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はじめ通信・子どもと教育のはた4−1127

中学生の性行動問題で、誰がはしごをはずされるのか?
知事名で青少協に諮問しておきながら記者会見では「条例になじまない」とは

●知事が竹花副知事を責任者に作らせた「青少年の性行動について考える委員会」で「中学生の性交渉への規制を条例に盛り込むべき」との意見が多数を占めたとの報道に対し、石原知事が9月24日に続いて11月19日の記者会見でも「条例で規定する案は世間には通らない」と、条例化に否定的発言をしました。この限りでは極めてまともな意見ですが、経過を見ると、これって本気で信用していいものかと言いたくなります。

●まず子どもの性との関わりについて、石原知事は自ら大きな汚点をつくったことを忘れてはならないと思います。それは七生養護はじめ学校への性教育弾圧問題です。もちろん直接仕掛けたのは民主党や自民党の都議会議員ですが、都教委がこれを受けて大挙して調査に入り、校長を降格、関係教員を処分し、障害児への最も優れた性教育といわれたものを禁止しました。
 そして知事は何度か記者に問われてあいまいな言い方をしていましたが、今年になってついに自らあの人形を持ち出して「グロテスク」とこきおろし、都教委の弾圧を全面的にバックアップしました。この弾圧を機に、都立校に限らず東京中の性教育はまったく生気を失い、予定していた研究指定校をやめるところ、研究授業はやったものの担当教諭が、口にして当然の性器の名前も言えなくなり「あそこ」と表現して、性の知識と向き合い方をきちんと教えるべき性教育で「性とは口にするのがはばかられるもの」という感覚ばかり植えつける結果になってしまうなど、まるで戦前に逆行したような事態が広がってしまっているのですから。

●知事が警察庁から引き抜いた竹花氏が、今年8月に子どもの性行動の委員会をつくったのをみれば、これが性教育攻撃に続く子どもの性の弾圧の第2弾かと思うのが当然ですし、さらには11月2日には青少年問題協議会に石原知事の名前で、青少年健全育成条例を改正する方向で子どもの性とのかかわりについて検討するよう諮問したのです。(以前も紹介したように、青少年条例改定には必ず青少協に諮問し答申が必要です)

●誰が考えても、知事は性の規制を支持するだろうと思っていたら、「条例にはなじまない」とのやけに理解ありそうな発言・・・。その真意は一体なんでしょうか。
 確かなことは、知事の発言にかかわらず、条例改定で中学生以下の性行動に何らかの規制をかける方向での検討が急ピッチで進んでいるということです。
 私は青少協の総会で、今の治安と監視重視の本部体制や、現場を無視して性教育に乱暴な圧力をかけている都政の下では、子どもの性問題や親の養育について、当事者の声や、なぜそういう問題がおきているのかを考え、配慮した適切な方向で結論として出てくる保障がないと指摘し、時間をかけて慎重に検討し、まとまらないも問題は、答申に含めず、継続協議とするよう強く求めました。

●しかし、その後あるところでこの問題を検討する専門部会のメンバーの一人から、「毎週頻繁に部会が招集され、本業に手がつかないほど忙しい。私も子どもの性の問題は条例にはなじまないと思うが、副知事はどうしても形に残る成果を上げたいのではないか。」と、当局のあまりのしつこさに危惧の念さえ持っている口ぶりで話がありました。

●知事は、今のところ冷ややかな態度ですが、悪役を諮問機関や青少協におしつけて、最後に慎重派のはしごをはずすようなやり方をとらない保障はないと、私は考えます。
 いずれにせよ、来年1月には、最悪の答申案が出される危険が迫っているといわざるを得ません。

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