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 都議会レポート051207

二〇〇五年第四回定例会代表質問 全文 
  
12月7日 そね はじめ(日本共産党・北区選出)


 都民の中で広がる格差と貧困を是正するのが都政の役割

 日本共産党を代表して質問します。

 今、都民の中に貧困と格差が増大しています。

 東京の生活保護は、九五年の九万六千人から、十九万人へと増大しています。

 就学援助はこの六年間に一・三倍に増加して小中学生の二四%に達し、都立高校の授業料減免も、九九年当時の四・九%から、昨年度は十二・四%に激増しています。

 無職高齢者世帯の実収入は二〇〇〇年からの四年間で月四八〇〇〇円も減り、さらに減り続けています。九七年に約一割だった貯金ゼロの人が、いまでは二四%。三〇代の四人に一人、二〇代では四割近くが貯蓄ゼロです。

 国民生活白書は九七年を境にすべての年齢で所得格差が開いており、とくに平均月収一〇万円に満たないパート・アルバイトが増加している若年層で顕著だと指摘しています。

質問する曽根はじめ都議。右最前列は石原都知事=12月7日、都議会



 こうした貧困層と社会的格差の広がりは、小泉内閣の「構造改革」の名による「新自由主義」の経済路線――大企業の利潤追求を最優先し、規制緩和万能、市場原理主義、「弱肉強食」を進める政策をとってきたことに原因があります。

 しかも、くらしを支えるべき社会保障は連続的改悪によって、人間らしく暮らす権利すら奪われつつあります。

 「勝ち組・負け組」を当然視し、高齢者や子どもの虐待、犯罪の増加など社会の病理現象が広がっています。

 知事は、貧困と格差がひろがっている現状をどう認識しているのですか。答弁を求めます。

 石原知事は、〃いたずらに結果の平等を追求するのではなく、自由な競争を保障する、すなわち機会の平等を重視することが必要〃といって、都政をすすめてきました。

 その結果、富める者はますます富を拡大する一方、圧倒的多数の都民は所得を減らし、貧困が拡大する格差社会が進行しています。貧困層は機会の平等すら奪われ、階級社会が固定化してきているという指摘も行われています。

 知事、「自立自助」や「競争原理」などをことさら強調し、都民への支援を縮小・廃止することはやめ、都政が都民の貧困と格差の拡大是正に全力をつくすことが求められています。所見を伺います。

 例えば、来年四月には、介護保険料の大幅値上げが予定されており、島しょでは月額七千円に跳ね上がるところさえあります。わずかな年金収入しかないお年よりにとって耐えがたい負担です。いまこそ、介護保険料の減免にふみだすこと、島しょをはじめ、介護保険料がとくに高くなる自治体に対する個別的な支援も必要だと考えますが、答弁を求めます。

 若者の失業率は他の世代の二倍と高く、東京の二十歳代前半の非正社員は九七年の三七%から二〇〇二年には四六%と急増しました。

 見過ごせないことは、月収十万円程度の低賃金や平均十一時間を越えるような長時間労働、さらに一方的な解雇や雇い止め、短期契約の雇用を反復するなど無法状態が広がっていることです。

 職場における無法状態を一掃し、若者の生活と雇用を守るために、都としてサービス残業の一掃はもちろん、若者の正規雇用の拡大やまともな雇用のルール確立などを経済団体にも求めるべきと考えますが、答弁を求めます。

 さらに今、政府税調が定率減税の廃止などサラリーマン大増税を打ち出し、政府自民党と民主党によって、消費税の二桁増税の方向が強まっています。強行されれば、合わせて二四兆円という空前の庶民増税となり、年収五百万円の世帯では一か月分の給与が吹き飛んでしまいます。

 知事は、サラリーマン増税など庶民増税が都民のくらしや経済に与える影響についてどう認識しているのですか。私は、知事が国に対して、定率減税を継続するよう求めるべきと考えますが、見解を伺います。

私がとりわけ重大だと思うのは、石原知事が一〇月二八日の記者会見で消費税の増税について、「やっぱり消費税をやる以外にないと思いますね。これは一番公平な税じゃないですか」などと、増税を後押しする発言を行ったことです。

 消費税が「一番公平な税」どころか庶民にとってもっとも不公平な税制であり、逆累進性が強いということは政府でさえ認めざるを得ない事実じゃありませんか。ましてや「買いたくなきゃ買わなければいい」などと、よくもまあ言えたものです。

