と言わざるをえません。これで、どうやって結婚生活をいとなみ、子どもを産み、育てることができるというのでしょうか。

 打開のためには、大企業にその社会的責任を果たしてもらうことが必要です。東京には大企業の本社のおおくが集中しています。これらの大企業や財界も、それなりに企業の「社会的責任」を言わざるをえなくなっています。問題は、都民が求めているのとはほど遠い現状を改善させていくことです。

 すなわち、大企業に対して、パートや派遣労働など不安定雇用中心から正社員による雇用に切りかえること、サービス残業をやめワークシェアリングにとりくむこと、結婚して子育てできる賃金の保障など、目標をもってとりくむよう都として求めること、そして、これらの課題を企業が策定する「社会的責任」の目標に位置づけさせ、東京都が経済団体・大企業と協定をむすぶことを提案するものです。答弁を求めます。

 若者の雇用を増やしているのは中小企業ですが、その経営は大変です。高知県が実施しているように、若者を雇用した企業に助成をおこなうことが有効です。

 激務にさらされている教員や消防隊員をはじめとする職員を、都として率先して採用に努めること。一定期間、職に就けなかった若者に対しし、都として緊急雇用事業を創設して雇用を促進することなども必要です。

 全国で若者が新しく企業をたちあげることがひろがっています。山口県では空き店舗を安い家賃で提供したら若者が集まりにぎわいを回復した商店街が生まれており、都内でも高円寺では若者の古着屋が相次いで開業している商店街もあります。空き店舗を使った開業のための家賃補助や経営相談など、資金力と経験にとぼしい青年を応援する仕組みを提案するものです。見解を伺います。

 つぎに、仕事と子育てが両立できる職場環境の改善です。最近五年間で、夜七時以前に帰宅する父親は二〇%から一三%にへり、九時以降に帰宅する父親は増えて全体のおよそ半数をしめています。結婚・出産を理由とした女性の退職の強要や解雇も横行し女性は第一子の出産をきっかけに三分の二が仕事をやめています。男性の育児休業取得率は、わずか〇・一九%です。

 この問題についても、若者の雇用と同様、パートをふくめ育児休業、育児時間、看護休暇、フレックスタイム、さらに育児休業の分割取得や時間単位での取得など、育児休業制度の活用と、法の枠をこえた拡充をすすめることを大企業、経済界に都として働きかけることが必要です。

 男性の育児休業取得率を、とくに重点事項としてとりくむこと、民間を先導するために、東京都の男性職員の育児休業取得を抜本的に引き上げることを提案するものです。お答え下さい。

 育児休業をひろげるためには、中小企業への支援がかかせません。北海道、鳥取県、千代田区など多くの自治体が独自に支援事業をスタートしています。

 都議会は二〇〇二年第二回定例会で、中小企業が育児休業、育児時間、家族看護休暇などの充実にとりくむことができるよう都の支援の実施を求める請願を趣旨採択しました。都議会の議決を尊重し、中小企業に対する支援策を具体化していただきたい。答弁を求めます。

 第三に、住宅の確保です。東京の民家賃貸住宅に住む若年世帯では、家賃の収入にしめる割合が三割から五割にもおよんでいます。

 このような若年ファミリー世帯の住宅事情の深刻さと支援の必要性を、知事はどう認識していますか。

 ファミリー世帯むけの都営住宅の増設や入居基準の緩和をはじめ、子ども部屋を確保できる広さがあって家賃が安く、住みつづけられるよう都民住宅や公社、公団住宅などを活用した公的住宅の確保を提案するものです。

 大阪市では新婚世帯への月二万五千円の家賃補助を実施しており、年間七〜八千人の希望があります。新宿区や千代田区の月三万円から五万円の家賃助成も効果をあげています。このような家賃助成を都として実施することが必要です。見解を伺います。

 第四に、経済的支援をはじめとした子育て支援の抜本的拡充です。

 いま東京二十三区をはじめ全国各地に所得制限なしの小中学生までの医療費助成がひろがってきています。都は、公平性のために所得制限は必要だと表明していますが、わが党が議会局を通じておこなった区市町村アンケートでは、所得制限を撤廃した区から、これによって「公平性が担保されている」「毎年受給資格が変わることなく、安定的に医療が受けられるようになった」という効果が報告されています。

