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はじめ通信・子どもと教育のはた1018
川崎でも千葉でも埼玉でも・・東京もあきらめずに頑張ってる!
教育を守るつどいで都立高校などの運動を交流


●10月18日、豊島区民センターで「都立高校のいまを考える都民連絡会」主催で、「都立高校と教育を守る都民集会」が開かれ、全都の都立高校統廃合反対などの運動をはじめ、教育分野で広がるかつてない逆流攻撃とたたかうさまざまな運動の報告がありました。
 また、川崎の定時制高校統廃合を中止させた運動、千葉の松戸南高校の廃校撤回を勝ち取ったとりくみなどの報告がありました。

◎全都の運動が都教委の手をしばっている

●はじめに、全都連絡会の三浦久美子さんが、基調報告を行い、都立高校の(第3次)統廃合計画が決定されてから1年後にあたって、97年以来7年にわたる統廃合の嵐の中で、全体は都教委の計画通り進んでいるように見えるが、各地での粘り強い運動によって、高校統廃合の見直しを求める都議会への請願や陳情は、そのほとんどが継続審査となり、桐ヶ丘高校問題では趣旨採択を勝ち取るなど、一度も不採択にさせなかった運動の成果を強調しました。

● また昨年10月24日の「新たな実施計画」の前文では、わざわざ地元関係者や学校の意見を良く聞くようにとの都議会の指摘を尊重するとの表現を都教委も書かざるを得なかったことなど、その後の実態はそうなっていないとはいえ、全都の運動が都教委の手を縛ってきていることも確認されました。

●さらに千葉や川崎では、定時制高校や全日制の統廃合を撤回・中止に追い込んだ経験も生まれるなど、学校を守る運動が各地で前進・発展していることが紹介されました。

◎生徒や卒業生の存続の訴えが火をつけた

●川崎の定時制高校存続の運動の報告、そのあと松戸南高校の元教員から、千葉県で一番中退が多く、卒業までに半分やめていくという底辺校で、県教委がまさか反対など起きないと思って出した廃校・3部制定時制計画をはね返した経験を報告。

●いかにもヤンキー風の、在校生や卒業生が集会に駆けつけ、「松南の先生は親より話を聞いてくれて初めて人間らしい行き方を知った。松南は俺たちの実家みたいなものだ。帰る家がなくなったらどうする。自分は、松南を白い眼で見る地域の大人の差別が悔しくて、不登校やいじめにあった生徒を、おれが楽しい学校にするからと励まして学校に連れてきた。教育委員会の人は松南のために何をしてきたか。何もしないでつぶすのはひどいじゃないか」と、外見のイメージからは信じられないすばらしい訴えをしたので、参加した学校の教員や地域の人々は涙を流して感動。県教委の役人は終始、下を向いていたそうです。

●これを契機に一気に運動が広がり、ものすごい勢いで署名が集まって、ついに廃校は中止に。その後、保守系議員の動きで、3部制を全日制に併置するという無理な計画が持ち上がっているそうですが、会場参加者は大いに激励されました。

◎粘り強く、あきらめない運動を交流

●会場からも、両国定時制、久留米高校、定時制生徒の会など高校生の交流活動、町田の高校守る会、第4学区高校を考える会、九段定時制、中学校の受験指導教員などから活動を報告。また、性教育で不当な処分にあった七生養護、突然の構想で大揺れの都立大学の代表からも、石原都政の教育攻撃がいかにひどいかが問題提起されました。

