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2000年11月9日厚生委員会
成東児童保健院は意思に断固反対、東部療育センター促進など

◯曽根委員 まず初めに、被爆者援護法の事業の適用について簡潔にお聞きしたいと思うんです。  私自身、政治のかかわりを持った最初が被爆者援護法の制定運動だったので、非常にこの問題は思い出があるんですが、五年前に制定された被爆者援護法が、残念ながら国家補償が明記されなかったことと、あわせてこの三十八条、三十九条の適用が被爆地に限られているという問題が残されてきました。幸い、ことしの第二回定例会で、私も参加をしまして、全会一致で国に対する意見書がまとまったわけですが、都内の被爆者団体である東友会の皆さんからも、昨年来、強く要請を受けているものです。  ぜひ来年度は、国の適用を受けて、東京都としてこの三十八条、三十九条の適用による被爆者に対する福祉事業を実施していただきたいと思うんですが、今現在、国の動きはどういうふうになっているのでしょうか。

◯長岡医療福祉部長 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律の福祉事業は、ホームヘルプ事業、デイサービス事業、ショートステイ事業の三事業と、介護福祉施設に入所する養護事業が対象となっております。これらの事業は、国の補助金交付要綱に基づきまして、広島、長崎県市のみが補助対象となっておりまして、他の地域との格差が生じておりました。この格差は本年四月の介護保険導入後も続いておりまして、広島、長崎県市の方々が利用する福祉事業は無料である一方、他の地域の方々は一割の自己負担が生じております。こうした中で、国は、広島、長崎以外の都道府県につきましても福祉事業の対象とするよう、平成十三年度予算において概算要求をしていると聞いております。  都としましては、国の動向を踏まえつつ、さきの都議会の付帯決議や意見書に基づき、事業の実施について検討してまいります。

◯曽根委員 私も、都内、私は地元は北区なんですが、被爆者の方と随分、証言をいただいたり、いろんな形で接しましたが、私の実感で見ても、東京都内に暮らす被爆者の方はひとり暮らしが大変多いのが特徴で、同じ世代の方と比べても二倍以上だそうです。そういう点でも、介護保険実施後は、とりわけ被爆者に対する福祉事業の適用が急がれていると思うんです。そういう点で、ぜひ来年度の事業の予算化を強く求めておきたいと思います。  次に、これも私、春からずっと引っかかっていた問題で、ようやく先日現場に伺う機会が得られた問題なんですが、衛生局の所管である成東児童保健院の廃止計画について伺いたいと思います。  一月に私たち厚生委員に廃止計画の説明が部長さんからあったんですが、現地につい最近行ってみまして、聞くと見るとでは大違いだということで、我ながら大変衝撃を受けました。お話を当局から伺ったことと現地の実態がこれほど違っていたのは、私は議員になって初めてです。  まず第一に、一月に私たちに説明がされたとはいえ、まだ条例案も出されておりませんし、何も正式に決まっていないんですが、一月三十日には、その施設を利用している子どもたちや父母に対して、もう廃止が最終決定されたかのような説明会が行われています。これは、私は大問題だと思います。  そして、そこで恐らく私たちに説明された一月の資料と同じ内容で、当事者である子どもたちや父母に説明がされたと思うんですけど、そこで書かれている廃止の理由のまず第一に挙がっているのが、いわゆる結核や気管支ぜんそくを持つ子どもたちが減っている。それで全体の入所児童数が減少傾向にあるんだということ。二つ目に、かつては結核や気管支ぜんそくは転地療養が有効であったが、今は医療技術の進歩で余り有効性はないということ。むしろ三番目として、都内から遠隔地にあるために、保護者と児童の関係が疎遠になっている。それから、最近は家庭の事情により入所している児童の割合が多くて、虚弱児施設としての役割が減ってきたというようなことが理由になっています。  ところが、現地に行って私びっくりしたのは、あたかも結核やぜんそくの子どもたちが減ってきたことで、それに伴って自然に児童保健院の入所児童が減ってきたというふうに漠然と私たちも受け取っていたわけですが、事態は全く違っていました。大体、結核の症状があるという子どもは、去年で六十一人、ことしは五十人台でしたが、一人いるかいないか、それもかつての症状であって、今はない。小児ぜんそくは確かにいますけれども、二割程度、あとの大部分の子どもたちがどういう状態で入っているかというと、さまざまな難病を抱えて、また小児性の慢性疾患を抱えて入っているということなんです。  現地でもらったんですが、事業概要にも、これは昨年度のものですが、今年はまだできていないそうなんですけど、六十一名の子どもたちの抱えている病名が全部リストアップされているんです。これは一般に知られていませんが、エプシュタイン症とかヒルシュシュプリング症とか、インシュリン非依存性糖尿病、アトピー性皮膚炎は知られていますけど、プラダウイリー症候群とか、シャント術後の子どもだとか、リンパ管膿腫、下垂体性小人症、心疾患、慢性肝炎、ネフローゼ、膠原病のSLEなど、こういった難病、特殊疾病、それから慢性疾患などを抱えた子どもたちが今大部分だということがわかりました。  こういう状態の子どもたちに、さっきいったような廃止理由を説明して、一体話がかみ合ったのかなというのは大変疑問です。父母も含めて、とりわけ子どもたち自身に、この説明会できちっと納得が得られたというふうに局は考えているんでしょうか。

