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はじめ通信・子どもと教育のはた5−0125
青少年協議会での発言要旨

○前回答申原案について私なりの意見を言わせていただいた。その内容の要約を案文に加えていただいたことに感謝します。しかし私が協議を継続してほしいと要望した「淫行処罰規定」については、条例改正に盛り込むという結論は変わりません。このことをふまえて、私の意見を改めてまとめて言わせていただきます。

○まず第1に、答申全体についてです。11月の諮問は、青少年をめぐるこの間の子どもに関わる事件などを元に、深刻さを増しているインターネット被害、性行動問題、保護者の育て方の問題などについて答申が必要だという認識では協議会として一致していることをふまえて、では今どんな答申がもっとも適切なのかという点です。
 私は、答申は何よりも、現状の深刻な実態を可能な限り、都民に知らせ、問題提起を行なうことが需要ではないかと発言してきました。実際に、インターネット問題や、保護者の接し方の問題では、基本的にこうした方向で答申が行なわれ、関係者への努力義務が提案されています。この点は、個々の表現の幾つか気になる部分はありますが、大きくは賛同できると考えます。

○第2に、こうした全体の観点とは異なり、具体的に罰則規定が提案されている、青少年の性行動に関して淫行処罰規定の導入が提案されている問題です。
 この問題は、前回の拡大部会でも、すでに東京都以外のほとんどの道府県で導入されており、青少年が性犯罪に巻き込まれる深刻さが増している今日、「舵を切っても良い段階である」との説明がされました。

○そこで、私として処罰規定を導入するには、幾つかの前提条件が必要だと考え、それぞれについて、検討してみました。
(1)ひとつは青少年の性行動の実態について可能な実態把握と分析、そして行政による罰則以外の対策がきちんと行われているかどうかという点です。処罰規定は最後の手段とは言いませんが、少なくともその他の諸もろの対策を事前にまたは並行して行なうことが不可欠です。
 この点では行政による実態把握も、また対策も決して十分ではないし、性教育のように教育現場の努力や工夫を無視した教育委員会による教育内容に踏み込んだ抑圧さえ現実に行なわれたことを見るなら、部分的に後退さえしていることは繰り返し指摘してきたとおりです。

(2)もうひとつは、処罰規定を導入することの意義と効果が明確かどうかです。
 前回の報告で処罰規定は性問題解決の決め手にはならないが、大人が青少年と性行為するのはよくないというメッセージを発信する意義があるという趣旨の発言に対して、「大人と青少年の性行為全体が良くないということではなく、『淫行』というある限定された性行為を処罰するということを厳密にしないと間違ったメッセージになる」という指摘がありました。その通りだと思います。しかし問題は、何を持って「淫行」つまり淫らな性行為とするのか、それをまた警察などの判断に任せてよいのかということになると、どうしても青少年の恋愛に踏み込んで「これはまじめ」「これは淫ら」などと内心の感情を判定することにならざるを得ません。これは青少年の自立と自己決定能力を育てる条例の趣旨とは乖離せざるを得ないと思います。

(3)さらには処罰の対象が、条例がなければ取り締まれないかどうかという点です。
 前回も、他県で淫行処罰規定で取り締まった事例が紹介されましたが、具体的にそれらの事例が淫行処罰規定でなければ取り締まれなかったかといえば、別の法律で対処も可能だったのではないかという意見もありました。
 そして私は、もし仮に法の網をくぐって、誰もが犯罪と認めるような行為が行なわれていたなら、国の法改正を行なうべきと考えます。ましてや圧倒的多数の県で規定があるならなおさらです。それを青少年の健全育成の条例に組み込むことには、どうしても違和感をぬぐえません。

○以上の点から、いずれの点でも「淫行処罰規定」の導入は時期尚早であり、さらに突っ込んだ検討をこの協議会として行なうべきと考えます。11月の諮問の際にも、答申で全てを結論付けることでなく、継続して競技もありうることが言われていたわけですから、その点からも十分可能なことではないでしょうか。

○青少年の性をめぐる異常な事態は、大人の社会のモラルの崩壊と退廃の広がりが子どもの世界に持ち込まれ、大人の性の破壊のまさに鏡として起きているものです。
 大人の社会を構成している我々自身、厳しい反省のもとに対策を考えなければならない。少年のある行為を「みだら」と決め付け、たとえ本人ではなくとも相手の大人を裁くことで少年の恋愛の自由を縛ることになりかねない。我々にそんな資格などあるのか・・。あらためて問い直すべきと考えます。

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