 東京都自身も、すべての子育て世帯への支援が重要だと言っているのですから、乳幼児医療費助成の所得制限はただちに撤廃すべきです。そして、小学生、中学生への医療費助成にふみだすことを求めるものですが、見解を伺います。

 認可保育園は、少子化対策の要となる施設であり、増設をすすめることにより待機児解消の目標を明確にすることが必要ですがどうか。また、運営費補助をけずりつづけていて、どうして保育園がふえるでしょうか。都加算補助の見直しやサービス推進費の削減をやめ拡充することを求めるものです。

 次に三十人学級の問題です。

 三十人を含む少人数学級に踏み出した県は四十二道府県と急速に広がっています。

 にもかかわらず、いまだに東京都はつめたく拒否しています。石原知事も、「子どもの社会性を養うために生活集団である学級には一定の規模が必要であり、学級編成基準を四十人とする都教委の判断は妥当」とくりかえし発言してきました。
 いま、知事のこの言い分が正しいのか、それとも三十人学級をもとめる都民の言い分が正しいのか、このことがきびしく問われています。

 私は、北区の小学校三年生のクラスにいって調査してきました。その四十人のクラスでは、最前列の子どもの机は教卓の横まで出っ張り教卓の真横に座っています。後列の子どもは壁にくっついており、まさに超過密であり、先生が机の間を通るときは、かにのように横向きでないと通れません。

 授業中、明らかに多動で動きまわる子やさわぎまわる子、外国から来たばかりの子など、先生がそばについていなければなりません。

 これはべつに特別の学校の姿ではありません。東京中の小中学校の約半分の学級で、これに近い毎日が繰り返されているのです。

 二日後に同じクラスを訪ねた時は、子どもたちが二十人ずつ別教室に別れて算数の少人数授業を受けていました。四十人がそのまま二学級になった状態でした。

 ところが四〇人の時と違い、子どもたちが動き出すと先生がすぐ席に戻らせています。黒板に向かって扇状に並べた机の間も余裕があって、先生が十分子どもたちの間を回ってゆけます。皆なおちついて黒板の問題に集中でき「あ、そうか」「わかった」などの言葉が飛び交い、子どもが次々立って黒板に出て問題を解きます。明らかに四十人の授業とは違う大きな変化がありました。

 
私は少人数学級にして全ての授業をこの人数でやれたらどんなにいいだろうとしみじみ思いました。

 知事、大人社会のゆがみが子どものいじめや不登校、学習離れ、発達に大きな影響をあたえています。今日、子どもと学校がかかえる深刻な現状を直視するならば、二四年前に決めた四十人学級基準ではもはや問題は解決しないことは明らかではありませんか。

 実際に、少人数学級にふみだした県では、クラスの子どもたちに担任の先生の目がゆきとどくようになり、学習面はもとより生活面でも、子どもたちからは、「友達が増えた」「係の仕事をがんばるようになった」などの感想があがり、現に保健室登校や不登校が減るなど、明らかな改善が報告されているのです。知事のいう「社会性を養うため」にも少人数学級の方がすぐれていることが実証されているではありませんか。知事の言い分は明らかに間違っています。あくまでも四十人学級の方がすぐれているというのなら都民の納得できる明確な根拠を示すべきです。知事の答弁をもとめます。

 いま父母、教職員、私学関係者などがとりくんでいる三十人学級などゆきとどいた教育を求める請願署名は既に百万人を突破し、小学校校長会が三十人程度の学級を要望し、東京都市長会は都への来年度予算要望で明確に「少人数学級の都独自の実施」を要請するなど、かつてなく少人数学級の要望が強まっています。

 少人数学級未実施の五県の内、すでに石川県、佐賀県が来年度からの実施を表明したのにつづき、岐阜県も、教育長が議会で「少人数学級を検討する」意向を示しており、同じく香川県教委は、私の問い合わせに「少人数学級の要望が市町村からあれば協議する」と答えています。