◯上間健康推進部長 説明会につきましては、本年の一月三十日に開催をいたしました。これは、児童の進級や進学など進路を検討するための期間を十分とれるように考慮いたしまして、早期に説明をしたものでございます。児童については三年後に廃止すること、それから、本人や保護者の希望を聞いて一番よい方法を考えることなどについて説明をいたしました。  子どもたちの反応でございますけれども、数日間はかなりの児童が動揺しましたけれども、その後は全体的に落ちついている状態だと聞いております。

◯曽根委員 今、部長さんもみずからおっしゃったように、説明会の途中から泣き出す子どもたちとか、職員に対して、何で自分たちはここから追い出されるのかと食ってかかる子どもが相次いだというふうに聞いています。そして、今落ちついているというのは、私も先日訪ねてわかったんですが、もう半分あきらめています。  それで、子どもたちに理解されたかどうかという点では、私たちは、子どもたちは全く理解していない、納得していないというふうに思いますが、この廃止理由そのものは、実際施設にいる子どもたちの実情と見合ったものであるというふうにお考えですか。

◯上間健康推進部長 廃止の理由でございますけれども、成東児童保健院につきましては、結核や気管支ぜんそくにより転地療養等を目的として入所する児童が減少してきたこととか、それから児童養護施設における、地域の医療機関等と連携して対応が可能であることなどから総合的に判断をしまして、三年間の経過措置期間を設けて、十四年度末を目途に廃止することとしたものでございます。

◯曽根委員 子どもたちの中で大多数は、さまざまな難病や慢性疾患を持っている子どもたちだと私は思うんですが、そういう子どもたちの抱えている病気の問題や、それからもう少しいいますと、そういう小さいときからの病気が原因で、例えば親から疎遠にされたり、病院から退院したときに親の引き取りを拒否されたり、または自宅へ戻って親からの虐待を受けたり、学校に行けばいじめや不登校の問題が起きたり、要するに、そういう病気と複合してさまざまな問題を抱えている子どもたちなんですが、そういう問題について、なぜ廃止理由の中で、そのことについての明確な方向性というのが示されなかったんでしょうか。

◯上間健康推進部長 平成九年の児童福祉法の改正に伴いまして、この成東児童保健院の旧虚弱児施設は児童養護施設となりました。児童養護施設につきましては、虐待されている児童、その他環境上養護を要する児童を入所させて、これを養護することを目的としております。  また、医療ケアの必要な児童につきましては、配置されております嘱託医や関係機関とも連携をいたしまして、適切に対応できるものと考えております。