 知事、記者会見での、消費税に関するこの発言を撤回し、庶民のくらしを守る立場にキッパリと立つことを求めるものです。答弁を求めます。

 いま、日本の税収をゆがめている最大の問題は大企業法人税に対する恒久的減税に手がつけられていないことです。大企業は、バブルの時期を上回る史上最高の利益を享受しており、都政が手をつけるべきことはこれらの大企業に適正な負担を求めることではありませんか。多くのマスコミも、いま、「好景気にわく大企業は優遇されつづけ、サラリーマンは等しく大増税が待っている」「増税するというなら、むしろ法人税だ」と書いています。

 東京都は大企業への恒久減税などで三千億円もの減収を強いられています。知事はこうしたゆがんだ現状をどう認識しているのですか。大企業への恒久減税をやめ、適正な課税をおこなうことを国にもとめるべきです。

 また都として、千五百億円の増収が可能となる大企業への法人事業税の法定限度額までの引き上げをはじめ、大きな利益を上げながらわずかな税金しか納めていない大企業に対し、適正に課税できる制度を検討し、都民施策を充実すべきです。あわせて答弁を求めます。

 私は、貧困と格差がひろがっているいまこそ、都政が都民のくらしをまもるために全力をつくすべきとの立場から、以下、問題をしぼって質問します。

 政府・与党は、先日、七十歳以上の高齢者の医療費負担を現行の二倍にひきあげるなど、患者負担を大幅に増やす方針を決定しました。ほんとうにひどいことです。医療関係の三十八団体でつくる国民医療推進協議会は、国民集会を開き、患者負担増に反対する決議を採択しています。ここで日本医師会の会長は、高齢者の負担増について「長生きが申し訳ないという声が聞かれる社会にしてはならない」と、きびしく批判しました。

 東京の高齢者がうけとる国民年金の平均月額は、わずか五万三千百四円です。二割負担になれば、七十歳以上の人の年間医療費の平均は七万円から十四万円にはねあがります。

 知事、「医療制度改革」の名で、高齢者をはじめ患者負担を増やす方針に断固反対すべきであります。

 また、いまこそ都は、マル福の存続をはじめ、七十歳以上の高齢者の医療費助成にふみだすなど、高齢者に対する新たな支援策を検討すべき時期に来ていると考えますが、それぞれ答弁を求めるものです

 医療については、深刻な看護師不足の打開も急務です。

 政府は、患者負担を増やす一方、医療機関に支払う診療報酬の削減をすすめています。そのために病院は、看護師を増やすことができないのです。その一方で、医療の高度化や、入院から退院までの日数が短くなっているため、医療、看護の現場では、看護師があまりにも忙しくて疲れ切っている、いつ、だれが事故を起こしても不思議ではないという、深刻な状況がひろがっているのです。
 医療従事者の団体が、全国一万七千人の看護職員におこなったアンケート調査によると、「十分に看護を提供できている」と答えた人は、八・六%にすぎず、その理由として「人員が少なすぎる」「業務が過密になっている」と答えています。「医療ミスを起こしたり、起こしそうになったことがある」のは八六%におよんでいます。

 もともと、病床百床あたりの看護師の数は、アメリカ二百三十人、イギリス百二十九人、ドイツが百二人、フランス七十人に対し、日本はわずか四十九人と、欧米の水準から大きくたちおくれています。医療法の基準では、看護師一人がうけもつ患者数は昼間が十人、夜間は二十人というのが実態で、患者さんの話を十分に聞く時間がない、ナースコールに対応しきれない、という声が現場からあがっているのは当然のことです。

 看護協会は、医療の質と安全を確保するため、看護師一人が昼間は五人、夜間は十人の患者をうけもつことですむよう、配置基準の改正を求めています。

 知事は、こうした医療現場の実態をどう認識しているのですか。医療の質と安全確保のため、看護師の配置基準の改善と診療報酬の引き上げを、国につよく要請すべきです。答弁を求めます。

 病床百床あたりの東京の看護師数は、全国で三十二位と低い水準です。ところが都の看護師確保対策予算は、毎年へらされています。都立看護専門学校は、なんと四校が廃止され、定員数は六年前の千五百十人から、わずか六百四十人と激減しています。現場は看護師不足にあえいでいるのに、都立の看護師養成校をつぎつぎ廃止というのは、とんでもない話ではありませんか。 

