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はじめ通信・子どもと教育のはた0317

教育長の本音が見えた!生徒が君が代で起立しない学校は教師の扇動だと疑われる!

●3月17日に文教委員会で教育庁関係の請願と予算の審議が行われました。
 請願・陳情だけで、重要な課題が7項目もあり、私の質疑ではそれらを一つ一つとり上げていくだけで、あっという間に80分が経ってしまいました。
 詳しい内容は、1週間ほどで速記の記録が出てくるので、正確を期すため、そこに譲りたいと思いますが、予想通り、一番激しいやり取りになったのは、卒業式・入学式などでの、日の丸・君が代の扱いなどを定めた「実施指針」問題でした。

●私は、大きく二つの疑問を呈しました。
 第1には、実施指針で、日の丸・君が代の扱いなどについて学習指導要領よりはるかに具体的な規定を盛り込んだことの、法的根拠は何か、ということです。
 近藤指導部長は、地方教育行政法の23条に根拠があるといいますが、日の丸を左、都の旗を右に掲げ、証書は壇上に上がって受け取るなどの細かい規定はもちろん書いてありません。
 指導部長は、それを「特に必要と認めるときは、具体的な指導ができる」という、当時の文部省の通達を根拠に、都教委が決められるのだと強弁しましたが、こうした具体的な規定の根拠の必要性については、卒業生の晴れの舞台だからというだけで、明確な理由や根拠はまったく語れませんでした。

●私は、多くの養護学校で、長いスロープ(6校ではおのおの100万円ぐらいかけて新設)を壇上まで上がっていかねばならないとすれば、障害児によっては拷問にもなると指摘し、昨年までほとんどの養護学校で行われてきたフロア形式で何が問題なのかと厳しく追及しました。
 近藤指導部長は「自分の子の姿が、壇上でよく見える」と喜ぶ保護者がいるというだけで、多くの「やめてほしい」という声を切りすてようとしています。
 私は改めて、壇上に上がれないという生徒本人や保護者の声を尊重し、保護者の多くが望むなら式全体をフロアーで行うよう強く要求しました。

もう一つは、式の前に教員が、生徒に国旗国歌に対する内心の自由について「自分で判断できる自由がある」ことを教えることや、その結果、多くの生徒が君が代の際に起立しなかった場合、教員が立たないよう扇動した事に当るとか、クラス単位で立たない生徒があった場合、クラス担任の指導力不足が問われるなどとして調査介入しようとする都教委の、とんでもない姿勢を追及しました。
 
●教育長は、ほとんどの学校でそうなっているなら仕方がないが、生徒が立たなかった学校が限られている以上、教員の扇動があると疑わざるを得ないという、とんでもない趣旨の答弁までしましたが、処分は「教員が自らの主義主張を具現化するために、生徒を扇動したことが明らかな場合」という条件をつけました。
 さすがに根拠のない処分を強行するとはできないということでしょうが、私は「教育長は、教員の生徒への指導のどれが扇動でどれが教育なのか、あなた方が一方的に判断できると思っているのか」「それ自体が行政権力の教育内容への介入ではないか」と指摘しました。

●私は最後に、生徒が自分で考えみずから立たなかったことも、担任などの教員の指導力不足や扇動だと疑われるなら、生徒が最初に問われる国旗・国歌に対する態度について、教員が内心の自由という憲法上の権利を教えたり、生徒が自ら学び自ら考えるという、指導要領でさえ認めている子どもたちの自主性は、まったく無視され踏みにじられることになる、それは教育の自殺行為だと抗議しました。

●おそらくこの議論は、今後も続けなければならないでしょう。
 自民党は、私の後の質問で、教育基本法も憲法と同じく占領軍から押し付けられたもので改正が必要だという主張をし、教育基本法早期改正を求める意見書案も出しています。
 行政の教育への支配・介入を禁止した教育基本法の規定を、どうしても消し去りたいのでしょう。

●私は、学校教育は、生徒に基本的な学力や、自分で考え社会人としての自立を準備していく力を身につけさせるために、やはり客観性が求められていると思います。
 学校の外からの評価もきちんと受け止めなければならないし、むしろ子どもも参加しての開かれた学校づくりが求められると思います。
 しかし、それは行政権力の支配・介入を認めることとはまったく違います。教育は教師自らの良心と全人格をかけて行うべきもので、自分の良心や思想を押し殺して生徒に接することはありえない以上、そうしたさまざまな教員の考えを、行政が何が何でも一律にそろえようとするなら、その先にはファシズムが待っていることも明瞭だと思います。
 学校を、政治権力の都合に合わせていくのか、本当に地域の人たちに開かれ支えられたものにしていくのか、厳しく問われている。そういう覚悟で今後も論戦に臨みたいと思っています。

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