◯曽根委員 今のお話は、何かちょっとおかしなところから始まったんですが、要するに児童養護施設に編入されたと、これは法律上の問題です。別に法律が変わったからといって、児童保健院を利用している子どもたちの実態が変わったわけではありません。  それから、児童養護施設にも嘱託医もいるでしょうし、看護婦さんもいるところもあります。虚弱児のための養護施設もあります。しかし、この施設でなければ生活が成り立たないという子どもたちだからこそ、東京都の判断で各児童相談所などから紹介されて送られてきている子どもたちなんです。または、子どもたち自身が、ここでなら学校に通えるということで、自分たちで選んで児童保健院に来ている子どもたちなんですね。  私は、七回にわたって行われました平成十一年三月二十九日からの検討委員会の記録もいただいて、読ませていただきました。これを見てまず非常に驚いたといいますか、初回の記録の最後のまとめのところで、財務当局から、成東児童保健院の見直しについて廃止を強く迫られていることもあるので、廃止した場合の問題点と課題を明らかにする必要がある。このことについて幹事会において検討することとし、その検討状況を見ながら再度検討会で調整していく。初回の三月二十九日の第一回目の会合のまとめの段階で、財務当局から廃止を強く迫られているということから始まって、七回の検討会は、その廃止をどうやったらできるだろうかという検討がずっとやられるわけですよ。  その検討会の中ですら、例えば、なお児童養護施設で受け入れ不可能な、つまり、入院治療が必要な児童は六人いるだろう。つまり、病院に戻らなければならない子どもが少なくとも六人は出るだろうということが指摘されていますし、先日伺ったときの院長先生のお話でも、やっぱり十人ぐらいは非常に重い子どもがいて、ここでなければ、日常的な医療ケアを受けながら学校に通うということは難しいだろうというふうにおっしゃっていました。  私が現地へ行ってびっくりしたことのもう一つは、全員学校に通っているんですね、地元の小、中、養護、高校に。だれ一人施設に残って療養生活というか、ベッド生活を送っている子はいない。大変な病気を抱えながらも、命の危険と裏腹の生活をしながらも、毎日学校に通っている。そういう状態がその施設だからこそできる子どもたちがやっぱり来ているからなんですね。そのためには、自分で歩いて学校に行けない子どもには、当然車で送迎もする。それから毎日診察をして、食事や運動もコントロールしながら……。  私、部屋に行ってみたんですが、入院生活ですから、部屋にはベッドがある。そのほかには主な家具はないんですけど、学習机があるんですね。ですから、ベッドと学習机。普段はベッドを中心に暮らしているんですが、勉強して、それで学校には行く。本当にぎりぎりの状態で学校へ行っていると思うんです。でも、そうやって学校に行きたいということで通っているんだなということを実感しました。  この施設でなければ、私、できないと思うんですよ。病院に戻れば、それは入院状態での院内教育になるでしょう。または先生が来るというふうになるでしょう。どうやって今の子どもたちの処遇といいますか、子どもたちに対する生活のレベルを保障できるんでしょうか。

◯上間健康推進部長 ほとんどの児童につきましては、児童養護施設等での対応が可能と考えております。今後、退所時点での児童の身体状況や、保護者及び児童の意向等を踏まえまして、適切に対応してまいりたいと思います。  また、退所時に入院を必要とするような場合には、都立の小児病院等との連携を図りながら、対応をしてまいります。

◯曽根委員 私、いつからそういうふうに東京都は考えるようになったのかなと思って、過去のものを調べてみましたら、平成七年三月に児童福祉施設等検討委員会最終報告というのがありまして、この中で、成東のことについては、確かに結核とか小児ぜんそくの子どもは減っているけれども、虚弱児施設としての意義は認められていて、その子どもたちがやっぱり教育も受けられるようにするためには、この施設は引き続き必要だということがうたわれているわけなんです。  私、正式に東京都がこの施設についての方針を決めた、これ以降の検討の報告は知りませんが、その後どうして、今回、検討委員会でやおら財務当局が廃止を強く求めていると指摘しながら、七回の検討会で廃止という結論が出てくる、その間の落差は一体何なのか、一体どうしてこういう考えに変わってしまったのかということを教えてください。

◯上間健康推進部長 平成七年三月の検討委員会の最終報告の後、平成九年の児童福祉法の改正によりまして、虚弱児施設は児童養護施設に移行するなど、状況が変化したことを踏まえまして、見直しを図ったものでございます。

