トップページへ  議会質問目次へ 質問要約記事へ  2期目質問リストへ

2001年3月19日厚生委員会
●障害児の福祉問題。切捨ての影響は重大。

◯曽根委員 私からは、重度の障害児の問題、それから障害者福祉会館並びに児童会館の問題などについて質問したいと思います。  その前にちょっと、今議論がありました福祉に係る全体の費用、そこにどの分野にどれだけの費用がかかっており、個人の自己負担がどういう割合なのか、それは税のいわば分配として正しいのかどうか、これは本当に都民の方にも大いに知っていただいて、今福祉の問題がありましたけれども、公共事業も含めて、大いにやるべきだと私たちは思っております。どこの分野に本当に税金をかけるのが国民、都民にとって必要なのかということですよね。その点については大いにやるべきだ。  ただ、局長がお答えになったことで私ちょっと気になるのは、介護保険制度というのは、今までは能力に応じて負担をするという原則を、能力があろうがなかろうが一割負担ということで、その部分では負担のかけ方は非常にわかりやすくなったけれども、負担能力のない低所得者にとっては残酷な制度になりました。ですから、制度がわかりやすくなることと、利用する本人にとってそれが安心できる制度になることとは別ものですから、その点はやはりきちんと見きわめていかなければならないと思います。  ところで、今のお話で、自己負担が幾らかということをぎゅうぎゅう詰めていくと本当に大変なことになる分野というのが重度障害児の分野です。確かに一人の子どもを支えるために、命を支えるために、場合によっては何百万ものお金もかけている分野です。しかし、それでも命の重さ、生きていることの意義深さということは、一昨年石原知事も本会議で答弁の中でおっしゃいましたが、必要な場合には公費をつぎ込まなければならないときがあるわけです。  私は、先日、予算特別委員会、三月十五日の委員会で、障害者団体の方が行った千三百十五名のアンケートをもとにしながら、知事に、そこで切々と上がっている声についてのご感想を聞きました。知事の答弁の中で、確かに個別には、私がそのとき紹介したような深刻な例もあるだろうと。しかし、そういう事実があったとしても、大きな制度全体は動かないんだという答えがありました。  そして、行政というのは、森も木も見なければならない。知事の好きな言葉でいえば、バーズビュー、鳥の視点と、インセクトビュー、虫の視点と両方が必要なんだという答えもありました。ですから、森全体を見て行う行政の角度と、当然ながら、本当に個別の救済もしくは対策が必要なごく少数の方に対する対策というのは、当然あってしかるべきなんだという趣旨だと私は受けとめたいと思うんです。  同時に、前川局長の答弁の中に、私たちが実態調査しろというふうにいって、なかなか今までやろうとしていなかったんですが、重度障害児の、それも最重度ですか、三号該当の四百九十名の部分については、恐らく書類で調査したんだと思うんですが、どういう制度の割合になっているのかと、適用、不適用についての割合を紹介していただきました。  その中でやはりと思ったのは、重度手当とマル障両方が対象外になる方が、最重度の障害児の中で二二・二%いると。ここには国の特別障害者手当が出ているんだよというふうに局長はおっしゃいましたが、それは前から出ているんです。しかし、新たに、その方々にはマル障も外され、重度手当もなくなっていくということになることは間違いない事実であって、その点では、障害者団体の方々が行ったアンケート調査というのは、ずばり問題の中心点をやはり提起していると思います。  それで、先ほどの知事の答弁の観点に立てば、大きな障害者福祉全体としてはこうだという方向が出されていて、それは変わらないよというふうに知事も答弁しました。これについては、私たちまだ物をいいたいと思いますが、少なくとも知事のいった、木を見る、もしくは虫の視点に立って本当に細かい問題を見ていく、そういう行政の視点があるならば、このマル障も重度手当も、ついでにいえば障害者福祉手当、子どもの場合の障害児の育成手当も全部外されてしまうという、限られてはいるけれども必ずいるこの人たちに対する対策をどうするのかという問題は、改めて考えてしかるべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