 都立看護専門学校の統廃合計画は再検討し、拡充が必要です。

 また、都として、東京における看護師不足、多忙化の実態調査をおこない、看護師を本格的に増やす計画を策定することを求めるものです。所見を伺います。

 都立病院の現状も深刻です。この二年間に、退職した看護師は八百人におよびます。定年退職はわずかで、二十代、三十代のこれからという人が、つぎつぎやめているのです。職員団体の調査による退職理由の一位は「とにかく疲れた」、二位「サービス残業が多すぎる」という回答です。職員定数がいつも確保できない事態となっており、夜勤が月十回をこえる、妊婦の夜勤免除ができないという状況がひろがっています。こんなことを放置していいのでしょうか。

 都立病院の看護師が、希望をもって働きつづけることができ、質の高い看護ができるよう、看護師を増やすことは急務です。答弁を求めます。

 またサービス残業は、都立病院のみならず、都の職場から根絶することが必要です。知事の答弁を求めるものです。つぎに、保育所などの都加算補助の問題です。

 東京都は、「第二次財政再建推進プラン」にもとづき、認可保育所および学童クラブ運営費の都加算補助に加え、三歳児健診などの十三事業を、来年度廃止し、子育て推進交付金に「再構築」することを提案しています。

 認可保育所に対する都加算補助は、ゼロ歳児保育の看護師の配置や、離乳食をはじめ質の高い給食をつくるための調理員の増配置、給食であたたかいご飯をだせるようにする主食費の補助、延長保育や障害児保育の質を充実する保育士の増配置など、いずれも根拠が明確で、保育内容の充実に直結しており、子どもたちの豊かな成長・発達を保障するために、なくてはならないものばかりです。これらの都加算補助は、あまりにも不十分な国基準を補い、望ましい保育水準を確保するため、現場の要望にもとづき、長年にわたり一歩一歩積み上げてきたものです。

 だからこそ、保育団体はこぞって、都加算補助は現行どおり維持してほしい、都加算補助を廃止したら、東京都において独自に積み上げてきた保育水準を破棄してしまうことにつながりかねない、と訴えています。

 都加算補助によってつくりあげてきた東京の保育水準を維持するのは、東京都の責務です。これを廃止して包括的な交付金にかえることは、都の責務を放棄するものであり、自治体間格差は拡大し、保育の現場に大きな混乱をまねくことは明らかです。

 また、都の提案では、新たに創設する交付金の総額は、十三事業の現時点の総額にすえおくとされており、経費のかかるゼロ歳児保育や延長保育、障害児保育などを伸ばせば伸ばすほど、市町村は財源不足におちいることになります。そのうえ、積算の根拠も目的も不明確な交付金では、今後は、都の財政事情や政策判断により、いかようにも削減可能なものとなります。

 わが党は、都内の私立保育園、および全市町村に対する緊急アンケートをおこないました。保育園からよせられた回答には、都加算補助が、いかに保育の質の向上のため役立っているかが、切々と書かれています。たとえば、乳児保育では、小さな変化に対し専門的知識にもとづいて判断できる看護師がいることは必要不可欠、調理員加配があるからこそ、アレルギー食のきめ細かい対応などができる、こういう声がよせられているのです。市町村も、ゼロ歳児保育や延長保育をひろげるためには、都加算補助の維持、拡充こそ必要との声が、多数をしめています。

 都の、都加算補助が必ずしもサービスの向上をうながすものになっていないなどという言い訳が成り立たないことは、これらの回答をみても明らかではありませんか。

 認可保育所および学童クラブの都加算補助を維持し、都加算の対象経費および単価の基準を堅持することを、つよく求めるものですが、見解を伺います。

 全国一深刻な東京の少子化を打開するためには、子育て支援の予算全体を増やすことが必要ではありませんか。保育の都加算補助をけずって子育て支援にまわすというやり方では、問題は打開できません。答弁を求めます。

 都民のくらし、福祉を守ることは、予算の使い方を変えれば十分可能です。ところが、石原都政は、福祉、教育、中小企業、消費者行政、文化・スポーツ、環境など、都民生活のあらゆる分野を切りすててきました。とりわけ福祉については、医療費助成や各種手当ての施策や都立施設などの廃止・縮小をおこなった結果、福祉費の一般会計に占める比率は、この六年間で、八・四%から七・九%へと後退させられました。東京より厳しい財政の首都圏の各県がみな福祉費の比率を増やしていることと比べて、ほんとうに異常です。

 知事、この福祉費の削減という事実を率直に認め、福祉の拡充にふみだすべきだと考えますが、答弁を求めます。

 石原知事は、くらし、福祉の切りすてを、もっぱら財政危機を強調することで、すすめてきました。

 しかし、財政の実際はどうだったのでしょうか。「財政再建推進プラン」が策定された二〇〇〇年以降、来年度までの期間、財源不足が強調されましたが、実際の都税収入は、この二次にわたるプランの見込額より、二兆円も多いのです。

