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はじめ通信・子どもと教育のはた4−825

「寝返ってない」と言うなら補助削減案本体の採決はどうなった?
醜態さらした全国知事会の石原都知事

●今月18、19両日に行なわれた全国知事会で、義務教育費国庫補助の中学部分の削減と、私学助成の削減などが多数決で決められてしまいました。
 少数派ではありましたが長野県の田中知事の言うように、国庫補助を3兆円削ることを前提に自治体自らどこを削らせるのか提案しろという横暴な政府の要求を呑んで、義務教育費の補助の中学部分だけ削ることや、私学助成についても本格的な議論抜きに切り捨ててしまうという理念なき削減案を多数派で押し切って国に了解を与える、自治体のトップとしてあるまじき判断が出されてしまいました。

●この中で最も不可解な行動をとったのが石原知事でした。
 補助金削減の方向には賛成したものの、義務教育費を含めることに反対を表明し、「犬猿の仲」と言われた田中知事ともエール交換したり、議論の最中には「義務教育は国の責任で行なうべきもの」「こういう問題を知事会が多数決で決めてよいのか」などと正論を吐いていた石原知事でしたが、19日の採決の際には、高々と提案に賛成の挙手をしてしまい、反対していた田中知事が、あきれたようにそれを見ていた様すがテレビでも大写しとなりました。

●さらに奇妙なのは、知事会直後の20日に知事が緊急記者会見を開き、「義務教育費国庫負担金削減に反対する意見を付記すると言う方法論に賛成したのであって、原案そのものに賛成したのではない」と釈明したことです。
 この採決について、都知事が40対7で多数決となった原案に賛成したとして知事会側が報告文書を発表したことに、抗議するとまで表明したそうですが、では、彼は40対7以外のどの立場に属していたと言うのでしょうか。

●石原知事の主張するように、もし知事会が少数意見を付記することのみを独自に採択したと言うのであれば、当然このほかに削減案本体を採決するか、または扱いを決める場面があってしかるべきだし、石原知事はそれを要求するのが筋でしょう。気がつかなかったということではすまされない問題です。
 もし、彼が議論の中で主張したように、多数決で決めるべき事柄ではないから採決を要求しなかったと言うのであれば、石原知事は多数の意向を尊重して事実上自らの主張を引っ込めたことになり、ますますぶざまな結果になります。

●いずれにしても知事会の削減案は40対7で決まっており、それ以外の結論はでていないわけですから、東京都があれだけパフォーマンスしながら多数派に回ったことの意味は大きいと思います。
 公立学校はもちろん私学も含めて、国が自らの教育行政への責任を放棄していこうとする流れに、知事会が自らの裁量で動かせる金ほしさに相乗りすることとなった今回の一連の問題の中で、東京都はきわめて特異な形で多数派を後押しし、住民の立場を貫いて教育関係者や住民から共感を得られる方向を打ち出していた田中知事らを裏切る結果となったことは明瞭です。またそれは、石原知事がいつも強調する首都圏の8都県市(埼玉、千葉、神奈川各県と横浜市、川崎市、さいたま市、千葉市)との連携でも全く矛盾がないのですから、「はじめから出来レースだったんじゃないの」といううがった見方が出てくるのも当然です。

●もし知事会の結論どおりになったら、義務教育だけでも1000億円規模、私学で150億円規模の影響をどうするのか、今後予断を許さない事態です。

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