◯曽根委員 虚弱児施設というのが児童養護施設に組み込まれる。法律はそれで書きかえればいいかもしれませんが、今の時代の虚弱児童というのはどういう子どもなのかということについて、私もやっぱり不明を恥じるんですけれども、施設に行って初めてわかりましたよ。  ご本人に確認して、名前を出さなければ紹介してもいいということなので、お話ししますが、例えば、十八歳の男の子の例です。巨大結腸症という、生後三日で──腸がほとんどないんですね、大腸と小腸の一部がないんです。したがって、肛門がありませんから、肛門をつくる手術をして、五歳まで入院していた。その後退院するんですけれども、家族の受け入れがなくということは、家族が受け入れを拒否したということから、児相を通じて紹介入院となったわけです。  今はこういう子どもたちが生きることができるわけです、医療技術の発達によって。でも生きるだけじゃだめなんで、その後成長しなければならないわけですよ、人間だから。その成長を保障するために、平成四年にここに入院しているんですけれども、当初は、視力が低下し、人工肛門をつけていますから、おもしろくないことがあると、人工肛門からふん尿をまき散らす。それを最大の武器にして暴れ回るという状態で入ってきた。  しかし、ここで暮らす中で、今は十八歳ですが、汚れた下着を自分で洗うようになり、そういったひどいやり方も徐々になくなって、中三からは養護学校に通えるようになり、現在高等部三年だと。病状が安定してきて、院や学校の行事にもほとんど参加するようになった。電話や洗濯もひとりでできるようになり、学校にも友だちができた。もちろん車で往復送り迎えをしているんですが、こういうふうに成長することができたのは、私、ここの施設だからこそだと思います。  もし廃止したときに、病院のベッド生活に逆戻りをさせていいのかという問題なんです。数は少ないかもしれませんよ。しかし、さっきいいましたけど、お金が厳しいから切らなければならない事業もあるでしょう、東京都の事業で。しかし、切ってはならないものもあるはずなんですよ。現にやってきた事業で、やっぱり廃止してはならないものの一つがこの施設だと思います。  全国で、この成東ともう一カ所だけ、医療機関と併設の児童養護施設が岩手の方にあるというふうに聞いていますが、場合によっては、例えば本人が希望したり、父母が希望したりすれば、岩手の施設に病院と学校生活を両立させるために送るというようなことを考えていらっしゃるのでしょうか。

◯上間健康推進部長 あくまでもご希望がありましたら、そういうこともあるかと思いますが、現在の時点では、みちのく学園の措置がえ等は考えておりません。

◯曽根委員 子どもの立場に立てば、やっぱり本人が希望した場合は考えなければならないと思うんです。しかし、今の生活レベルを子どもに保障するために、東京都ができないからということで岩手の施設にお願いする。岩手だって、もういっぱいだというふうにいっているそうです。全国で二カ所しかないんですから、今。そういうふうに送らなければならないとすれば、本当に情けない話だと思います。  もう一つ私が注目したいのは、こういう子どもたちは、じゃ、本当に限られたものなのかということなんです。例えば、もう一人ちょっと例を紹介したいんですけれども、ある十二歳の女の子なんですが、この方は全身性エリテマトーデスという、これは非常に重い膠原病で、全身がけいれんを起こすんですけれども、お母さんが七年前に、この子が五歳のときに同じ病気で亡くなっています。この子はそのことを知っていて、父子家庭になったことでなかなか養育が難しいということで院に入っているんですが、お父さんは、現在一番病状が安定している。しかし、これからいずれ白内障になり、この子は目が見えなくなる。難病なので、今のところ治療法がないんで、腎臓も悪くなっていく。今いろんなことを体験させてやりたいといっているわけです。この子は、一たん学校に通っているんですが、やっぱりいじめに遭って不登校になり、家庭に引きこもりになっているんですね。そういう問題をやっぱり抱えるわけなんです。  ほかに、家庭の中で虐待に遭っている子もいます。それは、病気が一つの要因になっているんです。今、虐待問題が、ここ数年の間に急速にその相談がふえて掘り起こされてきているんですけれども、それを受け入れている児童養護施設がもう満杯状態でしょう。そこにこちらの保健院から送ろうと思ったって、今、空きがないぐらいの状態じゃないでしょうか。むしろそういう子どもたちがもっとふえてくるんじゃないでしょうか。  医療が発達して、超未熟児でも生きられるようになりました。しかし、超未熟児で生まれたことの後はどうするのか、難病を抱えても生きられるようになった、その後はどうするのかという点でいえば、こういう施設は、これからの時代こそ必要じゃないかというふうに思うんですが、そのようにお思いになりませんか。

