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 はじめ通信・05勝利をめざして5-530
「都立高校でたたかう教員の方からの激励の手紙
日本共産党都議会議員 曽根肇 様

 
曽根さんには、都立高校を切り捨てる都立高校統廃合問題、10・23通達による「日の丸・君が代」の強制弾圧問題等で、たいへんお世話になりました。日々、御奮闘いただき、本当にありがとうございます。

 今、都議選で大勝利していただきたく、応援のメッセージを送らせていただきます。


 私が一昨年度まで在職していた○○高校の統廃合問題では、切り捨てられていく該当校の困難な教育条件の現状を真摯に受け止めて、御奮闘いただき感謝しております。しかし、私は、昨年度から**高校に異動しました。

 今、市場経済優先主義に基づいて、過酷な競争に勝つことだけをめざす社会風潮の中で、多くの人々が傷付き苦しんでいますが、定時制高校はその矛盾のるつぼです。

 今年の2次募集の入試では、8名の受験生を落とす羽目になってしまいました。これまで定時制高校では、中学時代に不登校であったために、内申の成績がまったく付いていないとか、オール1で付いている生徒たちも受け入れて来ています。しかし、今年度は、第2次統廃合対象校で最後まで残っていた高校でも募集停止になり、全日制高校の受験で失敗した生徒達が定時制高校の2次募集に来ています。また、定時制高校の統廃合により、近隣の定時制高校がなくなってしまったために、受験生が残った定時制に集中してしまい、定員をオーバーしてしまったわけです。結局、内申の成績が付けられないような不登校の子ども達が落とされることになってしまいました。

 いつでも定員が空いていて、どんな事情の生徒でも入学ができ、少人数だからこそ、大変な事情を抱えた生徒達に何とか対応して教育活動を行ってきた定時制高校です。それを石原都知事は、定時制高校の定員はまだ空いており、改革(=取りつぶし)の必要ありと言っていました。ここにも、弱者をどこまでも抑圧し、行政の「サービス」対象から排除していく石原都政の牙が向けられています。

 実際に、定時制高校の生徒や保護者たちの多くは、過酷な競争社会の中で傷付き苦しんでいます。個人面談をしていると、この生徒たちの中に、かつてイジメを経験したことのない生徒がいるのだろうかと思う状況です。「うつ」状態がひどく、病院で治療を必要とする程になっている生徒から、被害者意識が過剰になってしまい、すぐ暴力行為に及んでしまう生徒まで、行動・行為は様々ですが、傷付き苦しんでいる青春のエネルギーが様々な方向に爆発しています。そんな生徒たちに対して、行政の目と手は冷たく厳しいものばかりです。

 私は1975年に、はじめて定時制高校の教員になりました。その頃も、定時制高校には、多くの生徒たちが様々な困難にぶつかっていました。しかし、経済的に苦しい子ども達がいるのは、その社会の未熟さ故のことであり、その子達を支え、その子達が少しでも幸せになれるように支援し教育していくために、税金を使うのは当然のことであり、そのことにより、成熟した社会が形成されるのだという共通認識が学校の中にありました。教育基本法では、「国および地方公共団体は、……経済的理由によって修学困難なものに対して、奨学の方法を講じなければならない。」と定めているのだから、定時制の生徒たちに有利なように、様々な補助金を出し、心温まる手作り給食を食べさせるために、税金を使うのは当然のことだという共通認識が、少なくとも公立学校の中にはありました。

 しかし、21世紀の今日になって、すべて市場経済の中で競争することが、社会を発展させ、改革を進める事なのだという新たな神話が出来上がり、貧乏は自己責任というサバイバル思想、行政サービスも金で買うものであり、すべてが金次第という拝金主義が横行しています。だから、定時制教育や障害児教育に税金を使うのは無駄、無駄を省いて収益の上がる行政「サービス」に税金を回せという東京都の姿勢となって、困難を抱え苦しんでいる生徒たちをますます苦しめる教育行政がまかり通っています。


 この事態は、かわいそうな子ども達の問題だけに留まるものではない事を教育現場は実感させられています。民営化すればすべてがうまく行くという神話・市場経済優先主義・競争主義・拝金主義に対する不満が、国家や地方行政に向けられることを防ぐための教育が学校現場に下ろされてくるからです。その象徴が「日の丸・君が代」の強制弾圧であり、「愛国心」教育の提唱、性教育や男女平等・ジェンダーフリー教育への攻撃となって出てきています。これらの意図は、自分たちがぶつかる問題を自分で考え、探求し、自分で判断する力を育てる教育を抑圧し、現状を素直に受け入れ、上から言われることに、ただ従うことを求める教育を行おうというものです。そのためにはまず、上から言われたことのみに従う教員が必要で、そのための命令主義教育が学校で押し進められています。職務命令による入学式・卒業式の推進と職務命令違反の処分、再発防止研修による服従と思想改造、業績評価の導入と差別・つるし上げ、不利な異動を強いる報復人事……、様々な抑圧が仕組まれてきています。そんな中で苦しみ、傷付き、倒れていく教職員がバタバタとでている現状です。私たちは、これ以上の石原教育行政の継続に堪えられません。


 
今都議選の中で、このような深刻な現状を多くの人々に知っていただき、曽根さんをはじめとする日本共産党の都議会議員候補が完全勝利し、日本型ファシズムの砦ともなりつつある石原都政を打破することを切に願っております。

 どうか、がんばってください。    
  2005・5・26


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