 これでは全国で唯一、東京の子どもたちだけが、少人数学級の大きな流れから取り残されることになりかねません。

 私は、知事が東京の子どもたちが安心して学校でのびのび学べる教育条件の第一歩として、今こそ三十人学級にふみ出す決断をするようあらためて強く求めるものです。知事の答弁を求めます。

 少なくとも区市町村から希望があれば、少人数指導の教員定数の三十人学級への活用を認めるべきと考えますが、お答え下さい。

 
最後に、憲法と民主主義にたいする知事の基本的態度についてです。

 一昨年の予算特別委員会で、わが党が憲法遵守義務に反する言動を追及したのに対し、知事は、「九十九条違反で結構でございます。私は、あの憲法を認めません」という許しがたい答弁をおこないました。しかも、その後も都議会の内外で憲法否定発言をくりかえしています。最近のテレビ番組で、「憲法なんてのは他人がつくった一つの条文、文言でしかない」「いろんなまちがいがある」とまで発言したことは、きわめて重大です。

 知事の一連の憲法否定の発言は、〃現憲法はアメリカからおしつけられたものだから、まもる必要がない〃という、とんでもないものです。

 そもそも、日本の憲法は、いろいろないきさつはありましたが、第二次世界大戦をひきおこした震源地のひとつであった日本が、再び惨禍をひきおこさない、戦争のない国際秩序を生みだそう、国民主権、民主主義をつらぬこうという立場でつくられたものでした。だからこそ、国民の圧倒的支持をうけてきたのです。

 知事は、アメリカからおしつけられたと言いますが、逆に、いまさかんにとりざたされている改憲論こそ、実はアメリカからおしつけられてきたものではありませんか。

 いちばん最初の改憲論は九条改悪論で、米陸軍が言いだしたものです。現在の改憲論も、アーミテージ国務副長官らが公言していたものであり、九条を改悪して、集団的自衛権を認める、そして日本を「戦争をしない国」からアメリカとともに地球上どこでも「戦争をする国」に変える。ここに狙いがあることは明らかです。

 知事、あなたの憲法否定の立場も、知事のこれまでの日本の植民地支配の美化やイラク戦争容認、そこでの自衛隊の武力行使容認などの発言からみれば、侵略戦争の反省のうえに築かれた憲法九条を否定し、日本をふたたび「戦争をする国」にしようというものであることは明白です。

 これにたいし、いま、世論調査でも、六割が憲法九条は守るべきと回答しており、作家の大江健三郎さんをはじめ九人のよびかけによる「九条の会」の運動をはじめ、立場のちがいをこえて憲法九条を守れの運動が広がっています。

 世界的にも、イラク戦争に世界の圧倒的多数の国々が反対したように、二一世紀の世界の大勢は国連憲章の平和のルールを尊重した「戦争のない世界」を志向しています。二〇〇〇年の国連ミレニアムフォーラムにおいて「全ての国が日本国憲法九条の戦争放棄の原則を自国の憲法において採用すること」が確認されたように、憲法九条は、この流れのさきがけとしての人類的価値をもつものであることが、世界から注目されているのです。

 知事、あなたの憲法否定の立場は、日本とアジアの平和をまもり、アジアとの関係を深めるためにも、百害あって一利なしと言わざるえません。いま首都東京がとるべき道は、日本が憲法九条をいかし、国際平和のために先駆的役割をはたすよう、自治体として努力することです。それがアジアの平和と日本経済の発展に貢献する道ではないでしょうか、答弁を求めます。

 
また、知事の一連の発言は、まさしく憲法をないがしろにし、憲法尊重擁護義務に反するものです。

 日本国憲法は九十九条で、「天皇または摂政及び国務大臣、国会議員,裁判官その他公務員は、この憲法を尊重し、擁護する義務を負う」と明記しています。これは、憲法の最高法規性を確保するための厳格で重い規定であり、公務員であるかぎりこれを否定し、逸脱することは許されません。また、公務員は主権者の信託によって憲法の運用を任務としているのであって、憲法の尊重擁護は当然の責務なのです。だから知事も新たに採用された都職員にたいし、「私は、ここに、主権が国民に存することを認める日本国憲法を尊重し、且つ、擁護することを誓います」とする宣誓書に署名し提出することを義務づけているではありませんか。