◯上間健康推進部長 繰り返しになりますけれども、児童の受け入れ先としましては、主に児童養護施設と考えております。また、長期の入院等が必要な場合には、医療機関等と連携して対応をしてまいる予定でございます。

◯曽根委員 検討会の中でも、児童養護施設に受け入れを頼むというようなことが、福祉局の人たちとの間でやりとりがあって、最初は受け入れられるというふうな話がされていたのが、途中の検討会で、最近、虐待問題で児童養護施設の受け入れ状況がもういっぱいになってきた、なかなか簡単にはまとめて受け入れることはできにくくなったというふうな発言も中でされているんですよ。ですから、そんなにたやすく児童養護施設に移れるという状況でもないし、また一人一人の子どもを見れば、それによって、今かろうじてその子が安定した生活を送れる状況が守れる保障がありません。  私、先日訪ねたときに、子どもたちにもいろいろ意見を聞こうと思ったんですが、とにかくその話になると布団にもぐり込んじゃったり、なかなか話をしてくれなかったりしているんですけれども、とにかく何か思っていることを書いてくれというふうに頼んでいたら、けさ速達で子どもたちの手紙が届きました。たくさん来ているんですけれども、一つだけちょっと紹介させてください。  だれから聞いたのかわかりませんが、この子は小学校六年の女の子なんですが、ここの保健院は、確かにお金をいっぱい使っているかもしれませんけど、もうみんなほかの所には行きたくないので、お願いします、どうか保健院をつぶさないでください。私達もなるべくやれることはやるので、お願いします。それでもつぶすというなら、少しでもいいから期間を延ばしてください。こういうふうに書いてきました。  いろいろ漫画をかいたり、私に、契約書だといって、つぶすなという絵をよこしたり、いろんなことをしてくれましたけれども、予定されている十四年度の末というまでにはまだ二年あるわけですから、私は再検討の余地があるんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

◯上間健康推進部長 成東児童保健院を取り巻く状況の変化を踏まえまして、今後のあり方を検討した結果、総合的に見て、廃止が妥当と判断したものでございます。

◯曽根委員 改めて再検討を求めておきます、もうこれ以上やってもしようがないので。  次に、東部地域に予定されております重症心身障害児の新しい施設の問題について質問します。  東部に新しく重症の心身障害児の施設をつくるということは、九五年の青島知事のときに、とうきょうプラン'95に初めて書き込まれまして、当時、障害者に対する福祉サービスの目玉として、大きくパンフレットにも載せられました。  このときに、何年度に開設する予定だったかということはご存じでしょうか。

◯上間健康推進部長 この中では、平成七年から九年度に用地を取得すると計画をしております。

◯曽根委員 この都民向けのパンフレット、とうきょうプラン'95は、実際はもう少し厚いんですが、普及版といいますか、このパンフレットには、平成十二年度開設と書いてあります。今年度開設だったんですよ、五年前に初めてこのプランが出たときは。でも、今年度来ちゃったわけです。まあこれは衛生局所管ではありませんが……。  それで、私たち議員は、来年度予算に向けてのいろんな要望を団体からお聞きしますけれども、特にことし、肢体不自由養護学校のPTAの方々、それから心身障害児の養護学校のPTAの方々、冒頭からまず、とにかく重度心身の施設をつくってほしい、東部療育センターを急いでほしいというふうにいわれました。なぜかというと、この方々がいうには、とにかく衛生局は、東部ができないうちはほかはもう手をつけないといっている。だから、東部ができないと東京じゅうができないんだ、あと西部の話も出ているわけですけども、とにかく東部で具体化を急いでほしい、議員は何をやっているんだと、私たちもこの数年しかられっぱなしなんです。本当に身につまされる思いで私質問しているんです。  このもとになっている七年の三月に、児童福祉施設検討委員会、さっきの黄色いパンフレットですが、成東のことをいった同じ冊子の中でこの施設が位置づけられているわけですけれども、ことし三月にまた改めて都立の重症心身障害児施設の検討委員会の最終報告というのが出ました。この五年の間に、この最終報告に至るまでにどういう点が前進したというふうにいえるんでしょうか。

