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はじめ通信・子どもと教育のはた0502

都立の大学「改革」の現状は・・
あの手この手の脅しと懐柔に抗して、あくまで都立大を見捨てぬ人々の奮闘が続く!

●都立の大学「改革」についての情報は、私のホームページでは3月18日の都議会文教委員会の質疑までしか載せておりません。その後も二転三転の激しい攻防が繰り返されていて、とても現状をまとめられる段階ではありませんが、この間の主な動きについて幾つか特徴的な出来事をまとめておきます。

●文教委員会で、私の質疑に対し、管理本部は、近く、理事長予定者、学長予定者と管理本部とで、都立大学総長に会いに行きたいとの意向を示していました。(3月18日の曽根質問速記録参照)
 3月23日に、都立大学茂木総長の呼びかけで、それが行われ、都側は今後の大学改革について、大学側と競技をしながら進めていく旨を約束したと報じられており、またそれを評価して、茂木総長に預けられていた「意思確認書」が提出されたようです。その結果、確認書提出が教員の96%に達したことがいっせいに報じられました。(都側の約束を報じたマスコミはほとんどなく、都民の多くは教員が一方的に妥協させられたのかと受け止めたかもしれません)

●しかしその後、教学準備委員会で「都市教養学部」の名称より「総合教養学部」を是とする意見が多数を占めたにもかかわらず、結論は西沢氏一任を取り付け、論議を無視して知事構想のままで押し切るなど、結局「協議はするが、結論は知事サイドの独断で行く」ことへの反発が強まりました。

●4月13日には、4大学の過半数・451名の教員による「都立新大学設立のための開かれた協議体制の速やかな確立」を求める声明を発表した「4大学教員声明呼びかけ人会」が新たな声明を出し、議員をふくむ関係者に送付されました。
 その中で、本部の「改革への協議」約束を歓迎しつつも、その観点から当然撤回されるべき意思確認書や3月9日の、本部長による知事構想の見直し拒否や意思確認書の提出時期による差別発言などがそのままになっていることなどへの懸念を表明し、改革協議を恣意的に利用する姿勢を改め、教学準備委員会の情報公開や、確認書未提出の経済学グループの受け入れ、都民に理解され支持される改革への転換を求めています。

●その直後に管理本部は経済学COEグループを「確認書を出さない」のを理由に切りすてたまま来春の新大学を経済学コース抜きで計画。総長や教員声明の呼びかけ人らの要請をないがしろにする動きが続いています。
 結局4月28日に、計画のままで正式に文部科学省に新大学を申請しました。(申請内容はここをクリック

●当日のNHK首都圏ネットワークは「首都大学東京」来春オープンが確定し、反対運動が解消したかのような、管理本部の発表を鵜呑みにした報道を行い、これを見た都立大学関係者から苦情が殺到しました。(これに対して、都立大学問題に取り組むネットワークでは、知事構想や管理本部を批判しているペンネーム「ポーカス博士」が、厳しいコメントを寄せています。(コメントはここをクリック

●また「ポーカス博士」は、3月の文教委員会質疑で私も一部とり上げたように、まだ設立していない新大学の理事長予定者らが、現都立大学の今年度の研究費配分に傾斜をつけ、自らそれを押し付ける文書を総長・学長に出している問題も詳しく紹介し、批判しています。(次回詳報します)

●大学本部の管理部長が異動となり、1年経たない間に前本部長時代の幹部職員はほぼ皆無となりました。本部の幹部職員は一様に、「大学設置審査もほぼOKがでたので新大学スタートへの山は越えた。あとは中身の議論に移れるだろう」と楽観的な見通しを述べています。
 しかし都立大や科学技術大の中では、「これではもう、新大学についていけない」「もっとましな研究や教育ができる大学か研究所を海外を含めて探したい」とのつぶやきが広がりつつあるのです。

●もしそのつぶやきが現実となり、優秀な教員・研究者が都立大を離れていくことになれば、まさに大学の破壊者は誰なのかが明白になります。
 新しいトップのおめがねにかなうことだけに汲々として、真の開拓者たましいを失った教員だけが重用され、志しや力のある人は研究費さえままならない大学に、まともな学問を目指す学生が集まるはずがありません。

●知事などが「実学重視だからそれでいいんだ」と考えているなら、愚の骨頂というべきです。「実学」としてのレベルこそ複数の高度な研究成果に支えられているのです。
 例えばナノテクのものづくり技術にしても、物理や化学の原子レベルから高分子レベルまで膨大な研究の蓄積のうえに成り立っているものだし、また外国語を学ぶのも、会話や聞き取りの技術だけなら英会話教室ははいて捨てるほどありますが、その国の言語や歴史、文学まで理解する姿勢がなければ、必ず大きな限界に行き当たるでしょう。

●私はどうしても、昨年、中国を侮辱する行為で国際問題になった日本人留学生を思い出します。
 彼らが中国で、人々から隔離が必要なほどの怒りをかって日本へ逃げ帰らざるを得なかった原因が、彼らが日本の侵略や殺戮による中国の屈辱の歴史も、まして中国人がその歴史を忘れず、日本に対する眼が非常に厳しいことも理解していなかったことにあるのは明らかですが、石原氏の自論からいえば、それこそ若者に断じて教えるべからざる「自虐史観」に他なりません。
 このまま「首都大」における石原流「大学改革」が推し進められれば、私は、まさにあの手の人材が輩出されていくことになるのではないかと危惧するのです。そこまでひどくないとしても、知事が自慢する「単位バンク」をちゃっかり利用し、”学力より処世力”に長けた学生が育つ場所になってしまう恐れは十分あるでしょう。

●都立各大学の、都民の貴重な知の財産としての価値をまもりぬこうとして、今、苦しくとも大学に踏みとどまって、知事の構想と徹底論争でたたかおうと決意している全ての教員・学生・院生などの方々に激励のエールを送りたい気持ちです。

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