◯村山企画担当部長 インセクトビューとバーズビューというお話なんですけれども、それは両々相まって全体としての制度なり行政なりを構成するんだろうというふうに思うわけですね。したがいまして、今の全体としてのお話として、バーズビューとしての今回の施策の見直しの全体像についての考え方をどう置くのかということが、まず問われるのではないかというふうに考えております。  せんだって以来たびたびお話し申し上げておりますように、昭和四十年代には国の社会保障政策が非常に不十分だった。そういう状態の中で始めた都のいろんな施策、それが、昭和五十年代、六十年代に来て相当国の方の施策が進んできた状況の中で、都として本来果たすべき役割はどこなんだろうかということで、在宅サービスあるいは施設サービスも含めてですけれども、サービスそのものの充実にシフトしていこうというのが、今回の基本的な福祉改革のベースになる考え方でございます。そのベースになる考え方に基づいて、今回施策の見直しをしたわけでございます。  その際、その基本的な、いわば木と森の関係でいえば、森についての考えについてどういうふうにするのかということ抜きに木をどうするんだというご議論は、いささか偏っているのではないかというふうに、私としてはまず感じるところでございます。  あわせて、木の問題についても、基本的には制度全体の中でどういうふうに処理されるべきかということが議論されなければならないわけでございまして、生活保護制度あるいは医療に対するさまざまな保険制度そのものの中で、個別の問題についても基本的には対応されていかなければならないというふうに考えております。  そういう観点に立ちますと、先般、予算特別委員会で局長からご答弁申し上げましたように、先ほど申し上げたように、国のいろんな制度の進展の中で、高額療養費制度等もございまして、そういう中で、基本的に、現在のいろいろな個別の問題についても、それらの制度の中でカバーされているというような認識のもとに、私ども今回の見直しについてご提案申し上げ、昨年度におきまして、議会のご了解をいただいた上で現在実施させていただいているということでございますので、全体として、私どもは、森と木のその観点から申し上げても、合理的でかつ正当な施策の見直しをやらせていただいている、かように考えているところでございます。

◯曽根委員 まず第一に、全体の施策で、考え方として、重度障害者に限っているマル障、さらにさらに狭い、全体で一万人しかいない重度手当の受給者、こういうところに対する施策と他のいろんな分野の政策とが、公平性や何かの観点で十分に負担ができるし、公平でもあるというふうにしているというのが全体的な視点ですよね。そういう観点でいっても、やっぱり私は、今回行われた各分野の施策を比べてみますと、かなり大きなアンバランスが生まれているというのは事実だと思うんです。  例えば子どもさんの分野でいえば、マル乳が今度基準が引き上げられましたよね、引き上げられますよね、ことしの十月から。これが大体五百万円近くの所得、五百七十万ぐらいですか、所得水準が上がることになるわけですよ。中身も、入院給食費以外は無料になりますよね。もともとは全部無料だったので、入院給食費以外は無料だと。重度障害児を持っているマル障、一般のマル乳に比べて、どっちが負担が大変かというのは、いろいろ比べようがあるでしょうが、重度の障害児の方が一般的にいえば大変ですよ。  しかし、その制度の所得基準が、今まではかなり高かったのが、ずっと下がって、マル乳と逆転したわけですよね。所得基準でいうと四百六十二万一千円。百万円も乳幼児医療費助成よりも下がっちゃった。まさに去年から比べると逆転になる。しかも、中身も、入院給食費だけではなくて、一割負担ですよね、ほとんどの方が。マル障が受けられても一割負担、老健法連動ですから。入院給食費のみ有料という方は、非課税者のみですよね、今度の制度。やはり一般施策といいますか、幅広く乳幼児、小学校入学前の子どもさんに適用する制度よりも、重度障害児に対する障害児の施策の方が所得基準も低いし、中身も悪いというのは、これは何じゃということは指摘しておきたい。  それから、全体はそういう形で問題があるのと同時に、それでは、この間前川さんがいろいろ四百九十人の中を分析して、いや、この部分は、制度は外されるけれども所得は割と高いんだと。それはそういう方もいるでしょう。しかし、では、四百九十人のうち二つの制度が外される二二・二%の方のすべてが、本当に年収九百万円以上の裕福な家庭ばかりなのか。これは、もしそうだとしても、単なる偶然であって、その中に所得階層はいろいろある可能性は十分にあるわけです。  これは生活保護云々のレベルじゃなくて、何しろ一般サラリーマンぐらいの給料の部分で、切れるか切れないかという話をしているわけですが、そういう制度と別もので、いわば普通のサラリーマンで普通の家庭だったら何とかやっていける収入なんだけれども、重度障害児を抱えてお母さんは働けない、お父さん一人で稼いでいる家庭において、年間百万円以上の負担増が生まれてくるという問題についてどうなのだと我々は問題提起をしているわけで、そういう、小さいけれども重大な視点、少数だけれども大変な影響を受ける世帯があり得る、あるということをやっぱり見なければならないということは申し上げておきたいんです。  それで、私、こういうことがずっと続いていくと、この間紹介もしたように、何カ月か、半年か一年間何とか耐えてきた。しかし、二年、三年、子どもさんが成人してしまえば、本人の収入で基準がかかりますから、それはもう大体大丈夫なんですね。成人するまでは、親の収入に障害者本人の収入がそのまま適用されちゃうので苦しいわけです。延々と続くと思うと気が遠くなるという声がたくさん上がっている。それで、だったらもう施設にお願いするしかないというふうな声が聞こえるわけですよ。  単純に比較してみたいんですけれども、在宅の障害児の方が一カ月入院する場合と、重度障害児の施設に入っていて親が負担しなければならない経費と、一カ月分で比較するとどういうふうになりますか。