◯上間健康推進部長 平成七年三月の検討委員会では、重症心身障害児施設の整備に当たっては、区東部が最も有力な施設整備の候補地と考えられると報告されております。平成九年三月に江東区内に建設用地を取得いたしまして、平成十二年三月には、区東部地域に新たに整備する施設の必要性及び役割、機能等について報告を受けたところでございます。

◯曽根委員 用地を確保したわけで、東部の場所も決まっている、役割も明確になったということで、その規模というのはどの程度を予定しているんでしょうか。

◯上間健康推進部長 新たな施設は、入所百二十人規模といたしまして、通所事業や心身障害児の外来診療等も実施することとしております。

◯曽根委員 百人プラス外来の緊急ベッドなども加えて百数十ベッドということになると思いますが、もうここまで来たんですから、今回は土壌調査ですか、一千万円ぐらいついていますよね、今年度。来年度は何としても基本設計に入ってほしいというのが団体の方々の話なんです。同じような規模の施設をつくった場合、過去にも例があると思うんですが、当面必要な基本設計はどれぐらいの予算が必要なのか、それから、建設費としてはどれぐらい想定されるんでしょうか。

◯上間健康推進部長 新施設とほぼ同規模の東大和療育センターでは、基本設計費が約三千万円、建設工事費は約七十一億円でございました。

◯曽根委員 ことし一千万円ですから、あと二千万円乗せれば来年度基本設計に入れるわけです。その後も大変ですけれども、まず基本設計ができれば、大きな風穴があきます。ぜひ来年度、基本設計を予算化すべきだと思いますが、見通しとしてはいかがでしょうか。

◯上間健康推進部長 先ほどご紹介がありましたように、本年度は土壌汚染調査を実施します。引き続き、施設の建設に向けて努力をしてまいりたいと思います。

◯曽根委員 ちょっと抽象的なんですが、もう待ち切れないという声がやっぱり関係者から上がっているということを部長さんもご存じだと思います。そして、待っている方の実情も大変つらいものがあります、聞いていて。在宅で待てる方はまだいいんですけれども、もう在宅で見ることができないぐらいの重い状態の方はどうしているかというと、これは複数の施設の関係者から聞いたんですが、都内にある七十五の緊急ベッドを、一カ所三カ月期限でぐるぐる回っているという方がいるそうです。昔よりは数が減ったといっていましたけれども、それでも確実に五人か十人か十五人かわかりませんけれども、一定の数の方が自宅では見られないんで、緊急ベッドを使いながら、それも、三カ月を超えると在宅にならないんで手当が出なくなるとか、いろんな問題があるそうなんですが、三カ月で切って、また自宅に戻ったら、またすぐ次の緊急ベッドへ行くというようなことがあるそうですが、そういう実態はご存じでしょうか。

◯上間健康推進部長 今おっしゃったような実態については存じております。

◯曽根委員 私、本当に一刻の猶予もならないと思います。それに、まだまだ数は圧倒的に足りないわけで、特に東部が、既に計画が出て、基本設計一歩手前まで来ているわけですから、これはぜひ局長さんから決意をお伺いしたいんです。

◯今村衛生局長 区東部地域での施設の必要性、それからご家族の皆さんのいろいろご苦労の様子というのは、私も十分認識しております。今後とも、早期建設に向けて努力してまいります。

