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成東の52人の子どもも守れずに、都民福祉が守れるか・・・ そねはじめ都議、涙の追及。
(一問一答を紹介します)
○曽根委員 先日現場を訪ねた、衛生局所管の成東児童保健院の廃止計画について質問する。  一月に部長から説明があったが、聞くと見るとでは大違いで現地に行って我ながら衝撃を受けた。当局の話と現地の実態がこれほど違ったのは議員になって初めてだ。

 第一にまだ条例案も何も正式に決まってないのに、一月三十日には子どもたちや父母に廃止が最終決定されたかのような説明会が行われた。これは大問題だ。  子どもたちや父母に説明がされた廃止理由の第一が「結核やぜんそくの子どもの減少で入所児童数が減少傾向にある」こと、第二に「かつては結核やぜんそくは転地療養が有効だったが、今は医療技術の進歩で余り有効性はない」こと。第三に「遠隔地のため保護者と児童の関係が疎遠になっている」、それから「最近は家庭の事情で入所している児童の割合が多く虚弱児施設としての役割が減ってきた」などが理由になっている。

 私も、結核やぜんそくの子どもが減って、自然に入所児童が減ってきたのかと漠然と受け取っていたが、現地の事態は全く違っていた。五二人の中で結核の症状がある子は一人いるかいないか、小児ぜんそくは二割程度。あとの大部分はエプシュタイン症とかヒルシュシュプリング症とか、インシュリン非依存性糖尿病、アトピー性皮膚炎、プラダウイリー症候群とか、シャント術後の子どもだとか、リンパ管膿腫、下垂体性小人症、心疾患、慢性肝炎、ネフローゼ、膠原病のSLEなど、難病、特殊疾病、慢性疾患などを抱えた子どもたちが大部分だ。

 この子どもたちに、さっきの廃止理由を説明して話がかみ合ったのか。子どもたち自身に、説明会で納得が得られたと局は考えているのか。

◯上間健康推進部長 説明会は一月三十日に開催した。児童の進路検討の期間を十分とれるよう考慮して早期に説明をしたもの。児童については三年後に廃止すること、それから、本人や保護者の希望を聞いて一番よい方法を考えることなど説明をした。  子どもたちの反応は、数日間はかなりの児童が動揺したけれども、その後は全体的に落ちついている状態だと聞いている。

◯曽根委員 今、部長みずから言ったように、説明会の途中から泣き出す子ども、職員に、何で自分たちはここから追い出されるのかと食ってかかる子どもが相次いだと聞いている。落ちついたというのは、先日訪ねてわかったが、もう半分あきらめている。子どもたちは理解も納得もしていない。この廃止理由は、実際施設にいる子どもたちの実情と見合ったものだと考えているのか。

◯上間健康推進部長 廃止の理由は、結核や気管支ぜんそくの転地療養で入所する児童が減少してきたこととか、児童養護施設の地域の医療機関等と連携して対応可能なことなどから総合的に判断して、三年間の経過措置で十四年度末に廃止することとした。

◯曽根委員 子どもの大多数は、さまざまな難病や慢性疾患の子どもたちだと思うが、そういう子どもたちの抱えた病気の問題や、小さいときからの病気が原因で親から疎遠にされたり、退院したとき親の引き取りを拒否されたり、親から虐待を受けたり、学校に行けばいじめや不登校の問題が起きたり、病気と複合してさまざまな問題を抱えている子どもたちだ。なぜ廃止理由の中でそういう問題について明確な方向性が示されなかったのか。

◯上間健康推進部長 平成九年の児童福祉法改正で成東児童保健院の旧虚弱児施設は、虐待されている児童、その他環境上養護を要する児童を入所させる児童養護施設となった。 また、医療ケアの必要な児童は、配置されている嘱託医や関係機関とも連携して適切に対応できるものと考える。

◯曽根委員 今の話はちょっとおかしい。児童養護施設への編入は法律上の問題だ。法律が変わったから、保健院の子どもたちの実態が変わったわけではない。児童養護施設にも嘱託医も、看護婦さんも虚弱児の養護施設もある。しかし成東でなければ生活が成り立たない子どもだからこそ都の判断で各児童相談所から紹介されて送られてきている。または子ども自身がここなら学校に通えると自分で選んで保健院に来ている。