◯谷川障害福祉部長 在宅の障害児がどのくらいの医療費の負担が生じるかについては、一概に計算することはできないわけですけれども、医療費助成の対象とならない場合、平成十一年度の心身障害者医療費助成の実績から推計しますと、外来で月九千円という計算をしてございます。  また、入院した場合のケースでいいますと、月百万で年間一千二百万かかった場合には、月四万五千五百円の医療費がかかるだろう。また、入所している子どもたちについては、トータルとして、施設運営費全体の中でそこの医療費を持ちますので、その対比は、その施設入所者に幾らかかっているかという数字自体が抽出できませんので、対比は困難な状況でございます。

◯曽根委員 まず一つは、障害児の入院の場合月百万ぐらいと、これは結構かかるわけですよね、重度障害児の場合。百万を超えることだって大いにあるわけですよね、医療費全体として見れば。そうすると、最高限度額にぶつかる。今、限度額というのは単純じゃないらしいですね。今度の一月の改定で限度額もなくなったわけですね、一応。六万三千幾らだったのがなくなって、それもだんだん定率で上がるようになったらしいんですが、今お話のあったのは四万五千円ですか、これは通年で入院した場合のあれですよね。私が聞いているように、一カ月ぐらいの入院という場合には、もうちょっと高いんじゃないかと思うんですよ。私の計算では大体十一万円ぐらいだと思うんです。  それから、重度障害児の施設、例えば知的障害者の施設では、月に、これは親の負担がはっきりわかりますから、二万五千円ぐらいと聞いているんですが、これは間違いですか。

◯谷川障害福祉部長 扶養三人の世帯で、一人が重度障害者であって、前年の年収が六百五十万と仮定した場合でございますけれども、この場合ですと、今委員おっしゃったとおり、一月の費用負担は二万三千九百円程度になると思っております。