●最後に、代表の国松氏がアピールを読み上げ、全体で確認しました。

10・18都民集会でのアピール文は、以下のとおり。少し長いですが、東京の教育運動の現状と今後について詳しく提起されているので全文紹介します。

=10.18都民集会アピール(案)=

「計画」に対する問題指摘

 1997年9月12日に、関係者をはじめとした多くの都民の声を無視して、東京都教育委員会(都教委)は「都立高校改革推進計画」及びr第一次実施計画」の策定を強行しました。現在、都立高校のいまを考える全都連絡会に参加している各学区・地域の「都立高校を守る会」「考える会」は「第1時実施計画」の該当校(案)提示の時点から全国的に見ても47都道府県中37位と低い高校進学率と、40人学級という過大学級を放置したまま推し進める、都立高校のリストラ政策であり、多様化・差別化の施策であると、問題点を指摘し続けてきました。
 しかし、と教委は1999年10月14日には「第二次実施計画」を、2002年10月24日には予想された「第三次」という名称ではなく、と教委の「改革」をフリーハンドで可能にした「薪たな実施計画」を強行策定しました。
「新たな実施計画」は、夜間定時制高校の昼夜間定時制高校への大規模統廃合をはじめ、複数の高校から新しいタイプの高校への統廃合や、中高一貫校などへの単独改編にとどまらず、各学校へ特色化と競争を押しつけて、差別・選別を強化して化するなど全都立高校を対象とした計画です。

1.「私学なら退学」発言に象徴される、「生徒の立場に立っていない計画」

 2003年10月3日「定時制を守る生徒の会」要請の場で前田都立高校改革推進担当課長が、生徒の意見は校長を通して聞いている、在校生には会わない、「私学なら退学だ」と発言しました。この出来事は、都教育行政が生徒の立場に立っていないことを象徴しているといえます。
 また、教育庁の担当者は都議会文教委員会等で、「在校生には迷惑をかけない」と繰り返し述べています。しかし、「在校生に迷惑をかけている」現実は、私たちが実施した該当校のアンケート調査でも明らかですし、「新たな実施計画で大島高校定時制南文教場を、在校生がいるにもかかわらず廃校することからも、都行政が約束を守らず、反故にしている事実がよく分かります。2002年末廃校としていた当初の案を1年間延長させたことは運動の成果ですが、本質的な解決ではありません。

2.40人学級のままでも都立高校不足が予想される「計画性のない計画」

「計画性のない計画」であることを象徴するのは、2015年度の公立中学校卒卒業見込み数が、ほぼ2002年3月の卒業生と同じ水準に戻り、都教委の計画通りに統廃合を進めれば、40人学級のままでも都立高校が不足する事態を迎えることが明確になったことです。
 都立高校が過剰という根拠とされていた「教育人口等推計」が、ここ数年、大幅に上方修正されています。きちんとした分析が必要なことですが、これは東京都が進めてきているマンション建設等の「規制緩和」の流れの中で必然的に起こってきていると思われます。
 「人口の定住化傾向が近年の人口増となって填れている」(「東京都し白書2002」東京都発行)と指摘されているように、人口の定住化と増加す向は今後も続くと予想されます。

3.30人学級になれば都立高校が54校も不足し、「新たな財政負担を強いる計画」

 少人数学級編制を実施する自治体は、2001年10府県、2002年22道府県、2003年29道府県と急増し(高校はまだ少数ですが)、同時に30人以下学級を求める全国の動きは急速に進んできています。特に、高校段階の少人数学級化は、埼玉県の場合、2001年度から実施してきた全日制高校の少人数学級性の「実践研究」の結果、「中退者数、長期欠席者数、欠席者総数が減少するなど大さな成果が見られた」として、全県立高校を対象に希望校を募った結果、2004年度には155校中62校で実施されます。一方、「都立高校改革推進計画・第二次実施計画」の時点、当時の都立高校改革推進担当課長は、私たちの都教委要請の席で、「30人学級が実施された場合には、学級増で対応する」と答えました。しかし、2003年2月に私たちが実施した全都立高校を対象にした「空き教室状況アンケート」の結果、選択・分割授業の拡大が進行している現在、学級増が可能な学校は少ないことが明らかになりました。

 また2002年9月27日の都議会文教委員会で山際都立高校改革推進担当部長(当時)は、30人学級を実施した場合、「改革推進計画の最終年度」である2011年皮には1405学級が必要であり、都立高校が54校(l学年6学級で試算・325学級)増設する必要があると、答弁しました。都立高校改革推進計画完成時の都立全日制高校は、中高一貫教育校10校を含めて、180校ですから、実に30%の増設が必要ということになります。

4.説明責任を果たしていない「都の行政計画」

 「新たな実施計画」策定強行の日、東京新聞朝刊は、都立高校新配置計画案を「一般都民よりも教育に関心の深い(東京都の教育)モニターでも知らない人がほぼ半数を占める結果となったが、都教委は「計画案は十分周知」と判断したと、報道しました。都の教育モニターの人たちでさえ、「内容を含めてよく知っている」と回答したのは僅か4・2%に過ぎず、内容を都民にきちんと知らされないまま、重要な行政計画が策定されてしまいました。

