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マンション相談  2001・11・18
 体験的マンションレポート(8)

外壁改修実行委員会体験その2
 「大規模工事の準備をどこから始めるか」

「●91年秋にスタートした改修実行委員会は、前理事長のAさんと私で人選を行ない、やはり経験者が良いということで、86年から給排水管取り替え工事を担当した当時若手の理事役員に実行委員を頼み込みました。残りは団地に暮らす時間が多い女性を募りました。

 もちろんほとんどの人が素人です。専門家の協力抜きに工事計画はできません。一番やりやすいのは、以前に長期修繕計画を作ってくれた建築士、Bさんに最初からお願いすることです。しかし前回紹介したBさんのコンクリート劣化問題の講演は、大変な衝撃を与えた反面「この団地の外壁については、危険性がどのくらいなのか判らない」という居住者の疑問も出ていました。

●実行委員会の判断としては、わが団地の老朽度を客観的に診断するためには、できるだけ業界から独立した技術の確かな所に外壁の状態を調べてもらうべきだということになり、以前アドバイスを受けたことのある「公団住宅管理組合協議会(公住協)」という団体に相談して「高層住宅管理業協会」という公益法人を紹介されました。

●新橋の同協会を実行委員で訪ねて話を聞いたところ、ビルメンテナンス業界の技術を基にしながらも、個別企業と系列を持たない唯一の組織だということで、実行委員会ではこの協会に診断をお願いすることにしました。

 できるだけ詳しい診断データを得るには屋上からゴンドラを吊って、ハンマーでたたいての診断も必要だというので、350万円というかなりの費用をかけることになり、翌年の総会で承認を受け実施しました。

●診断結果は「できるだけ1〜2年の間に外壁の本格補修が必要」というもの。もちろん外壁のどこが劣化やコンクリートの〃浮き〃が出ている等の資料も出ましたが、費用をかけた割りには結論は予想通りの、しかもあっさりしたものでした。

●私は、診断結果をBさんに示して工事の設計・監督をしてもらい、具体化を進めようと考えてBさんを訪ねましたが、これが大きな誤算でした。

 Bさんは、実行委員会が管理業協会に診断を頼んだこと自体、費用の無駄づかいだと厳しく批判し、その結果をもとに自分が設計の依頼を受けることはありえないこと、もし受ける場合は、最初から自分で診断しなければ責任のもてる設計はできないと言いました。

 そして、これだけの費用をかけておきながら、最初からやり直しということは実行委員会としてもできないだろうから、管理業協会ルートで設計やコンサルタントを探すしかないと、きっぱり断られてしまったのです。

 私はほうほうの体でBさんの事務所を後にしました。

●これでどこに設計や工事管理コンサルタントを頼むかの見通しがなくなってしまいました。

 結局我々は、個別企業は紹介しないという管理業協会に、無理やり3か所のコンサルタントを紹介させ、3者に来てもらった上で、数人の設計士でつくっているコンサルタント専門企業C社に、設計やゼネコン選びの入札などを依頼することになりました。C社の人にBさんとのいきさつを話すと、「あの人に頼まなくて正解です」とのこと。

 その後、工事がすっかり終わったあとで、また別の管理組合の団体にこの話をすると、「C社」と聞いたとたんに「あんな所に頼んだのか」といわれ、またがっくり。結局この業界は、いわゆる「一匹狼」が多く、お互いに批判しあう傾向が強いということが分かりました。

●しかし工事結果は、客観的に見てもほぼ成功と言えますから、結果オーライだというしかありません。

 次はデザインを決める苦労話が続きます。


(外壁改修実行委員会体験記その3へ続く)

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