◯曽根委員 つまり、児童福祉施設ですから、措置制度ですよね。だから、親の所得によって応能負担ですよ。さっき複雑な制度というふうに話があったものですけれども。  しかし、そのおかげで、この場合マル障が外されて、すぐ上の収入階層、年収が六百五十万、所得でいえば四百六十万ちょっと超えたぐらいの階層の方は、重度障害児の我が子を施設に預ければ、月二万三千九百円ぐらいの負担で済む。しかし、在宅で抱えていると、仮に一カ月入院した場合の医療費は、私、十万円ぐらい超えると思うんですよ、一カ月間だと。  それで、元気であればいいですよ、障害を抱えていても元気であれば。しかし、不定期に発作を起こしたりして入退院を繰り返すということは、往々にして障害児の場合あるわけで、そういうときには、例えば一カ月、二カ月、そのときには、月にかかっている費用は十数万というようなことになった場合、在宅と施設に入っている場合とで、相当なやはり負担の違いが出てくる。それでも、我が子は自分のそばで一緒に暮らしながら育てたいというふうに、お母さん方、お父さん方が頑張ってやってきた。それを支えてきたのが医療助成であり、それから重度手当だと思うんです。  それが外されていく。重度手当は在宅の方中心ですから、そういう点でいうと、やはり負担にたえ切れなくなって施設をお願いしたいという声が、在宅で育てていくことにもうたえ切れないという声が出てきても、お金の面でやむを得ない面もあるのかなというふうに思わざるを得ないんです。もちろんそれでも頑張っていく人は頑張っていくと思うんですが、こういうのでいいのかなというふうに思います。この点は、ぜひ検討をお願いしたい。  それから、この問題の最後にちょっと指摘だけしておきたいんですが、先日私が取り上げました障害者団体のアンケートについて、局長の答弁で、けちをつけるつもりはないが、信頼性はいかがかという答弁がありました。これについて、さっき聞いてみましたら、障害者と家族の生活と権利を守る都民連絡会という団体の会長名で、前川局長あてに抗議文がきょう出されたそうで、ここで委員会やっている最中で、後で見ていただけばいいと思うんですけれども。  こういう調査は本来福祉局が行うべきもので、自分たちは、都が実態を調べることを再三要求したけれども、都は今日まで本格的な調査を行っていないと。だから、都民団体、自分たちが行った調査には限界があるかもしれないが、障害児の幸せを願い、ともに運動を進めてきたお母さん、お父さんたちの声は正確にあらわしたつもりだ、ここに書かれた一つ一つの声に耳を傾け、現実に三つの制度が同時に打ち切られる家族が百十二世帯もあることをこのデータで明らかにしたわけだから、真摯に受けとめてほしいというふうに書いてあります。後でよく読んでいただいて、受けとめていただきたいと思います。

●障害者福祉会館を守るべき
 次に、障害者福祉会館について何点か質問します。  障害者福祉会館について、これまで何年かにわたって、民間委託もしくは民営化になるんじゃないかとかいろいろなことがいわれてきて、利用している団体の方々にも、委託先を探しているというようなことが局から説明があったりしていました。大変な不安が広がっていました。今回、来年度については直営で行くというふうになったようですが、一方で、会館の職員が半分近く減らされると、八名ですか、ということが方針として出されたわけですね。  これによって、今まで会館が行ってきたいろんな事業、もちろん集会室を貸し出すというようなこともありますが、独自に事業を行ってきたわけですね、職員が、東京都が直営で責任を持ってやってきた。これについて、本当に維持できるのかという心配の声が上がっていますし、これは当然だと思うんです。何しろ職員が半分ぐらいになっちゃうんですから。それで、障害者の方々が今実際に利用している会館事業をきちっと守っていく保障が、この職員配置できるのかどうか、お聞きします。

◯谷川障害福祉部長 理事おっしゃいますとおり、定数十六を定数八名に、現在定数査定がなされたわけでございますけれども、十二年度と十三年度の中身、事業については、優先順位の高いもの、そうでないもの、あるいはまた区市町村の充実によって行われているもの等々によって、それに見合うといいますか、事業を見直した結果が十六名から八名になったということで、会館の運営はやっていける、このように考えております。

◯曽根委員 会館の運営はやっていけるというお話なんですが、それは貸し館事業としてはやれるでしょうよ。しかし、例えば中途失聴者、生まれて以降に耳が聞こえなくなった方、そういう方に対しての手話講習会など、こういうものはほかでやっていないわけですよね。ここしかやっていない事業なんです。そういうものまで、この八名ですか七名ですか、この職員で到底回し切れないんじゃないかという心配があるわけですよ。ほかにもいっぱい事業ありますよ。そういったものについては、本当にやり続けることはできるんでしょうか。

◯谷川障害福祉部長 今おっしゃいました中途失聴者の事業であるとか、あるいは喉頭摘出者の事業、これは非常に人数、利用者が多いわけでございますけれども、これは福祉部の事業として十三年度実施していくことを考えてございます。