5.低下し続ける高校進学率と、猫の目入試制度など、「子どもたちの不安を拡大する計画」

 「都立高校白書」が発行された1995年春(1995年3月公立中学卒業)の都立全日制高校への進学率は32位・94・02%でしたが、1997年3月卒は37位・93・95%、1999年3月卒は35位・93・75%、そして2002年3月卒は37位・93・01%と、低水準でした。
 しかし、定時制高校進学率は、全国的に見ると高水準で推移しています。1995年3月卒は全国9位・1・79%・2281名でした。それが1997年3月卒は6位・1・86%・2200名、1999年3月卒は8位・2・18%・2546名、2002年3月卒は5位・2・67%・2827名と顕著な増加傾向が見られます。この調査は、新規中学卒業者を対象とした調査ですから、不登校や引き子守などが増加傾向を示している現状や、成人した人や外国人の進学要求などを勘案すると、東京では定時制高校のニーズが高く、この点から見ても、教育長が推し進める夜間定時制高校の大規模削減計画は、大きな問題点を持っているといえます。

都教委行政はこの1年、教育現場への統制・管理を極端に強化した

1.差別化の教育を推し進めようとしている東京の「教育改革」の構造

 東京の教育改革の構造は、都立高校「民営化」へ向けた動きを含みながら、教職員と学校への管理統制を強化し、各学校には「ヒト・モノ・カネ」の餌をちらつかせて都立高校間の競争をあおり、「教育庁が本店、学校は支店」と位置づけて、東京都教育庁(以下、教育庁)が学校をコントロールし、「上にあつく、下に薄い」差別化、多様化の教育を進める「教育改革」といえます。

2.学校に「公開」と「アカウンタビリティー」を求め、自らは閉鎖性を強めた

 協区長は、大学進学数や受験倍率などの巣地目標を服務学校経営計画の作成と達成、その好評を都立高校に求めるなど、学校情報の公開を促す一方で、「第二次実施計画」時には、周知方法や運営の仕方などに不十分さを残しながらも都民へ「基本計画検討委員会・中間のまとめ説明会」をアリバイづくり的には「新しいタイプの学校等」ごとに開きました。
 しかし、「新たな実施計画」においては、「台東地区中高一貫6年制学校・基本計画検討委員会報告書」は、「中間のまとめ・説明会」も開かれないまま、8月28日に公表され、「昼夜間定時制高校(新しいタイプ)基本構想検討委員会報告書」(2003年4月24日)の説明会も、都民に周知することなく、参加対象者も統廃合該当校の保護者およびどうぞ迂回関係者に限定し、開設予定校ごとにしか開かないなど閉鎖性を強めました。

3.教育庁は「議会筋の厳しい意見」などを口実に、学校への権力的姿勢と管理統制を強めた

 教育庁は、7月2日の都議会本会議での民主党の土屋議員からの「過激な性教育」質問を発端に、七生養護学校へ土屋議員と自民党の古賀議員、日の・町だの仕儀が産経新聞記者を伴い「知的障害児への性教育を口実にして」弾圧的な視察を行い、保護者からも支持され、教育研究者も評価している障害児学校の教育内容・学校運営に権力的に介入し、校長の教諭への降格を含む、教職員102名の処分(2003年9月11日)を行いました。しかし、9月30日の都議会文教委員会で降格処分を受けた前好調の処分理由に「性教育」に関する内容がまったく触れられてなかったことが明らかになりました。
 他方、現存する都立4大学を一つにした新大学を、2005年4月に独立行政法人として発足させるとして、都主導の下でしたが、4大学の総長・学長も参加する都立新大学設立準備委員会で「東京都大学改革大綱」(2001年11月16日)の具体化を協議・検討し、新大学設立の準備を進めてきました。しかし、8月1日、「大綱」と異なる新大学構想が突如発表され、それまでの協議・検討が上意下達でほごにされました。これらは教育庁の権力的姿勢を象徴しているといえます。