 私は、七回にわたる99年3月からの検討委員会の記録も読んだ。見て驚いたのは、初回の記録の最後で「財務当局から、成東児童保健院の見直しについて廃止を強く迫られていることもあるので、廃止した場合の問題点と課題を明らかにする必要がある。このことについて幹事会において検討することとし、その検討状況を見ながら再度検討会で調整していく」とある。第一回目の会合で、財務当局から廃止を迫られていると言われ、七回の検討会はどうやったら廃止できるかという検討がずっとやられている。

 その検討会の中ですら、なお児童養護施設で受け入れ不可能な、つまり、入院治療が必要な児童は六人いるだろうと指摘されているし、先日の院長先生のお話でも、やっぱり十人ぐらい非常に重い子どもがいて、ここでなければ日常的な医療ケアを受けながら学校に通うのは難しいだろうとおっしゃっていた。

 私が現地へ行ってびっくりしたのは全員地元の小、中、養護、高校に通っていること。だれ一人施設に残ってベッド生活の子はいない。大変な病気を抱え、命の危険と裏腹の生活をしながらも毎日学校に通っている。それがこの施設だからこそできる。そのために自分で歩いて行けない子には車で送迎もする。毎日診察して食事や運動もコントロールしながら……。

 部屋に行ってみたが、入院だからベッドの他に主な家具はなく学習机がある。ベッドと学習机。普段はベッドにいて机で勉強して毎日学校に行く。本当にぎりぎりの状態で学校へ行っていると思う。それでも学校に行きたくて通っているんだなと実感した。

 この施設でなければできないと思う。病院に戻れば院内教育になる。どうやって今の子どもたちの教育条件と生活レベルを保障できるのか。

◯上間健康推進部長 ほとんどの児童は、児童養護施設等での対応が可能と考える。今後退所時点での児童の身体状況や、保護者及び児童の意向等を踏まえ、適切に対応したい。  退所時に入院を要する場合には、都立の小児病院等との連携を図り対応していく。

◯曽根委員 東京都はいつからそう考えるようになったのかと思い調べてみたら、95年3月に児童福祉施設等検討委員会最終報告というのがあり、成東は確かに結核とか小児ぜんそくの子どもは減っているが虚弱児施設としての意義は認められ、子どもたちが教育も受けられるようにするにはこの施設は引き続き必要だとうたわれている。

 私は、都がこの施設について方針を変更したこれ以降の報告は知らない。どうして七回の検討委員会で財務当局が廃止を求めているとしながら、廃止という結論が出てくるか、その落差は何なのか、一体どうして変わってしまったのか教えてください。

◯上間健康推進部長 95年3月の検討委員会の最終報告の後、平成九年の児童福祉法の改正により、虚弱児施設は児童養護施設に移行するなど状況が変化したことを踏まえて、見直しを図ったもの。

◯曽根委員 虚弱児施設というのが児童養護施設に組み込まれる。法律は書きかえればいいが、今の時代の虚弱児童はどういう子どもなのかについて、私も不明を恥じるが、施設に行って初めてわかった。例えば十八歳の男の子の。巨大結腸症という、大腸と小腸の一部がない。肛門をつくる手術をし五歳まで入院。退院する時、家族が受け入れを拒否したため、児相を通じて紹介入院となった。

 今は医療技術の発達でこういう子が生きることができる。でも生きるだけじゃなく、成長させなければならない、人間として。その成長を保障するため96年ここに入院したが、当初は視力が低下し、おもしろくないことがあると人工肛門からふん尿をまき散らす。それを最大の武器にして暴れ回るという状態で入ってきた。

 しかしここで暮らす中で汚れた下着を自分で洗うようになり、ひどいやり方も徐々になくなり、中三からは養護学校に通えるようになり、現在高等部三年。病状が安定してきて、院や学校の行事にもほとんど参加するようになった。電話や洗濯もひとりでできるようになり、学校にも(好きな女子の)友だちができた。もちろん車で往復しているが、私はこの子が人を好きになるまで成長できたのは、この施設だからこそだと思う。