◯曽根委員 福祉部というか、障害福祉部ですよね。  それで、私思うんですけれども、今まで、昭和五十年開館ですから、もう三十年近い歴史を持っている。直営で頑張ってきて、もちろん、いろいろな形はこれからあり得ると思いますよ。しかし、直営でやってきて、何かまずいことが出てきた、これではもういろんな障害者の利用要求にこたえられないというのならともかく、かなりいろいろと皆さんのところに役に立つ事業もやってきて、それ自体に何か大きな欠陥でもあって行き詰まっているというのならともかく、そうじゃないのに民間委託の話が出たり民営化の話が出てくる。  しかも、直営は守られたんだけれども、人数が減らされて、人数が減ったために、事業がその会館職員だけで維持できないから、では、障害福祉部でやりますと。だったら、何で会館の現場の職員でやれるような体制を厚くできないのかというのは、利用者としてはもっともな疑問だと思うんです。  もちろんその背景には、予算当局からもいろいろいわれているでしょうし、福祉局さんが苦労しているのはよく知っていますから、これ以上はいいませんけれども、やっぱり現場の職員をちゃんと十分確保してやるのが一番いいに決まっているんです、これは。続けるんだったらですよ、会館事業を。ということで、やっぱりこれは現場に手厚く職員を置いてもらいたいということを申し上げておきたいと思う。  もう一つ、今後のことでいっても、今のままの事業だけ維持していけばいいというふうにはならないと思うんです。障害者の種類やいろんな特殊な疾病の問題など、どんどん広がってきているわけで、最近でいえばエイズの問題もあります。薬害エイズの団体なども、あの障害者福祉会館を利用して、いわば細々と活動していた活動が維持されてきたからこそ、最近になって厚生省のあの書類が出てきて、にわかに社会的に大きな役割を果たすことができるようになったというふうに聞いています。  ですから、これからも、全都的に集まらなければなかなか交流も活動もできない、少数また大変深刻な状態の障害者の団体のために、会館事業を維持、充実させていくということが必要だと思うんですが、いかがでしょうか。

◯谷川障害福祉部長 理事おっしゃいますように、利用者数が年間二十一万人を超えるような利用ですけれども、そのうちのほとんどが貸し館の利用者でございまして、なおかつ、その貸し館を利用している者たちは、ボランティア団体二百が登録してございまして、実際に活動しているのは百三十七でございますけれども、これらのボランティアの人たちが自主的にさまざまな、手話講習会であるとか障害者の同じサークルのピアカウンセリングであるとか、従来行政でやってきた部分に対しても、貸し館の利用者のグループの中でそういうような事業をしてきている。  もう一つは、開館が昭和五十年ですけれども、そのときの福祉センター的なものは二十三区内に五カ所しかなかった。現在では三十九カ所にふえている。そういう状況の中で、事業の軽重を見ながら今回見直しをしていったわけでございます。

◯曽根委員 もちろん各地域で集まって交流する必要があるものもいっぱいあるから、各地域にセンターができるということは非常にいいことですよ。同時に、広域的自治体としての東京都の会館の役割は当然あるわけで、私は、そういう意味で、これから新しくいろいろな活動が起きてくる、そのまず出発点といいますか、地域で始まる前に、やっぱり東京で集まって、そこからまた地域に帰っていくというような出発点としても、会館の役割は極めて重要ですので、そこをぜひ押さえてもらいたいと思います。  それからもう一つ、障害者団体から強く要望が出ております、これまで三十年近い団体の活動を支えてきた会館が持っている資料、これは、普通の図書館などにはない、団体が出しているさまざまなニュースや発行物、定期刊行物などのそうした資料というのは、ここにしかないものがたくさんあるわけですよね。ぜひ今後も充実させると同時に、活用、保存に力を入れるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

◯谷川障害福祉部長 仕事柄、障害者の方あるいは障害者団体の方と接触する機会が、私、多いわけですけれども、その中で障害者会館についていわれることは、ただいまの理事おっしゃいました資料をきちんと保存してほしいというのは、直接私も要求を聞いておりますし、現場も見まして、貴重な資料、長い間の障害者の方々の運動の歴史等々、貴重なものがたくさんあるというのは重々承知しておりますので、それに対する保管は万全を期していきたい、このように考えております。

◯曽根委員 よろしくお願いします。

●児童会館を充実させよ  次に、児童会館についてお聞きしたいんですが、ここも、昨年の春、一回、民間委託か民営化か条例案が出かかって、私たちに一回説明が来たんですが、取り下げになった。どうなるのかと思っていたら、来年度は直営で行くと。しかし、やっぱり職員は減らすという方針が出ました。職員は何人から何人、常勤、非常勤それぞれ何人ぐらい減らすのか。  そうすると、ちょっと時間があれですので簡潔にいきますけれども、五階建て、屋上と地下も含めると七つのフロアでそれぞれ違う事業をやっていて、年間、大人と子ども合わせて、これ見てびっくりしたんですが、百二万人という百万人を超える利用があるわけですよね。これを、その減らした人数で支え切れるのかどうかというのが大変心配なんですが、その点についてはいかがでしょうか。