私たちの到達点ととりくみの成果

 私たちの取り組みで、確信を持つことは、@教育庁が「新たな実施計画」については、「新配置計画(案)の段階でもプレス発表せざるを得ないようになってきたことA「第1次計画」以来出されてきた56件の請願・陳情が、都議会の勢力を見れば否決もやむをえない状況でしたが、1件もひけつされていないことB先の都議会議員選挙では統廃合該当校の存続を、都議選の公約に掲げた与党議員も出現したこと、C当初、請願・陳情審議は1時間ほどでしたが、2002年11月21日は13時から21時近くまで審議するなど、都議会の様子に大きな変化が見られることなどです。

1.象徴は、「新たな実施計画」策定時のプレス発表の冒頭文書

 この種の行政文書で、「都議会の議論も踏まえ・・・幅広い理解を得るよう努めてまいります」などの前文がつくのは、非常に異例です。行政計画のプレス発表文書に、異例な文言を入れさせるまで教育庁を追い込んできたのは、粘り強く行われてきた各地域・該当校などの会、そして全都連絡会の取り組みの「総合した力」でした。
 「総合した力」を項目的に整理すると、@各会の多様で創意あふれた取り組みA集い実行委員会以来の全都連絡会の11回の都民集会、時期に応じたアピールや見解表明など、さまざまな取り組み、B教育庁への要請行動、Cこれらのことが土台になり展開されてきた、陳情・請願を出しながら粘り強く行われている都議会議員や市区町議会議員への働きかけなどに整理することができます。

2.都議会文教委員会で審議された「都立高校改革推進計画」関連の請願・陳情は56件

 最初に「都立高校改革推進計画」関連の請願・陳情が審議された1998年第1回定例会から2003年第3回定例会まで、開かれた都議会定例会は23回、その間、実に74%、17回の定例会で「都立高校改革推進計画」関連の審議がされました。いずれの請願・陳情も、都議会の与野党の力関係の中では否決されてもおかしくない状況ですが、1件も否決されていません。特記すべきは、「北地区チャレンジスクールの開校延期に関する陳情」(1999年6月25日審議)において「教員定数削減については、現場の要望を踏まえた必要かつ適正規模の教員を配置すること」が趣旨採択されたことです。
 同様に、区市町村議員への働きかけも旺盛に展開され、その成果として、33件の意見書・要望書が都教育委員会委員長、東京都知事宛に提出されています。
 私たちの取り組みは、「意義あり都立高校の統廃合・改編」から出発しました。しかし、都教委と教育長が進めている都立高校「改革」は、教育破壊とも形容できる全面的な教育「改革(改悪)」です。
 私たちは、会の名称「都立高校のいまを考える全都連絡会」にふさわしい取り組みを追求しつつ、これまでの運動と取り組みに確信を持つことが重要です。このことが、次の飛躍を創り出していく水源となっていくことを確認し、真の意味で都立高校の公共性を守り、都立高校の統廃合を阻止するために、入試のあり方や少人数学級化の取り組みにも視野を広げた取り組みが緊急の課題として提起されています。
 私たちは、今日、都立高校のいまを考える全都連絡会が主催した「学校をなくさないで 都立高校と教育を守る10・18都民集会」に参加し、大きく成功させました。
 私たちは、「異議あり!都立高校の統廃合」の声を出し続け、「都立高校改革推進計画」の都民参加による抜本的な見直しを求めるとともに、今日を新たな出発点として、次の運動への取り組みを提起します。

@30人以下学級を求めつつ「早急に35人以下学級を求める署名」
A教育内容にまで干渉する都教委と都教育庁の強権的行政を排除し、中高一貫教育校や養護学校など東京の公立学校に対して、採択権を主張している都教委が、偏向した内容である扶桑社版教科書の押しつけを許さない署名などの運動
B少人数学級・入試問題・教科書問題・開かれた学校づくりなどについての学習会・シンポジウム


 私たち一人ひとりは微力でも、無力ではありません。これまでの取り組みの成果と到達点に確信を持ち、都立高校のリストラ再編成ではなく、すべての子どもたちにゆきとどいた教育をめざして前進しましょう。

 多くの方が、私たちとともに手を携えて、東京の教育を考え、豊かにする運動に参加されるよう呼びかけます。

 2003年10月18日

  学校をなくさないで 都立高校と教育を守る10・18都民集会参加者一同

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