 さらに重大なことは、知事の憲法否定の立場がたんなる言動にとどまらず、日の丸・君が代の強制、靖国神社への公式参拝の強行など、都政運営のなかで、実際に憲法の原則に反する行為を持ち込んでいることです。

 日の丸・君が代の強制について、知事はテレビや記者会見で、〃国が決めた指導要領に公務員としてしたがう義務がある。これを行うか行わないかの問題だ〃〃強制ではなく義務だ〃と強弁しました。

 しかし、そもそも国旗国歌であっても、起立斉唱するかしないかは、良心の自由の問題であり、「これを義務づけし」「良心の自由を制約してはならない」ことは法制定時の小渕首相発言でも、国会決議でも明確にされていることです。

 アメリカでも六〇年も前に、ある州が法律で国旗への敬礼を子どもたちに義務づけたことにたいし、連邦最高裁判所が国民の良心の自由を侵すものだと厳しい判決をくだしています。国家が国民の内心を制限したり、介入できないことは近代国家の共通の原則です。 東京都が行っている日の丸君が代の強制が、憲法の原則に反する憂うべき事態となっているからこそ、天皇も東京都教育委員にたいし「強制でないのが望ましいと」発言せざるをえなかったのではありませんか。

 国会で決議された法律でもない文部科学省がさだめた基準でしかない指導要領をもちだして、これを教員の義務だと押しつけること自体、間違っています。

 ましてや都教委の通達は指導要領からもはみだした異常なものです。これを義務化することは許されるものではありません。さらに重大なことは、今年九月、都教委は、生徒が起立して斉唱するよう、教師が指導するようもとめる「個別職務命令」を出すことを各学校長に指示したことです。生徒が起立斉唱しなければ教員を「職務命令違反」として懲戒処分まで行えるようにしたことは、「強制」以外の何ものでもありません。

 
憲法十九条の「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない」という原則を明白にふみにじるものです。

 あらためて知事に聞きます。憲法九十九条違反で結構とは、都政運営にあたって憲法にとらわれないということですか。公務員の中でも重い責任を負う知事が憲法の尊重擁護義務を負わないというなら、知事の職務とは両立しません。知事をつづけるというなら、これまでの発言を撤回し、憲法を遵守する責務を果たす必要があります。

 また、いっさいの日の丸・君が代の強制はやめるべきです。教員への「個別職務命令」は、生徒の内心の自由を侵害するものであり、憲法違反であることは明白です。学校長への指示はただちに撤回すべきです。それぞれ見解をもとめ、再質問を留保して質問を終わります。
 

 石原知事、改憲で暴言

 石原知事は8日、都議会本会議で、天然痘ウイルスの散布などのテロ攻撃が東京で起きた場合など、憲法が制約になって感染が防げないなどという荒唐無稽な話を持ち出し、「憲法を順守するかしないか。場合によっては(順守)しない。命がけで憲法を破る」とのべました。

 日本共産党の、そねはじめ都議が代表質問で、知事の憲法否定発言を批判、発言を撤回し、憲法を順守する責務を果たすよう求めたのに答えたものです。

 そね氏は、改憲の狙いが日本をアメリカとともに「戦争する国」に変えることにあると批判。都政運営への憲法違反の持ち込である「日の丸・君が代」強制をやめるよう迫りました。

 そね氏は再質問で、知事の立場は「アメリカが求める戦争に参加するために、九条は邪魔だというものではないか」と批判。知事の憲法否定の言動や靖国神社公式参拝にアジア諸国が警戒感を強めていることあげ、「国際平和のために、憲法9条にもとづき先駆的役割を果たすことが知事の役割ではないか」と迫りました。

 これに対し知事は「(憲法9条は)改正の余地がある。改正すべきだ」とのべました。



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