◯福永子ども家庭部長 児童会館の職員の件でございますけれども、管理部門につきましては、十二年度は管理係、奉仕係と合わせまして常勤職員七人でございますが、十三年度は、再雇用職員の活用あるいは業務の一部委託等によりまして、四人で行います。また、事業部門につきましては、十二年度は常勤職員十二人でございますけれども、専門性のある非常勤職員を十三人から二十三人に大幅に増員することによりまして、十三年度は五人で事業やフロア運営を行うものでございます。  また、フロアが屋上を含めて七つございますけれども、そういったところの運営方針といいますか、フロアの運営のあり方でございますけれども、フロアの運営につきましては、基本的に専門性のある非常勤職員を中心に運営する方針でございます。また、効果的な事業実施のために、屋上の運動のひろば、五階の図書ひろば、二階ののびのびひろばにつきましては、業務を委託するということでございます。

◯曽根委員 年間百万人を超える利用者で、そして、土日になると本当にすごい、ごった返すといっては悪いんですけれども、物すごい利用だそうですね。夏休みも多いと、利用が。木工教室は、ただで材料をいろいろ出してくれて工作がいろいろできるということで、夏休みも本当に利用が多くて、職員の方てんてこ舞いだそうです。  それが、事業部門が今十二人、各フロア大体二人ずつぐらい張りつけていられたのが、今度五人ですから、管理部門を除くと、事業部門は本当に各フロアに一人も置けないという状態で、子どもたちの安全や利便を守れるのかなというのが大変心配だということは申し上げておきたい。  特に、この会館のもう一つの役割として、子ども相談室というのがあるんですね。ここも、児童相談センターで受けている子どもの相談、子どもに関する相談に比べて、数は少ないですけれども、それの五分の一ぐらいの、年間二千数百件の電話相談が来ていると。それも、東京都だけじゃなくて地方からも来るらしいんですが、相当児童会館が名前が有名だということもあって、そこに、子どもたち自身もあるんですけれども、お母さんたちの子育て相談も入ってくる。  年間二千数百件というと、大体一日十件ぐらいは来ているわけですから、結構相談としては、受け付けの窓口として重要な役割を果たしていると思うんですが、ここも何かもう非常勤も置けないということで、どこかの団体で引き受けてくれるところがあれば場所だけ貸しますという話らしいんですが、私は、せめて引き受け手が──やっぱり東京都が直接的に持ってもらいたいということが第一と、引き受け手も決まらないのに三月いっぱいで職員を外してしまう、電話も、切ってしまうか留守番電話にするかわかりませんが、それはちょっと余りじゃないか、年間二千五百件も相談があるのに。  何とかつなげてもらたいと思うんですが、いかがでしょうか。

◯福永子ども家庭部長 子ども相談につきましては、十二年度で終了ということでございまして、フロア開放事業ということに移行いたしまして、NPOとの連携の推進ということで公募いたしましたところ、現在複数の団体から応募がございまして、選定の手続を行っているという状況でございます。

◯曽根委員 そうすると、本当に四月から、複数の団体が出ているということであれば、閉鎖することなく相談を受ける仕事は継続はできるということは間違いないんですか。

◯福永子ども家庭部長 都の直営ではなくて、NPOの団体等、応募がある団体の中から選定をして、選定をされたところが実施をするということでございます。

◯曽根委員 私、先日現場も見せてもらって、会館の館長さんにお会いしたときには、まだ確実に四月からあそこを使ってやってくれるという団体は決まっていませんという、これは館長さんから直接お聞きしたので、そういう話でした。したがって、私は、空白が生まれる可能性はあると思うんですよ。そういうことがないように、少なくとも電話相談が継続できるようにするのが、これまでこれだけの実績を上げてきた東京都の責任ですから、ぜひその点は努力をしていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。

トップページへ  議会質問目次へ 質問要約記事へ  2期目質問リストへ