◯曽根委員 ぜひとも来年度、ことしのような調査だけに終わらないようにしていただきたいと思います。  それと関連して、緊急ベッドについて、今お話ししたような実態、部長さんもご存じだということなので、緊急ベッドが緊急ベッドになっていない実態があります。つまり、もうどうにもならなくて、施設待ちの方が使わざるを得ないということで、一定の施設をやっぱりふさいでいるわけです、ベッドを。緊急ベッド自体七十五床ある、資料にもいただきましたが、これは昨年度どれぐらい利用されているんでしょうか。

◯上間健康推進部長 昨年度は、十三施設、七十五床で実施をしまして、利用回数が千四百三十四回、延べ二万六千三百七十七日で、利用率は約九六%でございました。

◯曽根委員 九六%ということは、ほとんどふさがっているということで、例えばこの日緊急事態があって、急な用事ができて使おうと思っても、大体ふさがっているという状態だと思います。実際、予約しなければ使えない。それから特にお葬式などの場合、地方に行かなければならないということで家族の方がお願いしても、使うことができない。  重度の子どもさんを車に乗せて新潟のお葬式に行ったというお話を聞きましたが、お葬式の会場の中に重度の子どもさんを入れることができないので、外の車に寝かせておいて、お父さんが葬式の会場の一番後ろに座って、絶えず式場と車の間を行ったり来たりしながら様子を見て、式にろくに出られなかったというお話もありました。そういう話を聞いていた隣の方が、ああ、うちもそうだったというふうに、たくさんの方が同じ思いをしているということがわかりました。  そういう意味でも、緊急ベッドをそれとして機能させることができないということですから、不足は明らかだと思います。そういう点で、何とかこの数をふやしていかなければならないと思いますが、その点での確保策はどうでしょうか。

◯上間健康推進部長 平成十年度に改定しました東京都保健医療計画におきまして、平成十五年度までに九十床を整備することとして努力をしているところでございます。

◯曽根委員 九十床という数そのものも、私、決して十分な数ではないと思います。しかし、もう間もなくその期限が来るというその九十床を整備するためのあと十五床、それは簡単にはいかないんじゃないでしょうか。やっぱり新しい施設をつくらなければ難しいんじゃないでしょうか、どうでしょうか。

◯上間健康推進部長 在宅の重症心身障害児を支援する上で、この緊急入所事業については重要な役割を担っておりますので、整備目標に向けて引き続き確保に努めてまいります。

◯曽根委員 先ほどもいいましたが、東部の重症の施設を一日も早く実現することが、それを待っている百名を超える多くの方々を入所させるだけではなくて、都内でもまだまだ不足している緊急ベットをやっぱり抜本的に拡充していく最大の道だということを、改めて強調しておきたいと思います。  最後になりますが、八月に出された衛生局改革アクションプラン(第二次)に、今の重症の施設についてどこかに書いてあるかと思って一生懸命探したんですが、八三ページに、今後建設予定の東部療育センター(仮称)という言葉がありました。しかし、その後に、それを目指しつつも、効率的な運営形態について幅広く検討していくという、結論はそこに持っていっているわけです。また、医療ケアを必要とする障害児の療育サービスの確保に配慮しつつ、効率的な運営形態について検討を進めていくとも書いてあります。最後は、全部効率的な運営形態というところで結論づけられているのが特徴です。これは、第二次になって、こういう書き方に改まっているんですよ。第一次のアクションプランを見ますと、東部の施設の早期建設に努力すると明確に書いてある。第二次でこういう書き方に変わっちゃっているんです。私、大変心配です。  先ほど、保健所の問題、それから精神障害者の施策の問題でも小松議員が質問しましたけれども、このアクションプランでは、そういう点で、これまで衛生局がきちんと守ってきた、または辛うじてやってきた保健所機能や、精神障害者に対する施策の若干でも積み上がってきたものが、場合によっては後退もしかねないという危険な問題がたくさん含まれているということを改めて、指摘しなければなりません。  私たちは、改めて、衛生局所管の事業については今後もいろんな形で申し上げる機会があると思いますけれども、保健所にしても、それから今回問題にしました東部の施設にしても、都民の医療、健康を本当に守るという立場に立ち切って頑張っていただきたいということを申し上げて、終わります。

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