| はじめ通信・夏のこだま0603 心身障害児教育の未来はどうなるか 再編・統合の動きに皆さんの意見をお寄せください |
●最近、国と都の障害児教育のあり方を見直そうという動きがすすんでいます。 養護学校は地域の障害児の相談などセンターの役割を持たせることや、「重複障害に対応した総合化」を理由に複数の障害種別のクラスを混在させていくことなどが検討されています。 さらに、小中学校併設の「障害学級」や通いの「通級学級」を解消していく構想に、関係する教員や父母による存続要望運動が始まっています。 ●5月29日の都の検討会で、こうした内容の中間のまとめが提案・承認されました。都ではいま、都民の意見を募集しています。ぜひ、関心ある方はご意見をお寄せください。この間の経過は、以下のとおりです。 ●この間、国の段階で、障害児教育の見直しの検討が進められ、今年3月28日に、「特別支援教育(障害児教育の新しい呼び名)のあり方に関する調査研究協力者会議の最終報告について」が出されました。 「通常学級にも6%程度は、特別な支援の必要な子どもがいる」「子ども一人一人の教育的ニーズを把握して支援する必要がある」などの当然の見地と共に、現状の障害児教育の人や予算を増やさずに、「既存の人的・物的資源の配分について見直しを行ないつつ」新たな仕組みづくりを進めるという考えかたのため、とりわけ障害児学級の整備がある程度すすんで来た都内のレベルが維持できるかが危惧されていました。 ●都の教育庁も昨年秋から障害児教育のあり方の検討会を開いてきて、今年1月28日の検討会に、新しい障害児教育のしくみのたたき台が提案されました。 ここでは、全体として規模の縮小はあっても、現在の小中学校に併設されている障害学級は維持される案が出されていました。 ●ところが、その後、4月25日の検討会に出された、「これからの都の心身障害教育のありかたについて」(中間まとめ)素案では、今のような固定式の学級は基本的になくして、「特別支援教室」(通常学級に籍を置いたまま週1〜2回の巡回式の特別支援授業を受ける)に一本化される構想が提案されており、「このままでは、障害学級がなくなってしまう」と、関係者に驚きと不安が一気に広がったのです。 ●一方、育成会(知的障害児の親の会)の3月の機関紙にも、「心身障害学級がなくなる日」というタイトルの文章が掲載され、その最後は「特殊学級(障害学級のこと)が無くなり、必要な子どもが通うリソースルームが身近な学校に創られます。知的障害児にとって新たな試練が待っています。」という文章で締めくくられています。多くの父母が子どもを障害学級に通わせる育成会の中で衝撃が走りました。 ●また、LDやADHDと呼ばれる軽度の発達障害児の教育と総合して全小中学校に教室をつくるというやり方が、果たして可能なのか、実践的な研究すらまだほとんど実例がありません。 ●もう・ろう養護学校の再編についても、都内を肢体不自由校のある14地域でエリアに分けるという乱暴な案が出たり(後に撤回)、スクールバス乗車時間を1時間内に短縮する案、知的障害校の高等部増設構想は最終段階で削除されたり、寄宿舎は「廃止を含めて検討」という文章のままで最終案が出て、審議会のあとで訂正されるなど、障害児教育の重要なことがらなのに、非常に不可解な書き替えが行われました。 なによりも、養護学校の教職員体制を増やさないままで、地域の障害者の相談機能や、複数の障害種別の子供たちを教育するなど、モデル実施もせずに決めてしまうことにも大きな疑問があります。 ●結局のところ、子供たちのさまざまな障害が新たに見出され、また重度の障害児でも医療の進歩で成長が可能になってきたのに対して、追いついていなかった障害児教育が、やっと対応しようとするときには、財政難を理由に今以上の予算や人をかけないで済ませようというのが、文部科学省の最大の戦略のようです。 ●今後は、中間まとめに対する都民意見を募集した上で、10月ごろ最終報告の予定です。つめこみと安上がりの障害児教育にされないよう、いま取り組みを急ぐ必要があります。 |