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震災レポートNO.22 <県民会議の菅首相への要請文>

内閣総理大臣菅直人様

       阪神・淡路大震災救援・復興兵庫県民会議
       代表委員 合志至誠(兵庫県保険医協会名誉理事長)
       代表委員 菊本義治(兵庫県立大学名誉教授)
       代表委員 前田 修(神戸合同法律事務所長)

   復興構想会議議長五官旗頭真氏の解任を求める声明

 3月11日(金)に発生した東北地方太平洋沖地質(東日本大震災)は、4月19日午後6時現在で死者1万4001人、行方不明者1万3660人、計2万7661人となりましたが、40日経過してもまだ全容が把握できない未曾有の大災害となりました。

 加えて福島第一原子力発電所事故(福島原発事故)は、依然、収束の見通しが立たない中で放射能汚染の拡大など大変な事態が進行し、すべての国民が憂慮しています。

 さて、4月15目付及び16日付の新聞によれば、4月14日(木)に政府の「復興構想会議」の初会合が開かれ、議長の五百旗頭真氏が、東日本大震災について「16年前(阪神・淡路大震災の)被災がかわいく思えるほどの震災だ」と述べられたと報道されました。

 この報道に接し、私たち阪神・淡路大震災救援・復興兵庫県民会議は、心の底からの怒りを覚え、その非常識さ、無神経さ、感性の鈍さ、理性の欠落に驚くばかりです。

 1995年1月17日の阪神・淡路大震災により、死者6434人、家屋の全半壊(全半焼)47万世帯にも及び、がれきと化した家屋、建物、各地に発生した火災、家も、仕事も、兄弟、親子などの肉親、友人などを失い、多くの被災者は自失呆然の状態でした。コミュニティも崩壊し、長期の避難所生活、仮設住宅暮らしなどで多くの「孤独死」を生みました。

 五百旗頭氏は、16年前は阪神・淡路大震災被災地の神戸大学教授の職にあり、この大惨状と直接給付の公的支援が一切ない中で、暮らし、営業再建などが、どれだけ困難を極めたか、被災地で大学教授として直接、「目」で見て、「耳」で聞き、「肌」で感じることができなかったでしょうか。

 直接給付の公的支援を拒否され、各種融資制度に頼らざるを得なかった被災者は、16年余が経過しても、借入金返済の行き詰まりは後を絶ちません。
 旧・住宅金融公庫の住宅ローン返済行き詰まりによる代位弁済は2,465件、事業用融資も5千数百件が代位弁済となり、折角、再建した家や店を手放さざるを得ませんでした。

 災害援護資金返済も56422件の貸出は返済期限(10年)が過ぎても、借受人の24・6%、1万3894件が未返済(2010年3月未)となっており、復興借り上げ住宅入居者は20年の契約期限を盾に、一層高齢化が進む中で4度目のコミュニティ破壊の転居を求められています。

 こうした事態が「被災がかわいく思える」事態と言えるものでしょうか。
 災害の規模を比較するなら、もっと別の表現をするのが当たり前のことであり、今回の五百旗頭真氏の発言は、16年余、必死の努力を積み重ねてきた阪神・淡路大震災被災地と被災者の努力を踏みにじり、冒涜するものです。加えて安易に「復興税」の提起などは到底、容認できるものではありません。
 こうした「阪神・淡路大震災」の被災の実態にもご被災者の暮らし再建の困難さにも、無神経で、無理解な方を首相が提起された「復興構想会議」議長にふさわしくないことは歴然としているのではないでしょうか。こうした人を委員に任命されたあなたの責任は免れません。
 直ちに、五百旗頭某氏を「復興構想会議」議長及び委員を解任され、被災者の真の気持ち、心がわかる被災者代表を、復興構想会議委員を任命されるよう求めます。
                             以上

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