 少数かもしれないが、もし廃止したとき病院のベッド生活に逆戻りをさせていいのか。東京都の現にやってきた事業で、お金が厳しいから切らなければならない事業もあるだろう。しかし切ってはならないものもある。その一つがこの施設だ。

 全国で、成東ともう一カ所だけ、医療機関と併設の児童養護施設が岩手にある(みちのく学園)と聞いているが、本人や父母が希望すれば病院と学校生活を両立させるために岩手の施設に送ることも考えているのか。

◯上間健康推進部長 あくまでも希望があれば、それもあるかと思うが、現在時点では、みちのく学園の措置がえ等は考えていない。

◯曽根委員 子どもの立場に立てば、本人が希望した場合は考えなければならないと思う。しかし、今の生活を子どもに保障することを東京都ができないから、全国で二カ所しかない岩手の施設にお願いする。岩手だってもういっぱいだと言っている。本当に情けない話だと思う。

 もう一つ注目したいのは、こういう子どもたちは、本当に限られたものなのかということだ。
例えば、十二歳の女の子だが、全身性エリテマトーデスという非常に重い膠原病で、全身がけいれんを起こす。七年前、この子が五歳のときお母さんが同じ病気で亡くなった。この子はそのことを知っている。父子家庭になり養育が難しいということで院に入ったが、お父さんは、現在一番病状が安定している。しかしこれからいずれ白内障になり、この子は目が見えなくなる。腎臓も悪くなっていく。難病で今のところ治療法がないので、今いろんなことを体験させてやりたいといっている。

 この子は一たん学校に通ったが、いじめに遭って不登校になり家庭に引きこもりになるという問題を抱えている。  ほかに家庭で虐待に遭っている子もいる。病気が一つの要因になっている。虐待問題がここ数年の間に急速に相談がふえて掘り起こされてきているが、受け入れている児童養護施設がもう満杯状態。そこに保健院から送ろうと思ったって、今、空きがない状態だ。そういう子どもたちがもっとふえてくるんじゃないか。

 医療の発達で、超未熟児でも生きられるようになった。しかし生まれた後はどうするのか、難病を抱えても生きられるようになった、その後はどうするのかという点で、こういう施設はこれからの時代こそ必要じゃないかと思うが、どうか。

◯上間健康推進部長 繰り返しになるが、児童の受け入れ先として、主に児童養護施設を考えている。また長期の入院等が必要な場合には、医療機関等と連携して対応をしていく予定だ。

◯曽根委員 検討会でも、最初は児童養護施設に受け入れられる話だったのが、途中で、虐待問題で養護施設がいっぱいになってきた、まとめて受け入れはできにくくなったと発言もされている。たやすく児童養護施設に移れる状況でもないし、一人一人の子どもを見れば、今かろうじて送っている安定した生活を守れる保障がない。

 私、先日訪ねたとき、子どもたちにも意見を聞こうと思ったが、その話になると布団にもぐり込んだり、なかなか話をしてくれない。何か思っていることを書いてくれと頼んでいたら、けさ速達で子どもたちの手紙が届いた。一つだけ紹介させてほしい。

 この子は小学校六年の女の子だが、だれから聞いたかわからないが、「ここの保健院は、確かにお金をいっぱい使っているかもしれませんけど、もうみんなほかの所には行きたくないので、お願いします、どうか保健院をつぶさないでください。私達もなるべくやれることはやるので、お願いします。それでもつぶすというなら、少しでもいいから期間を延ばしてください。」こういうふうに書いてきた。

 いろいろ漫画をかいたり、私に「契約書だ」といって「つぶすな」という絵をよこしたりいろんなことをしてくれたが、廃止予定の2002年度末までにはまだ二年ある。私は再検討の余地があると思うが、どうか。

◯上間健康推進部長 成東児童保健院を取り巻く状況の変化を踏まえて、今後のあり方を検討した結果、総合的に見て、廃止が妥当と判断したものだ。

◯曽根委員 もうこれ以上やってもしようがない。改めて再検討を求めておく。

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