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はじめ通信・子どもと教育のはた5-0217

警備職が学校でしっかり頑張っている自治体をなぜ応援しないのか

●大阪府寝屋川市の市立小学校での少年による教師殺害事件をきっかけに、再び学校の安全問題が論議されています。4年前の教育大付属池田小事件がおきてから、校門にインターホンをつけるとか、学校にさすまたという警棒を配るなど安上がりの対策を打ってきましたが、今度の事件ではそれらの道具だけでは防ぎようがないことが鮮明になったのです。

●教師を刺殺したのはその学校の卒業生であり、以前の担任に会いに来たということでは拒否できないこと、下校時にやってきており、子どもの出入りもあって門を閉め切れないこと、それでも殺された男性教諭は少年の様子がおかしいと思い外に誘導しようとしていながら刺されてしまったこと、いずれも犯罪を防ぐのはかなり困難と言わざるを得ません。

●大阪府の教育委員会では池田小に続く凶悪な事件だけに、学校の安全をめぐって論議になり、専門の警備員の配置を検討すべきだという意見が相次いだと報道されています。
 東京都でも、渋谷区が区立小学校全20校に民間警備員の配置を予算化し、江東区は警官の随時校内巡回を要請するとしています。やはり機械による警備システムや防犯ベルだけでは決め手にならず、人による警備を考えざるを得なくなったのは当然でしょう。しかしやはり国は設備の配置は援助しても警備員の配置は経常費がかかるので消極的だといいます。

●ところが都内でも学校での犯罪が凶悪になるはるか前から、豊島区のように公務員による警備職の配置をまだ維持している自治体があるのです。
 警備職の労働組合の方から話を聞いたことがありますが、現在では退職者は補充せずアルバイトに置き換えられつつあるそうですが、それでも午後10時まで警備員がいるわけですから、教室や体育館の地域利用などにも対応でき、利用者の協議会を組織して交流会を開催するなど活発に活動していました。長い人は10年以上もその学校にいるのですから、今回のような少年の場合、顔見知りの警備員さんが対応して犯罪を防げたかもしれないのです。

●豊島区はなぜ、警備職を維持しながら何十年も学校での重大犯罪を防いできたことを誇りを持って宣伝しないのでしょうか。文科省は、能力別の差別的な少人数指導のためには教員を配置するし、教育基本法を改定して子どもに胡散臭い愛国心を植えつけようということには熱心ですが、本格的に学校警備の専門家を育てることをなぜそれほど渋るのでしょうか。本当に子どもの安全と学校教育の充実を考えているなら、これぐらいの予算は余りに当然ではないかと思います。

●最後に、少年の当日を含む生活や行動の報道を見て、あるベテラン教員は「もしかしたら彼はアスペルガーではないか。非常に典型的な行動パターンが出ている。それなら専門的な対応をきちっとすれば、他人への危害は防ぐことはできたはず。身近に専門家はいなかったのか」と話していました。
 17歳やそれ以下の少年で、個として確立した人格でこのような犯罪を犯すことはほとんどありえないと言ってよいでしょう。それだけにこうした事件を繰り返さない対策は、もっとずっと手前のところで、子ども一人一人の人格と個性を大事に育てていけるような、学校教育の根本的な改善・改革として取り組まなければならないと思います。

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