 一体、この税収増は何に使われたのか。毎年の補正予算をみれば一目瞭然です。増えた税金はもっぱら、知事のすすめる「都市再生」のための幹線道路や都市再開発、臨海副都心開発の支援などにつぎ込まれました。二〇〇四年度最終補正予算では、福祉や教育、中小企業には一円も使われなかったではありませんか。

 さらに重大なことは、今後、この方向があらたな規模とスピードで強められようとしていることです。たとえば、首都高速道路中央環状品川線では、無利子貸し付けから、都の直接の道路街路事業として都の資金が一二五〇億円つぎこまれます。本来、国の責任で行うべき羽田空港国際化にも一〇〇〇億円、外郭環状道路は、圏央道と同じように国直轄で行われればそれだけで数千億円、さらに地上部を都道として整備することになれば、さらなる莫大な資金が投入されることになります。

 都がこの十月に発表した「総合物流ビジョン」にもとづき、物流拠点や橋のかけかえ、港湾機能の強化などが加われば、さらなる莫大な資金が必要となります。しかも、知事が突然表明したオリンピック招致の名で、毎年一千億円、十年で一兆円の基金が積み立てられると報道されていますが、これが事実とすれば、関連施設のリニューアルやインフラ整備などにこれまた莫大な資金が必要となることは明らかです。

 知事、このような開発一本槍のやり方は見直すべき時に来ていることは、世界の流れ、全国の自治体の流れをみれば明らかです。人口減少社会を迎え、東京都も二〇五〇年には人口が二割も減少する見込みです。経済活動や社会資本整備もそれに見合ったものに修正することは当然の流れです。

 国もいま、「国土総合開発法」を見直して制定した「国土形成計画法」にもとづく、計画の見直しをすすめています。そのなかで、「第一次全国総合開発計画」以来の、五次にわたる全総計画が、「『開発』を基調とした量的拡大を図る計画」であったとして、今後は、「人口減少下の成熟社会にふさわしい、国土の質的向上を図る国土計画への転換を図ることが必要」とし、「今後は、新規投資から既存ストックの有効活用に重点をシフトしていくことが必要」としています。しごく当然の考え方ではありませんか。

 知事、高度成長型の都市改造はやめ、人口減少時代にふさわしい都市のあり方をめざして再検討する時期に来ているのではありませんか。とりわけ、不要・不急の投資に大胆にメスを入れることが緊急の課題であると考えますが、知事の見解を求めます。

 「都市再生」のゆがみは都財政だけに現れているわけではありません。

 国際的な都市間競争に勝つという財界や多国籍企業の要求にそって、知事が国と一体となってすすめてきた「都市再生」や「規制緩和」、「官から民へ」の流れの大合唱は、環境問題などを深刻化させただけでなく、いま、問題となっているマンションなどの耐震設計偽造問題など深刻な社会問題を引き起こしています。

 そもそも、建築確認は、市場原理だけにまかせれば、手抜きや欠陥建築物がまかり通る危険があることを前提に、それを公的にチェックすることを目的につくられた制度です。その建築確認の仕事を、市場原理にもとづく民間企業に開放すればどうなるのかは、自明の理ではありませんか。

 この問題について青山元副知事は、「建築確認は、行政が十分な体制を整備して自ら行うべきだ」と表明しています。重大なことは、東京都が法改正を良いことに、「官から民へ」のかけ声のもとに、民間まかせの姿勢をつよめてきたことです。四年前には九対一であった公民の比率が、昨年には、民間など指定機関の検査確認数が都などの特定行政庁のものを上まわるにいたっています。

 知事、一定規模以上の建築確認は行政の責任でおこなうべきです。また、形骸化している工事の中間検査や完了時の検査を義務づけること、第三者によるチェックなどリスクマネージメントの導入、違反者の厳罰などの再発防止をただちに講じることは、最低限の改善策であり、国に強く求めることが、必要であると考えますが、見解を伺います。

 知事、都としてもこの立場から建築確認と検査にあたること、そのためにも職員を減らしつづけるのではなく、必要な職員を十分確保し体制を抜本的に強化することを提案するものです。

 被害者救済については、当該企業のみならず行政の責任は重大であり、当該企業に責任をとらせるとともに、行政が責任をもって公的支援をおこなうべきです。マンションの建て替えへやローンの負担軽減・返済の猶予などの支援については、金融機関や不動産や建設業者など業界などの協力・負担も含め、手だてをつくすことが必要です。

 また、都として、都営、公社、都民住宅の入居者に対する家賃の減免にただちにふみだすこと、住宅、金融、生活、教育、心のケアなど総合的な相談窓口を設置することことを求めるものです。さらに、都民の不安にこたえ、マンションなどの耐震診断を促進するための助成をおこなうことが必要です。それぞれ、答弁を求めます。

 最後に、在日米軍再編計画について伺います。

 アメリカの世界戦略のもとで、地球的規模での米軍再編がすすめられています。そのなかでも異常な突出ぶりを示しているのが日米同盟であり、重大なことは、アーミテージ米前国務副長官が「九条は日米の邪魔者」と言ってはばからなかった憲法九条改悪の策動が、この米軍再編と密接に結びついて進行していることです。

 「日米安全保障協議委員会」いわゆる「2プラス2」の「共同文書」では、「日米同盟」の地球的規模への拡大という重大な内容が盛り込まれ、イラク戦争のようなアメリカの先制攻撃の戦争がおこなわれたさい、日米が共同で軍事行動をすすめることが「共通の戦略目標」とされました。そして、米軍と自衛隊の司令部機能の統合、基地の共同使用など、米軍と自衛隊が一体となって海外での共同作戦を可能にする態勢づくりや、在日米軍基地の機能の強化・永久化がうちだされたのであります。

 それは、沖縄の海兵隊のための新基地建設、キャンプ座間への米陸軍の新しい司令部の移設、横須賀基地への原子力空母の配備、岩国基地への空母艦載機の移転、横田基地の在日米軍司令部に航空自衛隊の戦闘部隊を統括する司令部の併置など、日米安保締結以来の最も重大な内容をもつものとなっています。

 「地域住民にこれ以上苦しみを強いることはできない」「基地の恒久化は容認できない」と、関係自治体首長はいっせいに反対しています。相模原市長は「戦車にひかれたって命をかけても反対する」とまで表明しています。

 ところが石原知事は、ただ一人、「軍軍共用化はやむを得ない」と、横田基地の再編計画を容認する態度を表明しました。驚くべき態度といわなければなりません。

 今回の米軍再編計画は、額賀防衛庁長官が座間市長に対して「百年の計画」と明言したように、米軍基地の恒久化を狙ったものであることは明らかではありませんか。知事、軍軍共用化を容認する発言を撤回し、横田基地の機能強化、永久化につながる米軍再編計画にキッパリ反対すべきであります。明確な答弁を求めます。

 石原知事が、軍軍共用化を容認したうえで、「平行して横田基地の滑走路を軍民が共用で利用することは当然」と表明したことも、極めて重大であります。

 知事は、基地周辺住民の苦しみに思いをはせたことがありますか。横田基地では、飛行回数が年間、約四万回に達し、騒音七0デシベル超が、そのうち二万八千回近くにも及んでいます。さる十一月三十日に、東京高裁が「新横田基地騒音公害訴訟」の控訴審判決をくだしました。判決は、国に三十二億円の賠償を命ずるとともに、違法な基地騒音の補償制度すらないのは「怠慢のそしりを免れない」と、国の姿勢を厳しく批判しました。また、あらためてうるささ指数七五以上の区域の住民の騒音被害は「受忍限度をこえて違法」と断じました。

 周辺六市町が共同して掲げている「基地の整理・縮小・返還」は、こうした基地被害で苦しむ周辺住民の切実な願いです。瑞穂町長が「軍民共用化も軍軍共用化も基地の恒久化につながる。整理縮小全面返還を求めることに変わりはない」との態度を表明していることは、極めて当然であります。

 知事、「受忍限度をこえて違法」との判決をどう受けとめているのですか。

 今回の再編計画によって、米軍機にくわえ、自衛隊機が増え、さらに民間機が増えたらどうなるのでしょうか、騒音被害が拡大することは誰でもわかる話ではありませんか。知事、なぜ、共用化に固執するのですか。周辺住民と自治体の、軍軍民共用化に反対する声に応えるべきではありませんか。見解を求めます。

 首都圏の米軍再編計画には、関係知事、市町村長がこぞって反対を表明しています。石原知事は、「八都県市との協力・共同」などといっている。であるなら神奈川県をはじめ関係自治体と足並みをそろえて基地強化に反対し、縮小・返還を求めて行動することこそ、とるべき態度だと思いますが、見解を伺い、再質問を留保して質問を終わります。 

   以   上


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